8/25 今日の福島の早場米のセシウムの結果と序盤の測定結果の解説
8月の上旬から、コメの放射能汚染の結果が毎日のように出てきています。
今日は、早場米ですが、初めて福島県のコメの放射能汚染の結果が出てきました。
やっと福島県のHPにも公表されました。福島県の中でも西部にある、会津坂下町産の米を測定したところ、放射性セシウムは検出限界値の5-10Bq/kgを下回って「不検出」になったそうです。(検出限界値は新聞のWebより)
序盤のコメの放射能汚染情報について、簡単に解説します。データは「今年のコメの放射能検査の最新状況のまとめ(随時更新用)」にまとめていますので、そちらをご覧下さい。
最初に簡単に現況をまとめておきます。これまでにいくつかの県で測定されていますが、実際に値が計測されたのは、本調査ではまだ一例もありません。予備調査では、茨城県の鉾田市でCs-134とCs-137を会わせて52Bq/kg、千葉県の白井市で47Bq/kg。この2件だけです。宮城県では出穂期前のコメを測定して参考情報として出していますが、いわゆる予備調査とは違うようです。
その他、自治体が独自に調査しているものはありますが、私も全てフォローできているわけではありませんし、「今年のコメの放射能検査の最新状況のまとめ(随時更新用)」に記載してありますのでここでは省略します。
さて、福島県の会津坂下町は、3/29に土壌を採取して測定を行っています。結果は4/8に公表されていますが、2ヶ所で751Bq/kgと250Bq/kgです。また、会津坂下町自身でも測定を行っていて、その結果は田んぼでは170から410Bq/kg(全部で10検体)でした。10ヶ所の平均で約270Bq/kg、福島県測定の2ヶ所の結果と会わせても310Bq/kgでした。
ですから、この数値が正しければ、300Bq/kgの土壌ということで、福島県といっても茨城県と変わらないレベルの放射性セシウム量しかない土壌だということになります。
私の予想では、基本的にコメの放射性セシウム量は今年の小麦よりも高いことはないであろう、ということと、移行係数という考え方でいえば登米市のデータから類推すると玄米で0.022程度なので、会津坂下町で10Bq/kg前後であればリーズナブルだと考えています。実際、検出限界値が5-10Bq/kgで検出できなかったということなので、予想の範囲内だと思います。
ただ、今日のツイッターの反応とかを見ていると、どうして出ないのか?測定がおかしいのでは?というようなことを言っている人もいるようです。ですが、福島県といっても、西部の会津坂下町ですから、飯舘村と同じに考えてもらったら困ります。
また、鉾田市や、本日予備検査の結果が出てきた白井市の環境放射線データが低いことから、ここで50Bq/kg程度出るならば他でも出るはずだ。出ないというのはおかしい、という論調もあります。私はこれも別におかしな結果だとは思いません。千葉県の定量下限値が40Bq/kg、茨城県も20Bq/kgなので、かなり高めなのは確かですが、私の予想(「7/23 今年の米の放射性セシウムによる汚染具合を予想する!後編」「8/7 小麦の放射性セシウムデータのまとめと米データの最新の予想」を参照のこと)によれば、これだけ高い定量下限値の設定ならば、ほとんどが不検出になってもおかしくないと考えています。
もちろん、土壌の放射性セシウム量は、場所によってかなりのバラツキがあるため、たまに数10Bq/kgの結果も出ると思います。でも、福島県以外ではおそらくこの程度しか出ないと思います。千葉県でいえばこれまで予備調査も合わせて200サンプル以上が測定されています。その中で40Bq/kgを超えたのが今日の1例だけということなので、そのたった一例の高い異常値を標準として、他がなぜ低い?、と考えるのはおかしなことです。
今後どういうデータが出てくるのかわからないので、一日経ったら状況が変わって大外れなことを言っている可能性もありますが、本日25日までのデータに基づいて話をすると、以下のようになります。
1.これまでのコメの放射性セシウム測定結果を見る限り、私が予想したレベル(いくつかの条件付きで、福島県以外では平均して3.4~17Bq/kg程度。100Bq/kgを超えるものはほとんどない)で推移しています。しかし、検出限界値(または定量下限値)は10Bq/kg程度だと思っていたので、もう少し情報が取れると考えていました。これだけ定量下限値が高めに設定されると、せっかくのデータが取れずに来年に向けての参考にならない可能性が高いです。
