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9/2 降下したセシウムの濃縮メカニズムの実例:十日町の幼稚園・保育園

 
十日町市が8月22日に発表した、十日町市の保育園、幼稚園の汚泥及び枯れ葉等の堆積物から18,900Bq/kg、27,000Bq/kgの放射性セシウムが検出されたことについて、8/27に新潟県はHPに調査結果を発表しました。

新潟県によると、降下物(大気中のちり、雨)として福島第一原発事故由来の放射性物質が飛来したものが濃縮されたことが原因だということでした。

事実としては以下の二件が報道されていました。
1.白梅保育園(HPではA保育園と記載)(園庭)の土壌(汚水枡汚泥)(18,900Bq/kg)
2.愛宕幼稚園(HPではB幼稚園と記載)(園庭)の草葉堆積物(27,000Bq/kg)

それぞれについて、新潟県が調査した結果が図解で説明されています。このような説明を地方自治体のHPで見るのは珍しいことですし、私が興味を持っている題材(セシウムの移動と濃縮)でしたので取り上げました。

1.保育園の汚泥について
『保育園屋根表面に降った雨などに含まれる放射性物質が、集水枡に集められたことにより、汚泥中に含まれる放射性物質が約300倍に濃縮されたものと考えられます。』新潟県HPより

9/2十日町1

集水枡は以前から放射性セシウムが集積して高い値になりやすいと言われていました。ですから、高い数値が出ること自体は驚かないのですが、300倍もの濃縮というのはびっくりします。

上の図をみればわかると思うのですが、念のために解説します。
集水枡の面積は、0.3m×0.3mです。一方、この集水枡の上にある屋根は、2.7m×10mの面積があります。つまり、単純に考えて、2.7m×10m=27m2の面積に降下したセシウムが0.3m×0.3m=0.09m2に集められるのです。これは面積で言うと、27÷0.09=300倍の濃縮になります。

屋根に降った水が全部集水枡に集められるので、セシウムも水に溶けて、あるいは泥に付着したまま洗い流されて集水枡に汚泥としてたまったのでしょう。8/25に土壌(おそらく付近の土壌だと思います)の放射性セシウムを測定したところ、76Bq/kgでしたので、計算上は76×300=22800Bq/kgになります。18900Bq/kgというのはこの計算にほぼ合致しますので、この考え方で問題がないと思います。

2.幼稚園の側溝について
『雨などに含まれる放射性物質が、プール内の泥、葉等に付着し、プール清掃により集められたことにより放射性物質が約310倍に濃縮されたものと考えられます。』新潟県HPより
9/2十日町2

こちらは、7月にプールの掃除をした際、そのプール(7m×17.8m)にたまっていた堆積物を近くの草葉捨て場(2m×2m)に廃棄してあったということです。これによって7m×17.8m=124.6m2にたまっていたものを2m×2m=4m2に約31倍濃縮したことになります。そして、今回は草葉を測定しています。草葉は土壌よりも比重が10倍近く軽く、1kgあたりという計算をすると逆に10倍高くなりますので、さらに10倍された31×10=310倍されるという計算ができます。

同様に、土壌の放射性セシウムが76Bq/kgということなので、76×310=23560Bq/kgという計算ができます。実際には27000Bq/kgの放射性セシウムが検出されていますので、ほぼこれに合致しています。

今回の問題は、新潟県としては、十日町市に特別に多く降下物があったのではない、ということを主張する内容になっています。そして、このような濃縮は十分にあり得る話だと思います。プールの掃除をした際に、その堆積物を草葉置き場に捨てたというのはあまり事例としてないと思いますが、集水枡の話はどこでもありそうです。

しかし、この説明が成り立つということは、同程度の濃縮が新潟県十日町市の問題だけではなく、東京でも同じことが起こると言うことです。十日町の土壌中の放射性セシウムが76Bq/kgというのは、おそらく東京よりも同じか少ない値だと思います。ということは、東京でも20000Bq/kg程度の汚泥が集水枡から検出されるということは、屋根の構造によっては普通にあり得るということなのです。

先日「8/21 「放射能防御プロジェクト」の発表と関東の土壌汚染の実態」でご紹介した東京の土壌汚染も、最高で3000Bq/kgを超えるようなデータ(江戸川区臨海町)がありました。今回の300倍もの濃縮という事実は、3月に降下したセシウムがその後に雨や風で動いているために、今では当初の降下量の10-100倍になっている場所がかなりあるのだ、ということを改めて思い知らされた実例だと思います。都内でも場所によってはこのような高いところがあるかもしれません。

9/3:追記 杉並区高円寺の中央公園入口付近で側溝上土壌では1.08μSv/hで、セシウム134:10,960Bq/kg、セシウム137:10,800Bq/kgで合わせて21760Bq/kgを検出したという報告が「杉並あんしんプロジェクト」からありました。まさにこのような事例だと思います。

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コメント

Re: 新潟の土壌汚染

加地さん

地元住民の視点でのチェック、ありがとうございました。茨城基準では、土壌の76Bq/kgというのは低い、と感じてしまうので。

今回の発表では、土壌調査(76Bq/kg)を行ったのか、降下物の測定(6700Bq/m2)を行ったのかがはっきりしません。なので、どこからこの数字が出てきたのか確かではないのですが、コメと一緒に、米を作っている水田の土壌を測定して欲しいですね。新潟県ならば土壌でも高い(1000Bq/kg近い)数値が出るとは思えないのでs。

