10/2 文科省の発表したプルトニウム・ストロンチウムの汚染マップ
9/30、文科省はHPにおいて、土壌中のプルトニウム・ストロンチウムのデータを公表しました。これはすでに公表されている土壌中のセシウムのデータ(「8/30 土壌調査の結果が文科省と農水省から発表されました!」参照)などと同時期に行った調査の結果です。
今回のデータは、100ヶ所の測定地点におけるデータを書き込んだ図が発表されただけで、データのまとめの表は発表されていません。このあとで発表されるものと信じたいですが、発表される保証はありません。また、発表された図の品質も今までで一番悪く、このあとでお見せしますが非常に見にくいものとなっています。
今回の意義は、国の測定によって初めて飯舘村などでプルトニウムが検出されたということだと思いますので、細かい数字の検証については上記のような事情(数字もよく読めない)もあり省略させていただきます。
10/5 追記:本日?公開された検討会資料にはもっと解像度のいい図がありました。
まずはプルトニウム238と239+240の測定結果についてです。図がぼやけて見えるのはFC2ブログの図の容量制限(500kb)のためにpdfをGIFにしていることもあるのですが、今回はそれに加えて元の画質が悪いからです。元のpdfファイルをご確認下さい。

プルトニウムについてはこのブログでは初めてまともに扱いますので、少しだけ解説を加えます。
プルトニウム(Pu)にはいくつかの同位体があります。Pu-238、Pu-239、Pu-240など、いくつかのプルトニウムが存在します。ウラン鉱石中に天然に存在するプルトニウムもごく一部ありますが、ほとんどは人工放射能です。原子力資料情報室(CNIC)のサイトによると、使用済み核燃料中の存在量は、Pu-239が約59%、Pu-240が約24%、Pu-238が1.8%です。半減期は、Pu-239が一番長くて24000年、Pu-240が6560年、Pu-238は87.7年と短めです。とはいえ、Cs-137の30年、Sr-90の29年と比べるとどれも長いです。
また、プルトニウムはα線と呼ばれる放射線を出します。セシウムやヨウ素はガンマ線を出しますので簡単に検出できますが、プルトニウムは簡単にはα線しか出しませんので、簡単には測定できません。
その他、「あとみん」も子供向けに解説してあるので初めての方にはわかりやすいかもしれません。
土壌中には、1960年代の地上核実験の際に放出されたプルトニウムがいまだに残っています。半減期24000年なのである意味当然です。従って、今回の福島原発の事故で放出されたプルトニウムかどうかを判断するためには、半減期が比較的短いPu-238が、Pu-239+Pu-240(この二つが放出するアルファ線のエネルギーがほぼ等しいため、測定上この二つを見分けるのは難しい)と比べてどれくらいの比率であるか、ということが判断の決め手になります。
今回の文科省の発表によると、『平成 11~20 年度までの全国調査において観測されているプルトニウム 239+240(プルトニウム 239 の半減期:24100年、プルトニウム 240 の半減期:6564 年)に対するプルトニウム 238(半減期:87.7 年)の沈着量の比率は、全国平均で 0.026程度であるのに対して、本調査においてプルトニウム 238、239+240 双方が検出された5箇所の調査箇所は 0.33~2.2 程度であり、事故発生前より比率が大きいことから、これらの5箇所については、今回の事故に伴い、新たに沈着したものと考えられる。』
ということですので、この比率が原発事故前の比率(0.026)よりも10倍以上高いことから、5ヶ所においては今回の福島原発事故によって飛んできたということが確認されたということです。
ちなみに5ヶ所とは、わかりにくい図から判断すると、以下の場所です。単位はBq/m2です。
Pu-238 Pu-239+Pu-240
双葉町 0.55 0.66
浪江町 2.3 1.8
浪江町 4.0 1.8
飯舘村 0.77 0.60
飯舘村 0.82 2.5
この発表により、飯舘村のように原発から50km近く離れた場所においてもプルトニウムが飛散していたという事実を国としても認めたということです。
なお、この数値は、毎日jpの記事によると、10/1、東京電力は濃度の最高値は原発敷地内の1~3割に相当すると発表したそうです。「文部科学省によると、同位体の一つのプルトニウム238(半減期約88年)の最高値は浪江町での1平方メートル当たり4ベクレル。これを東電が用いている土壌1キログラム当たりに換算すると、0.062ベクレルになり、原発敷地内の最高値の同0.54ベクレルの11%に相当した。
プルトニウム239(同2万4000年)と、プルトニウム240(同6540年)を合わせた濃度の最高値は南相馬市で1平方メートル当たり15ベクレルだった。これは1キログラム当たりでは0.23ベクレルで、原発敷地内の最高値の同0.75ベクレルの31%となる。」

次にストロンチウム(Sr)です。Srについては、海水や海底土では取り上げてきましたが、土壌ではあまり取り上げてきませんでした。Srはβ線しか出さないので、やはり測定が簡単にはできません。しかし、Sr/Csの比率、あるいはSr-90/Cs-137の比率がわかれば、セシウムのデータは豊富にありますからストロンチウムの汚染状況も把握できます。これまで得られていた情報では、Sr/Csの比率は、土壌においては1/1000前後と比較的低かったと思います(それに対して海水はもう少し高め)。今回は、下記のような記載がありました。
『(参考)セシウム 137 に対するストロンチウム 90 の沈着量の比率の状況
ストロンチウム 90 が検出された土壌試料における、セシウム 137 に対するストロンチウム 90 の沈着量の比率:1.6×10-4~5.8×10-2(平均:2.6×10-3)』
また、『本結果より、放射性ストロンチウム及び放射性セシウムの沈着量の分布は一様ではないことが確認された。今後、本調査において放射性セシウムに対する放射性ストロンチウムの沈着量の比率が大きな箇所を中心に追加調査を行うとともに、放射性物質の移行状況調査や放射性プルームが原子炉から放出した際の炉内状況の検証結果を通じて、ストロンチウムの挙動について詳細に検討する。 』ということですので、今後の詳細な調査に期待したいと思います。

