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7/13 海洋汚染防止のための東京電力の新たな施策を解説します

 
7/11、東京電力はHPにおいて、「高濃度の放射性物質を含む水の海洋への流出防止・拡散抑制強化に向けた取り組み状況について」という発表をしました。おそらく記者会見でも発表したものと思います。

この資料をさっと読んだだけでは何をやりたいのかがわかりにくいので、今日はこの解説をします。また、この資料によって、今までの謎が一つ解けました。それは後ほどご紹介します。


東京電力は、これまで意図的な放出を含めて3回の大きな海洋汚染を行ってきました。これについては「5/22 3号機からの汚染水流出の東京電力の保安院への報告書を解説!」を参照してください。

(1)4/1-4/6の520トンに及ぶ超高濃度の放射能汚染水の流出
4.7×10^15Bq=4700兆Bq=4700テラベクレルでした。(10^15という表記は10の15乗を示す)

これは2号機からの放射能汚染水がスクリーン海水に流れていることを発見して、止めるのに4日間もかかったものです。現在の海洋汚染のほとんどはこれによるものと考えられています。

(2)4/4-4/10に意図的に海に流した10393トン=10393m3の「低濃度汚染水」
1.5×10^11Bq=1500億Bq=150ギガベクレルでした。

2号機からの放射能汚染水流出が起こった頃、放射能汚染水の行き場がなくなって来つつありました。そこで、批判はあったものの、背に腹は代えられないということでそれまで貯めていた比較的低濃度の放射能汚染水を意図的に海に流しました。

(3)5/10-5/11の3号機の250トン高濃度の「3号機汚染水」
2.0×10^13Bq=20兆Bq=20テラベクレルでした。

この時は、2号機の汚染水の時の教訓を生かし、早急に場所を特定してすぐに止めることができました。


これらの海への汚染の後、保安院から詳細な報告と対策を求められて、東京電力は5月下旬に報告書を提出しました。「5/22 3号機からの汚染水流出の東京電力の保安院への報告書を解説!」に解説してありますが、いくつかの対策を約束していました。6月末までかかる予定のものもありました。今回は、それが完了して、新たに「1~4号機取水路開渠南側の津波による破損箇所において、以前より計画しておりました鋼管矢板による閉塞工事を実施」することになりました。

「本工事において、止水対策の一環として実施している福島第一原子力発電所1~4号機取水路北側シルトフェンスを、作業船の出入りのために一時的に開閉する」ので、それが問題ないかどうかを事前に予想した報告です。

「1~4号機取水路開渠南側」と言ってもわからないでしょうから、まずは図を見てもらいましょう。

7/13スクリーン海水1

上の図は、福島第一原発の海水取水口付近の図です。この図で右側に、赤い線が縦に引いてあると思いますが、ここに鋼管矢板と呼ばれるものを設置する工事をすることになりました。

そして、この工事を行うために、作業船が出入りします。そのため、現在取水口の北側に設置してあるシルトフェンスを一時的に外さないといけないのです。上の図で言うと真ん中より左側の水色の二重線です(だけのはずです)。

7/13スクリーン海水2

すると、現在はこのシルトフェンスによって上の図でオレンジの領域に閉じこめられている放射性物質が港湾(上の図で青い領域)に流れだし、さらには外海に流れ出す可能性もあります。そこでそれがどれくらいの量なのかをシミュレーションしたのが今回の報告なのです。

上の図にいろいろと数字が書いてありますが、左上の数字で、5月の3号機から流出した量が2×10^13Bqと書いてあります。これは、上の方で(3)に書いた20テラベクレルのことです。

最近の数日間のデータから、現在「取水路開渠」と「港湾」の放射性物質の量を見積もると1.2×10^12Bq=1.2テラベクレルだということです。これは、港湾や取水路開渠の容積が記載されていないので検証できませんが、逆算すると合わせて220万トンということになります。おそらくこの計算は合っていると思います。
1.2テラベクレルは、3号機の汚染水20テラベクレルの6%にあたります。

これまでも3号機の汚染水による海洋汚染への影響はあまりなかったので、今回シルトフェンスを開けることによって外海まで汚染されたとしても、それほどの大きな影響はないだろうというのが東京電力の報告です。

もちろん、シルトフェンスの開閉を最小限とすること、シルトフェンスや船舶を慎重に動かすことで海底土の巻き上げの低減を図るということは行うとしています。また、2号機スクリーン近くに設置した海水循環型浄化装置によって、海洋に流出する放射性物質の低減を図るともしています。(海水循環型浄化装置については特に具体的な言及がなかったのでいままでご紹介してきませんでした。)

海洋のモニタリングは今後も行っていくということですが、これについては検出限界をあげない限り意味はありません。これについては何度も繰り返してきているので、ここではこれ以上言及しません。

さて、現在残っているのは6%ということでした。6%は確かに計算上はそうなのですが、残りはどこへ行ったのでしょうか?東京電力は4月の2号機からの汚染水はほとんどが海へ流出してしまったという報告をしていますが、今回の5月の3号機についても海に流出してしまったのでしょうか?

シルトフェンスや、シルトフェンスの外側に設置されているゼオライトに吸着されたセシウムもあるでしょうし、海底に沈んでいる放射性物質もあるでしょうが、それらがどれくらいなのかはここでは一切の言及はありませんでした。大した量は吸着できずにほとんどが海に流れたのかもしれません。

(1)の4月の2号機からの汚染水が4700テラベクレルと3号機の流出の235倍もあるため、3号機の流出ははっきり言って誤差程度にしかなりません。なので、海洋汚染への影響も3号機の汚染による分はあまり大きくないといってもいいかもしれません。

最後に、この資料で明らかになった海水のサンプリング地点についてご紹介しておきます。これまで「福島第一原子力発電所取水口付近で採取した海水中に含まれる放射性物質の核種分析の結果について(7月12日採取分)」のように毎日報告されているのですが、その「取水口北」や「取水口南」のサンプリング地点は一度も報告がありませんでした。今回初めてその場所が明らかになりました。これまでは黄色で示したように全部で11ヶ所のサンプリング地点がありました。

7/13スクリーン海水の図

ただし、下の図に示すように、今日の発表分から「港湾口」が追加されました。下の図では2ヶ所追加のようになっていますが、本日の発表を見る限り、全部で12ヶ所で、頻度が2回になっただけかもしれません。このあたりは不明確なので、しばらく様子を見たいと思います。

7/13港湾追加1

東京電力の発表も少しずつ情報公開が進んでいます。今までわからずに困っていた謎が少しずつ解けてきています。今日も一つ謎が解けました。サブドレンの場所も前回わかりましたし、これで、本来速やかにHPに公表すべきなのに発表していないことはなくなったように思います。


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