なお、Bq/m2→μSv/hの換算には282000で割ればいいという説があります(30万くらいとか50万くらいの数字で割る換算のやりかたもあるようです)。6700Bq/m2÷282000=0.023なので、通常の(3.11以前)環境放射線よりも0.02μSv/h上昇していたら6000Bq/m2くらいの数字が出ていてもおかしくはありません。6700Bq/m2というのは桁は大きいですが、μSv/hに直すと小さい数字であることは確かです。原発以前のデータを参考までに示すと、だいたい土壌で20Bq/kg、降下量で2500Bq/m2です。せいぜいバックグラウンドの3倍です。それは頭に入れておいてください。

http://search.kankyo-hoshano.go.jp/servlet/search.JudgeRowCount;jsessionid=2c309c55751f47c0777853107c3693772977?pageSID=213446707_2c309c55751f47c0777853107c3693772977

新潟の土壌汚染

はじめまして。加地と申します。40前の男です。
先日から時々拝見しております。
こちらのブログは、ニュースに考察を加えて解説されているので、参考になります。
さて十日町市の保育園の汚染についてですが、この件について私は、県の解説に対し、納得というよりは不審感を感じています。

300倍濃縮されたからこうなったのだろうという県の推測に異議を立てる気はないのですが、濃縮に焦点をあてることで、汚染自体は問題ないと言っているように見えるからです。

今回の検出で注目すべきは、300倍濃縮されたことではなく、
この資料にさらっと記載されていますが、土壌中にセシウムが6700ベクレル/m2あるという事実だと思います。

これまで新潟県が発表してきた3月以降の月間降下量は極めて小さく、農産物からの検出もごくわずかで、値も比較的小さい値でした。
私も含めほとんどの人は、新潟県は距離の割には影響を免れたと胸をなでおろしていたと思います。

しかし十日町で1平方メートルあたり6700ベクレル降下しているという事実は
県が発表してきたこれまでの値と大きく矛盾します。
もちろん3月、4月は雪の影響で露地物が少なかったから農産物から検出されなかったのかもしれません。
また十日町市には大量に降下したが、測定を実施した新潟市西区には降下しなかったということなのかもしれません。
しかしいずれにせよ6700Bq/m2という値は重いです。

これは神奈川県とほぼ同レベルの汚染ではないかと思います。
新潟県は安全と思わされてきただけに、今回の土壌汚染のデータには少なからずショックを受けています。

今回の十日町での汚染については、300倍濃縮されたからだよと、数字をもてあそぶのではなく、大至急、各市町村での土壌検査が必要とわかったとするのが、県のとるべき態度ではないかと考えています。

No title

「土壌のセシウムと空間線量の関係について」のご教示をいただき、
ありがとうございます。
最近、私は、セシウムの集積について気になっていますので、
ご紹介いただいた記事を活用して、勉強します。

Re: 雪による影響

@Bokoboko_Farmさん

コメントありがとうございました。あの時期に雪が積もっていたなんてことは、関東の人間にはあまりイメージができないので助かります。

確かに、降下後に除雪していたら違っていた(少なかった)でしょうね。
雪が降らないところでも、濃縮現象は起きているはずですし、そういう報告はあります。300倍までいったかどうかはわかりませんが。

雪による影響

初めまして。

十日町の隣町に住んでいますが、このあたり一帯は日本でも有数の豪雪地帯です。

放射性物質が飛来したときも積雪は2mほども、また保育園の屋根には雪があったと思います。
さらにその後も若干の降雪がありましたから放射性物質は雪にサンドイッチされるような形で、気温の上昇でゆっくりと溶けた雪とともに集水枡にたまったのかなと想像します。

雪があることで風などによる再飛散もほとんどない無いのではと思うと、こういった雪国特有の事情もあるのかもしれません。
放射性物質が降下後に屋根雪除雪してしまえばまた違った結果になったでしょうが、春に向けてのあの時期に屋根雪除雪は考えられませんし。

まあ、あくまで素人考えですが。

Re: 土壌のセシウムと空間線量の関係について

yamakayさん

Bq/kgとμSv/hの関係については以下の記事をお読み下さい。
「6/8 Bq/kg→Bq/m2→μSv/hの変換についての簡単なまとめ」
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-218.html

今回の話は、当初の数字からは大きく動いていますよ、という話なのでこの換算からずれていて当然です。よかったらこちらもお読み下さい。

8/18 福島原発から大量にまき散らされたセシウムなどの再循環の現況と課題
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-353.html

土壌のセシウムと空間線量の関係について

先月の23日にこの件が報道されたときからの疑問があります。

疑問とは、泥や堆積物から検出されたセシウムの値と
地上1メートルの空間放射線量との関係が
チグハグになっているのではないかということです。

保育園の汚泥「18,900Bq/kg:0.10μSv/h」
幼稚園の側溝「27,000Bq/kg:0.14μSv/h」
http://www.city.tokamachi.niigata.jp/page/housyasen0822.html より引用)

なお、セシウムの値と空間放射線量との関係については、
http://twitpic.com/5go139/full を参考にしました。

私は全くの素人ですので、ご教示いただけるとありがたいです。

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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