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6/7 学校の20mSv/年の基準をめぐる騒ぎについて おまけ


今日は、昨日の続きを少し書きます。それから、後半では、1mSvを守ろうとしたらどれだけのエリアでその対策をしないといけないか、ということについて、衝撃的な地図を見ながら考えます。

おまけ1.厚労省のHPより

昨日は文科省のHPしか確認していなかったのですが、本日、念のために厚労省のHPも見ました。学校関係ということで幼稚園だけでなく保育園も関係していたため、厚労省も関係省庁に入っていたようです。

厚労省HP 4/19
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000019uyg.html



ここに下記のような文書がありました。私が昨日文書が必ずあるはず、と主張していましたが、たぶんこれでしょう。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000019uyg-img/2r98520000019uzx.pdf

文科省と厚労省がとりまとめた案を原子力安全委員会に助言を要請。
       ↓
4/19 原子力安全委員会が「助言」した。(委員会としては特に反対を言わなかった。)
       ↓
特に大きな反対がなかったため、原子力災害対策本部として「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」を決定した。
       ↓
文科省および厚労省からそれぞれ福島県の関係部署に通知した。

その内容は、私が昨日「6/6 学校の20mSv/年の基準をめぐる騒ぎについて 後編」に記載したことと同じです。

官僚の作文なのですが、「非常事態収束後の参考レベルの1-20mSv/年を学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし」ということで、暫定基準値を年間20mSvとするという記載はどこにもありませんでした。公式には、あくまで上記の「1-20mSv/年」が暫定的な目安です。これは5/27に文科省が方針変換をしてからも変わっていません。

ですから、守谷市が「国の放射線量の暫定基準は、年20ミリシーベルトとなっています。」と言っているのはやはりおかしいということが厚労省のHPからも確認できました。


おまけ2. 年間1mSvのエリアはこんなに広い!

twitterで教えてもらったのですが、私が「6/3 nnistarさんのサイトを使うと関東の土壌汚染の傾向がわかるようになってきた!」などで何回かご紹介している@nnistarさんの地図をもとに群馬大学の早川先生の作成した環境放射線の等高線地図があります。

Dose rate contour map of the Fukushima accident
http://maps.google.co.jp/maps/ms?ie=UTF8&hl=ja&brcurrent=3,0x34674e0fd77f192f:0xf54275d47c665244,1&t=p&msa=0&msid=210951801243060233597.0004a4f5311a2612c91f3&ll=37.046409,140.251465&spn=2.10444,3.515625&z=8&source=embed

例によって画面ショットを見せますが、下の図で、いちばん外側の青い線(東京まで来ている線)が0.25μSv/hのラインです。柏のあたりの水色が0.5μSv/hです。福島市近辺の黄色いラインが2μSv/hです。

6/7早川先生地図.JPG

年間1mSvをμSv/hになおすと、1000μSv÷365÷24=0.114μSv/hになります。つまり、0.25μSv/hということは年間2mSvに相当するということです。今の放射線量はおもにCs-137によるものですから、30年も経たないと半分に減衰しません。したがって、何もしなければ1年後もほぼ同じ値になることは十分に予想できます

上の図は、外側の青いラインで囲まれたエリアが年間2mSvであるということを示しています。文科省が持ち出した、外に出ている時間が8時間で、うちにいる16時間は40%になるとして求めた係数0.6を用いたとしても1.2mSvです。東京の放射能がもっと細かく調査されれば、このエリアはさらに南に広がるかもしれません。

私が住んでいるつくば市も青いラインにすっぽり入ってしまったのはビックリでした。幸いなことに、子供がもう大きくなっているので、これくらいの数値であれば食生活に注意をしながらそのままここで暮らしていこうと思いますが、小さなお子さんを抱えている方は心配でしょう。

でも、もっと心配なのは福島市や郡山市です。2μSv/hということは、単純計算で年間17.5mSvになりますし、文科省が持ち出した0.6という係数を用いても10.5mSvです。これくらい高い数値が出たら、思い切って引っ越すのか、それとも覚悟を決めて注意しながらそのまま暮らすのかを個々人がその人の事情に応じて考えないといけないレベルですね。

この話は、またいずれ取り上げたいと思います。



関連記事
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コメント

見事にハズシましたね、汚染マップ。
日本には信頼のおける学者は居ないようです。

No title

> ひつじさん

コメント、ありがとうございます。
誤差というのには違いが大きくて釈然としませんが、測定法と測定器の特性が絡んで差が大きくなるんでしょうね。

RE:栃木県のその後

栃木県が再測定した31地点についてグラフ等を作成してみましたが、全ての地点でサーベイメータが低い値となっており、その値は、おおよそ0.3~0.4μSv/h でした。
サーベイメータは高価なプロ用機種であり、年に一度の較正もされているでしょうから、そちらの測定値のほうが真正な値だろうと思います。

