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2011年4月のビーバー作戦を再現します その5(2011年4月5日前半)

 
昨年の終わりから始めた、TV会議の情報を踏まえて2011年4月の2号機スクリーンからの漏えいに対する「ビーバー作戦」を振り返るシリーズ、今回で5回目となりました。

今回はいよいよ4月5日の様子を振り返っていきたいと思います。この日から翌日にかけては長くなりますので、2回に分けたいと思います。

これまでのシリーズについては、「2011年4月の汚染水海洋漏洩事故時に行われた「ビーバー作戦」を再現します 目次」をご覧下さい。 


6. 砕石層への水ガラスの注入

4/5はまず9時からの全体会議で始まりました。全体会議で書画に映し出されたのはその日の計画です。すでに前日の4/4には作業員や機材の手配が完了していました。この会議の途中からは動画が公開(本116-1:リンク先は62.5MBのZIPファイルをダウンロードします)されています。

 9:30 2号機作業箇所モニタリング(保安班)
10:00 作業員現場着
11:00 資機材現場着
12:00 資機材セット完了
13:00~ トレーサビリティ調査
14:00~ 薬液注入施工(2箇所同時)

午前中はいろいろなセットアップを行い、午後にまず入浴剤を入れてスクリーンから出てくるかどうか確認し、出てくるようであれば薬液を注入するというスケジュールです。4/4を一日空けてでもこの日のために作業員を確保しました。

12/22-10
東電HPに公開部分の動画 本116-1 より)

上の図は、公開場面の動画(本116-1:リンク先は62.5MBのZIPファイルをダウンロードします)から取ってきたものですが、画面キャプチャのため少しぼけているので、HPに公開されているほぼ同様の図を下に示します。

12/22-11
4/5の東京電力HP より)

薬液注入孔のあけ方としては、まず上の右図で1番と2番で入浴剤でチェックをして、入浴剤がスクリーンから出てくれば薬液を注入します。水の止まり具合を見ながら3番4番というようにやっていくのが当初の計画でした。

やり方としては、上の図の左側にあるようなボーリング孔を開けて掘削をします。所定の深さになったら、ほぼ3秒くらいでゲル化するような薬剤を注入し、先端で2液を混合させてそれを地盤の周りに注入していく作業をくり返していくイメージです。

この作業に用いるボーリングマシンに詳しい元請けの大成建設と確認したところ、圧力をかけすぎると周りの地盤をいためてしまうということなので、あまり圧力をかけずに本数を増やすという対応を取るという方針でした。とりあえず4本行う予定で考えているが、状況に応じて現場の判断で本数を増やすということを考えていました。

この会議中(本116-1の公開部分)、特別プロジェクトチームの総括リーダーでもある細野補佐官が演説をします。前日に政府としても低レベルの汚染水を海洋に放出するという決断をしたので、今日はもう漏えいが判明して4日目でもあり、なんとしても結果を出して欲しいという内容です。後に述べますが、この言葉は東京電力に対するプレッシャーとなり、この日の夜を徹しての作業につながっていきます。

(1) はじめての手応え

午後2時15分、準備が整ってこれから8番と9番にバスクリンを入れる準備に入るという報告が入ります。8番とか9番というのは、下の図に示すようにその後に追加された穴の場所ですが、どういう経緯か、この二つが最初に選ばれました。

12/23-1
(書きおこしとともにLCMプレスよりいただいた図を書き直したもの)

そして14時21分、8番にバスクリンを入れてすぐにスクリーンから白い液体が出てきたことが確認されました。「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(1)」でも紹介したのですが、実際に現場での写真が公開されていますので、それを用いて説明します。

これから示す3枚の写真は、何枚か撮られた写真のうちの一部です。まずこの写真では、漏れ出している汚染水は透明のように見えます。(2011/4/5 14:21)
7/6-79-013
東京電力HP 2013/2/1公開 (79) より)

