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10/11 2号機から海洋への放射能の流出は3月下旬から始まっていた?

 
ちょっと古いニュースになってしまいましたが、やっとHPで正式な発表を見つけましたのでご紹介します。

福島原発の事故において、2号機からの放射能汚染水の海への流出は東京電力がいうように4月1からではなく、3月26日からだという説が9/27から行われた日本海洋学会で発表されたそうです。このニュース(中日新聞)では、電力中央研究所の津旨(つむね)大輔上席研究員らがまとめたというニュースになっています。

学会発表ということでしたので、HPなどには載っていないと思っていたのですが、いつの間にかWebにも載っていたようです。

実は9/8にも似たようなニュースが流れたのですが、この時は日本原子力研究開発機構などのグループがまとめたというニュースです。いずれHPに掲載されるだろうと思っていたので待っていたのですが、9月中は見つけられませんでした。

この二つは違うニュースのようですが、東京電力の発表よりも多いということでは一致しています。どんな話なのか、調べてみました。ある程度書いて、Webニュース以外の情報が得られないのでしばらく寝かせておいたら、日本原子力研究開発機構のHPに情報を見つけました。そこで、HPの情報を加えてまとめました。

1.日本原子力研究開発機構の発表

まず東京電力は、2号機からの高濃度汚染水の海への流出は4月1日から4月6日までで、520トン、4700テラベクレル(そのうちI-131は2800テラベクレル、Cs-134は940テラベクレル、Cs-137は940テラベクレル)だとしています。なお、テラベクレルとは、1兆ベクレル=1,000,000,000,000Bqのことで、ゼロが12個つきます。

9/8のニュースは、「3月21日から4月30日までに海に流出した放射性物質の量は1万5千テラベクレル」というのが原子力機構の小林卓也研究副主幹らの計算です。これはCs-137ではなく全ての放射性物質量で計算していますので、東京電力の発表の4700テラベクレルとの比較になります。

今月に入って日本原子力研究開発機構のHPにやっとこの発表を見つけました。「福島沖海域における放射能濃度分布のシミュレーションに使用した暫定的な放出量推定について」というものです。A4で1枚のコンパクトな発表です。

彼らが何をやったかというと、
(1)福島第一原発付近の 5、6号機放水口北側と南放水口付近の海水核種分析結果の日平均値を算出し
(2)東京電力が公表した福島第一原発2号機取水口付近のピットから流出した汚染水の放出量(4月1日から5日間)を基にして、上記で算出した濃度の同期間の積算値が公表された値と一致する定数を算出し、
(3)推定した濃度の時系列に定数を乗じることで、暫定的な放出率の時系列を推定しました。

つまり、東京電力が発表した汚染水の放出量(東京電力の発表では、放出量は520トンで4700テラベクレル(そのうちI-131は2800テラベクレル、Cs-134は940テラベクレル、Cs-137は940テラベクレル))と、実際に毎日東京電力が発表している海水のデータ(「5、6放水口北」と「南放水口」で観測されたI-131やCs-137のデータ)と付き合わせて、4月上旬のデータを説明できるような定数を算出しました。

次に、その定数を3/21~4/30までの測定結果に適用したところ、3/21~4/30までに海水で検出された放射能は、東京電力の説明の4700テラベクレルでは足りず、総放出量はCs-137が3600テラベクレル、I-131が11000テラベクレルと推定しました。

これについて、9/8のニュースでは、15000テラベクレルで東京電力の発表の3倍と報道されていますし、日本原子力研究開発機構のHPにもCs-134の数値は記載されていませんが、この時期ならばCs-134もCs-137とほぼ等量出ているはずです。従って、ヨウ素とセシウムの合計値で話をするならば、Cs-134もCs-137とほぼ等量として、18200テラベクレルで、東京電力の発表の約4倍とした方が予想としては正しいように思いました。まあ、あくまで計算上の話なので、3倍か4倍かは本質的なところではありません。

日本原子力研究開発機構のHPでは、

『放水口付近の核種濃度には、直接放出の他に大気からの沈着、陸面沈着からの降雨に伴う海洋への流出、海水の滞留及び過去に放出した汚染水の回帰等の寄与の可能性もあり、不確実性のある暫定的な値です。今後検証を進めることで、より確かな放出量の推定に寄与することができます。』

としており、この推定には直接放出以外のファクター(例えば大気からの沈着)も入っている可能性があることを示唆しています。実はここが非常に重要なコメントで、彼らが直接放出の分だけで計算してもっと多いはずと主張しているのか、大気からの沈着分も含めてのトータルの数値だと考えているのかが知りたくて、私はWebのニュースの段階では紹介するのをためらっていたのです。

2.電力中央研究所と気象研の発表

次に、このHPからリンクが貼ってある電力中央研究所と気象研の発表の要旨です。

『津旨研究員らは、海水に含まれるセシウム137(半減期約30年)とヨウ素131(同約8日)について半減期などを基に割合を分析すると、汚染水が流出したか、大気中に放出された放射性物質が海に落ちたかを区別できることに着目。』(中日新聞より)