2.多くの県は、牛肉の例があったためにコメも高く出るのではないか?と必要以上に危惧していたのではないかと思います。そのため、定量下限値を高く設定してでも不検出になる方がいいと考えてしまったようです。そもそものこの調査が、500Bq/kgという暫定基準値を上回るかどうか(今回は200Bq/kgという新たな中間基準値も設けられましたが)を判断するための検査であり、(200Bq/kgと)500Bq/kgしか考えていません。つまり出荷していいかどうかを判断するための検査です。
しかし、消費者としては安心して食べられるかどうかのためのデータを出して欲しいと思っているのです。ここに明らかなギャップがあります。200Bq/kg以上は論外。50Bq/kgでも買わない人は多いでしょう。私のアンケート(「7/29 米のセシウム汚染がどこまでなら食べますか?意識調査のアンケートにご協力ください。」)を見る限り、10Bq/kgの結果でも微妙だと思います。
3.つまりこれは、3月から始まっている情報公開に対する不信感が払拭されないままコメの検査に突入してしまったことに問題があります。暫定基準値以下であれば安全であると主張する国と県。一方では、そんなに高い定量下限値で不検出でも安心して変えないという消費者。「安全」=「安心」ではないことからくるギャップです。暫定基準値以下ならば安全だというのが国や県の論理であるならば、低い数値が出ても問題ないはずです。定量下限値が低くできるように測定方法を工夫し、定量下限値5Bq/kgでも不検出でした、あるいは12Bq/kg検出されました、とデータを出す方が「安心」感があります。全てのサンプルを5Bq/kgの感度で測定しなくても、一部について、土壌とセットで測定し、来年に活かすべきです。
4.そういう意味では、これから本格的に測定を始める福島県には、検出限界値(または定量下限値)は今日のように5-10Bq/kgで測定して結果をどんどん公表して欲しいです。できれば、一部は登米市のように対応する土壌のデータもセットで出して欲しいです。そうすれば、仮に10Bq/kgと数値が出ても、それくらいならば食べてもいいや、と考える人は出てくると思います。不検出だけども最高で40Bq/kg入っている可能性のある千葉県のコメと、確かな測定で「安心」できる10Bq/kgのコメであれば、人によってどちらを選ぶかはわからないのではないでしょうか?
5.それから、一部には22年産の米袋のみを買い占めている悪い業者もいるようです。ただ、産地偽装は今年に限らずありましたし、コメの場合はブレンドして売るということも行われていますので、最後に売れ残った米はそういう経路をたどる可能性はあります。できるだけそういうコメを減らしていきたいです。今後も私の予想したようなデータが出てくれれば、あまり心配せずに済むと思いますが、こればかりは結果が出てこないとわかりません。
以上、「安全」と「安心」は違う、ということを農協や県の人にはわかって欲しいです。いくら安全です、と言って売ろうとしても、「安心」がなければそれだけでは今は売れないということを理解しておく必要があります。
その他、自治体が独自に調査しているものはありますが、私も全てフォローできているわけではありませんし、「今年のコメの放射能検査の最新状況のまとめ(随時更新用)」に記載してありますのでここでは省略します。
さて、福島県の会津坂下町は、3/29に土壌を採取して測定を行っています。結果は4/8に公表されていますが、2ヶ所で751Bq/kgと250Bq/kgです。また、会津坂下町自身でも測定を行っていて、その結果は田んぼでは170から410Bq/kg(全部で10検体)でした。10ヶ所の平均で約270Bq/kg、福島県測定の2ヶ所の結果と会わせても310Bq/kgでした。
ですから、この数値が正しければ、300Bq/kgの土壌ということで、福島県といっても茨城県と変わらないレベルの放射性セシウム量しかない土壌だということになります。
私の予想では、基本的にコメの放射性セシウム量は今年の小麦よりも高いことはないであろう、ということと、移行係数という考え方でいえば登米市のデータから類推すると玄米で0.022程度なので、会津坂下町で10Bq/kg前後であればリーズナブルだと考えています。実際、検出限界値が5-10Bq/kgで検出できなかったということなので、予想の範囲内だと思います。
ただ、今日のツイッターの反応とかを見ていると、どうして出ないのか?測定がおかしいのでは?というようなことを言っている人もいるようです。ですが、福島県といっても、西部の会津坂下町ですから、飯舘村と同じに考えてもらったら困ります。
また、鉾田市や、本日予備検査の結果が出てきた白井市の環境放射線データが低いことから、ここで50Bq/kg程度出るならば他でも出るはずだ。出ないというのはおかしい、という論調もあります。私はこれも別におかしな結果だとは思いません。千葉県の定量下限値が40Bq/kg、茨城県も20Bq/kgなので、かなり高めなのは確かですが、私の予想(「7/23 今年の米の放射性セシウムによる汚染具合を予想する!後編」「8/7 小麦の放射性セシウムデータのまとめと米データの最新の予想」を参照のこと)によれば、これだけ高い定量下限値の設定ならば、ほとんどが不検出になってもおかしくないと考えています。
