スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

5/5 いつまでも減らないI-131の謎 その1

東京電力が毎日HPで発表している汚染水のデータですが、非常に不思議なことがあります。

私が今理解していることでは、原子炉で起こる反応は、ウラン235が核分裂してI-131やCs-137などができる。しかし、3/11に制御棒を入れて核分裂反応を止めたので、その後はI-131は新たに出ていない。だから、I-131は半減期8日に従って徐々に下がってくる。

というものでした。実際に、これまでのデータは、環境放射線のデータも海洋汚染のデータもすべてI-131の減衰が半減期8日というもので説明できる挙動をしていました。3月中旬は測定値のベクレルでいうと、I-131/Cs-137=5~10でした。それが4月上旬にはI-131/Cs-137=1とほぼ等しくなり、現在はI-131/Cs-137<1になってきています

ところが、数日前から気になっているのですが、一つだけその挙動を示さず、I-131の量が減らないものがあります。それは、2号機からのスクリーン海水の濃度と、2号機のサブドレン排水です。これが意味するところは何でしょうか?



まずは実際のデータを見てみましょう。わかりやすい例を示します。

http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110504f.pdfより

5/5ー海洋グラフ1

上のグラフは、東京電力HP(5/4)から抜粋したものです。福島第二原発の近くの沿岸で採った海水のデータです。(対数グラフであることに注意してください。)ピンクのがI-131のグラフ、こげ茶色のがCs-137のグラフです。

4/10にI-131は1200Bq/L、Cs-137は960Bq/Lなので、I-131/Cs-137=1.25です。
23日後の5/3にI-131は9.3Bq/L、Cs-137は36Bq/Lなので、I-131/Cs-137=0.26です。

I-131の半減期が約8日なので、23日ということは、大ざっぱに1/2の3乗で1/8になります。Cs-137の半減期は約30年のため、23日分の減衰は無視できますから、I-131/Cs-137の比率が1/8程度に下がっていれば理想的です。

実際には、1.25→0.26と約1/5にしかなっていませんが、海水中を拡散・希釈するときに、元素によって海面を漂いやすいか沈殿しやすいか、という違いもあるので多少の違いは気にしなくていいと思います。理論的な挙動と大きく外れていないことがわかると思います。


次に、2号機から漏れ出してきている汚染水の状態を示すと思われる、2号バースクリーン海水です。現在はここにはシルトフェンスが張られていますが、シルトフェンスの内側と外側のデータを比較して出してくれていますので、シルトフェンスの内側のデータを示します。今回は示しませんが、外側のデータは数値が大きく減少しており、シルトフェンスの効果があることは確認できています。

http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110504m.pdfより

5/5ー2号スクリーン海水

上の図で、矢印をつけた4/25からI-131のみが急激に上がっています。

4/2にI-131は300,000,000Bq/L、Cs-137は120,000,000Bq/Lなので、I-131/Cs-137=2.5です。
4/8にI-131は93000Bq/L、Cs-137は63000Bq/Lなので、I-131/Cs-137=1.48です。
4/23にI-131は43000Bq/L、Cs-137は40000Bq/Lなので、I-131/Cs-137=1.08です。
5/3にI-131は100000Bq/L、Cs-137は6500Bq/Lなので、I-131/Cs-137=15.4です。

Cs-137の低下具合は他のデータと比較してもリーズナブルなのですが、I-131のみ比率が上がっている、特に4/23から5/3にかけては絶対値も約2倍上昇しています。また、I-131/Cs-137が2.5→1.48→1.08と下がってきたのに15.4にまで上昇しています


同様の傾向は、サブドレンのデータにも表れています。東京電力HPには、1号機から6号機までのサブドレン排水のデータが公開されています。なお、サブドレンというのはタービン建屋付近の地下水のことで、場所は下記の通りです。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110408t.pdf

サブドレンのデータ
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110503o.pdfより

1号機サブドレン
5/5ーサブドレン排水1号

4/6にI-131は72000Bq/L、Cs-137は1600Bq/Lなので、I-131/Cs-137=45です。
5/2にI-131は30000Bq/L、Cs-137は40000Bq/Lなので、I-131/Cs-137=0.75です。
約1ヶ月でI-131/Cs-137が大きく低下していることがわかります。

次に2号機のサブドレンを見てみます。

2号機サブドレン
5/5ーサブドレン排水2号

4/6にI-131は36000Bq/L、Cs-137は1000Bq/Lなので、I-131/Cs-137=36です。
5/2にI-131は190000Bq/L、Cs-137は24000Bq/Lなので、I-131/Cs-137=7.9です。

1号機サブドレンのI-131/Cs-137の推移(45→0.75)からすると、2号機サブドレンのI-131/Cs-137の推移(36→7.9)はI-131の低下具合が非常に遅いです。その変化が起こっているのは、2号機のスクリーン海水のように4/25頃から急にというわけではなく、4月中旬からのような気がします。


私がI-131の値をなぜ気にするか?ということですが、それは理由があります。

最初に書いたように、ガンマ線で検出できるI-131とCs-137の比率は、3月中旬に各地のいろいろなデータが出だした頃は、おおざっぱにいってI-131/Cs-137=10前後でした。それが、4月に入るとだんだんとI-131/Cs-137の比率が下がってきました。これは、I-131の半減期の短さで説明できます。今ではI-131とCs-137は逆転することが多くなりました。

一方で、I-131は核分裂反応が起こらないと放出されない(生成されない)核種であるということです。

多くのデータが、I-131が減衰してCs-137よりも少ない放射線しか出さなくなっているのに、2号機のスクリーン海水(これは2号機の格納容器からタービン建屋を通じて漏れ出したものです)および2号機のサブドレン(これも2号機の格納容器からタービン建屋などを通じて漏れ出したものと思われます)だけは、いまだにI-131が減らない、あるいは増えているかのように見えるのはなにか理由があるはずです。

私は原子核分裂の機構を詳細に理解しているわけではないので、単純に考えてしまいますが、一番単純な答は、2号機はまだ核分裂が起こっているということだと思います

核分裂が起こった直後は、I-131/Cs-137=10前後だったわけですから、2号機のサブドレンやタービン建屋から漏れ出した排水が今もI-131/Cs-137=10前後を維持できるのは4月になってからも2号機では何らかの核分裂反応が起こっているという可能性があります

ただ、それ以外の説明が可能かもしれないので、ここは専門家にメールを出して聞いてみようと思います。一番もっともな理由がわかったらここでもお知らせします。

説明を聞いて、「なーんだ、そういうことなのか!」と、私の予想が外れてくれればいいのですが、そう言ってもらえるまではちょっと不安です。
関連記事
にほんブログ村 科学ブログへ ブログランキング・にほんブログ村へ
↑日本ブログ村ランキングに参加しました。よかったらクリックお願いします。

コメント

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

FC2カウンター
ブログランキング
にほんブログ村 科学ブログへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
↑日本ブログ村ランキングに参加しました。よかったらクリックお願いします。
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ふくしまの恵み(全量全袋検査の結果)

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

検索フォーム
カテゴリ
RSSリンクの表示
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
こちらにもぜひご記入を!
読んだ感想を是非お聞かせください。
無料アクセス解析
おすすめのリンク
QRコード
QR
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。