この着眼点はわかりやすいですね。こちらのシミュレーションでは、流出は3月26日~4月中旬まで続いたとして、Cs-137の流出量は3500テラベクレルだとしています。東京電力(940テラベクレル)の3倍以上です。

こちらでは、先ほどの日本原子力研究開発機構とは違い、大気中の沈着は除いて計算しているため、直接放出として2号機からは3月下旬から放出されていたはずだ、という推論になっています。

また、Cs-137の流出のシミュレーションを行っていて、それをマスコミに公開しています。
20110926海洋学会発表データ_size8
福島第1原発から海に流出した汚染水に含まれるセシウム137の拡散シミュレーション。(左から)4月8日、13日、5月1日、24日の状況(電力中央研究所提供・共同)

ということで、Cs-137について着目すると、下記のように日本原子力研究開発機構と電力中央研究所の計算はほぼ一致しており、東京電力が発表した量の3倍以上の放射能が海に放出されたことになっています。また、期間も東京電力の発表した4/1ではなく、3月下旬からであろうということです。

東京電力:4/1-4/6 940テラベクレル
日本原子力研究開発機構:3/21-4/30 3600テラベクレル
電力中央研究所:3/26-4月中旬 3500テラベクレル

3.実際のデータで確認しましょう

さて、海洋放射能汚染については、3月下旬から東京電力がデータを発表していますので、実際にそのデータを確認してみましょう。最近私のブログを読んだ方はあまりご存じないと思いますが、4月5月はひたすら海水のデータを追いかけていたので、簡単にグラフを書けます。

10/11海洋放出グラフ

上のグラフは、取水口付近で毎日サンプリングされて測定されているデータを「5、6号機放水口北側:●」と「南放水口付近:■」だけ抜き出して、3月下旬から4月下旬までをI-131とCs-137についてグラフにしたものです。Cs-134はCs-137とほぼ同様なので省略しました。なお、放水口の場所も以下に示します。黄色いラベルで囲んだ部分の矢印の先がそれぞれのサンプリング地点です。

10/11平面図

また、東京電力がいう4/1-4/6の期間を青い枠で囲んでみました。

これによりはっきりとわかることは、4/1以前からも「5、6号機放水口北側」や「南放水口付近」ではすでに高濃度の汚染があり、その量も4/1-4/6の流出(海に広がる時間の分だけ流出よりも1-2日遅れているようです)に匹敵するだけの量であるということです。グラフ上の点を結んだ線の部分の面積が放出量に相当しますので、確かに3月下旬から4月下旬までを考えると、東京電力が発表した量の2倍以上はあるということがこのグラフを見ただけでもわかります。

次に、ではこれが直接放出したものなのか、大気からの沈着によるものなのかの評価です。電力中央研究所の発表では、I-131とCs-137の比率を調べることで直接放出なのか大気からの沈着なのかわかる、ということを教えてくれました。そこで、3月下旬のデータと、4月上旬のデータについて、I-131とCs-137の比率を計算しました。I-131/Cs-137比率を緑色の線で示しました。右側の縦軸に目盛りをつけています。3/23に20程度と高くなっていますが、その後は徐々に低下し、4月上旬には2前後になっています。

10/11海洋放出グラフ2

東京電力のHPには大気中の放射能も発表されていますので、それで確認すると、3/24の大気中にはI-131/Cs-137比率は40~50とかなり高い数値です。3/23のI-131/Cs-137比率20というのはこの大気中の放射能が沈着したものと考えられます。

一方、東京電力の発表によると、2号機から海洋に流出した放射能のI-131/Cs-137比率は約3(2800/940)です。3月下旬のI-131/Cs-137比率が5前後から徐々に下がっているのは、大気中の放射能の沈着と海洋への直接放出が混ざっていて、大気中からの沈着の影響がかなり小さくなって海洋への直接放出だけになったのが4月上旬と考えるのが矛盾のない解釈と思います。

つまり、電力中央研究所が指摘しているように、海洋への直接放出は3月下旬から始まっており、3/28や3/30のピークは海洋への直接放出によるものと考えた方がよいということです。

すると、必然的に、その放出量も、日本原子力研究開発機構や電力中央研究所が計算しているようにCs-137で約3倍になるということだと思います。

ただ、東京電力の発表がごまかしているのかというと、そんなことはありません。「4/21 福島原発で注ぎ込まれた冷却水はどこへ行ったのか?その4」でご紹介しましたが、4/1-4/6の放出量については、非常にザックリとした計算ではありますが、しっかりと計算はしています。

あとは、3月下旬の海水のピークをどうとらえるか?という問題です。ひょっとしたら東京電力はここでは都合のいい解釈をして、2号機からの流出ではないとしたのかもしれません。

私にとっては、3月下旬のピークが何なのか、ずっと謎でした。今回、二つの研究機関の発表を見て、自分で再度確認してみた結果、やはり3月下旬のピークも2号機?から海に漏れ出していたものであろうと考えるのが一番理解しやすいと思いました。それがどこからだったのかはわかりません。ただ、今はもう大きな流出はないと考えていいと思います。

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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