プルトニウムについてはこのブログでは初めてまともに扱いますので、少しだけ解説を加えます。
プルトニウム(Pu)にはいくつかの同位体があります。Pu-238、Pu-239、Pu-240など、いくつかのプルトニウムが存在します。ウラン鉱石中に天然に存在するプルトニウムもごく一部ありますが、ほとんどは人工放射能です。原子力資料情報室(CNIC)のサイトによると、使用済み核燃料中の存在量は、Pu-239が約59%、Pu-240が約24%、Pu-238が1.8%です。半減期は、Pu-239が一番長くて24000年、Pu-240が6560年、Pu-238は87.7年と短めです。とはいえ、Cs-137の30年、Sr-90の29年と比べるとどれも長いです。
また、プルトニウムはα線と呼ばれる放射線を出します。セシウムやヨウ素はガンマ線を出しますので簡単に検出できますが、プルトニウムは簡単にはα線しか出しませんので、簡単には測定できません。
その他、「あとみん」も子供向けに解説してあるので初めての方にはわかりやすいかもしれません。
土壌中には、1960年代の地上核実験の際に放出されたプルトニウムがいまだに残っています。半減期24000年なのである意味当然です。従って、今回の福島原発の事故で放出されたプルトニウムかどうかを判断するためには、半減期が比較的短いPu-238が、Pu-239+Pu-240(この二つが放出するアルファ線のエネルギーがほぼ等しいため、測定上この二つを見分けるのは難しい)と比べてどれくらいの比率であるか、ということが判断の決め手になります。
今回の文科省の発表によると、『平成 11~20 年度までの全国調査において観測されているプルトニウム 239+240(プルトニウム 239 の半減期:24100年、プルトニウム 240 の半減期:6564 年)に対するプルトニウム 238(半減期:87.7 年)の沈着量の比率は、全国平均で 0.026程度であるのに対して、本調査においてプルトニウム 238、239+240 双方が検出された5箇所の調査箇所は 0.33~2.2 程度であり、事故発生前より比率が大きいことから、これらの5箇所については、今回の事故に伴い、新たに沈着したものと考えられる。』
ということですので、この比率が原発事故前の比率(0.026)よりも10倍以上高いことから、5ヶ所においては今回の福島原発事故によって飛んできたということが確認されたということです。
ちなみに5ヶ所とは、わかりにくい図から判断すると、以下の場所です。単位はBq/m2です。
Pu-238 Pu-239+Pu-240
双葉町 0.55 0.66
浪江町 2.3 1.8
浪江町 4.0 1.8
飯舘村 0.77 0.60
飯舘村 0.82 2.5
この発表により、飯舘村のように原発から50km近く離れた場所においてもプルトニウムが飛散していたという事実を国としても認めたということです。
なお、この数値は、毎日jpの記事によると、10/1、東京電力は濃度の最高値は原発敷地内の1~3割に相当すると発表したそうです。「文部科学省によると、同位体の一つのプルトニウム238(半減期約88年)の最高値は浪江町での1平方メートル当たり4ベクレル。これを東電が用いている土壌1キログラム当たりに換算すると、0.062ベクレルになり、原発敷地内の最高値の同0.54ベクレルの11%に相当した。
プルトニウム239(同2万4000年)と、プルトニウム240(同6540年)を合わせた濃度の最高値は南相馬市で1平方メートル当たり15ベクレルだった。これは1キログラム当たりでは0.23ベクレルで、原発敷地内の最高値の同0.75ベクレルの31%となる。」

次にストロンチウム(Sr)です。Srについては、海水や海底土では取り上げてきましたが、土壌ではあまり取り上げてきませんでした。Srはβ線しか出さないので、やはり測定が簡単にはできません。しかし、Sr/Csの比率、あるいはSr-90/Cs-137の比率がわかれば、セシウムのデータは豊富にありますからストロンチウムの汚染状況も把握できます。これまで得られていた情報では、Sr/Csの比率は、土壌においては1/1000前後と比較的低かったと思います(それに対して海水はもう少し高め)。今回は、下記のような記載がありました。
『(参考)セシウム 137 に対するストロンチウム 90 の沈着量の比率の状況
ストロンチウム 90 が検出された土壌試料における、セシウム 137 に対するストロンチウム 90 の沈着量の比率:1.6×10-4~5.8×10-2(平均:2.6×10-3)』
また、『本結果より、放射性ストロンチウム及び放射性セシウムの沈着量の分布は一様ではないことが確認された。今後、本調査において放射性セシウムに対する放射性ストロンチウムの沈着量の比率が大きな箇所を中心に追加調査を行うとともに、放射性物質の移行状況調査や放射性プルームが原子炉から放出した際の炉内状況の検証結果を通じて、ストロンチウムの挙動について詳細に検討する。 』ということですので、今後の詳細な調査に期待したいと思います。
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