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10/23 柏市の土壌から276000Bq/kgの放射性セシウムを検出!どうやってこんな高濃度が?

 
金曜日に柏市の土壌で57.5μSv/hの放射線が検出されたという話がありましたが、その話に進展がありました。まだ情報が錯綜している段階ですが、柏市からの公式の発表もありますので、それを中心にご紹介します。
(24日に追記しました。26日にYoutubeの画像へのリンクを追加しました。)

10月に入ってから、世田谷区の民家のラジウム(結局数十年前の夜行塗料だったようです)など、局所的に放射能が高い場所が見つかっていました。今回も福島原発と関係あるのかないのか?というところが一つの焦点になっていました。

柏市のHPの情報が一番整理されていますので、経緯についてはそこから引用します。

経緯: 
『・平成23年10月18日(火)、地元町会等から高濃度放射線量がある箇所があるとの電話通報を受ける。
・翌19日(水)、市有地を管理する資産管理課で現地確認を行う。特定箇所から10マイクロシーベルト/時を超える数値を確認する。
・20日(木)、町会役員立会いのもと、現地の数値を確認する。市所有の放射線量計では計測が不可能。(10マイクロシーベルト/時以上)
・21日(金)、財団法人千葉県環境財団に専門的な数値の確認を依頼し、表面から約30cm掘削した地点で最高値57.5マイクロシーベルト/時の数値を確認した。』

場所は、柏市根戸字高野台457番地3(柏市有地)、半径1メートル程度の範囲ということで、現在はブルーシートをかけて、現場近くは立ち入り禁止になっています。

また、同じく柏市のHPによると、この地点の土壌からは、最大で放射性セシウムが合わせて276000Bq/kgの放射性セシウムが検出されました。

10/23柏市土壌

当初、福島原発とは関係がないという情報が流れていましたが、文科省と連携して文科省が23日に調査にあたったところ、Cs-134とCs-137の比率から、福島第一原発由来のものである可能性が高いということが判明しました。

確かに上のデータを見ていただくと、Cs-134の数値がCs-137よりも少し少ないくらいです。福島第一原発由来の放射能で、Cs-134とCs-137の比率は、3月時点ではほぼ同じ量でした。Cs-134の半減期が2年で、Cs-137の半減期が30年であるため、Cs-134は少しずつ減ってきていますがCs-137はまだほとんど減っていません。そのために最近の測定値では、Cs-134がCs-137より少ない(8割くらい)ことが多いです。そういう意味では、今回の測定値からすると、福島第一原発由来というのが正しいような気がします。

では、何がどこから?という話になります。ここについてはまだ答がわかっていません。わかっていることは下記のことです。

・地表よりも地下30cmの方が線量が高かった。
・地下30cmの土壌は、276000Bq/kgの放射性セシウムと、かなり濃縮されたものである。

ということから、(1)下水などの側溝から漏れ出した水がたまった(2)誰かがこっそり廃棄したという二つの説があるようです。

『放射性物質に詳しい大阪大学の藤原守准教授は「半減期が2年のセシウム134は、原子炉を動かしたときにできる物質で、通常は原子炉の中にしかないため、今回検出されたのは福島第一原発の事故による放射性セシウムと考えられる。局所的に濃度が高くなっていることから推測すると、側溝などで濃縮された放射性セシウムを含む土か、福島第一原発近くの土が外から持ち込まれた可能性が考えられる。土壌の分析をすれば、福島の土か、柏市内の土か、ある程度推定できると思う」』(NHKオンラインより)

(1)についてですが、公表されているデータでは下記のことがわかっています。

環境省のHPにある柏市の清掃工場からの焼却灰も、下の図に示すように溶融飛灰固化物で最大で70800Bq/kg(6/27)しかありません。7月以降の測定データはありませんが、焼却灰ではこれだけの濃度にはなりません。
10/23柏市土壌2

