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5/15 3号機からの汚染水 その後の追跡:東京電力発表のデータの読み方


5/11に突然起こった3号機からの海への高濃度汚染水の漏出事故。これについてその後のフォローをしていなかったので、今日は海水のデータを見ながら今回の3号機からの流出はどれほどだったのかを解析したいと思います。

今日のデータはまだ発表されていないので、昨日(5/14)までのデータを用いて話を進めます。(書き出したときは発表されていませんでした。大作になってしまったので、書いている間に発表されていましたが、今夜はもう見ないことにします。)

ちょっと細かい話になりますが、東京電力から発表されるわかりにくいデータをどうやって読み解くか、解説しますので興味のある方は是非読んでみてください。


なぜこのような解析が必要なのか?

まず下記の東京電力のデータを見てください。東京電力のHPでは、毎日、このようなデータが発表されています。このデータは、
「福島第一原子力発電所2号機取水口付近からの放射性物質を含む液体の海への流出について(続報○○)」
昨日からはタイトルが変わって
「福島第一原子力発電所取水口付近で採取した海水中に含まれる放射性物質の核種分析の結果について(5月13日採取分)」
といった内容で発表されています。

スクリーン海水のデータ
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110514i.pdf
グラフ
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110514j.pdf

おそらく、普通の人は、これを見てもなんのことやらさっぱりわからないでしょう。せいぜい、グラフを見て変動がどうなっているかを見るくらいでしょう。

しかし、それでは海洋汚染に対して何が起こっているのか、東京電力がいっていることにウソはないのか、検証できません。しっかりとウオッチしていくことが必要です。それにより、ひょっとしたら、東京電力や他の人が見落としている重要なデータが見いだされるかもしれません

このブログでは、4/2の海水への漏出が始まって以来、特に海水の放射性セシウムに注目して、漏出元のスクリーン海水のデータ、沿岸のデータ、そして沖合のデータ(東京電力と文科省(実際はJAMSTEC))をすべてフォローしてきました。一方では、魚介類への影響がどのようなものがあるかを調べて、4/9にコウナゴで基準値を超える放射性セシウムが検出される前から、その可能性が高いことと、海水から魚介類への濃縮についても紹介してきました。

まとめ方が悪いので、コンパクトにまとまっていなくて申し訳ないですが、毎日少しずつ変わってきた状況に対してのアップデートになっています。お時間のある方は下記のシリーズをはじめから読んでいただければと思います。

海洋放射能汚染で魚を食べても大丈夫か?シリーズ
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/category5-1.html

海洋汚染の全体像を知るためには、いったいどれだけの汚染水が海に流れたのかを知る必要があります。それも最初はわかっていなかったため、それを知るために別のシリーズも作ってしまいました。

福島原発で注ぎ込まれた冷却水はどこへ行ったのか?
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-category-8.html


サンプリングポイントの変遷

汚染の元になった高濃度汚染水は、主に2号機のピット(コンクリート製の立坑)と呼ばれるところから漏れ出していました。4/2に発見され、4/6に止まりました。

この汚染により、それまでは沿岸のデータを取るためにあった「1F5-6号放水口北」「1F南放水口付近」という沿岸のサンプリングポイント(下図でいうと黄色い枠で示したところ)に加えて、新たに「物揚場前」「2号スクリーン海水」「4号スクリーン海水」という3つのポイント(下図でいうと緑の枠で示したところ)が追加されました。場所は下図に示したとおりです。

4/6の東京電力のHP
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11040606-j.html


5/15平面図当初


その後、海への流出を防ぐために、東京電力ではシルトフェンスと呼ばれるものを設置したり、ゼオライト入り土嚢を投入したり、鉄板の設置などいくつかの防御策を講じてきました。

5/15海洋汚染防御対策の図

シルトフェンスと呼ばれる放射性物質を吸着しやすいネットの効果を見るために、2号機のスクリーン海水のサンプリングは、4/17以降はシルトフェンスの内側と外側に分けて行われるようになりました。また、4/12より、4号機のスクリーン海水のサンプリングがなくなり、取水口南と取水口北の2カ所のサンプリングが追加されました。下図で言うと緑色の枠で示したところです。ただし、取水口内南と取水口内北に関しては、東京電力から図面が一度も公開されていない(はず)なので、想像で書いています。多少違うかもしれません。正確な情報公開を東京電力には求めたいです。

5/15スクリーン内と外の図

なお、「4/16 海洋放射能汚染で魚を食べても大丈夫か?その20」などで示したために今回は詳細は示しませんが、シルトフェンスにはそれなりの効果(フェンスの外に出す放射性物質を少なくする)があることは確認されています。

沿岸のデータを見る限り、4月中旬以降は2号機からの高濃度の放射能汚染水の流出が落ち着いたかと思ったら、今回は3号機からの漏出でした。東京電力から発表されたのは、下記の場所から漏れたということです。なぜか、ほかの図とは上下が逆になっているので注意してください。下図の「流入箇所は上の図で青い●に相当します。
5/11_3号機

そして、この3号機からの海への漏出を受けて、5/13から2号機スクリーン海水だけでなく、1号機から4号機までのすべてのスクリーン海水がシルトフェンスの内と外とでサンプリングされるようになりました。その場所(これも正確には場所が発表されていませんので想像で書いています)を一つ上の図では赤い枠で囲って示しています。

流れた元の放射性物質の濃度は?

