9/29 茨城県の作成した土壌マップ この本当の目的は?
茨城県は、9/22、県内全域における「土壌の放射能濃度マップ」を公表しました。これは、文科省が航空機モニタリングを行ったこととは別に行っています。県として独自に調査を行ってくれたことはありがたいとは思います。
発表されている文書を読んでいくと、主な目的は同時に行った環境放射線データによって、『文部科学省が8月26日に「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」で示している1μSv/hを十分に下回っており、健康に影響のあるレベルではありません。』という事を示したかったようにも読めます。本当の目的は何だったのでしょうか?
測定は、県環境放射線監視センターに依頼して、8/4~9/14に38市町村において行いました。県北の6市町村(北茨城市、高萩市、日立市、常陸太田市、常陸大宮市、大子町)については、文科省が行ったが福島原発から100km圏内で実施した土壌濃度マップ作成における測定値(各市町村の平均値)を採用しています。
測定は以下の2項目について行っています。
(1)土壌中の放射性ヨウ素,放射性セシウム濃度
(2)1m高さにおける放射線量率
土壌については、5cmの深さで5点サンプリングし、全てをまとめて測定しています。
(2)土壌中の放射性ヨウ素,放射性セシウム濃度
・採取深さ:0~5cm
・採土器内径:5cm
・1地点の採取数:5点(全量をまとめて測定)
・測定器:ゲルマニウム半導体検出器
一方、環境放射線データは、1mの高さにおいて、土壌採取エリア内をサーベイメーターで測定した後でその中心地点で測定しました。
(3)1m高さにおける放射線量率
・測定回数:3回
・測定値読み取り時間:1分毎(時定数10秒)
・測定地点:土壌採取エリア(約3m四方)内をサーベイメーターで測定し,局所的に特異な値がないことを確認した後に,その中心地点で測定
・測定器:NaIサーベイメーター
土壌汚染の表し方は、Bq/kgではなく、文科省の航空機モニタリングと同じBq/m2で行っています。その結果、44市町村の放射性セシウム濃度(Cs-134+Cs-137)は4,000~78,000Bq/m2で、平均は約27000Bq/m2でした。
一方、地上1mにおける環境放射線データは、は 0.07~0.29μSv/hで44市町村の平均値は0.16μSv/hでした。
では、データを見ていきましょう。まずは土壌のセシウム汚染です。

これを、8/31に発表された修正版の茨城県の航空機モニタリングの結果と比較してみます。茨城県の評価では、「航空機モニタリングの結果と比較すると,ほぼ同じ分布傾向である。」とほぼ同じ傾向にあるとしています。私が見ても細かい部分は別としてそう思います。一方で、茨城県の測定は、1市町村あたり1ヶ所だけですから、偏りが出てしまっても仕方ありません。

続いて、環境放射線データです。

茨城県は原発設置県なので、放射能を測定する技術を持った研究所などもありますから、こうやって県で調査をやってくれるのはありがたいことです。でも、文科省が航空機モニタリングをやることはわかっていて、それを土壌調査で確認するというには1市町村で1ヶ所だけというのは荒すぎる気もします。
結局この発表で茨城県は何を言おうとしているのでしょうか?評価として、
『今回の測定結果から,県内においては,文部科学省が8月26日に「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」で示している1μSv/h を十分に下回っており,健康に影響のあるレベルではない。』
と記載があるのが気になります。県として、何も対策を取らなくてよいということを正当化するためにデータを取ったのでしょうか?独自に調査してくれたのはありがたいのですが、何を目的にしたのかが今ひとつはっきりしないところが気になります。
県として測定が可能ならば、今後も数ヶ月に一回でも測定してもらえたらありがたいと思います。そのための第一回という位置づけならば、大歓迎です。
なお、ここでは、Bq/m2→Bq/kg、あるいはBq/kg→Bq/m2の換算方法について解説してくれています。文科省が行う調査で採取する土壌の深さが5cmの場合にはBq/m2→Bq/kgは65で割ればよかったのですが、農水省が行う調査で深さ15cmの場合は約200で割ればいいということです。
『(参考)
放射性セシウム濃度の単位Bq/平方メートルのBq/kgへの換算について土の比重を1.3g/立方センチメートルと仮定すると、今回の土壌中放射能濃度(単位Bq/平方メートル)の値を65分の1にすれば(単位Bq/kg)に換算することが出来ます。
なお、農林水産省が実施している農地土壌の調査では、深さ15センチメートルで土壌を採取しておりますので、今回の土壌中放射能濃度(単位Bq/平方メートル)を約200分の1にすれば農地土壌の値(単位Bq/kg)に換算することが出来ます。
(例)60,000Bq/平方メートルを(単位Bq/kg)に換算した場合
60,000(Bq/平方メートル)÷65=920(Bq/kg) <深さ5センチメートル採土>
また、これを農地土壌として換算した場合
60,000(Bq/平方メートル)÷200=300(Bq/kg)<深さ15センチメートル採土>
なお、農地土壌の稲作の作付け制限である、5,000Bq/kgを(単位Bq/平方メートル)に換算すると1,000,000Bq/平方メートルとなる。』
測定は以下の2項目について行っています。
(1)土壌中の放射性ヨウ素,放射性セシウム濃度
(2)1m高さにおける放射線量率
土壌については、5cmの深さで5点サンプリングし、全てをまとめて測定しています。
(2)土壌中の放射性ヨウ素,放射性セシウム濃度
・採取深さ:0~5cm
・採土器内径:5cm
・1地点の採取数:5点(全量をまとめて測定)
・測定器:ゲルマニウム半導体検出器
一方、環境放射線データは、1mの高さにおいて、土壌採取エリア内をサーベイメーターで測定した後でその中心地点で測定しました。
(3)1m高さにおける放射線量率
・測定回数:3回
・測定値読み取り時間:1分毎(時定数10秒)
・測定地点:土壌採取エリア(約3m四方)内をサーベイメーターで測定し,局所的に特異な値がないことを確認した後に,その中心地点で測定
・測定器:NaIサーベイメーター
土壌汚染の表し方は、Bq/kgではなく、文科省の航空機モニタリングと同じBq/m2で行っています。その結果、44市町村の放射性セシウム濃度(Cs-134+Cs-137)は4,000~78,000Bq/m2で、平均は約27000Bq/m2でした。
一方、地上1mにおける環境放射線データは、は 0.07~0.29μSv/hで44市町村の平均値は0.16μSv/hでした。
では、データを見ていきましょう。まずは土壌のセシウム汚染です。

