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6/4 放射能測定における検出感度とその発表の仕方について

5/31 東京電力の発表(Sr)は大嘘つき!正しいデータを出せ!」で東京電力について文句を言ったときに実は私は気がついていなかったのですが、5/26からは東京電力もHPでデータを発表する際に、以前から私が主張していた検出限界をやっと発表するようになりました。

東京電力の検出限界の発表の仕方もやっと本来あるべき姿になりました。ND(Not Detected :不検出)というのは「ゼロ」ではないということはいわゆる理系で実験や測定をやったことならば常識として知っていることなのですが、そういう知識のない人には「不検出」「検出限界以下」というのは「ゼロ」と同じだと思ってしまうかもしれません。

また、東京電力のHPに限らず、各自治体のHPを注意深く見ていただければわかりますが、このあたりの表現についてはいい加減なところが結構あります。今日は放射能測定の数値の読み方をまとめて、データを読むときの注意点を示しますので、よく理解して、発表された数値にだまされないようにしてください



東京電力の測定における検出限界

東京電力がHPで発表している海水のデータで、5/26以降の海水データの発表から表の下に小さく書いてある検出限界とNDの表記について調べてみると、だいたい下記のような検出感度であることがわかりました。

I-131:6~7Bq/L(1回だけ3Bq/Lの時がある)
Cs-134:14~15Bq/L
Cs-137:15-16Bq/L

ちなみに、文科省(実際はJAMSTEC)が測定しているデータの検出限界は、

I-131:4Bq/L
Cs-134:6Bq/L
Cs-137:9Bq/L

ですので、東京電力の測定の方が感度がやや悪いことがわかります。つまり、東京電力が海水のデータでNDと記載していても、Cs-137であれば14Bq/L存在しているかもしれないということです。これがどういう意味を持つのかについては、「5/22 まとめ5:海洋放射能汚染2:これを理解すれば魚介類への汚染を予想できる!」にまとめてありますので、読んだことのない方はぜひご覧ください。簡単にいうと、5Bq/Lを検出できないと、魚介類への影響を考えるためには意味がないということです。

ちなみに、これまでの発表で一番検出感度の高かった(検出限界値が低い)のは、「5/27 海水の放射能をmBq/Lの感度で測定しているところがあった!」や「5/30 海水の放射能を「0.1mBq/Lの感度で測定」はやはり本当だった!」で取り上げた、北海道大学大学院環境科学院の渡邊准教授達のグループが行っている測定です。この測定では、通常のゲルマニウム検出器よりも感度を上げられる「低バックグランドゲルマニウム半導体検出器」を用いていて、0.1mBq/L=0.0001Bq/LのCs-134を検出しています。


各自治体のHPを読むときの注意

ここでは、東京都水道局、東京都健康安全研究センターのHPと、神奈川県のHPを例にとって説明します。

東京都水道局のHP
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/press/shinsai22/press110324-02-1.pdf

ここには、注釈として下記のようなことが表の下に書いてあります。
「検出限界値」とは、測定において検出できる最小値のことをいいます。放射能の特性として、同じ機器で測定しても、検体ごとに検出限界値は変動します。
たとえば、「○月○日△△浄水場、不検出(検出限界値6)」とあるのは、○月○日の△△浄水場の検体において、検出できる最小値が6Bq/kg であり、この水の放射性物質濃度は「6Bq/kg未満である」ことを意味します。この際、表記上では「不検出」となります。


非常にわかりやすくて的確な説明ですよね。そして、具体的な測定結果についても『不検出(検出限界値 7)』と記載してありますので、これならばどんな人でも「7未満だけどひょっとしたら5あるかもしれない」ということを理解して読むことができます。

「不検出」と書くと、「ゼロ」だと思ってしまう人が出てきます。ですから、このような説明は必須です。「検出限界以下」であれば、その検出限界値を明記することによって、いくつ以下なのかを理解できます。以前の東京電力のように、何の説明もなくNDとかかれても、NDというのはNot Detected(検出されず)の意味もありますが、Not Done(やらなかった)という意味もあるのです。Not Doneの意味で使うときは普通はNT(Not Tested)と書くことが多いのですが、何の説明もないと測定しなかったのか?と誤解する人も出てきます。以前の東京電力には、こういう基本的な教育を受けた人がデータのまとめ、あるいは広報資料チェックの段階で誰一人として入っていなかったのでしょうね。

