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5/22 東京電力が発表したシミュレーションはどこが実施したのか?

さきほど「5/22 3号機からの汚染水流出の東京電力の保安院への報告書を解説!」で5/21に東京電力が保安院に提出して受理された報告書についてまとめましたが、その中で言及したように、海洋モニタリングとその結果について言及した部分があります。ここではそれについて解説をしたいと思います。「5/22 3号機からの汚染水流出の東京電力の保安院への報告書を解説!」は「放射能汚染水」シリーズですが、この記事は内容からいって「海洋放射能汚染」シリーズに分けていますのでご注意ください。

特に気になるのが、初めてみたシミュレーション結果です。文科省が発表しているシミュレーション結果とも異なりますし、報告書の文章を見る限りどこかに依頼したとは書いてありません。数あるシミュレーションを全て見ているわけではないのですが、東京電力が自分で実施したのでしょうか?もしそうならば、なぜそれを一般に公開せず、保安院への報告書にだけこっそりと添付したのでしょうか?事実であるならばその姿勢が非常に気になります。


保安院への報告書
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110521f.pdf

この中で、東京電力は、海洋モニタリングの結果を分析しています。

(1)福島第二原発付近での沿岸のモニタリング結果
4/5にピークとなり、そのあとなだらかに下がってきているので、「福島第一原子力発電所から、放射性物質が南方向に移流する様子がうかがわれます」とまとめています。この「移流」というのは、濃度が薄くなって広がっていく「拡散」とは異なり、濃度を保ったまま移動していくことを指す表現のようです。

(2)沖合15kmポイントにおけるモニタリング結果
4/11にピーク的上昇をしたが、その後減ってきて、現在では検出限界以下であることが多くなってきているという報告です。「また、北側沿岸近傍(15kmから30km)では、ピーク的上昇は観察されませんでした」ということです。

これは確かに事実です。ただ、北側のモニタリングポイントは、文科省のサンプリングは4日に一度しかありませんし、東京電力のサンプリング悪天候を理由にサンプリングされなかったりしてそもそものデータがないことが多く、モニタリングの網をかいくぐって汚染水が拡散あるいは移流していった可能性も否定できません。

(3)周辺海域30kmポイントにおけるモニタリング結果
東側海域では、4/5から4/20にかけてピーク的上昇を示したが、北側海域ではピーク的上昇はなかったということから、「北もしくは北東方向への放射性物質の移流は少なかった」というまとめです。

(4)茨城県周辺のモニタリング結果
これは4/25のI-131の検出以外はどこも検出限界以下だったというまとめ。これは特に問題ありません。

そして、これらのモニタリング結果を補完させるためにシミュレーションを行ったということです。こちらにシミュレーション結果の図があります(最後のページ)。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110521g.pdf

5/22シミュレーション東電

まとめとして、シミュレーション結果もモニタリング結果もほぼ同様に「漏曳した汚染水は主に沿岸に沿って南側に拡散し、最終的には黒潮に乗って東方向に移流することが示唆された」ということで現況の解析を結んでいます。


このシミュレーション結果は、私は初めて見るものです。過去に文科省がJAMSTECのシミュレーションとして発表しているものとも異なります。参考までに、文科省が発表しているシミュレーション結果の一例です。

5/9-4-5/15

従って、私はこのシミュレーション結果は、東京電力が社内で行ったものではないかと考えています。文科省の資料を利用したならばそう記載がありますし、今まで見たことがないので、今回初めて公開されたものではないでしょうか?(もし見たことがある方がいたらご連絡をお願いします)これだけのシミュレーションをもしできるのならば、どうしてその予想を発表しないのでしょうか?文科省のシミュレーションと異なっていたとしてもかまわないと思います。いろいろな考え方がありますので、それを見ながら受け取る方が解釈すればいいことなのですから。

私がこの東京電力が保安院に提出したシミュレーション結果を特に注目しているのは、これまでに見たどのシミュレーション結果よりも茨城沿岸への放射能汚染水の移流・拡散を明確に示しているからなのです

実は、小名浜港あたりや、茨城県のデータは4月末になって初めてモニタリングポイントとして設置されたため、この東京電力のシミュレーション結果通りになっていたとしても、4月11日ごろの濃度の高い時のデータが全くないため、4月末に測定を開始したときにはピークを過ぎたあとを見ていた可能性もあります。従って、現在ある観測結果とこのシミュレーション結果は大きく矛盾するものではありません。

もちろん、上の(4)での茨城県のモニタリング結果でほとんど検出されていないということから、定量的なシミュレーションができていない可能性はあります。そもそも、このシミュレーション結果には、前提条件が一切書かれていないので、そういう意味では条件の公表が不十分です。せっかく発表したのですから、前提となる条件を発表して欲しいと思います。

現時点では、このシミュレーション結果を定性的に否定するデータはないため、このような汚染水の拡散が起こった可能性も否定できません。その場合は、茨城県の魚介類に対して、今後大きな影響が出る可能性もあります。今後追加の情報公開を求めたいと思います。


なお、この報告書で、今まで私が気になっていたのにどうしても得られなかった情報がさらりと公開されていいました。「5月初めには、全般的に、検出限界以下(約10Bq/L)が多くを占めつつあります」との記載で、東京電力の検出限界以下というのも、だいたい10Bq/L以下のことを指すということが初めてわかりました。これまでのデータで、5.9Bq/Lというようなデータも出ているため、そこそこの検出感度はあるのだと思っていましたが、今回それが明らかになったのはいいことです。ただし、一般への情報公開でそれを行わないという姿勢については厳しく追及されるべきと考えています。

思ったよりも収穫の多かった報告書でした。

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電力系の計算サービス会社
http://www.dcc.co.jp/index.html

ここが実施したかどうか全くわかりませんが、参考まで。

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twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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