8/26 東京電力は10m以上の津波の可能性を3年前に認識していた?
聞いた瞬間に「えっ?」と耳を疑う話なのですが、今頃になってこんな話が出てきました。
今回の原発事故は、「想定外」の津波によって外部電源が喪失し、それによって原発事故につながったというのがこれまでの東京電力の説明でした。しかし、それを根底からひっくり返すような話が出てきました。
東京電力は、3年前に10m以上の津波が来る可能性があるという試算を行っていたにもかかわらず、何の対策も取らず、おまけに国(保安院)に報告したのは今年の3/7、つまり東日本大震災の4日前でした。
NHKオンライン(8/24)の記事
では、なぜ今頃になってこの話が出てきたのか?どうも事故調査委員会の聴取によるところが大きいようです。そこで話が出てきてしまったので、ばれてしまった以上は追求される前に表に出そうということだったようです。
この話、TVやWebのニュースでしか詳しい情報がわからないのですが、唯一東京電力がまとめた資料があります。25日の東京電力記者会見の資料を見てみましょう。この資料には、2枚目以降にも地震の震源を思わせる図が載っているのですが、記者会見を聞かない限り理解できないので省略しました。


今日は、バックチェックとか専門用語については調べる時間がないので説明できません。でも、バックチェックと呼ばれるチェックが入って、東京電力は2008年3月の段階では耐震バックチェックの中間報告書を提出していました。
その後、2008年4月、貞観地震について産総研の佐竹さんから論文の案をもらっています。ここで東京電力として、昔こういう地震があったということを認識したわけです。
そして、この論文の存在を知ったことと試算の関係が定かでないのですが、YOMIURI ONLINEによれば、2008年6月には『マグニチュード(M)8・3の明治三陸地震(1896年)規模の地震が、福島県沖で起きたと仮定して、福島第一と第二の両原発に到達する津波の高さを試算した。第一原発の取水口付近で高さ8・4~10・2メートルの津波が襲来。津波は陸上をかけ上がり、1~4号機で津波の遡上した高さは海面から15・7メートル、同5・6号機で高さ13・7メートルに達すると試算した。』ということです。
そして、貞観地震の地震を耐震設計に取り入れるには地震の波形モデルが必要なので、それを土木学会に要請していて現在も審議中だということでした。(ただし、この説明には疑問を示す話もあります。)また、土木学会には、なぜか電力会社の人間が多いんですよね。
なお、原子力保安院は、今年の3/7に報告を受けた際、報告書を速やかに提出すると共に、設備面での対応も必要ではないかと指導したということです。
事実関係らしきものはこれくらいしかわかりません。
でも、ここまでの話を読めば、東京電力が原発事故後に「想定外の津波によって外部電源が失われた」と言っていたのはウソだったということがわかります。少なくとも、東京電力の中では、ひょっとしたら今までいわれた地震よりも大きな地震があるかもしれなくて、その場合は15.7mの津波がくるということを認識していたわけです。
ただし、その可能性が何%あるか、ということは、貞観地震についてのデータが揃っていないので云々という部分は東京電力の主張を認めてあげることにしましょう。
でも、中学校を出ている人間であれば、この状況で「想定外」という言葉は使えないはずです。東京電力は明らかに想定をしていました。記者会見では、これは単なる「試算」であって「想定」ではないと言葉の遊びをしていたそうですが、こういうところでつっこめる記者はいないのでしょうか?
