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9/25 HOPE-Japanのヒマワリのデータ検証の続き

 
9/19 HOPE-Japanのヒマワリのデータと「除染効果についての検証」の解説」において記載した記述において、そもそもHOPE-Japanがなぜヒマワリを植えたのか、という趣旨について誤解がありました。現在は元の記事にも一部修正を入れています。

この数日間でいろいろと情報収集して、わかったこと、まだわからないことがありますので、それらを改めてまとめます。


1.HOPE-Japanの活動について

HOPE-Japanとは、High-resolution Online-map Project for East-Japanの略称であり、「東日本大震災による放射性物質拡散範囲を確認する為の、高精度オンラインマップ作成プロジェクト」 を意味するということです(いつの間にかHPが大幅に更新されていました)。

ということで、この活動の主目的は、行政ではできない農地の詳細な汚染地図をできるだけ簡便に作成、更新し、それをオンラインで公開することによって生産者にとっても消費者にとっても「見える化」することで安心感を生むことだと私は理解しました。HPには以下のように記載してあります。
『一つ一つの農地レベルで、除染前の土壌のサンプル、除染後の土壌サンプル、収穫物のサンプルに位置を含む個体識別IDが付き、この測定データを、携帯端末やPCのアプリ上で常に生産者も消費者も参照できる透明性のあるシステムを構築します。』

この活動内容を9/8に記者会見して活動を紹介したところ、ビール缶を用いた土壌放射能の測定方法や土壌のマッピングは注目されずにNHKのニュース(リンクはキャッシュです)でヒマワリに効果があったと報道されました。その後9/14には農水省がヒマワリは現時点では実用化する段階ではない、という発表をしました。それを受けて、HOPE-Japanは効果があるといっているのに農水省は効果がないと行っているではないか?おかしいという批判が出てきたため、9/18にHOPE-Japanが検証のpdfを発表しました。ここでは、HOPE-Japanが出しているデータも農水省のデータもほとんど変わらないということが示されています。

ちょうどその頃にHOPE-Japanの存在を知った私がこのpdfを見て、この数字の羅列では一般の人にはわからないだろうな、と思い、解説記事を書こうと思って書いたのが「9/19 HOPE-Japanのヒマワリのデータと「除染効果についての検証」の解説」です。

その後、HOPE-Japanの@iina_kobeさんといろいろとやりとりをして、HOPE-Japanの活動趣旨、経緯などをある程度理解できたので、そのあたりを前回の記事から補足するとともに、再度「除染」ということからヒマワリを用いた除染方法がどう位置づけられるのか、現在までに得られている情報から考えてみます。


HOPE-Japanのヒマワリのデータは何のためにとったのかというと、@iina_kobeさんに聞いたところ以下のような経緯と結果だったそうです(のツイート参照)。

・ヒマワリを植えてしまったNPOが多いため、その効果を確認するために植えました。
・その結果、ひまわりによる除染よりも表土を剥ぐほうが有効であることを確認しました
・そして、もっと効率がよく、実際に可能な除染方法を提案しています。それが簡易土壌再生法です。

ところが、HOPE-Japanが9/8に記者会見で活動内容を紹介した際のpdfを見てみると、発表されている文章の書き方が@iina_kobeさんとやりとりをして聞いた内容を説明する内容になっていません。
HOPE-Japanの記者会見資料の2ページ目より引用:
『ヒマワリの除染効果を実証
・その結果ヒマワリには一回の栽培で放射性セシウムを吸い上げて土壌中の汚染を 20%-56% 低減させる働きがあることが実証された。
・同時にそのかなりの部分(約 3 分の 2)が葉に集約されることも新たにわかり、ここから除染作業の効率を上げるいくつかの手がかりも得られた。
→栽培の繰り返し、耕地内土壌の予備移動 [別添資料 2] などと組み合わせることで、現実的な除染が可能に!』

これを見たら、NHKがヒマワリには最大56%のセシウム除去効果がある、と書くのも無理がないと思います。私もこの文章を読んだ時にはHOPE-Japanはやはりヒマワリがいいと主張している、と思いましたから。

別添資料におそらく簡易土壌再生法の紹介が載っていたのだと思います。しかし、この記者会見資料にはNPOがデータも無しに植えてしまった通常のヒマワリを用いた除染方法は実用的ではなく、表土を剥ぐ方法が有効であると確認したことが書かれていません。それなしに「20%-56%低減させる」「現実的な除染が可能に!」と書いたためにこの団体はヒマワリの効果を主張したいのだと誤解させやすい表現になっていると思います。おそらく記者会見ではきちんと説明していたのだと思いますが、この表現ではヒマワリの実力を強調したいのだと取られても仕方がないと私は思いました。


2.ヒマワリの実力は?

