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2018年10月13日

8月末に、公聴会を前に「トリチウム水の放出について」ということで書きました。その時には全く公表されていなかったデータが9月末に公表されました。また、10月1日には経産省で多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第10回)も開催されました。

9月28日の毎日新聞の記事「海洋放出、前提危うく 再処理コスト増も」を一部引用します。

「東京電力は福島第1原発の汚染水浄化後の処理水について、敷地内のタンクで保管する約89万トンのうち約8割の約75万トンで、トリチウム(三重水素)以外の放射性物質の濃度が国の排水基準値を上回っていたことを明らかにした。東電は処理水の再浄化を検討しているが、予定外の設備の新設や増設などが必要になり、廃炉コストも増大する可能性がある。【鈴木理之】」(毎日新聞より)

「しかし今回の東電の発表によると、処理水計約94万トン(20日現在)のうち約89万トンを分析した結果、トリチウム以外で排水基準値を下回るのは約14万トンで、約75万トンは超過すると推定される。基準値超えの中には半減期が約30年と長く、体内に入ると骨に蓄積しやすいストロンチウム90も含まれており、サンプル分析では最大で基準値の約2万倍の1リットル当たり約60万ベクレルが検出された。
 基準値超えの原因として東電は、ALPSの不具合や、放射性物質を浄化する吸着材の交換時期が遅れたことなどを挙げた。」(同じく毎日新聞より)

【トリチウム水の放出について ALPS処理水のデータが公表されました】の続きを読む

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2018年8月31日

ずいぶんと時間が空いてしまいました。
もう以前のように福島原発事故についてエネルギーを割くことはできないと思います。
ただ、久しぶりに、ニュースで福島原発事故の話をやっていましたので、簡単にコメントしたいと思います。

タンクにためているALPS処理水の処理についての公聴会のニュースを見ました。
8月30日(木)と8月31日(金)に公聴会を行うというものでした。


いろいろとまとめている余裕がないので、詳しく知りたい方はこちら(トリチウム水処理の公聴会が開かれるのに、多核種除去装置はまだHOT試験中)をご覧ください。
ALPS処理水についてよく整理してくれています。

8/30のニュースは、予想通りの内容でした。ただ、NHKのニュースを見ていて一つだけ感心したのは、トリチウム水は原発を稼働したあとで海に放出している旨を言及していたことです。

8/31も公聴会が行われていると思います。その結果は見ていませんが、おそらく昨日の意見と同様のものと思います。

さて、私の意見は数日前にツイートしましたが、簡単に書くと以下のような整理になります。

1.これまでの議論を見ても、ALPS処理水=トリチウム水であるという前提で話をしているようですが、その前提が成立するのかどうかの確認が必要である。
ALPS処理水の処理、特に海洋への放出については、ALPS処理水=トリチウム水かどうかをまず確認する必要がある。
ここでいうトリチウム水とは、放射性物質として検出限界を超えるものはトリチウムだけを含む水のことです。他の核種は含んでいても、検出限界以下に抑えられている水のことを意味します。

全ての情報をフォローできていないのですが、実運用したALPS処理後の水の放射性物質のデータは全ては公開されていないのではないかと思います。それをまず東京電力に公開させるべきだと思います。(もし全て公開されていたらごめんなさい。)

2. 情報を確認した結果、ALPS処理水=トリチウム水であれば話は簡単です。 他の稼働中の原発でもトリチウムは大量に海洋放出しているので、同じように希釈して海洋に放出することで問題がないはず。風評被害、という議論が出るのであれば、他の原発付近の海でも同じである事を広く広報して福島の海だけの問題ではないことを示せば良い。

3. ALPS処理水=トリチウム+他の核種(例えばI-129やRu-106など)が検出される(N.D.ではない)場合は、その核種についての濃度と安全性を議論してから処理方法を決めるべきと思います。問題ない量(濃度)であれば、そこを丁寧に説明すれば海洋への放出も可能かもしれません。