これを、8/31に発表された修正版の茨城県の航空機モニタリングの結果と比較してみます。茨城県の評価では、「航空機モニタリングの結果と比較すると,ほぼ同じ分布傾向である。」とほぼ同じ傾向にあるとしています。私が見ても細かい部分は別としてそう思います。一方で、茨城県の測定は、1市町村あたり1ヶ所だけですから、偏りが出てしまっても仕方ありません。

続いて、環境放射線データです。

茨城県は原発設置県なので、放射能を測定する技術を持った研究所などもありますから、こうやって県で調査をやってくれるのはありがたいことです。でも、文科省が航空機モニタリングをやることはわかっていて、それを土壌調査で確認するというには1市町村で1ヶ所だけというのは荒すぎる気もします。
結局この発表で茨城県は何を言おうとしているのでしょうか?評価として、
『今回の測定結果から,県内においては,文部科学省が8月26日に「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」で示している1μSv/h を十分に下回っており,健康に影響のあるレベルではない。』
と記載があるのが気になります。県として、何も対策を取らなくてよいということを正当化するためにデータを取ったのでしょうか?独自に調査してくれたのはありがたいのですが、何を目的にしたのかが今ひとつはっきりしないところが気になります。
県として測定が可能ならば、今後も数ヶ月に一回でも測定してもらえたらありがたいと思います。そのための第一回という位置づけならば、大歓迎です。
なお、ここでは、Bq/m2→Bq/kg、あるいはBq/kg→Bq/m2の換算方法について解説してくれています。文科省が行う調査で採取する土壌の深さが5cmの場合にはBq/m2→Bq/kgは65で割ればよかったのですが、農水省が行う調査で深さ15cmの場合は約200で割ればいいということです。
『(参考)
放射性セシウム濃度の単位Bq/平方メートルのBq/kgへの換算について土の比重を1.3g/立方センチメートルと仮定すると、今回の土壌中放射能濃度(単位Bq/平方メートル)の値を65分の1にすれば(単位Bq/kg)に換算することが出来ます。
なお、農林水産省が実施している農地土壌の調査では、深さ15センチメートルで土壌を採取しておりますので、今回の土壌中放射能濃度(単位Bq/平方メートル)を約200分の1にすれば農地土壌の値(単位Bq/kg)に換算することが出来ます。
(例)60,000Bq/平方メートルを(単位Bq/kg)に換算した場合
60,000(Bq/平方メートル)÷65=920(Bq/kg) <深さ5センチメートル採土>
また、これを農地土壌として換算した場合
60,000(Bq/平方メートル)÷200=300(Bq/kg)<深さ15センチメートル採土>
なお、農地土壌の稲作の作付け制限である、5,000Bq/kgを(単位Bq/平方メートル)に換算すると1,000,000Bq/平方メートルとなる。』
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