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6/6 学校の20mSv/年の基準をめぐる騒ぎについて 前編

守谷市にお住まいの方からメールがあって、1mSv/年の基準について守谷市に確認したところ、守谷市からの回答は20mSv/年が今でも基準であるというような回答を得たと教えていただきました。そして、今の基準は1mSv/年で正しいのですよね?といわれたので、この機会に調べることにしました。
本当は、文科省が方針転換する前にこの問題について書きたかったのですが、残念ながらその機会を逃してしまいました。

今日の話は、法律の話なので、非常に堅苦しい話です。ですが、日本は曲がりなりにも法治国家なのですから、確実な法的根拠を確認しておく必要があります。少なくとも政府は法的根拠がなければ政策を実行できないはず(浜岡原発停止のような政治判断は別として)です。
私が確認した範囲で書きますが、理解不足で間違っている部分もあるかもしれません。その場合は遠慮なく指摘してください。

長くなったため、前編と後編に分けました。ご了承ください。

1.日本の法律のしくみ

日本には法律がいくつくらいあるかご存じですか?実は1700以上もあるのです。そして、多くの人は法律の文章に全て書かれていると思っていますが、実はそうではないのです。多くの法律の構成は下記のようになっています。
法律、施行令、施行規則の3点セット、場合によっては告示を合わせた4点セット、これらが全て合わさって一つの法律をなしているのです。

○○法      これが法律の本体です。
○○法施行令   これはいわゆる「政令」です。
○○法施行規則  これがいわゆる「省令」で、関係する省庁が定めます。

場合によっては、この下に
○○法告示    省令よりもさらに細かいことを定めたものです。

国会で審議するのは、たしか一番上の法律だけです。ここでは、法律の基本的な骨格のみが規定されていて、細かいことは「○○大臣が定める」とか「○○法施行規則に定める」とか書いてあることが多いです。だから、具体的な細かいことは国会では審議されず、官僚が好きなように(国会の議論を受けずに、という意味です)決められるのです。だって「省令」は所管の官庁が出すものですから。(不確かな知識で書いていますので、もし間違いがあればご指摘ください。修正します。)

まずは、この構成を知らないと、この先の文章を読んでもさっぱりわからないので簡単に解説しておきました。


2. 3.11以前の法律

一般人が浴びても問題がないとされる放射線量は、少なくとも3.11までは1mSv/年でした。これについては、中部大学の武田先生のブログにあります。非常にわかりやすい文体なので、3つほどご紹介しますが、すぐに読めると思います。

生活と原子力04  法律とその基準 (これが一番重要。この後で一部引用します。)
http://takedanet.com/2011/04/post_f1fe.html
原発 緊急情報(61) 数値は一つ! 医療、職業、一般
http://takedanet.com/2011/04/61_161b.html
「規制値の再整理」
http://takedanet.com/2011/05/post_7256.html

ただ、武田先生のブログ(「法律とその基準」)では、一般向けに書いてあるため、根拠となる法令(第何条にあるか)が微妙に省略されていて正しく記されていません。以下、引用します。

『この法律は基本的なことが書かれていますが、あまり数量的なことは示されていません。この法律のもとにさらに「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令」、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則」、「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」があります。

名前を見るだけで嫌になってしまうような長い名前の法律や規則です。数量を決めるのは最後のもので、ここには後に整理をする厚生労働省と同じ数値が乗っていますが、ただ、排水、排気の基準のところに、規則第19条があり、線量限度として「1年間に1ミリシーベルト」とあります。これが「公衆が安全な線量」とされています.

条文に明記されていないのは、「公衆の限度を越える事態」そのものの概念がないからです.つまり人工的に放射線や放射性物質を出す場合は、「意図を持って出す」のであって、福島原発のように「制御できずに出す」という事はないと錯覚しているからです. 』

さきほど解説した3点セット+告示の4点セットが出てきましたね。

放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律   法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO167.html
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令 政令
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35SE259.html
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則 省令
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35F03101000056.html
放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号) 最終改正 平成十八年十二月二十六日 文部科学省告示第百五十四号 告示
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/04/22/h121023_05.pdf

武田先生のブログでは、『ただ、排水、排気の基準のところに、規則第19条があり、線量限度として「1年間に1ミリシーベルト」とあります。』とありました。規則第19条ということは、省令の施行規則のことです。法律や政令、施行規則には第○条の前にかっこをつけて『(廃棄の基準)』などと記載してあります。条文の文章はわけがわからないですが、項目としてこの条文はこういうことを書いてあるんだよ、と教えてくれています。では、施行規則第19条を見てみましょう。