重要なことは、まず事実(この場合で言えばALPS処理水=トリチウム水なのかどうか)を知ること。そのあとで議論を行うべきだと思います。現在のニュースを見ても、そういう視点での議論はされておらず、ALPS処理水=トリチウム水である前提で、トリチウム水を海に放出してもいいのかどうか、という話に持って行こうとしているように思いました。私の意見としては、トリチウムだけを含む水であれば希釈して海に流すのが現実的な解決策だと思います。もし福島の海への風評被害という事を懸念するのであれば、費用はかかりますが、タンカーなどでタンクのALPS処理水を稼働中の原発の海まで運び、そこで希釈して海洋に放出すればいいと思います。同じトリチウム水ならばそういう手段も可能だと思います。

ただ、今回の議論では、まずその前提が成り立つのかどうかをはっきりさせる必要がありますよ、という事です。そこに議論が行っているのかどうか、細かく資料をチェックできていないので申し訳ないのですが、おそらくそういう議論は抜けているのではないかと思ったので久しぶりに書きました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上が8/31の時点で書いたことですが、本日(9/1)にニュースを見ていくつか補足と修正をしておきます。

トリチウム以外の核種データについては、増設ALPSのA系列のデータのみですが、公聴会資料にも掲載されていました。

0901公聴会資料 


Ru-106はND(検出限界値以下)ではないということがはっきりと記載されていますね。
しかもALPSには既設ALPS、増設ALPS、高性能ALPSとあり、それぞれに何系統かあるので、これは7系統あるうちの1系統のデータでしかありません。日経の記事(不安・不信 合意形成難しく、福島第1トリチウム水の公聴会 )を見ても、下記のように記載があります。

不信感の大きな理由は、トリチウム以外にも除去し切れてない放射性物質が残留する問題だ。公聴会の開催決定後に広く報じられたため「国民に十分な説明がされていない」「議論の前提が崩れた」との反発が続出した。資料には処理水は「取り除くことのできないトリチウムを含む」との記述があるが、他の物質への言及はほとんどない。

やはり、まずは都合の悪い事実はできる限り隠す、という今までの姿勢を正し、わかっている事実を公開し、もし他系列の処理後の核種データを測定していないならばとってそれも公開して、その上で公聴会に臨むべきだと思います。それをやらずにALPS処理水はトリチウム水である、として公聴会を設定するのは、アリバイ作りのための公聴会(実際そのつもりかもしれませんが)と言われても仕方ありませんし、感情的な意見が多く出るのは仕方ないと思います。

また、東京新聞(トリチウム水放出 郡山でも反対多数 福島第一公聴会)の記事にあったように、「容認する意見でも、放射性物質を測定して安全性を確認する」というのは海洋放出の前提として必要だと思います。

以上、非常に荒削りの文章で申し訳ないですが、今回の公聴会に関して簡単なコメントとさせていただきたいと思います。久しぶりにブログを書いたら、ツールの使い方も変わっていてやりにくいです。いろいろと不具合があったら申し訳ありません。


 
昨年12月26日に、第49回特定原子力施設監視評価検討会が開催されました。そこでの議題の一つとして、以前からこのブログでは取り上げている陸側遮水壁(凍土壁)についての議論もありました。

この日は午前中の開催で、時間に制限があったためか、凍土壁についての議論は20分足らずで、ほとんど議論らしい議論もないまま、更田委員が残っている5箇所の凍結について段階的に認める、という方向性を示した(12月27日日経記事)ことは私にとっては少し意外でした。ただ、その理由が変わっていました。そこについて簡単にまとめておきます。


【第49回監視評価検討会(2016年12月26日)での凍土壁の議論】の続きを読む

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前回、8月に書いてからもう4ヶ月が経ってしまいました。
いつの間にかもう年末、今年もあと一週間ですね。