次の写真は、2年半前の記者会見でも公開された写真です。タイムスタンプは14:22です。(2011/4/5 14:22)白く色がついているように見えますが、微妙です。
7/6-79-015
東京電力HP 2013/2/1公開 (79) より)

この次の写真では、手前の水面の色も白くなってきており、この時までにはトレーサーが汚染水に混ざって出てきていたと考えられます。タイムスタンプは14:22です。(2011/4/5 14:22)
7/6-79-017
東京電力HP 2013/2/1公開 (79) より)

この日の18時30分頃から始まった記者会見の様子を記録したtogetter.com/li/120185によると、14:23に1番にトレーサーを注入し、14:34に2番にトレーサーを注入したとはっきりと言っています。参考までにニコニコ動画の記者会見動画へのリンクもつけておきます(ログイン必要)。43分~45分あたりです。

この日の記者会見では14:23にトレーサーを投入してほぼ同時に出てきたといっていますから、14:22というのはこのデジカメの時刻が1分ほど遅れているのかもしれません。逆にいうとデジカメのタイムスタンプはそれくらいのズレしかないということの証明でもあります。

なお、投入時刻については、翌4/6に東京電力HPに発表された時刻では、8番(公表された番号では1番)へのトレーサー(バスクリン)投入は14:21となっています。TV会議では何時に投入した、ということを時刻を言っていないようですのでどの時刻が正しいのかはわかりませんが、公開された写真とほぼ矛盾しない情報になっています。


さらに2分後、確かにトレーサーが流れだしているということを別角度から撮った写真です。(2011/4/5 14:24)
7/6-79-019
東京電力HP 2013/2/1公開 (79) より)

さらに港湾内に向かってトレーサーが流れ出している様子がこの写真からもわかります。(2011/4/5 14:25)ここでは省略しますが、この時はトレーサーで海水が白く濁っている様子を何枚も写真に撮っています。
7/6-79-021
東京電力HP 2013/2/1公開 (79) より)


続いてトレーサーを入れた9番(公表された資料では2番)においても、同様の写真が公開されていますがここでは省略します。9番の穴を開ける前は0.9mSv/hだった線量が、穴を開けた後には線量が少し上がって1.2~1.3mSv/hになったという報告がTV会議ではなされています。

そして、8番(HPでは15:03、記者会見では15:07)と9番(HPでは15:13)に薬液を注入したということになっていますが、TV会議では若干違う内容になっています。

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15:15頃 
(1F)「今、現場で8番に薬液注入しているんですが、ちょっと8番と9番と同時に薬剤を投入すると言うことで、作戦を厚めにやるような方向に変えています。」
(武黒フェロー)「了解です。こちらもモニター画面見ています。」

15:17頃
(1F)「8番と9番の薬剤をいれていたんですが、9番の薬剤注入側の圧力が少し上がってきたということで、一旦今、9番の方は止めて調整をするというか、状況を確認しているということです。従って今、注入は8番の方の穴一本になっています。」

15:42頃
(1F)「2号機なんですが、かなり作業が長時間にわたっているので、メンバーの入れ替えを行うということで、そのタイミングで現場の方のメンバーが上がってきますので、細かい情報、入ると思います。」
--------------------------------

単に8番を入れて、次に9番に入れたというのではなく、同時に注入してみるとか、圧力が上がったので9番はやめた、というような細かい情報がTV会議によって初めてわかりました。

薬液としては12,000L用意してあり、8番(公開された情報では1番)と9番(公開された情報では2番)の注入に16時の時点で1,500L程度使いました。

16時半頃から、現場に出て行った人も戻って来てTV会議で現況の報告がありました。本店から4/3に応援にかけつけた技術開発研究所の人が報告します。

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(本店 技術開発研究所)「本日注入した場所は、このピットの8番というボーリング口と9番というボーリング口です。その他のボーリング口はまだやっておりませんので、ピットを包む状態のようにボーリングするということでナンバリングしていますが、本日やっていますのは8番と9番の位置からピットに向けてボーリングいたしました。それで、ピットの底版のところまで掘削いたしまして、バスクリン、入浴剤を入れますとこの漏水口から変色を確認しておりますので、水道(みずみち)が通じていることを確認しております。

