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まとめ3:ほうれん草など野菜への放射性物質混入の実態

ここでは、野菜への放射能汚染の後編として、先ほど↓の「まとめ2」の続きとして「ほうれん草が高い理由」をまとめていきたいと思います。

まとめ2:野菜などへの放射性物質混入の暫定基準値について

暫定基準値や測定方法についての詳細は、上の「まとめ2」をご覧ください。



それでは、放射能汚染についての経緯について、まとめてみます。

経緯

3/17 厚労省が暫定基準値を公表。
3/19 福島県川俣町でとれた原乳から暫定基準値を超える放射性ヨウ素を検出。
3/19 茨城県の複数の場所でとれたほうれん草から暫定基準値を超える放射性ヨウ素を検出。
3/20 栃木県、群馬県からもほうれん草、及びかき菜から暫定基準値を超える放射性ヨウ素を検出。
3/21 原子力災害特別措置法に基づき、福島県の原乳、及び福島県、群馬県、栃木県、茨城県のほうれん草およびかき菜の出荷制限が出される。
3/23 福島県の非結球性葉菜類、結球性葉菜類、アブラナ科の花蕾類及びカブについての出荷制限及び摂取制限、茨城県の原乳及びパセリについての出荷制限が出される。

その後の動きは下記にまとめられています(5/1現在)。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001a3pj-att/2r9852000001a3rg.pdf

福島県では、いまだに多くの品目の出荷制限並びに摂取制限がなされていますが、それ以外の県では、茨城県の北茨城市、高萩市でほうれん草の出荷制限が行われているだけで、残りの地区の出荷制限は現在までにすべて解除されています。

福島県においては現在もまだ継続中なのですが、他県においては一段落しつつあるといった状況です。

ほうれん草がなぜ?農水省の説明

これまでの経緯を追いかけてきた中で、私が疑問に思っていたことがあります。「なぜほうれん草は高く出るの?」それについては、まずは農水省のHPをご覧ください。
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/seisan_situmon.html

上記のURLから一部抜粋します。

Q.なぜ、ホウレンソウなどの葉もの野菜(葉菜類)から、多くの放射性物質が検出されているのでしょうか。

A.放射性ヨウ素等の放射性物質は、大気中で細かい粉じんと一緒に空中から落下し、葉の表面に付くと考えられています。このため、葉の表面が上を向いて広がっているホウレンソウなどの「非結球性葉菜類」では、他の野菜に比べて比較的高い濃度の放射性物質が検出される例が多くなっていると考えています。また、暫定基準値は、重量当たりで表しているので、同じ重さで比べた場合、表面積の多い野菜の方が高い濃度で検出されがちです。 なお、カキナや福島県において摂取制限の対象となっている茎立菜(くきたちな)、信夫冬菜(しのぶふゆな)もこの葉菜類に分類されます。

Q.キャベツなどの、「結球性」の葉もの野菜は「非結球性」より放射性物質の付着が少ないと言われますが、どうしてですか。
A.キャベツなどの結球性野菜の場合、畑で収穫した後に、出荷にあたって外側の硬くて食用に適さない葉を2~3枚外して出荷されます。なお、落下した放射性物質を含む粉じんは外側の葉に付着するので、これを外すことにより、付着物はかなり除去されることがわかっています。

Q.ダイコンなどの根菜類は心配が少ないと言われますが、本当ですか。
A.根菜類は、摂食部分(肥大した根の部分)が主に地面の下にあるため、放射性物質を含む粉じんが直接着きにくいと考えられます。
なお、福島県においてカブから暫定基準値を超える放射性物質がされ、出荷制限措置がとられていますが、これは、分析を行う際に、葉と根の部分を一緒に分析しているため、葉に付着した放射性物質が影響したためと考えられます。

農水省や水産庁の発表データというのは、基本的には親切にわかりやすく書いてあるので、わかりやすいものが多いです。この説明も、結構わかりやすい説明だと思います。

・今回の放射性物質の検出は、大気中に飛んで落ちてきたものが付着したものである。根から吸収したものではない。葉を上に向けて広がっているほうれん草などの葉菜は、付着しやすいと考えられる。
・なぜキャベツは少ないのか?それは、キャベツの葉は丸まっているし、外側の2-3枚ははずして出荷することが多いから。
・根菜は、根には放射性物質が付着しにくいから出にくい。