その後、監視評価検討会も9月、10月、11月と3回開催され、12月26日には今年最後の検討会が開催される予定です。
前回は中途半端な形で終わったので、少なくともそれにけりをつけて、その後のアップデートを少しして今年の締めくくりにしたいと思います。


【第45回監視評価検討会 その2 その他今年を振り返って】の続きを読む

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FC2ブログって、一ヶ月以上更新しないと、広告が入ってしまうんですよね。

最近、別のことに集中しているため、こちらはしばらくお休みしていましたが、昨日ちょっと元気をもらえるすてきな出来事があったのと、いきなり今日は第45回監視評価検討会があったので、久々に資料を読み込みました。

でも、久しぶりだとわからないことが多い!
というわけで、しばらくはリハビリですが、凍土壁の話はどうしても最後までフォローしたいので、時間を見つけた時にはまとめてみたいと思います。いつになるかはわかりませんので、期待せずに待っていてください。ただ、広告が出ない程度に軽い更新は続けていきたいと思います。



【8/18 第45回監視評価検討会 その1 (復活への準備編)】の続きを読む

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しばらくぶりのブログ更新です。
今回は近況報告を兼ねて少し書きたいと思います。


【久々の更新です 地下水観測抗No.1の全ベータ値上昇傾向について】の続きを読む

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しばらくぶりの更新になります。

2015年10月26日に海側遮水壁が最終的に閉合されました。

その効果がどうなるのか、だれもが気になっていたところですが、昨日(12月18日)に行われた規制委員会の第38回監視評価検討会において、予想外の情報が出てきましたのでその話も含めてお伝えします。



【海側遮水壁の閉合とその効果-汲み上げた護岸の地下水は建屋に戻して汚染水が増えている?-】の続きを読む

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8月25日、福島県漁連は東電が出した回答を受け入れ、サブドレン処理水の海洋放出を容認しました。これにより、汚染水処理が少し前進することになるはずです。現況を簡単にレビューしたいと思います。


【福島県漁連がサブドレン処理水の海洋放出を容認。今後の動きはどうなる?】の続きを読む

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4/19になりますが、3/25に行われた第33回監視評価検討会での凍土壁をめぐる議論について「海側遮水壁を閉合すべきか、先に陸側の凍土遮水壁を閉合すべきか?をめぐる検討会での議論(1)」にその前提条件となる海側遮水壁の閉合問題についてまとめました。

続編となる(2)では、その後の凍土壁をめぐる議論を4/22に行われた第34回監視評価検討会にそってまとめようと思っていましたが、いろいろ事情があって3ヶ月近く経過してしまいました。
そのため、監視評価検討会も4/22の第34回のあと、5/22の第35回検討会、そして7/1の第36回検討会と3回も開催されました。

タイトルの「海側遮水壁を閉合すべきか、先に陸側の凍土遮水壁を閉合すべきか?をめぐる検討会での議論」としては、監視評価検討会の中では、海側遮水壁を先に閉合しその後で陸側の凍土遮水壁を閉合するのが基本シナリオである、という合意が公式に形成されました。これはエネ庁の新川室長(7月から総括調整官)も認めていることです。ただ、東電はあくまでも陸側の凍土遮水壁を早く閉合したいという意志がありありで、7/1の監視評価検討会においてもその旨の発言を行って更田委員から注意を受けています。

今回は監視評価検討会の3回分をレビューするような形で、この議論の流れを簡単にお伝えしたいと思います。試験凍結の状況の詳細については次回に回します。


【海側遮水壁を閉合すべきか、先に陸側の凍土遮水壁を閉合すべきか?をめぐる検討会での議論(2)  】の続きを読む

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少し遅くなりましたが、3/25に行われた第33回監視評価検討会における議論の中で、今後の一番の課題である凍土遮水壁をいつ運用開始するべきか、という議論が行われていますので、これから2回にわけてまとめます。

