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8/30 土壌調査の結果が文科省と農水省から発表されました!

先ほどの茨城県の航空機モニタリングの結果「8/30 茨城県の航空機モニタリングの結果、やっと発表されました!」とも関係するのですが、農水省の土壌調査の結果と、文科省の土壌調査の結果がそれぞれのHPに発表されました。

今日はいろいろな発表があって追いかける方も忙しいです。

1.文科省の土壌調査結果

まず、文科省の土壌調査の結果です。この結果については、すでに環境放射線のデータが8月はじめに発表されました(「8/5 文科省が発表(8/2)した福島県の線量測定マップ」参照)。今回は、2200カ所の土壌の調査結果です。

文科省の調査においては、

『土壌は、可能な限り3m×3m の範囲で採取しやすい位置の中から5 地点程度選定し、採取した。その際、できるだけ等間隔に採取するように心がけた。』
『事前調査により、ヨウ素131、セシウム134、137は、地表面から5cm以内の土壌中に存在することを確認したことから、U8容器を用いて、地表面から5cmの深さまで土壌を採取することとした。採取した土壌は良く攪拌した後に、U8容器に封入した。』

と記載があるように、3m×3mの範囲から5地点を選定し、深さ5cmで採取しています。そして5地点のデータを平均してデータとしています。

Cs-134の結果とCs-137の結果を示します。(図をクリックすると別画面で大きく表示されます。)

8/30文科省134

8/30文科省137

両者はほぼ同じですね。これを航空機モニタリングのデータを比較してみると、ほぼ合致している点が多い一方、乖離のある地点もいくつかあることがわかったそうです。

8/30文科省航空機比較

今回のこの分析は、多くの大学などの研究室が参加して行われ、分析も多くの機関で行われました。そのため、測定データのズレがないかどうかを比較をして分析機関によるずれがないかどうか、検証しています。その結果、同一地点の5地点の土壌のずれよりも、分析機関間のズレの方が少なかったため、各機関の間での測定は同じレベルで行われていると判断されました。

また、土壌調査と航空機モニタリングの結果を7カ所で比較してみたところ、5カ所に関しては20%以内のズレしかなく、かなり一致しました。2カ所は土壌サンプル5地点のデータに3倍程度ズレがあったため、航空機モニタリングの結果とずれた可能性があるということです。

今回の結果から、航空機モニタリングによっても土壌調査とかなり同じデータが得られることがわかったのは大きな収穫です。なお、この比較において、過去の航空機モニタリングにはズレがあったために補正が必要とわかり、その修正も発表されています。

2.農水省の土壌調査結果

農水省の土壌調査は、宮城県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県及び千葉県の6県の区域を対象としました。福島県では約360 地点(警戒区域を含む)、他の5県では計約220 地点の総計約580 地点を調査地点としました。この調査地点には、本年3月下旬から4月にかけて水田土壌を中心に各県が緊急的に実施した農地土壌調査の地点など、農地土壌濃度分布図の作成を開始した5月末以前に調査が行われた地点も含まれています。

方法は、下記の用に記載されています。
『放射性物質濃度の測定に用いる農地土壌の試料は、調査地点ごとに一つのほ場から採取しました。具体的には、ほ場での平均的な値を得るため、ほ場に対角線を引きその交点1点、対角線の交点と各頂点との中点4点の計5箇所から、放射性物質が耕起によってかくはんされる深さや農作物が根を張る深さを考慮して、ほ場が水田の場合は地表面から約15cm、畑の場合は最大約30cm の土壌を採取しました。採取した5点の土壌試料は、一つのビニール袋に入れてよく混合しました。』

注意するべきは、文科省の調査では深さ5cmですが、農水省の調査では、水田は15cm、畑は30cmであるということです。平均値を得るために、5カ所の土壌を取って平均しているところは文科省と同様です(ただし農水省は測定前に土壌を混合しています)。

結果を示します。ここでは、福島県と、全体像を示しますが、他の宮城県、栃木県、群馬県、茨城県及び千葉県の結果も農水省のHPには掲載されています。

福島県

8/30農水省1

全体
8/30農水省2

結果として、『農地土壌濃度分布図の作成により、東京電力福島第一原子力発電所周辺地域における農地土壌の放射性物質濃度の分布は、これまでのモニタリング調査や航空機モニタリングで得られた空間線量率の分布とほぼ同様の傾向を示すことがわかりました。また、農作物が根を張る深さなどを考慮して土壌を採取・分析したことにより、営農上参考となる濃度の分布の傾向が明らかになりました。加えて、福島県を含む6県を対象にして調査を行ったことにより、広域での農地土壌の放射性セシウム濃度の分布の概況が明らかになるとともに、今後の除染手法の選択など対策の検討に資する情報が得られました。』

ということなので、移行係数を考える上での非常に有用な資料になりうるということがわかりました。
米の作付けに当たって、警戒区域など指定した地域以外では5000Bq/kgを超えるところはないという判断でそれ以外のところには作付けを制限しませんでしたが、概ね問題がなかったことが確認できています。もっとも、この計算に用いた玄米の移行係数0.1というのは文献上の移行係数の最大値よりも数倍高い値を用いてかなり安全を見越して設定しているため、実際には暫定基準値を超える米は出てこないだろうと考えられます。とはいえ、緊急時避難準備区域の10000Bq/kgを超える地点で玄米を作ったらどれだけ米に放射性セシウムが出るのかは、データとしては知りたいところです。きっとどこかの研究所で行っていて、数ヶ月後に発表されると予想しています。

福島県において、農水省のデータと文科省のデータにズレがあるのかどうかなど、詳細データがもし発表されたら確認してみたいと思いますが、今日のところは両者の報告にとどめておきます。



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これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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