これらの説明は納得がどれもいくものです。
では、この説明で全て説明できるかどうか、茨城県のデータを見てみましょう。

茨城県HP
http://www.pref.ibaraki.jp/20110311eq/data/kekka.pdf

3/19にほうれん草から検出、というニュースがあり、そのあとも毎日各地の検査結果を見ていました。ですが、なぜほうれん草が高いのか、わかりませんでした。今になってこのデータを見返してみると、確かにキャベツやサニーレタスはそれほど高くなく、ほうれん草は非常に高いです。ただ、ほうれん草と似た葉菜である、小松菜があまり高くないのはちょっと説明がつかないかな?という感じがします。
また、ほうれん草の数値の高さは異常です。10000Bq/kgを超えているというのは今からすると信じられません。いかに多くの放射性物質が降り注いでいたかということです。


ほうれん草がなぜ?私の調査した結果と私なりの解釈

ほうれん草が高い理由は、私なりに調べてまとめたので、それをまとめ直します。
主にヨウ素131(I131)についてです。最近の論文もありますが、チェルノブイリの爆発事故(1986年4月)の後で、日本で観測された放射性物質を用いて実験したものもあり、現在とかなり似たような状況のデータもあります

ほうれん草は他の葉物の野菜と比べてヨウ素を吸収しやすいという報告がある(1)。

チェルノブイリ原発事故のあと(1986年)に秋田大学で行われた実験で下記のことがわかっています(2、3)。
一度ついたヨウ素は、ほとんど(約83%)が内部に吸収されてしまい、洗っても落ちない(2)。
ほうれん草はおひたしなどで煮て食べることが多いので、2分間煮た場合にどうなるかというと、それでも42%のヨウ素131が残っている(2)。
・セシウム134,137については洗浄後に約65%になるというデータがある(3)。
・ヨウ素は、(I-:iodide)か(IO3-:iodate)のイオンの形で存在している。

他のいくつかの論文データを見ても、洗ってもヨウ素131は10-30%しか落ちない、つまり70-90%は内部に取り込まれているというデータが出ています

参考文献:英語の読める方はこちらをどうぞ。
(1)Biol Trace Elem Res. 2004 Dec;101(3):265-76.
Selecting iodine-enriched vegetables and the residual effect of iodate application to soil.

(2)Journal of Radiation Research Vol.28,No.1(1987)pp.135-140
Reduction of 131I Content in Leafy Vegetables and Seaweed by Cooking
SHUN'ICHI HISAMATSU, YUKIO TAKIZAWA and TOURU ABE
http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=jrr1960&cdvol=28&noissue=1&startpage=135&lang=en&from=jnlabstract

(3)Journal of Radiation Research Vol.29,No.1(1988)pp.110-118
Radionuclide Contents of Leafy Vegetables; Their Reduction by Cooking
SHUNICHI HISAMATSU, YUKIO TAKIZAWA and TOURU ABE
http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=jrr1960&cdvol=29&noissue=1&startpage=110&lang=en&from=jnltoc

なお、英語の文献は読めないという方のために、日本語の資料のリンクを張っておきます。23日の食品安全委員会の資料です。資料13です。
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20110323sfc
資料13(ダウンロードされます)
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20110323sfc&fileId=230

また、こんな文献もあります。

財団法人 原子力環境整備促進・資金管理センターが1994年にまとめた、「食品の調理・加工による放射性核種の除去率」という報告書です。
http://www.rwmc.or.jp/library/other/kankyo/
当然のことながら日本語のpdfファイルですが、長いので3つに分かれています。
http://www.rwmc.or.jp/library/other/file/kankyo4_1.pdf その1
http://www.rwmc.or.jp/library/other/file/kankyo4_2.pdf その2
http://www.rwmc.or.jp/library/other/file/kankyo4_3.pdf その3
「その3」の15-19ページ(pdfのページ数でいうと90-94ページ)のところにチェルノブイリの後で、日本のほうれん草についてヨウ素とセシウムの除去を実験したもの(上の英語の文献の(2)と(3)の日本語で要約したもの)も紹介されていますので、興味のある方はご覧ください。


この報告書の全体的なまとめは、「その1」のところに書いてあります。ですが、この報告書で注意していただきたいのは、野菜にしても、果菜か葉菜か、また放射性元素の種類はなにか?ということで除去率が異なります

