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7/27 稲わらの放射性セシウム計算方法はどうして4.4で割るのか?


先週から、今年のコメの放射性セシウム濃度の予測をする(私の予測を読んでいない方は「7/20 今年の米の放射性セシウムによる汚染具合を予想する!前編」をご覧ください)ためにいろいろな資料を確認していますが、その中に、今セシウム汚染牛肉で問題になっている稲わらの放射性セシウムの濃度というものがあります。500000Bq/kgなどというこれまで聞いたことがないような数値が飛び出してきたので、非常に不思議でした。福島県の飯舘村でさえ、水田の土壌の放射性セシウムは、ざっと20000Bq/kgですから、どう考えても土壌よりも濃い濃度になっているはずです。

非常に不思議だったのですが、この間のNHK「クローズアップ現代」でなぜ稲わらからこんなに高い放射性セシウムが検出されたのか、そのメカニズムを説明してくれていました。けっこう納得のいく説明でした。

今日は、稲わらの放射性セシウムについての話です。


クローズアップ現代の説明によると(リンク先の「動画を見る」をご覧ください)、稲は水分を吸い上げやすいように中空になっています。刈り取って乾燥させた稲は水分を吸い込む能力が高いのです。そこに放射性物質を大量に含んだ雨や雪が降ると、稲わらに吸収されます(下の図の丸がセシウムのイメージ)。水分が乾燥してもセシウムなどは稲わらに残るため、次に水たまりなどからセシウムを含んだ水を吸い上げると、さらに放射性セシウムの濃度の濃度が高くなります。これを何回も繰り返すことにより、通常では考えられないような高い放射性セシウムが検出されたということなのです。

7/27稲わらの図

ここで皆さんにご理解いただきたいことは次のことです。田んぼに生えている稲のわらの部分にこんなに高く放射性セシウムが蓄積することはありません。もしそういうことができるならば、巷でいわれているほど移行係数が高くないヒマワリの代わりに稲を土壌からのセシウムを除去するのに利用できます。(ヒマワリの話を読んでいない方はこちらを是非お読みください。「6/12 ヒマワリが土壌の放射性セシウムを除去という説の真偽を確認しました。」)

では、実際にどれくらいの放射性セシウムが検出されているのか、実例を見てみましょう。

岐阜県のHPの例ですが、宮城県から購入していた稲わらの放射性セシウムの濃度は

 検出された放射性セシウム          3,700ベクレル/kg
 牧草換算値※                     841 ベクレル/kg
 牧草換算値に対する国の暫定許容値      300 ベクレル/kg
                       (測定分析機関: 岐阜県保健環境研究所)
 ※牧草換算値:国が示した暫定許容値と比較のため、稲わらの水分を12%と推定し、水分80%に補正を行った数値』

ということです。最初どういう計算をしているのか良くわからなかったのですが、3700Bq/kgというのは水分以外が88%です。水分80%に補正ということは水分以外を20%になるように計算するということです。88÷20=4.4なので、3700Bq/kg÷4.4=840.9Bq/kgで841Bq/kgという計算になります。

つまり、測定した乾燥稲わらの放射性セシウムの量を4.4で割って、それを牧草のセシウムの暫定許容値(300Bq/kg)と比較するということをやっているのです。

ここで稲わらの数値の読み方がわかったところで、宮城県のHPを見てみましょう。

7/27宮城稲わら1


数字が小さくて読みにくいかもしれませんが、これは宮城県の稲わらの放射性セシウムを測定しています。その際、測定データとしては放射性セシウムは2000~30000Bq/kg程度とばらつきがあるものの、かなり高めに出ています。その右側の数字で括弧つきなのが、補正値、つまり4.4で割った値です。この値を300Bq/kgと比較して許容値を超えているかどうかという判断をしています。

このような表記はどこの県のHPにも書いてありますし、メディアの報道も牧草換算で・・・と書いてあります。まず、「暫定許容値」という言い方なのですが、牧草の場合は人が直接食べるものでなく、主に牛に食べさせるものなので、基準値ではなく許容値という言い方をしています。牧草については、農水省のHPに書いてあります。まあ、これは言葉の使い方なのでいいとしましょう。

でも、なぜ4.4で割るのか?牧草の許容値の80%にあわせて計算しないといけないのか?ここには疑問があります。誰もこのことに疑問を呈していないようですが、あえて取り上げたいと思います。

これまで私のブログでは、お茶葉のセシウムについていろいろと取り上げてきました。静岡県のお茶の場合、生葉だと100Bq/kg程度しかないのに、荒茶にすると乾燥させるので4-5倍に濃縮されるため、500Bq/kg程度になって、暫定基準値の500Bq/kgを超えてしまいます。そこで、静岡県の川勝知事は二番茶の測定は荒茶(または製茶)ではなく、生葉で測定すべきだと主張していました。どちらで測定するべきかについては、農水省と厚労省でかなり議論があったようですが、結局厚労省の主張が通り、荒茶で流通するのであれば、荒茶で測定するべき、との理屈で乾燥した荒茶でも測定することになりました。

