10/26 横須賀市は給食食材まるごとの放射能測定結果を発表しました
10/25、横須賀市は学校給食を食材の一部ではなく全てまとめてミキサーにかけて放射能測定をする、ということを行い、その結果を初めて発表しました。
この方法は、私がよく紹介している東大の早野先生がぜひ行うべし、と主張していた方法です。以前私が「8/23 龍ヶ崎市は給食の食材を前日に簡易測定することを始めました!」でご紹介したような方法とは違います。その考え方と第一回目の結果について解説します。
多くの自治体の給食センターなどで現在行われている給食の放射能測定は、以前龍ヶ崎市の例でご紹介したように、食材の一部を前日に測定して、もし高い放射能が検出されたらその食材は給食には利用しない、というものです。この場合、測定する機械は自治体で購入した簡易型のNaIシンチレーション型の測定器であることが多いです。つまり、各都道府県で行っているようなゲルマニウム検出器で精密に(検出限界1Bq/kg以下で)測定する方法ではありません。
これに対して、早野先生が主張して横須賀市が取り入れた方法は、給食一人分をまるごととっておき、それをあとでまとめてミキサーにかけて、ゲルマニウム検出器で放射能測定を行うというものです。後日測定するわけですので、結果が出た時にはすでにその給食は食べてしまっていることになりますので、予防的な意味ではつかえません。
しかし、この方法では、給食全ての食材を漏らさず測定できること、ゲルマニウム検出器で測定するために高感度で測定できること、給食は必ず食材を保存することが義務づけられているのでもし放射能が検出された時に遡ってどの食材が汚染されているのかを確認することができるというメリットがあります。(通常の方法では、一部の食材を選ぶため、また検出感度がゲルマニウム検出器ほど高くないので検査をすり抜ける不安があります。)
そして何よりも、週に一回の測定であっても毎週続けていくことにより、半年間や1年間の合計で内部被曝がどれだけ起こっているのかを正確に把握することができるというのが早野先生の主張です。横須賀市は、一週間分の食材をまとめて1検体として、外部機関に測定を依頼するという方法をとっています。この方法であれば、測定の費用の問題はありますが、高価なゲルマニウム検出器を買う必要もありませんし、プロが測定してくれます。予算さえ確保できればすぐにでも導入できます。

(早野先生が10/21のニコニコ生放送で使用したスライド(39枚目)より)
私も最初は、事前に検査できないのであれば意味ないな、と思っていたのですが、早野先生が繰り返しツイッターで主張されて、新聞などにも投稿されているのを読んで、やってみる価値はあると思うようになってきました。
また、必ず自治体でこういう事をやろうとする時に議論になるのが、もし放射能が検出されたらどうするか?ということらしいです。でも、これも先ほどの早野先生の投稿にあるように、結果は結果として正確に公表していくしかありません。米の放射能測定であったように、40Bq/kgのND(不検出)よりも1Bq/kgの感度での1.2Bq/kgであれば、ちゃんと説明すれば後者の方が安心できることは多くの人が理解できるはずです。
そして昨日の横須賀市の発表です。では、その結果を見ていきましょう。
まず、横須賀市が給食に用いている食材についてです。それはこのHPに出ています。そして、その食材の一部代表的なものを3つ選んで(財)日本冷凍食品検査協会(横浜市金沢区福浦)に委託して測定したもらったのがこの結果です。これは10/14にすでに発表されていたもので、多くの自治体で現在行われているものと同じタイプの測定です。ただし、横須賀市の場合は外注して高感度の測定を行っています。

そして、10/25に発表された給食丸ごとの測定の第一回の結果は次のようなものでした。

今回の結果については、どれだけの量だったのかが書いていないのですが、早野先生から補足があり、4.13kgだということがわかりました。つまり、今回は7食分(通常は1週間で平日の5食分)なので、Bq/kgをBq/1食に変換するには、約4.13/7=0.6倍すればいいことになります。今回の結果では、Cs-134は平均で<0.4 Bq/1食、Cs-137は平均で<0.3Bq/1食という計算ができます。こういう結果が出れば安心ですね。
早野先生が下記に主張しているように、文科省が考えているような、自治体に簡易測定器を買わせる予算をつけて、慣れない職員が感度の悪い(10Bq/kg程度までしか測定できない)機械で測定するならば、横須賀市が行っているように検査機関で精密に週に1検体測定してもらい、その費用を国や県が援助するという形の方が合理的ですし現実的です。果たしてこちらはどうなるでしょうか。官僚がどこまで理解してくれるかですね。

(クリックで別画面に拡大)
ちなみに、これまたニコ生の早野先生からのスライド(38枚目)を引用しますが、日本人が過去に食べてきた食事の中には、この10年間くらいを見ると、一日一人あたりCs-137で0.01-0.1Bq/kg、Sr-90でも0.01-0.1Bq/kgが含まれています。よく勘違いする人がいるのですが、3.11の前は食事中の放射能はゼロだったということはありません。微量ですが含まれています。