NHKでもこの報告書の内容が(間違って)紹介されたらしいですが、非常にざっくり言ってしまうと、煮沸で50%から90%除去できるということで間違いはありません。私が昨日紹介した文献でも2分間の煮沸で約50%の除去ができると記載されていました。ですから、ほうれん草のおひたしにすることで混入したヨウ素やセシウムを半分以上除去できることは間違いないと思います。

ただ、水洗で80%落ちると3/25の「朝生」では猪瀬直樹さんが紹介していましたが、それはこの報告書を正しく読んでいません。この報告書では、「果菜のキュウリ、ナスは水洗すると、放射性降下物のストロンチウム-90の50-60%が除去できる」と書いてあります。しかし、今回一番問題になっていたのは、ほうれん草のヨウ素(とセシウム)です。キュウリやナスとほうれん草では異なるようですし、ストロンチウムとヨウ素、セシウムでは異なるようです

また、水洗といっても、いわゆる水洗いとは違い、水道水に30分漬ける、とか、1%食塩水に30分漬ける、とか、0.25%の酢に15分漬ける、とか、条件がかなりあります。このあたりも注意が必要です。マスメディアでは、一番多く除去できた例だけを取り上げて「水洗いで80%除去できる!」などと平気でウソを書きますからご注意ください


ほうれん草がなぜ?洗浄有りと無しの比較があった!

ここまでの知識を元に、3/24に発表されたつくば市のほうれん草のデータを見てみましょう。
http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/dbps_data/_material_/localhost/sou/jyou/tsukuba_yasai.pdf

桜と谷田部のほうれん草は、同じ場所のものを、3月22日は洗浄せず、23日は洗浄して測定しています。同じ日の同じサンプルを用いて洗浄と未洗浄で比較していませんが、そこは無視してもいいと思います。

ヨウ素131
桜:3322→3284  洗浄後も98%
谷田部:2101→1540 洗浄後も73%
セシウム(134,137)
桜:1005→659 洗浄後も66%
谷田部:748→489 洗浄後も65%

私の調査した文献のデータでは、再度繰り返しますが、このようなことが記載されていました。
・一度ついたヨウ素は、ほとんど(約83%)が内部に吸収されてしまい、洗っても落ちない。
・セシウム134,137については洗浄後に約65%になるというデータがある。

文献値と気味が悪いくらいぴったりですね。従って、このデータは信頼できると思います。というよりも、過去のデータを元に、まずはほうれん草を測定してみたのですね。

こうやって洗う前と洗った後のデータを出してくれたつくば市には感謝したいと思います。ひょっとしたら彼らは余計なことをするな、と厚労省に怒られたかもしれませんが。


ほうれん草がなぜ?まとめ

ほうれん草がなぜ高く出るのか?野菜についた放射性物質はどうしたら除去できる?

1.ほうれん草は、葉菜の中でも非結球性葉菜であるため、他の葉菜と比べて落下してくる放射性物質が付着しやすい。
2.ほうれん草は、他の野菜と比べてヨウ素を取り込みやすいということが過去の文献からも明らかになっている。その理由は1.だけかもしれないし、それ以外の理由があるのかもしれない。
3.ほうれん草についたヨウ素は、内部に取り込まれてしまうため、洗ってもそれほど落ちない。
4.一方、ほうれん草についた放射性セシウムは40%くらいは落ちる。
5.煮沸することで、ほうれん草に限らず野菜の放射性物質は50%~90%除去できる。

そのほかにも、こんな情報がわかっています。
http://bosai-drip.jp/file/110417_nagasaka.pdf

・ナスやキュウリは水洗いで50~60%除去できる。
・キュウリは酢漬けにすれば焼く90%除去できる。
・ほうれん草、春菊はあく抜きをすれば50~80%除去できる。

ということで、野菜全てについて当てはまる情報というのは難しいです。


今後の課題

今回の放射能汚染では、大気中からの落下、雨による付着などが野菜への放射能汚染につながりました。3/15以降、大きな放射性物質の放出はないので、今後は大気中の放射性物質の付着ということはあまり考えなくていいと思います。むしろ今後は、すでに雨などで土壌中に取り込まれた放射性セシウム(放射性ヨウ素は半減期が短いのでもう無視してよい)を根から吸い上げて取り込む可能性について考えていく必要があります。

残念ながら、私は現在土壌汚染についてのデータをチェックしていないので、これについては現段階ではコメントできません。可能ならば、いずれこれについてもまとめたいと思います。

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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