その後、薬液を注入いたしまして、8番と9番を合わせまして今大体1500Lくらい、本日持参しているのは12000Lの薬剤を持参していますが、そのうち16時現在で1500L程度の薬液を注入いたしました。薬液を注入いたしますと、漏水の所で色が変色したりとかですね、一時期流れが細くなったりという事で注入の効果はありそうですが、何も流速が速いということとボーリングした時にピットのまわりの状況と致しまして、厚さ30cm程度のコンクリートの板がしかれておりまして、その下に40cm程度の空隙があると、これは埋め戻した砂が地震で沈下しただろうと想定しております。その下にルーズな砂が埋め戻しの砂が続いているというような状況でございます。今後どうするかということでございますが、本日は今の場所で3000Lぐらいあと、倍くらい注入して取水の状況を確認しようと考えております。

それでも取水の状況が好転できなければ上流側ですね、建屋側この図でいきますと1とか7とか6とかっていう番号を振っておりますけれども、その辺の方に移動して再度注入しようと思います。なぜこのようにしようかと申しますと、漏水口の所は空隙の面積が小さいもんですから流速が速いとそれによって薬液が流されてしまっているのではないかというふうに想定しております。上流側の方はトレンチの幅に砕石がございますので、面積が広いので流速が遅いその分薬液が固まる時間を稼げるのではないかというふうなことで、今日の状況次第ですが、明日以降上流の方に移動して今後注入作業を進めていきたいというふうに考えております。今のところ以上です。」

(本店建築復旧班)「すみません。本店建築復旧班ですけど、そうすると今日は8と9に据えたマシーンはもうそのままということですか?」

(本店 技術開発研究所)「はい今のところそのように考えております。」

(本店建築復旧班)「そうすると今日は、上流側はやらないということですね?」

(本店 技術開発研究所)「はい。」

(武黒フェロー)「あれですか、念のために教えて欲しいのですが、継続して1や7に移動するということは難しいんですか?」

(本店 技術開発研究所)「今日中にですか?」

(武黒フェロー)「手の問題だと思うんですけど、夜、夜勤でやることは可能ですか?」

(本店 技術開発研究所)「今、手はマシーンが2台ありまして、1台4人がつきまして、それが2班に分かれてますんで4人交代で、交代するっていうような状況でやっております。夜勤が可能であれば連続してということになるかと思います。」

(1F)「夜勤作業できるのですか?」

(本店 技術開発研究所)「そりゃあもう。」

(本店建築復旧班)「もし可能であれば、みんな大変心配していますんで、夜勤無理のない範囲で結構ですので、1、7、6というところを攻める事を検討していただけませんか?」

(武黒)「大変ご面倒、ご無理をお願いして恐縮なんですが、武黒です。これは非常に重要な課題だということで多くの方から今対応を求められている事でありますので、是非一度ご検討をいただければと思います。」

(1F ○○)「はい。わかりました。先ほど言いましたように、現在1500Lぐらい注入、これ16時現在です。今の場所で3000Lぐらいと今日はゼネコンさんが12000L持参しておられますので、この後1、7、6と。どこ打つかっていうのは又、検討しますが、夕方から夜にかけてこの上流側を当たっていくということでやりたいと思います。」

(武黒)「はい、大変ご苦労ですがよろしくお願いします。」

(本店建築復旧班)「すみません。安全第一で行きましょう。よろしくお願いいたします。」
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ここでは、流速が速いので水ガラスの効果が出しにくかった可能性があること、そのため次回はピットBに向かう上流側のトレンチの下の砕石層(1番、6番、7番あたり)を狙いたいこと(幅がある分、流速が遅い可能性があるため)が報告されています。