一般的に、簡易型測定機というのは、危険なレベルの線量をすみやかに発見するのが目的のようです。したがって、機種にもよりますが、現状の大気線量程度では、誤差が大きいものがあるようです。
栃木県のサイトには型番が書いていないのですが、高めに表示する特性がある簡易型測定機を使用していると想像します。
折角、測定したのですから、栃木県は機種の型番まで書いて欲しかったですね。

ついでなので、簡易測定機の使い方(注意点)をまとめられていたページがありましたのでリンクしておきます。
http://minkara.carview.co.jp/userid/167714/blog/22766375/

栃木県のその後

栃木県では前回1.0μSv/hを超えた学校を追跡調査しました。
http://www.pref.tochigi.lg.jp/kinkyu/c02/hoshano_kyoiku.html#no2

今回の調査では、福島県で使用している測定器でも計測してるんですが、それが栃木県の測定器より低い数値を示しています。

栃木県は簡易型シンチレーションカウンタ
福島県はNalシンチレーションサーベイメータ

左が栃木方式、右が福島方式。同じ場所で測定。単位はμSv/h
1.47 0.96
1.54 1.06
1.23 0.87
1.17 0.82
(以下 略)

1.0以上は、栃木の測定器では15校、福島なら1校になります。
大幅な値の違いをどのように考えたらいいんでしょうか。




No title

ひつじさん

なるほど!5200÷365÷24ですね。
ありがとうございます。
0.6μSv/hに固執する必要は無さそうですね。

現状はもう少し臨機応変に考えて行きたいと思います。

No title

ななしのごんご さん。
>『0.6マイクロシーベルト/時以上が労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」』

これ、私も気になって探してみました。
どうやら、法律の「実効線量が3月あたり1.3mSv」から、年間で 5.2mSv。
それを、365日24時間で割って 約0.6μSv/h ということのようです。

365日24時間、管理区域に居るわけではないし、そもそも人の健康だけを考えて決められた数字ではない(測定機の性能維持の必要性)らしいので、何倍とか比較するような物でも無いと思うのですが、インパクトのある文言だったので多用されたのでしょう。

Re: リンクさせていただきました!

藤田さん

リンクありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

はじめまして。放射能問題には頭を痛めている一市民です。

年間一ミリの計算式について気になったのですが、バックグラウンドの放射線量については差し引かなくてはいけないのでは無いでしょうか?
つくば市の通常時の環境放射線量は0.07-0.09マイクロシーベルト毎時だそうですから、測定値からこれらを差し引いた値が年間一ミリシーベルトに収まるかどうか?を気にしなくてはいけないと思います。
http://rcwww.kek.jp/norm/

その値で計算すると、つくばはまだ安全圏かなと思っているのですが、いかがでしょうか?

リンクさせていただきました!

大変有益な情報ありがとうございます!
リンクさせていただきました。
ありがとうございます♪

私が住んでいる我孫子もすっぽり入っております…(泣)

土壌の放射線量

いつもブログは意見させて頂いております。

4月の上旬あたりから、この福島の校庭の20mSvの問題を
ニュースで見て以来、放射線の汚染の拡大が気になっております。

そのころ「福島の校庭の20mSv」の問題を載せている記事に
以下のような文章をよく見かけました。
参考として一部抜粋いたします。

「この年間20ミリシーベルトは、屋外で3.8マイクロシーベルト/時に相当するとしていますが、
これは、労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」
(0.6マイクロシーベルト/時以上)の約6倍に相当します。。」

http://www.foejapan.org/infomation/news/110425.html  など


・・・やがてTSOKDBAさんのブログを定期的に拝読するようになり
ある日、5月20日のブログにあったリンク先で
つくば市の東大通りの歩道脇の土壌が0.6μSv/hあるものを見つけました。

http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-171.html

http://maps.google.co.jp/maps/ms?ie=UTF8&hl=ja&brcurrent=3,0x34674e0fd77f192f:0xf54275d47c665244,0&msa=0&msid=214909609623640182246.0004a222823c8883a468a&ll=35.710838,139.820251&spn=1.045919,1.820984&z=9


いろいろ情報を探してみると、雨水が溜まりそうな場所や側溝は
放射線量が高いようだと知りました。
そう考えてみると、「放射線管理区域」の数値になってしまうような線量が
至る所にあるのではないかと怖くなりました。
確かに空間線量はそこまで高くないし、校庭などもそこまで高くないようです。
でも、子供は水たまりも好きだし、田んぼのあぜ道などでオタマジャクシや
ザリガニを採る子もいます。
あまり楽観できないような気がします。

・・・とりあえず、本当に労働基準法で『0.6マイクロシーベルト/時以上が
労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」』になるのか
探しているのですが・・・見つかりません。
探し方がへたくそなのかも…(><)
何か法律についてご存知ですか?

確かな情報から、少しでも周囲に事実を話して、
できることなら子ども達のためにちょっとづつでも自衛を勧めたいのですが…。

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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