また、同じ東京都にある東京都健康安全研究センター(東京都新宿区百人町)では、下記のようなページを設けてND(不検出)の考え方を説明しています。
http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/ND.html

『現在の測定状況においては、水道水は測定値が概ね0.2Bq/kg未満の場合に「ND(不検出)」と表示します。』ということで、ここでいう「不検出」はだいたい0.2Bq/L以下であると明示してくれています。

また、『測定には測定誤差があります。測定値がその測定誤差の3倍より小さい値の場合には、結果を数値として示すと正確さを欠く可能性があるため、「ND(不検出)」と表示することになっています(ND:Not Detected)。』と書いてあって、その意味も例を挙げて説明してくれています。詳細はここでは説明しませんので、興味のある方は上記のリンクをお読みください。

東京都水道局、東京都健康安全研究センターのHPはいずれも丁寧な説明があってわかりやすいものであり、読む人に誤解を与えにくいものであると言えます。


次に神奈川県のHPの例です。神奈川県では、海水浴シーズン前にみんなが心配しているので、海水の放射能測定の結果を発表してくれています。

神奈川県HP
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p306538.html

このHPの発表でも、しっかりと検出限界値を記載してくれているのですが、定点観測の海水浴場と定点観測以外の海水浴場とでは検出限界値が全く異なりますので、よく見ないと見落とします。できれば一言、「定点観測以外では検出限界値が違いますので注意してください」と書いてあればよかったのですが、その点が不親切です。

定点観測の海水浴場:サザンビーチちがさき(茅ヶ崎市)
測定量 : 2,000ミリリットル
定量限界値 : ヨウ素-131  2Bq/kg、セシウム-137  3Bq/kg、セシウム-134 2Bq/kg。
定量限界値とは、定量可能な最低濃度のことです。「不検出」とは、放射能濃度が定量限界値に満たない(定量できない)ことを表します。

定点観測以外の海水浴場
測定量 : 80ミリリットル
定量限界値 : ヨウ素-131  30Bq/kg、セシウム-137  40Bq/kg、セシウム-134 30Bq/kg。
定量限界値とは、定量可能な最低濃度のことです。「不検出」とは、放射能濃度が定量限界値に満たない(定量できない)ことを表します。

これを良く読めば検出限界値が10倍以上違うことがわかりますが、ここまでしっかり読む人は少ないのではないでしょうか?

なぜ検出限界値が違うのかは、理由がはっきりしています。ここでは丁寧に測定量(サンプリングした水の量)を書いてくれています。定点観測地では、2Lの水を用いていますが、それ以外の場所では80mlの水しか測定していません。「5/30 海水の放射能を「0.1mBq/Lの感度で測定」はやはり本当だった!」で渡邊准教授に教えていただいたのですが、検出限界値を下げる(感度を上げる)ためには二つの方法があります。一つは、測定するサンプル量を増やすこと。80mlと2Lでは25倍も違います。二つ目は、測定時間を延ばすこと。1時間の測定と24時間の測定では感度が5-10倍違うそうです。ここでは測定時間は同じでしょうから、測定するサンプル量が大きな違いです。それで感度が10倍以上違うのですね。

80mlしか測定していないのは、おそらく測定する器械が違う(定点観測用には高額の機械を使えるが、それ以外では借り物の安い機械しか使えないとかなにかの理由があるはず)とか、サンプルが多すぎるので一つのサンプルに多くの時間をかけていられないという実務上の問題があるのでしょう。それは仕方ないことだと思います。

神奈川県のHPでは測定量を明示してくれていたため、このような理由の推測ができました。やはり情報をできるだけ公開するということは重要だということがこのことからもわかります。この「測定量」の情報がなければ、書き間違いなのか?とか余計な疑問を産んだことでしょう。私は神奈川県のHPは基本的にはしっかりと情報公開をしてくれていると思いました。欲を言えば二つの検出限界値の違いを言葉で明示して気がつくようにしておいて欲しかったです。

現実問題としては、茨城県の海岸でもCs-137が検出限界以下(9Bq/L以下)である現状からすると、神奈川県の海水浴場においては、定点観測の検出限界値に達することでさえまずないであろうと思います。定点観測以外の場所では、この検出感度であればやるだけ無駄と思います。単に人々を安心させるためだけに取っている「安心料」としてのデータです。実質的な意味はほとんどありません。逆にもしこの定点観測以外の場所で放射性セシウムが検出される(40Bq/L以上)ようなことがあれば、それは一大事ですので、そのつもりでこれからデータを読んでいってください。



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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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