『(廃棄の基準)
第十九条  許可使用者及び許可廃棄業者に係る法第十九条第一項 の文部科学省令で定める技術上の基準(第三項に係るものを除く。)については、次に定めるところによるほか、第十五条第一項第三号、第四号から第十号まで、第十一号及び第十二号の規定を準用する。この場合において、同項第三号ロ中「放射性同位元素又は放射線発生装置」とあるのは「放射性同位元素等」と、同項第四号から第九号までの規定中「作業室」とあるのは「廃棄作業室」と、同項第十一号中「使用施設又は管理区域」とあるのは「廃棄施設」と読み替えるものとする。(以下略)』

施行規則第19条は放射性同位元素等の「廃棄の基準」についてでした。武田先生のブログでは、『数量を決めるのは最後のもので、ここには後に整理をする厚生労働省と同じ数値が乗っています』とあるので、数量についての記述は、告示を含めた4点セットの最後の告示(「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」)に書いてあるということがわかります。では、施行規則第19条に関連する、告示の第14条を見てみましょう。

『(排気又は排水に係る放射性同位元素の濃度限度等)
第十四条 規則第十四条の十一第一項第四号ロ(1)及び(2)並びに第五号イ(1)及び(2)に規定する排気中若しくは空気中又は排液中若しくは排水中の放射性同位元素の濃度限度は、三月間についての平均濃度が次の各号に規定する濃度とする。
(中略)
規則第十九条第一項第二号ハ及び第五号ハに規定する線量限度は、実効線量が四月一日を始期とする一年間につき一ミリシーベルトとする。』

ありましたね。「規則第十九条第一項第二号ハ」とか細かい部分はここでは無視しましょう。

このブログを読んで、施行規則の第19条を探して「1年間に1ミリシーベルト」がない!と悩んだ人もいるでしょう。なのでここでは敢えて解説を加えました。武田先生のブログは結構いろいろなところに引用や転載されていますので、しっかりとした解説をしておく必要があります。

さらに武田先生のブログでは、『条文に明記されていないのは、「公衆の限度を越える事態」そのものの概念がないからです.つまり人工的に放射線や放射性物質を出す場合は、「意図を持って出す」のであって、福島原発のように「制御できずに出す」という事はないと錯覚しているからです. 』とあります。これはこういうことです。日本の法律では、事故を想定したケースというのが法律には記載されていない。そういうことはあり得ないという前提に立っているからです。ただ、公衆が浴びてもいい線量という概念自体は、この後でふれるICRPの勧告があったため、それに国内法を合わせるためにかなり議論をしたようです。従って、この告示で出てきた「一年間につき一ミリシーベルトとする」というのが、「公衆の線量限度1 mSv/年」という書き方をしていないけれども、そういう意味にあたるということなのです。

では、法律にわかりやすく明記されていなくて大丈夫?という方のために、政府の考え方をはっきりと示した文書をご紹介しましょう。

ICRP 90年勧告を日本の法律に取り入れにあたっての議論を行った放射線審議会のまとめ(意見具申)です。

ICRP1990年勧告(Pub.60)の国内制度等への取入れについて(意見具申)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/sonota/81009.htm
このリンク先の中に「V.公衆の被ばくに対する線量限度」という項目があります。

『V.公衆被ばくに対する線量限度
3.取入れに当たっての基本的考え方
(1) 公衆の被ばくに関する限度は、実効線量については年1mSv、組織に対する線量限度については、眼の水晶体に対する線量限度を年15mSv、皮膚に対する線量限度を年50mSvとし、これを規制体系の中で担保することが適当である。
このためには、施設周辺の線量、排気・排水の濃度等のうちから、適切な種類の量を規制することにより、当該線量限度が担保できるようにすべきである。』

さらに、これが載っているページを見ると、新しい情報もありました。
放射線審議会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/#pageLink4

国際放射線防護委員会(ICRP)2007 年勧告(Pub.103)の国内制度等への取入れについて 第二次中間報告
平成23年1月 放射線審議会 基本部会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/toushin/__icsFiles/afieldfile/2011/03/07/1302851_1.pdf
『公衆の被ばくに関連する管理基準を評価する際、代表的個人の考え方を用いるような現実的なモデルによる評価を行う場合は、公衆の線量限度1 mSv/年を遵守するため、評価対象となる線源以外からの放射線が公衆に与える線量の寄与を考慮し、線量拘束値を用いるべきである。・・・(中略)・・・評価の規準としては、現行と同様に線量限度である1 mSv/年を用いることが適切である。』

今年の1月(3.11の直前)でも、はっきりと「公衆の線量限度1 mSv/年を遵守する」と書いてありますね


3. 3.11後の文科省の指示

予想以上に長くなったので、残りは後編に続きます。
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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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