一方で、明日の作業という話がいつの間にか今夜に続けてやって欲しいという話になり、作業員を交代して行うことになりました。これはやはり、朝に細野補佐官から「今日はなんとしても結果を出して欲しい」ということを言われて、政府からのプレッシャーもかかっていたというのが理由だと思います。そうでなくても、4月2日に漏えいが発見されてからすでに4日目、東京電力は何をしているんだ、という声がだんだんと高くなってきています。

今回初めてトレーサーによって流路が確認でき、薬液注入の効果も少しありそうな手応えが感じられたため、ここで一気に、ということになっていったのがわかります。

この薬液注入の効果はどうだったのでしょうか?吉田所長と武黒フェローの会話です。

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(吉田)「ずっとね、薬注の時の水の勢いみてたんですけど、それは本店でも見れるんでしたっけ?」

(武黒フェロー)「見てますよ。」

(吉田)「結構、薬注していると1回勢いがヒュッヒュッヒュっと止まりかけて、白いのがまたパッと出ちゃうというような状況が何回も見れるんで、ある程度薬注そのものが効いてると思うんですよ。だからそんなに捨てたもんじゃなくて、やっぱり、その、今みたいな工夫やればかなりの効果はあるんじゃないかな、と私は見てて思ってるんですけども、だから、今言ったような手順でやってみるだとか、要するに何らかの、全く今までとは違って、今までは何やっても効果はなかったんだけど、今回は効果がありそうだな、と感じはしておりますので、ちょっとしっかりそこらへん見ていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。」

(武黒フェロー)「大変よく頑張っていただいて少し見えてきた感じは確かにあると思いますし、相当スペースが空いているという話も聞いていますので、薬注して固まるまでに時間がかかるであろうということも理解しています。それだけに、大変現場の方にはご苦労欠けますが少し時間をかけてでも今日手持ちの薬剤を使って是非今後も引き続きよろしくお願いいたします。」

(吉田)「それはしっかりやらせていただきます。」

(1F○○)「了解。昨日までは、トレンチの中だろうという所をやってたんですが、もう今日トレンチの下が確実に流路があるということがわかりましたので、そこをなんとかつぶすという形でやりたいと思います。以上です。」

(武黒フェロー)「ご苦労様です。」
--------------------------------

この二人の会話を見ても、今までとは違い、今回は何とかいける可能性があるのではないか、という手応えを感じているのがわかります。

そして今度は、ピットBにつながる上流側のトレンチの下を2箇所狙っていこうということになりました。電源トレンチの両側からトライしてみるということでした。18時半頃に関係者が現場に出て行って作業を開始します。

そして19時30分頃、全体会議の中で新しい情報が入ります。1番か7番と、そのトレンチを挟んで反対側にボーリングを行い、入浴剤を入れてみたが、スクリーンから出てこないということです。

これについては、TV会議の書きおこしでは細かい場所がわかりませんでしたので、政府事故調の中間報告書資料V-14を用いて確認してみます。

12/23-2

TV会議でいっている恐らく7番が、上の図でいう4番にあたります。そして、トレンチを挟んだ反対側が上の図の3番にあたるということです。しかし、3番も4番もトレーサーを注入してもスクリーンから出てこなかったということだったのです。

上の図でいう3番は垂直にボーリングしたということなので効果がなかったとしても仕方ないかもしれませんが、4番(TV会議でいう7番)は、電源ケーブル管路の砕石層の下を狙ってボーリングしているはずです。従って、汚染水の流出ルートがここを通っているならば、トレーサーは少なくとも出てこないといけないはずです。しかしながらトレーサーは出てきませんでした。となると、その前に注入した1番(TV会議の8番)の効果で水の流れが抑えられていたという可能性もないわけではありませんが、1番2番(TV会議の8番9番)からの注入では少し流量が抑えられたという程度でしたので、この管路の下の砕石層を汚染水が流れていたということは可能性としては低いのではないか?という疑問が出てきます。