なお、このグラフは環境放射線データベースで誰でも簡単に同じ結果を得ることができます。興味のある方はぜひトライしてみてください。そうすれば、1963年頃は今回の横須賀市の給食よりも高くて1Bq/kgを超えるCs-137が含まれていたのだということがわかると思います。これはいうまでもなく地上核実験の影響によるものです。
これに対して、早野先生が主張して横須賀市が取り入れた方法は、給食一人分をまるごととっておき、それをあとでまとめてミキサーにかけて、ゲルマニウム検出器で放射能測定を行うというものです。後日測定するわけですので、結果が出た時にはすでにその給食は食べてしまっていることになりますので、予防的な意味ではつかえません。
しかし、この方法では、給食全ての食材を漏らさず測定できること、ゲルマニウム検出器で測定するために高感度で測定できること、給食は必ず食材を保存することが義務づけられているのでもし放射能が検出された時に遡ってどの食材が汚染されているのかを確認することができるというメリットがあります。(通常の方法では、一部の食材を選ぶため、また検出感度がゲルマニウム検出器ほど高くないので検査をすり抜ける不安があります。)
そして何よりも、週に一回の測定であっても毎週続けていくことにより、半年間や1年間の合計で内部被曝がどれだけ起こっているのかを正確に把握することができるというのが早野先生の主張です。横須賀市は、一週間分の食材をまとめて1検体として、外部機関に測定を依頼するという方法をとっています。この方法であれば、測定の費用の問題はありますが、高価なゲルマニウム検出器を買う必要もありませんし、プロが測定してくれます。予算さえ確保できればすぐにでも導入できます。

(早野先生が10/21のニコニコ生放送で使用したスライド(39枚目)より)
私も最初は、事前に検査できないのであれば意味ないな、と思っていたのですが、早野先生が繰り返しツイッターで主張されて、新聞などにも投稿されているのを読んで、やってみる価値はあると思うようになってきました。
また、必ず自治体でこういう事をやろうとする時に議論になるのが、もし放射能が検出されたらどうするか?ということらしいです。でも、これも先ほどの早野先生の投稿にあるように、結果は結果として正確に公表していくしかありません。米の放射能測定であったように、40Bq/kgのND(不検出)よりも1Bq/kgの感度での1.2Bq/kgであれば、ちゃんと説明すれば後者の方が安心できることは多くの人が理解できるはずです。
そして昨日の横須賀市の発表です。では、その結果を見ていきましょう。
まず、横須賀市が給食に用いている食材についてです。それはこのHPに出ています。そして、その食材の一部代表的なものを3つ選んで(財)日本冷凍食品検査協会(横浜市金沢区福浦)に委託して測定したもらったのがこの結果です。これは10/14にすでに発表されていたもので、多くの自治体で現在行われているものと同じタイプの測定です。ただし、横須賀市の場合は外注して高感度の測定を行っています。

そして、10/25に発表された給食丸ごとの測定の第一回の結果は次のようなものでした。

今回の結果については、どれだけの量だったのかが書いていないのですが、早野先生から補足があり、4.13kgだということがわかりました。つまり、今回は7食分(通常は1週間で平日の5食分)なので、Bq/kgをBq/1食に変換するには、約4.13/7=0.6倍すればいいことになります。今回の結果では、Cs-134は平均で<0.4 Bq/1食、Cs-137は平均で<0.3Bq/1食という計算ができます。こういう結果が出れば安心ですね。
早野先生が下記に主張しているように、文科省が考えているような、自治体に簡易測定器を買わせる予算をつけて、慣れない職員が感度の悪い(10Bq/kg程度までしか測定できない)機械で測定するならば、横須賀市が行っているように検査機関で精密に週に1検体測定してもらい、その費用を国や県が援助するという形の方が合理的ですし現実的です。果たしてこちらはどうなるでしょうか。官僚がどこまで理解してくれるかですね。

(クリックで別画面に拡大)
ちなみに、これまたニコ生の早野先生からのスライド(38枚目)を引用しますが、日本人が過去に食べてきた食事の中には、この10年間くらいを見ると、一日一人あたりCs-137で0.01-0.1Bq/kg、Sr-90でも0.01-0.1Bq/kgが含まれています。よく勘違いする人がいるのですが、3.11の前は食事中の放射能はゼロだったということはありません。微量ですが含まれています。

なお、このグラフは環境放射線データベースで誰でも簡単に同じ結果を得ることができます。興味のある方はぜひトライしてみてください。そうすれば、1963年頃は今回の横須賀市の給食よりも高くて1Bq/kgを超えるCs-137が含まれていたのだということがわかると思います。これはいうまでもなく地上核実験の影響によるものです。
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