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11/22 北海道東部の土壌汚染は実際にはどれくらいあるのか?

 
11/15 PNASに載った名古屋大学などのシミュレーション結果」でご紹介した、宇宙研究大学連合の研究チームのシミュレーション結果について、いろいろな角度で議論がされているようです。ネット上での議論が進展していますので、それをご紹介します。

今回の件にはいくつかの論点があるように思いました。

1.まず一つは、このデータが実測値であるかのように一部報道された(あるいはそう受け取った人が多くいた)ことで、情報の伝達と受け取り方の問題についての議論です。これについては、私は「11/15 PNASに載った名古屋大学などのシミュレーション結果」でこれはあくまでシミュレーションなので、と書いたつもりです。ですから、この点については私のブログを読んでくれている方ならば誤解していないと信じています。

2.次に、これは結構議論の余地があるところなのですが、データの公開の仕方です。今回のような緊急事態においては、公益を重視して、論文投稿よりも一般への公開を優先した発表がこれまでもいくつもありました。しかし、研究者というのは、研究結果を発表した論文の質と数を問われます。雑誌に載る前に公表してしまったら、掲載する価値があまりなくなってしまうのです。

特に、同じことを複数の研究者が競争して研究している場合、いつその論文が公開されたか(受理されたか)、ということが一番争いとして重要になります。最近のわかりやすい例でいえば、ヒトのiPS細胞作成をめぐっての競争で、京大の山中先生とアメリカのトムソンとが同じ日に別々の雑誌に発表したという例があります。

今回はそのような競争はありませんが、こういうシミュレーション結果があるから実地で土壌測定をしてください、ということを主張したいのであれば、もっと早くこの結果を概略だけでも公開して、その後に論文で発表してもいいのではないか?という議論がありました。8ヶ月も経ってからでは遅いのでないか?という点です。

それについて詳細を知りたい方はこのtogetterをご覧下さい。

3.最後に、実際に北海道や四国・中国地方は汚染されているのか?ということです。私は、四国・中国地方は気にすることはないが、北海道は測定してみる価値はあると書きました。

それに対して、11/18に「放射能防御プロジェクト」から北海道と九州・沖縄の土壌調査結果が発表されました。ここは民間の有志が自己負担をして、土壌を採取してサンプルを同じ検査機関に送ってそこで測定する、ということをずっと行ってきているところです。タイミングとしては非常にタイムリーに結果が発表されたと思います。

また、私も前回は確認していなかったのですが、北海道でも定期的に土壌調査を行ってHPに発表していたことを知りました。

これまでに8回にもわたって調査を行っており、本来ならばもう降雪時期に入るために終了する予定だったのですが、あのシミュレーション結果が出たので道東地区を追加調査して発表したものです。

北海道の発表によると、
『いずれの場所でも、放射性セシウム 137 は過去3年の環境放射能水準調査結果と同水準で、異常は確認されませんでした。(値は、ND~17.9 Bq/kgと宇宙研究大学連合の研究チームが行ったシミュレーション結果 100~250 Bq/kgを大幅に下回りました。)』

11/22北海道結果1

北海道がこれまで発表している土壌の調査結果と、今回の追加調査結果を地図に記載しました。青●は農地土壌の10月の結果、赤●が今回の追加調査結果です。

11/22北海道結果2-1

11/22夜追記:根室市(北海道立北方四島交流センター)の場所が間違っていたので図を差し替えました。

これを見ると、釧路の浜中町の17.9Bq/kgというのがありますが、これもCs-134がND(検出限界値:6.6Bq/kg)なので、今回の福島原発の影響があるのかどうか、微妙なところです。Cs-134も同じくらい出ていれば、福島原発由来と言ってもいいと思うのですが、実はこの付近では下に示すように過去のデータ(1996-1999)でも12-18Bq/kgのCs-137が検出されています。ですから、私は今回のデータを見て、これが福島の影響があるとはとても言い切れません。

11/22北海道結果3

ついでなのですが、同じ日本語の文献では、道東地域の生乳の放射性セシウム濃度を見ています。それによると、今年ではなく、1999年頃の北海道の生乳でも、Cs-137は0.1-0.3Bq/L程度は検出されていました。

11/22北海道結果4

こういう過去のデータを知っておくことは重要だと思います。

今回はっきりしたことは、北海道は東部も含めてほとんど汚染されていない可能性が高い(過去の汚染と区別できないレベルである)ということがはっきりしたということです。そういう意味ではあの論文の意味はあったかもしれません。


なお、今回の記事を書くにあたり、みー@キザさん(@miakiza20100906)のツイートやtogetterのまとめを参考にさせてもらいました。この場を借りてお礼申し上げます。

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これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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