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6/6 学校の20mSv/年の基準をめぐる騒ぎについて 後編

先ほどの「6/6 学校の20mSv/年をめぐる騒ぎについて」の続きです。

前回のおさらいです。
1.日本の法律のしくみ
日本の法律の構成について簡単な解説です。

2. 3.11以前の法律
実際に「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」にどんなことが書いてあるのかの解説です。武田先生のブログも引用しながら解説しています。


3. 3.11後の文科省の指示

それでは、問題となった20mSv/年をめぐる騒ぎを、文科省のHPに出ている資料から振り返ってみましょう。記者会見などでいろいろと発表されているようですが、正式な通達ならば必ず文書になるはずです。ですから、公表されている文書を見ることで、何が正式な見解なのかを確認することができます

4/19 「1-20mSv」
福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm

『・・・・国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)によれば、事故継続等の緊急時の状況における基準である20~100mSv/年を適用する地域と、事故収束後の基準である1~20mSv/年を適用する地域の併存を認めている。また、ICRPは、2007年勧告を踏まえ、本年3月21日に改めて「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベル(※1)として、1~20mSv/年の範囲で考えることも可能」とする内容の声明を出している。
このようなことから、児童生徒等が学校等に通える地域においては、非常事態収束後の参考レベルの1-20mSv/年を学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし、今後できる限り、児童生徒等の受ける線量を減らしていくことが適切であると考えられる

※1 「参考レベル」: これを上回る線量を受けることは不適切と判断されるが、合理的に達成できる範囲で、線量の低減を図ることとされているレベル。

また、児童生徒等の受ける線量を考慮する上で、16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると、20mSv/年に到達する空間線量率は、屋外3.8μSv/時間、屋内木造1.52μSv/時間である。したがって、これを下回る学校等では、児童生徒等が平常どおりの活動によって受ける線量が20mSv/年を超えることはないと考えられる。また、学校等での生活は校舎・園舎内で過ごす割合が相当を占めるため、学校等の校庭・園庭において3.8μSv/時間以上を示した場合においても、校舎・園舎内での活動を中心とする生活を確保することなどにより、児童生徒等の受ける線量が20mSv/年を超えることはないと考えられる。

(中略)

3.留意点
この「暫定的考え方」は、平成23年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故を受け、平成23年4月以降、夏季休業終了(おおむね8月下旬)までの期間を対象とした暫定的なものとする。
今後、事態の変化により、本「暫定的考え方」の内容の変更や措置の追加を行うことがある。』


これは前半を読むと、1-20mSv/年と考えることができると書いてあり、20mSV/年とは書いてありません。暫定的な基準がなんなのか、はっきりさせていません。

しかし、その後の「3.8μSv/時間以上・・・」という話は、「児童生徒等の受ける線量が20mSv/年を超えることはないと考えられる。」という記述と合わせると、ここでの基準は1-20mSv/年のうち、上限の20mSvを意味していると取れます。私は記者会見などを聞いていないので、どういう断定的な言い方がされたのかわかりませんが、暫定基準値が20mSv/年であるなどとはどこにも書いてありません。非常に曖昧な官僚の作文であとで言い逃れをしやすいように書いた文章だと思います。


5/11 「表土の入れ替え」
実地調査を踏まえた学校等の校庭・園庭における空間線量低減策について
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305946.htm
校庭の放射性セシウムを減らすため、表土の入れ替えが有効であるといった話です。ここでは紹介しません。

5/27 「1mSvを目指す」への転換
福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1306590.htm

『2.暫定的考え方で示した年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトを目安とし,今後できる限り,児童生徒等の受ける線量を減らしていくという基本に立って,今年度,学校において児童生徒等が受ける線量について,当面,年間1ミリシーベルト以下を目指す。なお,引き続き児童生徒等の心身の健康・発達等に関する専門家等の意見を伺いながら,更なる取組の可能性について検討する。』

これにより、実質的に4/19の通知が修正され、「当面、年間1mSvを目指す」ことになりました。4/19の段階で、今後内容の変更があるかもしれないと明記されていますよね。

従って、現在は文科省が定めた暫定基準値というものは、あるとすれば「当面は年間1mSvを目指す。」「目安としては、年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルト」です。20mSvありき、という考え方はもはや成立していません。

4.守谷市の考え方は正しいか?

前の記事の「6/6 学校の20mSv/年の基準をめぐる騒ぎについて 前編」の最初にご紹介しましたが、この話を書くきっかけは、守谷在住のある方のメールでした。この方は守谷市にも年間被曝量・防御法を守谷市に質問したら、6/5に以下のような解答が帰ってきたそうです。この方の了解の上で、名前などは伏せて守谷市の考え方をご紹介します。


========<守谷市の回答 張付>============
平成23年6月5日

○○○ 様

 日ごろより,市環境行政に対しまして,ご理解とご協力をいただきありがとうございます。
 5月11日及び25日に県が行った守谷市の測定結果が県HPに公表されました。
 守谷市の数値は2回とも県内で2番目に高いものとなっておりますが、国の暫定基準値を下回っております。
国の放射線量の暫定基準は、年20ミリシーベルトとなっています。
線量計の測定値から年間被爆量を求める数式は
 測定値(μSv/h)×0.6×24(h)×365(d)÷1000=年間被爆量(mSv)
となります。
 0.6については、一日の内16時間を室内で過ごす場合の影響を補正するために乗じます。