なんとか次回の検討会(4/22(水))前までに、という目標に間に合わせるため、今回は(1)としてその前提となる海側遮水壁の閉合問題をまとめます。検討会での具体的な議論については(2)で書きたいと思います((2)は来週になるかもしれません)。でも、実は多くの人に知ってもらいたいのは今回の(1)の海側遮水壁の現状についてなのです。


【海側遮水壁を閉合すべきか、先に陸側の凍土遮水壁を閉合すべきか?をめぐる検討会での議論(1)】の続きを読む

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3/25に行われました第33回特定原子力施設監視・評価検討会では、5時間にわたりいろいろな話題が議論されました。
非常に長いため、全ての情報をまだチェックできていませんが、2月に起こった排水路に関する問題(「「K排水路から汚染水が海洋流出」報道からわかる、排水路の港湾内への付け替えの意味」参照)から、K排水路の付け替えの議論が出てきていますので、各種排水路の情報をこの機会に整理しておこうと思います。
従って、今回は各種排水路の流路の情報を中心にまとめていますので、それぞれの事象については詳しくは解説しません。

【K排水路の港湾内への付け替えと各種排水路情報の整理】の続きを読む

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2/24、東京電力は2号機原子炉建屋の大物搬入口の屋上にたまっていた比較的高濃度の放射性物質を含む水(汚染水)が近くの排水路を通じて海に流出していた事を発表しました。東電はこの事実を昨年4月から知りながら10ヶ月間も公表しなかったそうです。

この問題は各メディアで大きく報道されました(毎日読売日経朝日NHKなど)。2/25に行われた福島県漁連組合長会議でも「信頼関係が失われた」などと厳しい指摘が相次いだそうです。福島原発事故から4年経ち、汚染水漏れがあってもあまり報道されなくなった中で今回は比較的大きく報道されたように思います。直前にあった港湾内への流出事故の影響もあるかもしれません。

今回は、この報道から見えてくるマスメディアの不思議な報道ルールについて考えてみたいと思います。

【「K排水路から汚染水が海洋流出」報道からわかる、排水路の港湾内への付け替えの意味】の続きを読む

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昨日書いた、「側溝放射線モニタの異常値計測、おそらくどこかから汚染水もれ(現在は収束へ)」の続報になります。残念ながらまだ原因についてはまだ調査中ということで報告がありませんでした。昨日とダブる部分もありますがいくつか補足の情報がありますのでご紹介します。また、昨日はご紹介できなかったいろいろな情報もお伝えしたいと思います。


【側溝放射線モニタの異常値についての続報 東電記者会見(2/23)での情報】の続きを読む

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久し振りに福島原発の汚染水の話です。
本日(2/22)、東京電力は構内に設けた排水路で、通常の100倍近い濃度の全βが観測された、という事を発表しました。本日は日曜日で記者会見がないためまだ詳細な資料がありません。速報としてわかっている情報だけお伝えします。


【側溝放射線モニタの異常値計測、おそらくどこかから汚染水もれ(現在は収束へ)】の続きを読む

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今年も残すところあとわずかとなってしまいました。今年の話題は今年のうちに、ということで、最後の駆け込みでまとめます。
10月に「トレンチの凍結による止水は断念して結局充填剤で埋めることに。第27回監視評価検討会での議論」を書いてからすっかり間が空いてしまいました。その間に規制委員会の監視評価検討会も3回も開催され、状況は少しずつ変化しています。

今回は、毎回の細かい情報をまとめるのはやめて、概略をお伝えするとともに、監視評価検討会においても問題となった、凍結止水工法というのが意味があったのか、ということについても少し考えてみたいと思います。


【トレンチの凍結止水とは結局何だったのか?-今年の監視評価検討会を振り返って-】の続きを読む

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温泉水関連でトレンチの凍結以外の話題を書くのは久し振りになります。
今回は原子炉建屋の山側にあるサブドレンで初めて検出された高濃度のセシウム(トリチウムではありません)についてです。