今回なぜか東京電力からは3号機ピット内の放射能濃度をHPで発表していません。これについてもHPでの情報開示を求めます。仕方ないので、ほかのニュース記事から引用してまとめます。記者会見では話しているのでしょう。
asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/0511/TKY201105110351.html
毎日.jp
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110512k0000m040096000c.html

ピット内の放射性物質の濃度(Bq/L)
I-131  3,400,000 Bq/L(法定40Bq/Lの8万5千倍)
Cs-134 37,000,000 Bq/L(法定60Bq/Lの62万倍)
Cs-137 39,000,000 Bq/L(法定90Bq/Lの43万倍)

つまり、全体で約8000万Bq/Lの濃度の水が流出したことになります。流れ出た量は今のところ不明です。これは、「4/21 福島原発で注ぎ込まれた冷却水はどこへ行ったのか?その4」に記載しましたが、2号機からの流出の時と比べると、濃度として約1/20程度だと思います。とはいえ、もちろん「高濃度」です。前回があまりにも高濃度すぎました。

4/21 福島原発で注ぎ込まれた冷却水はどこへ行ったのか?その4」の記載をもう一度書きます。
福島第一原発にある放射能の全量は、約10^19Bq(10^19は、10の19乗、すなわち1000京=1000,0000兆の事を示す。以下同じ)のオーダーと発表されています。
空気中への放出量が、全体で6.3×10^17Bqの放射能が放出されたという推論でした(原子力安全委員会)。
・それに対し、海洋中には、18億Bq/Lの水を520トンで4700テラベクレル=4.7×10^15Bqということで、空気中への放出量の約1/100程度、全体の1/10000程度という計算になります。
・また、意図的に放出した「低レベル」の汚染水は、平均して15000Bq/Lの水を約10400トンです。この総量の1500億ベクレルは、4700テラベクレルの約1/30000ということです。




具体的なデータの読み方

ここまで長々と説明してきましたが、どこから汚染水が海に漏れていて、そのためにどこのサンプリングをしているのか、ということを理解しておかないと、データの読み方がわからなくなってしまいます。そこで詳細に説明させていただきました。

さて、昨日のデータを見てみましょう。沿岸のデータと、取水口付近で採取した海水のデータを見ていきます。

取水口付近で採取した海水のデータ
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11051405-j.html

先ほどの図をもう一度掲載します。シルトフェンスの内と外の比較、取水口北の取水口南、物揚場前の比較が重要です。
5/15スクリーン内と外の図

上の図で、漏れ出した場所と、取水口北、取水口南の位置関係を確認してください。取水口北と取水口南で、それぞれ11日の夕方には濃度が上がっています。南のデータが上がってすぐに翌日には下がっているので、東京電力がいうように11日の夕方には漏出は止まったと考えてもいいと思います。しかしながら、取水口北では、距離があるためにまだ下がって見えないものと思われます。今夜発表されるデータで取水口北のデータが下がってくれば、3号機からの止まったと考えてもいいと思います。

シルトフェンスの内と外の比較は、12日のデータで見ると3号機からシルトフェンスの外に出た量がCs-137で40000Bq/Lと多く、その影響が強すぎるために比較は意味がありませんでした。一方、物揚場前のCs-137の濃度は1000Bq/Lを維持しており、取水口の入り口につけたシルトフェンスの効果があることを伺わせます。(この部分、データをグラフ等で示せずにすいません。)

取水口南のデータ(11日夕方に上がって12日以降すぐに下がっている)
5/15取水口南グラフ
取水口北のデータ(12日から13日にかけて上がり続けている)
5/15取水口北グラフ

次に沿岸のデータです。

沿岸のデータ(5/14)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11051403-j.html
5/15放水口南グラフ

5/11に3号機から流出し、その夕方には一時的ですが濃度が上がっています。Cs-137でいうと、50-70Bq/Lだったのが、いきなり170Bq/Lに跳ね上がっています。これは流出の影響と考えられます。これは気になるデータです。もう一度掲載しますが、下記の図で、この1号放水口南のポイントは一番右にあります。ここに放射能汚染水が到達するためには、放水口がきちんと密閉されていれば、左側の防波堤をぐるっと回ってこないと到達しないはずです。しかしながら、漏出後数時間ですぐにこのポイントの濃度が上がっているということは、この汚染水が下図の右側の放水口などのどこかから海に流出するルートがあることを示唆しています。

5/15平面図当初

以上、昨日までのデータを元に、3号機からの漏出について解説しました。沿岸のデータが一時的に上がったことが気になりますが、今日発表されるデータで取水口北の数値が下がってくれれば、今回の漏出は一段落できた可能性があります。明日以降に再度どこかでまとめたいと思います。





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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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