この決定に静岡県が反発、一時拒否をしましたが、結局これに応じました。その結果、一部の製茶から暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されました。このあたりは「6/15 静岡県のお茶の放射能騒動はまだ終わらない!」などに書いてあります。

今回の稲わらの話でも同じようなことが言えるはずです。乾燥した稲わらの測定データそのものと、それを4.4で割った水分量80%の換算値とどちらで基準値(この場合は許容値)と比較しますか?という問いかけに対し、お茶の時の理屈ならば、乾燥した稲わらで流通するのですから乾燥した稲わらで測定してそのデータを許容値と比較すべきです。お茶の場合は、実際にはほとんどのケースがお湯で抽出して薄めて飲むということがありましたので、実際に食べるときのことを考えれば製茶を基準にしなくてもいいのではないか?という主張はそれなりの理屈が通っていました。ただ、この時厚労省としては流通する形態が荒茶(製茶)ならば荒茶で測定すべき、という理論でした。

今回の稲わらは、流通も乾燥状態ですし、牛に与えるときも乾燥した状態で与えるはずです。ならば、わざわざ4.4で割って数字を小さくするのははおかしな話です。お茶の時の理屈と整合性がとれません。これを認めるならば、お茶の場合も荒茶での測定をしないでもよかったということになります。

おそらく、今回は完全に農水省の管轄で、農水省は前回も生葉で測るべきと主張していたようなので、稲わらについては農水省の考えが通ったのでしょう。ただし、牛肉になると厚労省が関与してきます。妙な縄張り意識ですね。

では、4.4で割って意味があったのでしょうか?秋田県のHPを見る限り、あまり意味がなかったようです。とはいえ、稲わらの放射性セシウム量が少ない登米市の488Bq/kgの場合、4.4で割ることで111Bq/kg換算になり、暫定許容値以下という判断になっています。このように許容値以上という判断をしなくてすんだ稲わらもあるようですが、実際には農水省の目論見?もあまり意味がありませんでした。

お茶の時にあれだけ物議を醸したのですから、乾燥させて測定して判断するのか、生の水分を含んでいる状態で基準値と比較するのか、整合性をとるべきだと思います。お茶と同じ考え方ならば、稲わらも4.4で割らずにそのまま許容値と比較するべきです。また、もしお茶の時の判断が間違っていたならば、今後は水分を含んでいるときに換算する、とするべきです。
こういうところでもしっかりと省庁間で連携して欲しいと思います。今後食品の暫定基準値も見直されるようですから、こういう部分の整合性をしっかりと取って欲しいと思います。

最後に、稲わらの牛への移行係数について補足しておきます。ある資料によると、牛への移行係数は0.096だそうです。また、牛肉のセシウム量(Bq/kg)は下記の式で計算できるそうです。

『飼料のセシウム濃度(Bq/kg)×飼料摂取量(kg/日)×移行係数(日/kg)=牛肉中のセシウム算定濃度(Bq/kg)
例を挙げると、200(Bq/kg)の飼料を14(kg/日)食べ続けた場合、セシウムの移行係数を0.096(日/kg)とすると 、200×14×0.096=269(Bq/kg)となり、牛肉中のセシウム濃度は、269(Bq/kg)と算定されます。 』





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コメント

Re: 放射性物質に汚染された牧草について

kunikao2718さん

コメントありがとうございました。

> 国の基準で飼料の放射性セシウムの暫定許容値は100ベクレル/kgに設定されていますが、粗飼料は水分含量8割ベースと記載されています。
> このことは、原物中の放射性セシウムが高くても水分換算により100ベクレル/kg以下になれば給与してもよいということなのでしょうか。
> たとえば、「原物500ベクレル/kg」「水分含量80%」では、乾物の放射性セシウムは100ベクレル/kg の考え方でよいのでしょうか。

この記事は2011年のものですね。懐かしいです。
この中でも実際の計算例を出しているのでお読みいただければわかると思ったのですが。
水分含量8割ベースで100Bq/kgということは、水分が80%(水分以外が20%)ある試料で100Bq/kgを超えてはいけないということです。水分含量80%ならば100Bq/kgまでが基準値内。水分含量40%ならば水分以外は60%ですので、水分以外を20%にするには3倍薄めて考えることができて、300Bq/kgまでが基準値内になります(300÷(60%÷20%)=100Bq/kg)。

従って、水分含量80%で500Bq/kgのものは500Bq/kgです。
以上の説明でおわかりになりますか。

TSOKDBA

放射性物質に汚染された牧草について

突然のコメントで失礼します。

放射性物質に汚染された牧草について調べていたところ、こちらのブログを拝見しました。

国の基準で飼料の放射性セシウムの暫定許容値は100ベクレル/kgに設定されていますが、粗飼料は水分含量8割ベースと記載されています。

このことは、原物中の放射性セシウムが高くても水分換算により100ベクレル/kg以下になれば給与してもよいということなのでしょうか。

たとえば、「原物500ベクレル/kg」「水分含量80%」では、乾物の放射性セシウムは100ベクレル/kg の考え方でよいのでしょうか。


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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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