簡易土壌再生法の話は後で取り上げますが、ここでは再度ヒマワリの除染効果の話を検証したいと思います。

下の表は「6/12 ヒマワリが土壌の放射性セシウムを除去という説の真偽を確認しました。」でも取り上げたある論文(Environ. Sci. Technol., 1999, 33 (3), pp 469–475)の表のデータです。

9/25ヒマワリ1

ここではこの論文のデータについて解説はしません(詳しい日本語の説明は東大 有田研究室をみるといいと思います。他の論文の紹介もあります)。ここで注目していただきたいことは、この表において二つの指標が用いられていることです。一つは移行係数(論文中ではbioaccumulation coefficient)、もう一つはCsの総除去量(total removal(Bq/m2))です。この二つは違う概念ですので、ご注意下さい。

移行係数というのは〔植物中の放射性セシウム濃度(Bq/kg)〕÷〔土壌中の放射性セシウム濃度〕で求められます。一方で、Csの総除去量(または総除去率)というのは単位面積(1m2)あたりの植物中に移行した放射性セシウム量をいいます。従って、移行係数が小さくても植物体の重さが重ければ総除去量は多くなるのです。

「ヒマワリには一回の栽培で放射性セシウムを吸い上げて土壌中の汚染を 20%-56% 低減させる働きがあることが実証された。」という話を聞くと、多くの人はCsの総除去量が20-56%あると勘違いします。しかし、ここで言っている数字はあくまでヒマワリの根のまわりの土壌に限られますし、その範囲がどれだけなのかわかりません。ですから、1m2あたりに直したCsの総除去量は、(ヒマワリ1本あたりの放射性セシウム量)×(1m2あたりのヒマワリの本数)で考えないといけないのです。

9/25ヒマワリ2

HOPE-Japanの説明は間違っていないのですが、誤解を生みやすい表現なのです。この部分については、「9/19 HOPE-Japanのヒマワリのデータと「除染効果についての検証」の解説」でも解説しましたが、重要なところなので再度説明を加えます。

HOPE-JapanがNPOのやっていることの検証で行った実験では、一番よかったデータで計算すると、1703Bq/kgの土壌において、ヒマワリ1本あたりの放射性セシウム量は89.6Bq/kg×2.5kg=224Bqです。20cm間隔で植えたということなので、1m2には25本になりますから、224Bq×25=5600Bq。1m2あたり5600Bqの放射性セシウムがヒマワリに移行した計算になります(前回はこれを4本で計算しました)。

1703Bq/kgの土壌をBq/m2に換算する際の係数がいくつを使うべきか定かでないのですが、農水省は7715Bq/kgの土壌は1067820Bq/m2に換算できると言っているので7715×138=1067820で138を換算係数に用いているようです。ここでも138を換算係数と使用すると、1703Bq/kgの土壌は1703×138=235014Bq/m2ですから、ヒマワリに移行した放射性セシウム5600Bqは5600÷235014=0.0238で約2.4%となります。

ただし、別の土壌のデータ(26315Bq/kg=3631470Bq/m2)の土壌においては、ヒマワリ1本への移行は370Bq/kg×2.5kg=925Bq。1m2あたり25本として1m2のヒマワリへの放射性セシウムの移行量は925×25=23125Bq。23125Bq÷3631470=0.0063で、0.6%にしかなりません。農水省のデータなどと比較してみても、土壌の放射性セシウム濃度が高いところではCsの総除去量(移行率)が低い傾向があります。全体では1-2%というのが普通にヒマワリを植えた場合の実力だということです。

なお、ヒマワリの品種や、生育過程によって吸収量や分布が異なっていることもHOPE-Japanではデータを持っているそうですので、農水省や県農業総合センターのデータではセシウムが根に多く集まっているがHOPE-Japanのデータでは葉に集まるということの違いについては取り上げるのはやめました。

3.ではどうしたらいいのか?

「除染」という以上は植えたヒマワリを最後にどう処分するのか?ということまで考えないといけません。コメントをいただいた方の話では、ヒマワリを微生物で処理すれば体積を1%近くにまで減らせる、ということのようです。しかし、移行係数が1%=0.01しかなければ、ヒマワリの体積を1%に減らして、つまり100倍に濃縮してもやっと土壌と同じ濃度です。濃度が同じということは、何度もヒマワリを植えてセシウムを全て除去できた場合のトータルのヒマワリの廃棄物量(1%に減らした後で)は表土を削って廃棄した場合と変わらないということなのです。HOPE-Japanのデータでは、高い場合で移行係数は0.05あるということですから、1%にまで体積を減らせるならば、廃棄物量は土壌をはぎ取った場合の1/5にすることは可能です。

しかし、農水省のデータでは表土のはぎ取りは一回の作業で75%以上の効果がありますが、ヒマワリを植えた場合は上で検証したように一回で1m2あたりの土壌の放射性セシウムを1-2%しか吸収しませんので、何十回もその作業を繰り返さないといけません。単純にヒマワリを植えるだけでは実用的ではないということがわかると思います。

そこでHOPE-Japanが考案した方法が、簡易土壌再生法です。この方法は非常に面白いと思います。リンク先の下の方に図がありますのでご覧下さい。

簡単にいうと、農地を4分割し、3/4の農地は表土を15cmほどはぎ取って脇にどけておきます。残り1/4は表土15cmをさきほどの3/4の表土と合わせてどけておきます。その後さらにさらに50-75cmほど掘って、さきほどはぎ取ってどけておいた農地の表土15cm分をすべて1/4のエリアに掘った深い穴に埋めてしまうのです。そして3/4の農地には、1/4の深さ15cm以上の汚染されていない土をかぶせます。そうすることにより、3/4の農地はほぼ汚染されていない状態にできます。そして、1/4の農地にはヒマワリやアマランサスなどを植えてファイトレメディエーションを行うのです。