【初めて観測された山側サブドレンでの高濃度セシウム その原因は?】の続きを読む

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8月に書いた「海水配管トレンチの止水、方針確定せず。9月中旬に再度判断へ。」の続きです。8月時点では9月に開催するとされていた第27回監視評価検討会が10月3日に開催されましたのでその時の様子をまとめます。


【トレンチの凍結による止水は断念して結局充填剤で埋めることに。第27回監視評価検討会での議論】の続きを読む

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朝日新聞は9/11、政府事故調のヒアリング記録が公開されるのに合わせて社長の記者会見を開き、2014年5月20日に朝日新聞が報道したいわゆる「吉田調書」についての「命令違反での撤退」というスクープ記事を誤りだったとして取り消しました。

このスクープ記事の問題点についてはすでに多くの報道がなされていますが、このスクープがあったからこそ産経新聞などが反論を書き、そのために非公開とされていた政府事故調のヒアリング記録の多くが公開されることになりました。その点だけは評価すべきと思います。

せっかくヒアリング記録が公開されたので、それを読んで朝日新聞の記事(紙面はよんでいないのでWeb記事や特設サイト)との違いを確認してみたいと思います。


【公開された「吉田調書」には何が書いてあったのか?】の続きを読む

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前回、「海水配管トレンチとタービン建屋の縁切りは計画からもうすぐ1年 現状は?」で第25回検討会の話をまとめましたが、その時にお盆明けにもう一度、と言っていた第26回検討会が8/19に行われました。

東京電力は止水のためのステップ2として間詰め材の充填を行いたいと提案しましたが、それでいいという決定はでず、間詰め材の準備をしながら躯体外側の凍結管設置や追加パッカーの設置検討も行い、間詰め材の充填準備が完了するであろう9月中旬頃に再度この監視評価検討会を開催してそこで判断するということになりました。

第26回検討会の内容をまとめます。


【海水配管トレンチの止水、方針確定せず。9月中旬に再度判断へ。】の続きを読む

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8/10に「サブドレンと浄化設備の計画が認可。浄化したあとの処理は?」を書きましたが、さっそく動きがありました。8/11に東京電力は「サブドレン等移送設備」の建設を原子力規制委員会に申請しました。

前回の「サブドレンと浄化設備の計画が認可。浄化したあとの処理は?」に書いた内容の若干の修正を含めて8/11の東電記者会見の情報を中心にまとめます。前回の記事とぜひ合わせてお読みください。


【東電はサブドレン浄化後の地下水を港湾内に排出する方針を明言!漁協はどう対応するか?】の続きを読む

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8/7の東京電力の記者会見において、サブドレンおよび浄化設備の設置を含めた実施計画の変更が規制委員会から認可された事が報告されました。ただし、今回8/7に認可された計画はサブドレンで汲み上げた地下水を浄化設備で浄化してタンクにためるところまでです。その後の浄化した水の処理については今回の認可された計画には入っていません。

しかしながら、当然のこととして気になるのが浄化後の水をどうするのか?ということです。震災前は1日850トンを汲み上げていたのですから、今後どれだけのペースで汲み上げるかわかりませんが、サンプルタンクが8000トンしかありませんので、貯めておくには多すぎる量です。では浄化後に海に流すのか?

東電は、8/7には相馬双葉漁協に、8/8にはいわき市漁協に対して説明をしたということですので、その反応がどうだったのか、そして今後の東電の方針は、といったところを(来週にならないとわからないところもありますが)まとめます。

8/11追記:予想通り東電は本日移送設備の建設を規制委員会に申請しました。
「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請について
海洋汚染をより確実に防止するための取り組み

また、下記の資料はこの記事で書いた内容とほぼ同じものです。
福島第一原子力発電所サブドレン他水処理施設の浄化性能確認試験の開始について
(8/11追記ここまで)