そして、TV会議においても初めてスクリーン操作室電線管路の存在がクローズアップされます。この名前は先ほど載せた政府事故調の中間報告書にしか出てこなかった名称なのですが、確かにその先の北側にはスクリーン操作室というのが以前はあったようです。2013年の後半になって、このスクリーン操作室のかつてあった場所が下図の右側のように図面上で明らかになっています。一方、スクリーン操作室電線管路についても、昨年9/12の第6回汚染水WGの資料(37ページ)でその存在が公に認められました(下図左のオレンジの線)。

0103-5
9/12規制庁第6回汚染水WG資料 及び 12/10第11回汚染水対策処理委員会資料 に加筆)

ただ、2011年3月20日の写真を見ると、もう建屋が存在していないので、スクリーン操作室は、以前はあったが途中で使われなくなったものということのようです。

0103-6
(「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(3) 電源ケーブルはどこから?」 より)

ピットAからスクリーン操作室に向かう電線管路は旧保安院の写真(写真3参照)にも掲載されているように間違いなく存在しており、ここでもその下の砕石層が汚染水の漏えいルートになっている可能性があるのではないか?という疑問が出てきているのです。

--------------------------------
(1F)「…(前略)…今ちょっと土木の方でいろいろ図面を当たったところ、このAピットから北側へ地表面にクラックが入っているんですが、よく図面を見るとですね、そこに地表面のクラックに沿って北方面に幅70cmほどの何か構造物らしきものがあるということがわかりまして、今タービン側の方に向かう電源トレンチではなくて、この北側へ向かう地表面のクラックに沿ってある構造物の方の上流側に新たなポイントを設けてボーリングしてみようかといったことが今現場の方で検討しているようです。○○も行ってますので、新たな情報が入りましたら連絡します。」

(武黒フェロー)「なかなか話聞いただけではわからないので、後で書画出して。」

(武黒フェロー)「本店側から話があります。」

(本店建築復旧班)「実は、こちら側(下の図でいうと右側)が北側なんですけれども、こちら側(西側)がT/Bの方からずっとトレンチが来ているということで先日、トレーサーをこちらの方(西側)から入れたと、それから水ポリマーもこちらの方(西側)から流したんですけれども行かなかったということで、一応我々はこちら側(西側)から水が来ているのではないか、これが第一優先だと思ってました。

ただ、北側に向けても電線管路があります。これはわかっていました。ただ、もともとのタービンビルとこの電線管は構造的にはつながっていないんで、一応下の礫層は敷石の層があるんでこちらもくさいということで、実際には1番とか7番の方でダメだったらこちら側(北側)で打とうということで昨晩○○ともうちあわせ済ですので、こちら側(西側)から出なければこちら側(北側)の電線管の下にある敷石を何らかの形で回り込んだものが拾って出てきている可能性もありますんで、これについては、次にこちら側(北側)の所で打ってトレーサーを流すというそういう作業をやる段取りになっています。」

12/23-1
(書きおこしとともにLCMプレスよりいただいた図を書き直したもの:上が西、右が北になる。)


(武黒フェロー)「発電所はああいう電線管路があるということについては把握してましたですか?」

(吉田)「一応、図面上はあるんですが、どうもあのこれの電源らしい、スクリーンの電源の建屋の方に行っているという話はあるんですが、ここの構造図がない、しっかりしたものがないもんですから今もう一度再チェックしております。」

(武黒フェロー)「本店にはこの構造図あるんですか?」

(本店建築復旧班)「平面はありますんで、構造的にタービンビルとつながっていないことは確認してるんですが、ただ敷石はどっちにしても引いてありますんで、何らかの形で横に出たものがそこを通って最後の終点に出てきている可能性はある。とそれは可能性としては押さえてはいましたので、そちらの方にうつります。」