この方法の利点は、(1)土壌の廃棄物が出ないこと、(2)3/4の農地はすぐに汚染がほぼなくなった状態にできること、(3)1/4の農地は当面使用できませんが、ヒマワリのように根が地中深くに伸びる植物のセシウム吸収効率を高める事ができること、とメリットがいくつもあります。

ヒマワリが単位面積あたりのセシウム総除去率が1-2%しかなかったのは、土壌中のセシウムの約95%は深さ5cmまでにとどまっているのにヒマワリの根は地中深くに伸びるためだという説があります。上のように深さ60cm程度までセシウム入りの土壌を人工的に作れば、ヒマワリの吸収効率はもっと上がる可能性があります。HOPE-Japanがもしこのデータを持っているならばぜひ公開して欲しいと思います。

私は必ずしもヒマワリにこだわる必要はないと思っていますが、一般の人にはヒマワリの花の持つイメージに希望をこめたいという気持ちもあるのでしょう。また、すぐに3/4の農地を使える状態にできるという点は魅力的と思いました。

ただ、このような複雑な作業をするならば、表土を全部はぎ取って廃棄すればいいじゃないか、という意見もあると思います。このあたりは、廃棄にかかる費用がどれくらいなのか、金銭的な面が入ってくるので私にはわかりません。おそらく経済的な事情も考慮して考案された方法だと思います。

これもコメントで教えてもらったのですが、実はこちらの「福島ひまわり里親プロジェクト」でも似たような考え方が示されています。こちらのグループはHOPE-Japanに教えてもらったのか独自で考案したのかわかりませんが、やはり植えた部分の局所では20%除去できるというデータがあるようです。これも単位面積あたりの総除去率に直せばもっと低いはずです。こちらのサイトではこんなわかりやすい動画(再生時間2分)もありましたので、ぜひこちらもご覧下さい。

4.まとめ

これまで発表されているデータを元に考えると以下のようなことが言えると思います。

1.単にヒマワリを土壌に植えても、土壌中の放射性セシウムを単位面積あたり1-2%しか吸収できない。表土をはぎ取る方が75%除去できるので実用的(これはHOPE-Japanも確認済み)。

2.表土をはぎ取って一ヶ所に集め、そこにヒマワリやアマランサスを植えると効率よく放射性セシウムを吸収させられる可能性がある。また、表土をはぎ取ったあとの土壌は汚染されていない土壌として使用できる。

3.植物を用いて除染を行う場合は、最後にその植物をどう処理するのかまで考える必要がある。最終的に処分する時の体積や放射性セシウム濃度を考慮して、表土のはぎ取りと比較しても効率よい方法でない限りは安易に実行しない方がよい。今後もし行政の体制が整って無料(あるいは低コスト)で引き取ってくれるならば、はぎ取った表層の土壌はそこにヒマワリを植えたりせずに廃棄した方がよい。

ただし、現実には放射性セシウム濃度の高い下水汚泥の処理などで困っているのが実態ですので、行政がなんとかしてくれるという期待はあまり持てません。そういう意味では、表土をはぎ取って一ヶ所に集めておき、除染効率のよい植物が見つかればそれを植えるというのは意味があると思います。総除去率が1030%あれば10回でほぼ除去できますので、最低でもそれくらいの効率は欲しいと思います。1-2%しかないのであれば、その後の廃棄処理を考えるとやらない方がいいと思います。

11/23追記:計算ミスがあったので修正しました。

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コメント

Re: 10%を10回でほぼ除去できる?

ながぴいさん

おっしゃるとおりですね。計算ミスです。ご指摘ありがとうございました。
20%の除去率として、残りの0.8の10乗が0.107
30%の除去率として、残りの0.7の10乗が0.028

なので、10回でほぼ除去するには30%くらい必要ですね。30%に直しておきます。

ただし、10%というのは仮に出した数値なので、ここは話の本質とは関係ないと思っています。

管理人宛のコメントには、メールアドレスが書いていないものには返答のしようがないので、対応していない場合がありますことをご了解下さい。
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-451.html

10%を10回でほぼ除去できる?

管理人宛に書き込んだのですが、反応がないのでパブリックに書き込みます。

上記のエントリによると、
『総除去率が10%あれば10回でほぼ除去できます』とのことですが、
ほんとうでしょうか?

これは10等分したケーキを1個づつ食べていくような考えですが、
実際は濃度の話になります。

1回につき10%づつ減少するのであれば、
1回目の除去後の残りは90%です。
90%の10%は9%であり、2回目は残り81%になります。
81%の10%は8.1%であり、これが10回続きます。

計算すると、0.9の10乗は0.3487なので、
10回除去を繰り返しても、最初あった分の35%近くがまだ残っていることになります。

いかがでしょうか?

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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