(8/13追記)
この続編を書きましたのでぜひそちらもお読みください。
東電はサブドレン浄化後の地下水を港湾内に排出する方針を明言!漁協はどう対応するか?
(8/13追記ここまで)

【サブドレンと浄化設備の計画が認可。浄化したあとの処理は?】の続きを読む

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前回、「2ヶ月経っても凍らない海水配管トレンチ 凍土壁は本当に大丈夫か?」で第24回監視評価検討会の話を書きました。「ガチンガチンに凍らせるべき、その方法を次回までに考えてきて下さい。」という宿題に対して、東電が今回出した答は、氷とドライアイスを入れて凍らせてみます、という回答でした。

今回は7/23に行われた第25回監視評価検討会の話を簡単にまとめます。


【海水配管トレンチとタービン建屋の縁切りは計画からもうすぐ1年 現状は?】の続きを読む

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東京電力は7/17の記者会見において、C排水路の付け替え作業を7/14に実施したことを発表しました。

これは、C排水路と呼ばれていた排水路が海に直接流れ出す構造になっており、2013年8月のH4タンクエリアからの300トンの汚染水漏洩においても、この排水路を通じて汚染水が海に流れ出した可能性があったため、今後同様のタンクからの汚染水流出があったとしてもそれが海に流出しないようにするために根本的な対策として求められていたことの一つです。
同時に、側溝放射線モニタを設置し、排水路の水を常時モニタリングできるようにしました。

今回はこの話を簡単にまとめます。


【福島第一原発 やっと行われたC排水路の付け替えと側溝放射線モニタの設置】の続きを読む

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7/7に行われた規制庁の第24回監視評価検討会では、メインの議題は海水配管トレンチの凍結の問題でした。タービン建屋とトレンチの「縁切り」のため、昨年から計画してきて今年の4月に凍結を開始したのですが、2ヶ月経ってもまだ凍らないのです。

そのため、今後実施する凍土壁も本当に凍るのか?という疑問符がつきました。今回は検討会の議題の中でこの問題を取り上げてご紹介します。


【2ヶ月経っても凍らない海水配管トレンチ 凍土壁は本当に大丈夫か?】の続きを読む

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NHKオンラインのHPはよく見ているのですが、久し振りにふだんあまり見ないところを見ていたら、「40年後の未来へ 福島第一原発の今」というページがあることに気がつきました。

よく見ると、過去のNHKで紹介した福島第一原発事故関係のニュースが(動画はなく文字だけですが)2011年3月からアーカイブの形で残されており、通常1週間もすると消えてしまうニュースがここにはずっと残されていることのありがたさに気がつきました。

一方で東電が発表した海水モニタリングのデータも記載されており、それを見た瞬間に「ひょっとして?」と思いました。よく調べたら「やっぱりここのサイトも間違っている」ということがわかりました。NHKには知り合いもいないわけではないので、こっそり指摘してあげるという方法もあるのですが、ちゃんと情報を確認していればこんな基本的な間違いをするはずはありません。東電が誤解させやすい情報開示をしていることがそもそもの問題なのですが、NHKがこの程度の不勉強では困ると思い、あえてブログの形で指摘させていただきます。良いサイトなのですから、間違った図は修正し、今後は情報を正しく伝えて欲しいと思います。


【NHKの「40年後の未来へ 福島第一原発の今」もひっかかった「南放水口付近」のワナ】の続きを読む

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5/24に「5/21に地下水バイパスの地下水を海に放出開始。その影響と情報公開について」を書きました。その後もほぼ毎週地下水バイパスで汲み上げた水の放出は続いています。

運用開始一月で昨日(6/27)は中長期ロードマップにおいて地下水バイパスの説明がありましたので、その関連の話をまとめたいと思います。

ちなみに、昨年以降、これまで書いた地下水バイパス関連の記事はこちらです。重複する部分もありますが、流れを理解していただけると思います。特に2013年1月の記事は「地下水バイパスとは何?」という疑問に答えるものになっています。

