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まとめ4:海洋放射能汚染と魚介類への影響1:基本的な内容

ここでは、今回の福島第一原発の海洋汚染について考える前提として、基本的な情報を整理してまとめておきます。この内容を理解しておかないと、この先の話についていけないので、ぜひ読んでください。


結論だけ先に掲げておきます。

・半減期の短いヨウ素(I-131)は長期的な影響を考える際には無視してもかまわない。重要なのは、半減期が長く(30年)検出の容易なCs-137である。
・海水中にも、1950-70年代の核実験の名残りで、Cs-137は微量存在する。0.003Bq/L=3mBq/L=3mBq/kgがこれまでのベースライン(バックグラウンド)。
・魚内の濃度/海水中の濃度=濃縮度とすると、Cs-137の濃縮度はだいたい50-100倍である。ただし、魚の種類、大きさによってもかなり幅がある。
・マイワシを例に取ると、Cs-137の濃度はだいたい0.1-0.2Bq/kgであった(1980年代のデータ)。ただし、チェルノブイリ事故のあった年だけは高く、それでも0.8-0.9Bq/kgであった。
・スズキのように大きい魚では、チェルノブイリの時には表層の海水の濃度のピークが過ぎてから半年後くらいにスズキの体内のCs-137のピークがきた。従って、今回も数ヶ月後に大きな魚への影響が出てくる可能性が高い。


詳細はぜひこの後を読んでください。


このまとめ4は、4/2に書いた「海洋放射能汚染で魚を食べても大丈夫か?」を少し書き直しています。

まず、海洋汚染と魚への影響を考える際には、半減期が8日と短いヨウ素(I-131)の影響はほとんど考える必要はありません。それよりも、半減期が約30年と長く、検出も容易なセシウム(Cs-137)について注目する必要があります。Cs-137は半減期が30年と長いために、過去の核実験や、チェルノブイリの影響などを海水中の微量のCs-137の測定から見ることができます。この話は後でふれます。

次に、海洋放射能汚染を考える際に、みんなが一番知りたいのはいわゆる「生物濃縮」についてだと思います。これについては下記のリンクにわかりやすい日本語の解説があるのでご一読ください。(農水省のQ&Aのページ)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/Q_A/pdf/110331suisan.pdf

また、海洋生物環境研究所の解説もわかりやすいです。
http://www.kaiseiken.or.jp/study_thumb/news110.pdf

上のリンク資料を全部読まない人もいるでしょうから、資料の中で後半の水産庁増殖推進部研究指導課の森田貴己さんの発表が非常にわかりやすい説明なので、重要なところをそのまま転載、引用します。
これによると、食物連鎖による魚への生物濃縮は農薬のような形では起こらない、ということがわかっています。

生物濃縮しない


その理由は、セシウム(Cs)は、カリウムと同じ種類の一価の陽イオンなので、カリウムと同じような挙動を示し、体外に排出されやすいということです。そのため、下記のように海水の濃度が魚内の濃度を反映するということです。Cs137の生物学的半減期は約50日だそうです。
Csイオン排泄


別の資料で、海水中のセシウム137がどれくらいあるのかを調べた文献がありました。
http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=radioisotopes1952&cdvol=48&noissue=4&startpage=266&lang=ja&from=jnlabstract
それによると、実は、これまでにも1950年代から1970年代の米ソの地上核実験の影響で、セシウム137は海水中及び魚類中に微量ですが検出されています(Cs137の半減期は約30年であることを思い出してください。)。海水中には、常に約3mBq/L=0.003Bq/kg(1リットル=1kgとして)のセシウム137が含まれているようです。魚の体内のセシウム137が0.04-0.67Bq/kgということなので、海水と比べて10-200倍程度の濃縮がかかっているとのデータがあります。魚の種類によって、濃縮度も異なるようです。

再び農水省の資料(下記)に戻りますが、マイワシ中のセシウム137の経年的なデータを見ても、1986年のチェルノブイリ事故の影響で昭和61年(1986年)は0.8Bq/kgとなっていますが、翌年にはすぐにその前年と同レベルの0.2Bq/kg程度に低下しています

Cs濃度の年推移

ただし、この部分はこの記事を書いたときとは違う情報がわかっています。スズキやマダラのような大きな魚では、実はチェルノブイリの時でも表層の海水のピークが起きてから半年程度遅れてピークが来ることがわかっています。つまり、今回の福島第一原発の海洋汚染においても、海水の汚染はもうピークを越え、徐々に拡散しながら薄まっていく可能性がありますが、魚介類への影響は、コウナゴのように小さくて表層を泳いでいる魚はすぐに出ますが、もっと大きな魚への影響はこのあと数ヶ月後にならないとわからないということです。

http://www.kaiseiken.or.jp/study_thumb/news95_study.swf
海生研の発表データ↑より
5/7海生研マダラデータ


まとめです。

・半減期の短いヨウ素(I-131)は長期的な影響を考える際には無視してもかまわない。重要なのは、半減期が長く(30年)検出の容易なCs-137である。
・海水中にも、1950-70年代の核実験の名残りで、Cs-137は微量存在する。0.003Bq/L=3mBq/L=3mBq/kgがこれまでのベースライン(バックグラウンド)。
・魚内の濃度/海水中の濃度=濃縮度とすると、Cs-137の濃縮度はだいたい50-100倍である。ただし、魚の種類、大きさによってもかなり幅がある。
・マイワシを例に取ると、Cs-137の濃度はだいたい0.1-0.2Bq/kgであった(1980年代のデータ)。ただし、チェルノブイリ事故のあった年だけは高く、それでも0.8-0.9Bq/kgであった。
・スズキのように大きい魚では、チェルノブイリの時には表層の海水の濃度のピークが過ぎてから半年後くらいにスズキの体内のCs-137のピークがきた。従って、今回も数ヶ月後に大きな魚への影響が出てくる可能性が高い。

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