 また、5月24日・6月1日に簡易放射線測定器を用いて、市内の小中学校、及び幼稚園、保育園の測定をしました。
今後は、毎週水曜日に測定をしていきます。
測定位置は、保育園・幼稚園・小学校は地表面と地表50cm、中学校は地表面と地表1mで測定を行っています。
測定結果は市HPにありますので、参考にしてください。
 今後、測定値が急変した場合は、状況に変化が現れた時は測定頻度を増やす等、監視を強化していきます
今回の事態に際し、市では国や県の基準・方針に則り対応していきたいと考えています。
また、国から各個人でできる自衛策として、
・ 校庭・園庭等の屋外での活動後等には、手や顔を洗い、うがいをする。
・ 土や砂を口に入れないように注意する。
・ 土や砂が口に入った場合には、よくうがいをする。
・ 登校・登園時、帰宅時に靴の泥をできるだけ落とす。
・ 土ぼこりや砂ぼこりが多いときには窓を閉める。
などの方法が紹介されていますので参考にしてください。

担当課:○○課長 ××

==============================

私は、これまで述べてきた内容から考えて、守谷市の下記の考え方は古い情報に基づいていると考えています。
国の放射線量の暫定基準は、年20ミリシーベルトとなっています。

どこにその暫定基準値が記載されているのでしょうか?私はわからなかったので、ぜひ教えて欲しいです。少なくとも学校に関係する部分では文科省のHPにあるはずですが、そこにはそのような基準は記載されていいません。

首相官邸のHP Q&A
http://www.kantei.go.jp/saigai/faq/20110502genpatsu_faq.html
ここにも、暫定基準値というのはないと思います。食べ物のようにはっきりと「基準値」を設けていません。原子力安全委員会が20mSvを目安としただけです。

原子力安全委員会の助言
http://www.nsc.go.jp/ad/pdf/20110419_1.pdf

また、文科省の4/19の文書を見ても、20mSvを超えた場合には明らかに制限をしますが、それ以下の場合には何もしてはいけないとは書いてありません。趣旨は「その上限の20 ミリシーベルトから出発し、段々に下げてゆく(=より安全性の厳格な方向にしてゆく)という方針で臨んでいます」であり、それが5/27には「今年度は1mSvを目指す」になったのですから、20mSv/年を超えない限り何もしてはいけない、と考えるのは間違っていると思います。むしろそこに書かれた趣旨を汲んで、20mSv以下であっても自治体や教育委員会が自主的に対応するのが正しいと思うのですが、公表されていない文書で20mSv以下の場合(3.8μSv/h以下の場合)は何もしてはいけない、という通達が出ていたのでしょうか?そうならばそれを教えてください。また、もしも福島県と茨城県では対応が違う場合があるならば、そのあたりも教えてください。福島県だけ特別、ということもあり得ますので。

このあたりの細かい情報はフォローし切れていないので、ご存じの方がいたら教えてください。公的な文書で確認したいのです。単なるネットの情報や記者会見だけでは意味がありません。本当に意味のある通達ならば、記者会見の後に文書が出るはずです。それが重要なのです。私は時間不足もあってそこまで確認できませんでした。


5.今はいったい平時?非常時?

現在の法律では、少なくとも平時では「公衆の線量限度は1mSv/年の基準」であると確認できました。
では、それを変更できる規程があるのか?それが原子力災害対策特別措置法です。この法律の第15条には、原子力緊急事態宣言というものがあり、今回はこれが適用されて、原子力緊急事態宣言が3/11に発令されています。実はこの法律を読み込めていないので「原子力緊急事態宣言」においてはどのような非常時の措置が可能なのかが私にはまだ理解できていません。理解できている人がいたらぜひ教えてください。まだ「原子力緊急事態解除宣言」は出ていないので、「緊急事態」は続いているようです。

おそらく、「原子力災害対策特別措置法」および関連する「災害対策基本法」に基づいて、通常の法律ではできないことも「原子力緊急事態宣言」下では可能になっているのだと思います。だから、本来の「公衆の線量限度は1mSv/年の基準」ではなく、臨時にいろいろなことができるようになっているのでしょう。

原子力災害対策特別措置法
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=2&H_NAME=&H_NAME_YOMI=%82%af&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=H11HO156&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

『(原子力緊急事態宣言等)
第十五条  主務大臣は、次のいずれかに該当する場合において、原子力緊急事態が発生したと認めるときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、その状況に関する必要な情報の報告を行うとともに、次項の規定による公示及び第三項の規定による指示の案を提出しなければならない。
一  第十条第一項前段の規定により主務大臣が受けた通報に係る検出された放射線量又は政令で定める放射線測定設備及び測定方法により検出された放射線量が、異常な水準の放射線量の基準として政令で定めるもの以上である場合
二  前号に掲げるもののほか、原子力緊急事態の発生を示す事象として政令で定めるものが生じた場合
2  内閣総理大臣は、前項の規定による報告及び提出があったときは、直ちに、原子力緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(以下「原子力緊急事態宣言」という。)をするものとする。
3  内閣総理大臣は、第一項の規定による報告及び提出があったときは、直ちに、前項第一号に掲げる区域を管轄する市町村長及び都道府県知事に対し、第二十八条第二項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法第六十条第一項 及び第五項 の規定による避難のための立退き又は屋内への退避の勧告又は指示を行うべきことその他の緊急事態応急対策に関する事項を指示するものとする。
4  内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言をした後、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、原子力安全委員会の意見を聴いて、原子力緊急事態の解除を行う旨の公示(以下「原子力緊急事態解除宣言」という。)をするものとする。』

この部分、時間があれば後日加筆するか、項目を改めて書き直します。本当はもう少し練ってから書きたかったのですが、今日は時間切れです。これまでの政府が取った施策が法的に問題がないのかどうかを検証したかったのですが、そこまでできませんでした。そういうブログがあったら情報をお待ちしています。


参考資料:

原子力施設等の防災対策について(防災指針) 原子力安全委員会
http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/history/59-15.pdf

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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