国土交通省の下水汚泥のデータを見ても、千葉県では我孫子市の焼却灰で20000Bq/kgが最高であり、それを超えるような汚泥は千葉県では検出されていません。

千葉県北西部の浄水土(浄水場で発生する汚泥)についても、北千葉広域水道企業団のデータを見ると1000Bq/kg程度であり、とてもこれでは説明できません。

これらのことから、(1)の説は可能性が低いのではないかと今の時点では予想します。

ただし、下記のようなtogetterの情報もあり、文科省が現場で記者会見したところによると、『文科省の説明によれば、ちょうどこの場所に雨水が集まる枡があって、その枡が壊れてこの場所に局所的な高線量の場所が生じた可能性が高い、とのことです。ほほう雨水枡があるのかい?』というように、U字型の側溝雨水桝がこわれてそこから漏れた水がたまって、という説明をしているそうです。

私は、柏市の線量が高いとはいえ、これまでに説明したような下水処理場や焼却場のデータなどからしてもそこまで高くならないのではないか?と思います。雨水桝でこんなに高く土壌を汚染できるならば、他の地区でも同等の汚染が起こっていてもおかしくありません。

まだ原因については確定できたとは言えないと思います(23日20時の時点)。おそらく一日経つとまた新しい情報が入ってくるでしょうから、適宜追記するか別の記事で補足する予定です。

22時30分追記:文科省のHPに今回の測定データと原因について発表されていました。

10/23柏市土壌文科省

・地表から1mの高さで2.0μSv/h
・地表から50cmの高さで4.5μSv/h
・地表面で15μSv/h
・周辺の平均的な空間線量率は地表面から1m高さで0.3μSv/h

そして、下記のように原因を推定しています。

『空間線量率の高い地点脇の側溝(深さ約30cm)に約50cm幅の破損が発見され、この箇所が半減期約2年の放射性セシウム134が確認された地点に近いことから、東京電力(株)福島第1原子力発電所の事故による放射性セシウムを含んだ雨水が側溝の破損口から漏れ込み、当該地点で放射性セシウムが土壌に濃縮され、蓄積されたと推定した。』

文科省はこれで決着させたいようですが、ちょっと信じがたいです。国土交通省のこのExcel(リンクを押すとダウンロードされます)を調べてもらったらわかりますが、福島県以外で脱水汚泥のデータを見てもらえば、20000Bq/kgを超えるものはないことがわかります。先ほど焼却灰と書きましたが、雨水桝から漏れたものの蓄積であれば、焼却灰ほど濃縮されることはないので、比較するとすれば下水汚泥が一番です。この数値を見る限り、276000Bq/kgの放射性セシウムというのは本当かな?と疑問符が付きます。

実際そうなのかもしれませんが、もしそうならば、逆に先ほども書きましたが、このような局地的な汚染がいくらでも起こりうるということなので、他の場所でも注意が必要です。こういう場所のSrとかも測定して欲しいですね。

最後に、毎日.jpのリンクをご紹介して終わりにします。
追記終了

24日7時追記:別のtogetterのまとめにもう少し細かい情報が入っていました。以下、抜き出します。

文科省によると、コンクリ側溝脇の約1平方mの区域で特に高線量。側溝の一部が約50cm~1m程度壊れており、側溝に流れ込んだ雨水がここから地中に染み込んだ影響が疑われるという。

現場に行った元同僚からの情報では、普通のU字側溝の壁面が損傷し、そこから土壌に浸透したため、地表面ではなくやや下側が高濃度になったようです。崖状の地形でその上の舗装面の雨水を集めやすい場所でした。

道路に直交する方向から流れ下った側溝が、道路に沿う方向にL字型に曲がる場所の内側の壁が破損しており、そこに「面した」敷地の隅が局所的に汚染されました。かなり特殊なケースですが他にありえないとはいえません。土質等の情報は得ていません。

福島県でも、9月に側溝から高濃度の放射性セシウムが検出されたケースがありました。会津若松市(原発から100km離れている)で237000Bq/kgを検出したということです。

福島県の中でも会津若松市は環境放射線が0.13μSv/と柏市よりも低く、航空機モニタリングのデータでも30000Bq/m2以下で60000-100000Bq/m2の柏市よりも低いので、ここで237000Bq/kgを検出したのならば、柏市で276000Bq/kgの放射性セシウムというのも充分あり得る話ですね。

会津若松市のデータを見て、個人的には納得しました。
追記終了

26日朝追記:YouTubeにわかりやすいニュース画像がありましたのでリンクを掲載します。L字型の側溝もよくわかります。ただし、このリンク先がいつまであるかはわかりません。
追記終了
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これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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