(武黒フェロー)「そうですか。今、新たにやろうとするのは、その部分の敷石の空洞になっているところを狙って薬注しようということですね。」

(本店建築復旧班)「そういうことになります。今ちょうどここの所に地表面にクラックが出ていまして、それは恐らく下に、周りより剛性の柔らかいものがあって、それが揺れた時にピット割れたんだろうと、その下に何らかのへんじょう?がある可能性もあるということは想定してましたんで、そちらの方にうつります。」

(武黒フェロー)「そうですか。ちょっとまた、そういう説明がありましたんで、現場での状況と付き合わせて発電所にも確認をして下さい。」

(吉田)「今の○○さんの説明でも十分だと思いますが、いろんな事をやっていきますが、8番9番のところが要は、バスクリンがポンと出たということはやっぱり流路的にはこっち側の流路ってのは否定できない、というかかなり強いと思いますので、今建設部さんでやっていただいているこの2番3番になるのか、もうちょっと上流になるのかわかりませんが、ここを狙うというのはかなりいいのかなって感じは私はしておりますので、よろしくお願いいたします。」

(武黒フェロー)「いずれにせよ、まだ薬品もありますし、相当量入れないと全体としては止まらないという状況だと思いますから、どこを狙って効率的にやっていくかという事と、全体として固めて止めるという作戦、よくにらんでやっていくと思いますので、これは建設さんと発電所でよく密に連携とって今晩ずっと続けていく事になると思いますので、よろしくお願いいたします。」

(勝俣会長)(内容省略。とにもかくにも今晩中に解決せよ、ということ。)
--------------------------------

こうして、ピットBにつながる西側のルートはトレーサーが出ず、北側にボーリングを行うことになったのです。

今回はこのあたりで終わりにします。次回はこの後4月5日から6日かけて漏えいを止めることができた話を書いていきます。

最後に、関連する情報としてこの日の記者会見情報です。

2011/4/5 12:30頃~ togetter: http://togetter.com/li/120077 ニコ生(ログイン必要)

2011/4/5 18:30頃~ togetter: http://togetter.com/li/120185 ニコ生(ログイン必要)  

目次 へ

2011年4月のビーバー作戦を再現します その1(2011年4月2日前半)」へ

2011年4月のビーバー作戦を再現します その2(2011年4月2日後半)」へ

2011年4月のビーバー作戦を再現します その3(2011年4月3日)」へ

2011年4月のビーバー作戦を再現します その4(2011年4月4日)」へ

 
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コメント

Re: スクリーン操作室について

ひとり事故調さん

> 2009年に撮影された衛星写真には、2号機のスクリーン操作室が写っています。
> おそらくスクリーン操作室の建屋は津波で流されたと考えられます。

私も津波で流されたのかな?とは思っていました。2009年まではあることは確認できたわけですね。

津波の引き波で、地下水も一緒に引っ張られて水位が低くなったのだろうか?ということも前から疑問に思っています。護岸部は埋め戻したところですから、地震と津波で空洞ができる可能性は高いですよね。ピットAの砕石層の下部も空洞ができているようなことをTV会議で言っていたと思います。

こちらこそ、今年もよろしくお願いします。

スクリーン操作室について

2009年に撮影された衛星写真には、2号機のスクリーン操作室が写っています。

http://www.satimagingcorp.com/gallery/ikonos-fukushima-daiichi-before.html
(画像をクリックすると高解像度画像がDLされます。)

おそらくスクリーン操作室の建屋は津波で流されたと考えられます。
だから何?と問われても困るのですが、あらためて津波の破壊力を認識しました。岸壁付近では、地震によりコンクリートが割れたり、埋め立ての土が液状化したと思われます。その後に襲った津波、特に引き波で液状化した砂が流れ出し、その結果、護岸部にはかなり空洞ができて、その後の汚染水の水みちになったと考えられます。

本年もよろしくお願いします。

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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