もちろん、土壌の放射性セシウム量は、場所によってかなりのバラツキがあるため、たまに数10Bq/kgの結果も出ると思います。でも、福島県以外ではおそらくこの程度しか出ないと思います。千葉県でいえばこれまで予備調査も合わせて200サンプル以上が測定されています。その中で40Bq/kgを超えたのが今日の1例だけということなので、そのたった一例の高い異常値を標準として、他がなぜ低い?、と考えるのはおかしなことです。
今後どういうデータが出てくるのかわからないので、一日経ったら状況が変わって大外れなことを言っている可能性もありますが、本日25日までのデータに基づいて話をすると、以下のようになります。
1.これまでのコメの放射性セシウム測定結果を見る限り、私が予想したレベル(いくつかの条件付きで、福島県以外では平均して3.4~17Bq/kg程度。100Bq/kgを超えるものはほとんどない)で推移しています。しかし、検出限界値(または定量下限値)は10Bq/kg程度だと思っていたので、もう少し情報が取れると考えていました。これだけ定量下限値が高めに設定されると、せっかくのデータが取れずに来年に向けての参考にならない可能性が高いです。
2.多くの県は、牛肉の例があったためにコメも高く出るのではないか?と必要以上に危惧していたのではないかと思います。そのため、定量下限値を高く設定してでも不検出になる方がいいと考えてしまったようです。そもそものこの調査が、500Bq/kgという暫定基準値を上回るかどうか(今回は200Bq/kgという新たな中間基準値も設けられましたが)を判断するための検査であり、(200Bq/kgと)500Bq/kgしか考えていません。つまり出荷していいかどうかを判断するための検査です。
しかし、消費者としては安心して食べられるかどうかのためのデータを出して欲しいと思っているのです。ここに明らかなギャップがあります。200Bq/kg以上は論外。50Bq/kgでも買わない人は多いでしょう。私のアンケート(「7/29 米のセシウム汚染がどこまでなら食べますか?意識調査のアンケートにご協力ください。」)を見る限り、10Bq/kgの結果でも微妙だと思います。
3.つまりこれは、3月から始まっている情報公開に対する不信感が払拭されないままコメの検査に突入してしまったことに問題があります。暫定基準値以下であれば安全であると主張する国と県。一方では、そんなに高い定量下限値で不検出でも安心して変えないという消費者。「安全」=「安心」ではないことからくるギャップです。暫定基準値以下ならば安全だというのが国や県の論理であるならば、低い数値が出ても問題ないはずです。定量下限値が低くできるように測定方法を工夫し、定量下限値5Bq/kgでも不検出でした、あるいは12Bq/kg検出されました、とデータを出す方が「安心」感があります。全てのサンプルを5Bq/kgの感度で測定しなくても、一部について、土壌とセットで測定し、来年に活かすべきです。
4.そういう意味では、これから本格的に測定を始める福島県には、検出限界値(または定量下限値)は今日のように5-10Bq/kgで測定して結果をどんどん公表して欲しいです。できれば、一部は登米市のように対応する土壌のデータもセットで出して欲しいです。そうすれば、仮に10Bq/kgと数値が出ても、それくらいならば食べてもいいや、と考える人は出てくると思います。不検出だけども最高で40Bq/kg入っている可能性のある千葉県のコメと、確かな測定で「安心」できる10Bq/kgのコメであれば、人によってどちらを選ぶかはわからないのではないでしょうか?
5.それから、一部には22年産の米袋のみを買い占めている悪い業者もいるようです。ただ、産地偽装は今年に限らずありましたし、コメの場合はブレンドして売るということも行われていますので、最後に売れ残った米はそういう経路をたどる可能性はあります。できるだけそういうコメを減らしていきたいです。今後も私の予想したようなデータが出てくれれば、あまり心配せずに済むと思いますが、こればかりは結果が出てこないとわかりません。
以上、「安全」と「安心」は違う、ということを農協や県の人にはわかって欲しいです。いくら安全です、と言って売ろうとしても、「安心」がなければそれだけでは今は売れないということを理解しておく必要があります。
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