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10/6 水産庁が発表した魚の産地(生産水域名)の表示とは?

10/5、水産庁は都道府県や漁業協同組合に対して、魚の産地についての消費者の関心が高まっているので生産水域名も表示するように通知(リンク先は日経新聞のWeb)しました。

これまでは、例えば福島県沖でとれた魚であっても、水揚げを銚子港で行えば千葉県産という表示が認められていました。今回は実際に取れた水域をできるだけ表示するようにという通知です。


まず、水産庁のHPに発表された内容を抜き出してきました。

生鮮水産物については、JAS法にもとづく生鮮食品品質表示基準により、
(1)国産水産物にあっては生産した水域名を記載し、それが困難な場合には水揚げした港名又は水揚げ港が属する都道府県名をもって水域名の記載に代えることができること。
(2)その水域名については、「生鮮魚介類の生産水域名の表示のガイドライン」(平成15年6月水産庁作成)により表示すること

となっています。この「ガイドライン」においては、水域名の例示はあるものの、水域名に対応する区域は必ずしも示されていませんが、今回の原発事故をふまえて、東日本太平洋側で漁獲されたものを中心に、検査対象水域を踏まえて生産水域の区画及び水域名を明確化し、生鮮水産物の原産地を表示することを奨励することにしました。

東日本太平洋における生産水域名の表示方法

1.回遊性魚種について

(1)水域区分図(下の方に示します)のとおり表示することとします。
(2)各都道県において、上記区分図に示された水域より細かい水域で表示したい場合には、検査対象区域との整合性を考慮して水域を設定することもできます。この場合においては、当該水域を図示したものを水産庁まで提出し、水産庁は、上記区分図をホームページに掲載する際に、当該水域図も併せて掲載します。

2.沿岸性魚種について

(1)「○○県沖」と表示をすることとします。この場合において、「○○県沖」とは、当該県知事の権限に基づいて通常操業する水域とし、大臣許可又は隣接都道県知事の許可も併用して操業し、かつ、いずれの県沖か明確にならない場合には、回遊性魚種についての表示方法に従って表示を行うこととします。(対象:北海道~千葉県)
(2)各都道府県において、県沖より細かい水域で表示したい場合には、回遊性魚種についての表示方法を準用します。

3.その他

「回遊性魚種」は下記のとおりとし、これら以外は「沿岸性魚種」とします。
ネズミザメ、ヨシキリザメ、アオザメ、いわし類、サケ・マス類、サンマ、ブリ、マアジ、カジキ類、サバ類、カツオ、マグロ類、スルメイカ、ヤリイカ、アカイカ

以上が、水産庁のHPに発表されている概略です。

今までは「生鮮魚介類の生産水域名の表示のガイドライン」というものがあり、詳細はリンクを見てもらえばわかるので省略しますが、沖合でとれる回遊魚についての表示方法は、下図のように生産水域名を表示することも認められていました。

10/6水産ガイドライン

そのため、水域名としては「三陸沖」や「陸奥湾」といった具体的な名称以外にも「日本太平洋北部」といった表現もOKでした。

今回は、沿岸性魚種と回遊性魚種の二つに分けて、「ネズミザメ、ヨシキリザメ、アオザメ、いわし類、サケ・マス類、サンマ、ブリ、マアジ、カジキ類、サバ類、カツオ、マグロ類、スルメイカ、ヤリイカ、アカイカ」以外は全て沿岸性魚種と定義をしました。そして、沿岸性魚種については「○○県沖」と表示することと定められました。

そして、回遊性魚種については、下図のように200海里以内では「三陸北部沖」などと表示しますが、200海里を超えた沖合では、「日本太平洋沖合北部」と表示するように求められました。

10/6新水域名

(回遊性魚種の表示例)
上の区分図②の水域で漁獲した「回遊性魚種」の場合、「三陸北部沖」と表示する。
(沿岸性魚種の表示例)
岩手県知事の権限に基づいて通常操業する水域で漁獲した「沿岸性魚種」の場合、「岩手県沖」と表示する。


ということで、生産水域名についてはこれまでよりもわかりやすくなるのではないかと予想されます。ただ、今回の通知文においては、「生鮮食品品質表示基準」にある「生産した水域名を記載し、それが困難な場合には水揚げした港名又は水揚げ港が属する都道府県名をもって水域名の記載に代えることができること」について、水揚げ港だけの表示を止めろとは書いていません。生産水域名を表示しなくてこれまで通りに水揚げ港を水域名の代わりに記載してもお咎めがないようにも読めます。そこに抜け道があるのではないでしょうか?

このあたり、今回の通知でどれだけの改善があるのか、気になるところです。あとは消費者側、あるいは販売店側が、生産水域名がわからないものは買わない、売らないということをすれば、いい加減な(どこでどれたかがわからない)表示のものは淘汰されていくと思うので、それに期待するしかなさそうです。今回の通知に従えば、「○○沖」「○○県沖」と通常は表示に「沖」が入るはずです。従って、「○○県産」とだけ表示されていて、「沖」が書いてない場合は、消費者側が買う前に店の人に確認する、という事を行っていく事が必要だと思います。

11/21追記:その後の話は「11/21 水産庁が推奨した新しい魚の産地の表示、やっと始まりました!」にありますのでこちらも後でご覧下さい。

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これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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