2013年1月 「放射能汚染水情報アップデート(4) 地下水バイパスの現状
2013年6月 「地下水バイパスで汲み上げた地下水はいったいどれだけ汚染されているの?
2/3 「地下水バイパス放出に向けた動き?排水基準の発表:漁連はどう対応するか?
4/8 「地下水バイパスで汲み上げた地下水は5月にも海へ放出へ
4/13 「地下水バイパスの実施にあたっての運用目標とその問題点
4/17 「地下水バイパス:いきなりNo.12は運用目標値超え これを受けて東電の方針は?
5/20 「地下水バイパスの地下水は明日(5月21日)初めて海に放出へ
5/24 「5/21に地下水バイパスの地下水を海に放出開始。その影響と情報公開について


【地下水バイパスを運用開始して1ヶ月、その現状と情報公開について】の続きを読む

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昨日(6/24)、東京電力は原子力規制庁(および福島県政記者会)で記者レクを開催し、そこで下部透水層に関しての情報を発表しました。いつものようにツイッターで2時間前に形だけの告知を行っています。

そこで発表された内容は、これまで地下水は水圧のために下部には移行しないという説明をしてきたのですが、それが通用しなくなって、下部透水層も汚染されているということを認めたという内容でした。

この問題、下部透水層とか被圧地下水といってもわからない人も多いと思いますので、今回は少しそのあたりの説明からしたいと思います。2013年12月に書いた「福島第一原発の地下水:下部透水層も汚染されている?」もぜひ参考にして下さい。

【福島第一原発の地下水:下部透水層でもトリチウムの汚染を確認!】の続きを読む

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今年の2月に「2011年4月のビーバー作戦を再現します その10(トレンチのどこから漏れたのかを推論)」において、護岸エリアの地下水の情報についてはかなり細かくレビューしました。その後は汚染水の情報をあまり細かくチェックしていなかったのですが、今回久し振りに公表されたデータをまとめてチェックしました。
今日はその中でトピックスと思われる事を簡単にご紹介します。


【福島第一原発の護岸エリア地下水 その後の動き(1)】の続きを読む

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最近、なかなか時間がとれなくて完全に週末ブロガーになっているのですが、福島県のHPには、東電と規制庁、経産省のHPを見ているだけでは拾いきれない情報が載っていることを本日(6/15)改めて知りました。

これを機会に、以前から更新しようと思っていた汚染水関係の情報リンク集を更新することにしました。まだ不完全なところもあるため、おそらく今後も適宜追加・更新をしていくと思いますが、どこにどんな汚染水の情報があるかを知りたいときに立ち寄っていただけるような情報リンク集にしていきたいと思います。

6/19 廃炉・汚染水対策現地調整会議(第10回)や陸側遮水壁タスクフォース(第10回)、廃炉・汚染水対策福島評議会の情報を追加しました。

7/25 
汚染水処理対策委員会(第13回)(7/25)、
第25回特定原子力施設監視・評価検討会(7/23)、
高性能多核種除去設備タスクフォース(第3回)(7/22)、
第22回廃炉安全確保県民会議(7/17)
陸側遮水壁タスクフォース(第11回)(7/15)、
廃炉・汚染水対策現地調整会議(第11回)(7/14)
トリチウム水タスクフォース(第9回)(7/9)
廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議(第7回)6/27
の情報を追加しました。


【福島第一原発の汚染水情報まとめ(4)&リンク集】の続きを読む

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前回6/1に書いた「陸側の凍土遮水壁は6月2日に着工へ!第22回監視評価検討会はあっさりと決着」において規制委員会も凍土壁の6月の着工は妨げないということが決まったことをお伝えしました。

その後に行われた6/6の第23回監視評価検討会では地盤沈下以外の論点について議論が行われましたので、その概要についてお伝えします。


【6/6の第23回監視評価検討会 凍土壁をめぐる議論はもうヤマを超えたか? 】の続きを読む

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TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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