「想定外」というのは間違っていました。ただし、このような地震の起こる確率が何%あるかを計算できてから対応を取るかどうかを決める予定でした、というのであればまだ許せます。隕石が降ってくる可能性も想定して事故対策をするわけにはいきませんので、費用対効果の問題から、現実的にどこまで対策をとるか、という議論は合ってしかるべきだと思います。これは、津波に対する堤防を何mにするか?という議論と同じことです。
でも、対策を取るかどうかということと、想定していたかしていなかったか?という話は別の次元の話です。明らかに試算をする以上は確率は低いかもしれないけれど、想定していたわけです。こういうところで見苦しい言い訳を繰り返すのは止めてほしいものです。おそらく、認めてしまうと刑事責任を問われる可能性があるとかそういう議論が社内であって、そのために認めないのだと思いますが、そんなことを今の段階でも言える立場だと思っているのですね。そしてそれが通用しているところが悲しい現実です。
この話、TVやWebのニュースでしか詳しい情報がわからないのですが、唯一東京電力がまとめた資料があります。25日の東京電力記者会見の資料を見てみましょう。この資料には、2枚目以降にも地震の震源を思わせる図が載っているのですが、記者会見を聞かない限り理解できないので省略しました。


今日は、バックチェックとか専門用語については調べる時間がないので説明できません。でも、バックチェックと呼ばれるチェックが入って、東京電力は2008年3月の段階では耐震バックチェックの中間報告書を提出していました。
その後、2008年4月、貞観地震について産総研の佐竹さんから論文の案をもらっています。ここで東京電力として、昔こういう地震があったということを認識したわけです。
そして、この論文の存在を知ったことと試算の関係が定かでないのですが、YOMIURI ONLINEによれば、2008年6月には『マグニチュード(M)8・3の明治三陸地震(1896年)規模の地震が、福島県沖で起きたと仮定して、福島第一と第二の両原発に到達する津波の高さを試算した。第一原発の取水口付近で高さ8・4~10・2メートルの津波が襲来。津波は陸上をかけ上がり、1~4号機で津波の遡上した高さは海面から15・7メートル、同5・6号機で高さ13・7メートルに達すると試算した。』ということです。
そして、貞観地震の地震を耐震設計に取り入れるには地震の波形モデルが必要なので、それを土木学会に要請していて現在も審議中だということでした。(ただし、この説明には疑問を示す話もあります。)また、土木学会には、なぜか電力会社の人間が多いんですよね。
なお、原子力保安院は、今年の3/7に報告を受けた際、報告書を速やかに提出すると共に、設備面での対応も必要ではないかと指導したということです。
事実関係らしきものはこれくらいしかわかりません。
でも、ここまでの話を読めば、東京電力が原発事故後に「想定外の津波によって外部電源が失われた」と言っていたのはウソだったということがわかります。少なくとも、東京電力の中では、ひょっとしたら今までいわれた地震よりも大きな地震があるかもしれなくて、その場合は15.7mの津波がくるということを認識していたわけです。
ただし、その可能性が何%あるか、ということは、貞観地震についてのデータが揃っていないので云々という部分は東京電力の主張を認めてあげることにしましょう。
でも、中学校を出ている人間であれば、この状況で「想定外」という言葉は使えないはずです。東京電力は明らかに想定をしていました。記者会見では、これは単なる「試算」であって「想定」ではないと言葉の遊びをしていたそうですが、こういうところでつっこめる記者はいないのでしょうか?
「想定外」というのは間違っていました。ただし、このような地震の起こる確率が何%あるかを計算できてから対応を取るかどうかを決める予定でした、というのであればまだ許せます。隕石が降ってくる可能性も想定して事故対策をするわけにはいきませんので、費用対効果の問題から、現実的にどこまで対策をとるか、という議論は合ってしかるべきだと思います。これは、津波に対する堤防を何mにするか?という議論と同じことです。
でも、対策を取るかどうかということと、想定していたかしていなかったか?という話は別の次元の話です。明らかに試算をする以上は確率は低いかもしれないけれど、想定していたわけです。こういうところで見苦しい言い訳を繰り返すのは止めてほしいものです。おそらく、認めてしまうと刑事責任を問われる可能性があるとかそういう議論が社内であって、そのために認めないのだと思いますが、そんなことを今の段階でも言える立場だと思っているのですね。そしてそれが通用しているところが悲しい現実です。
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