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12/1 阿武隈川で1日525億ベクレルが河口から海へのニュース(11/25)の発表及び報道について

 
昨日、「11/30 番外編:伊達市のコメのデータが福島県のHPへの掲載が遅いのはどうして?」という記事を書きましたが、今日は別の題材を用いて発表の仕方、報道の仕方について私の考えているところを書きたいと思います。25日にニュースになった、阿武隈川で一日525億ベクレルの放射性セシウムが河口から海に流入している、というニュースを題材にします。

1.報道内容の紹介

まずは、このニュースの概要を知るため、いくつかのWebニュースを引用します。

読売オンライン
『東京電力福島第一原子力発電所から北に約70キロ離れた阿武隈川河口(宮城県岩沼市)から今年8月、1日あたり525億ベクレルの放射性セシウムが海に流出していたことが、文部科学省の委託を受けた京都大防災研究所や筑波大などの調査でわかった。

 東電が4月時点で推計した同原発からの海への総流出量に比べると約10万分の1の値だが、専門家は「流域の生態系などの影響に注意が必要だ」と指摘している。

 同川の2地点と、計画的避難区域に指定されている福島県川俣町などを流れる支流の口太川の4地点で8月10~30日、流れる水や土砂の量を調べ、土砂に含まれる放射性セシウムを計測、流下量を計算した。

 岩沼市の河口では、放射性セシウム525億ベクレルが流出。上流側に南西約40キロの福島県伊達市内では、計1763億ベクレルに達した。放射性セシウムの9割以上は、水中の土砂に含まれており、河口までのダムで一定量はせき止められたとみられる。』(2011年11月24日21時23分 読売新聞

産経Biz
『【放射能漏れ】阿武隈川から放射性セシウム524億ベクレル 1日で海に流出  2011.11.25 14:39

 福島県の中央部と宮城県南部を流れる阿武隈川の河口から海に流出する放射性セシウムの量が、8月には1日当たり524億ベクレルに上り、東京電力が福島第1原発事故で4月に海に意図的に放出した低濃度汚染水の840億ベクレルを2日で超えることが京都大などの調査で25日までに分かった。

 京大などは6~8月、阿武隈川の中流と支流、河口で、水中のセシウムの量などを調査。宮城県岩沼市の河口付近では、1日当たりセシウム137が290億5千万ベクレル、セシウム134が233億5千万ベクレル運ばれていると推定した。

 福島県伊達市の中流では、セシウム137と134合わせて1日当たり1765億ベクレル。セシウムの9割以上は水中を浮遊する土砂に付着して運ばれ、土砂がせきなどで止められて中流より河口で低くなったとみられる。』

asahi.com
『阿武隈川から海へ1日500億ベクレル 放射性セシウム 2011年11月25日3時0分

 福島県中央部を流れる阿武隈川から海に流れ出る放射性セシウムの量が1日あたり約500億ベクレルにのぼることが京都大、筑波大、気象研究所などの合同調査で分かった。福島第一原発事故に伴い、東京電力が4月に海に放出した低濃度汚染水のセシウムの総量に匹敵する。専門家は継続的な監視が必要としている。

阿武隈川の地図有り。
12/1阿武隈川1

 阿武隈川は福島県郡山市や福島市を北上、宮城県岩沼市で太平洋に注ぐ。流域面積は5400平方キロで、事故による汚染が大きい地域が広く含まれる。

 京大などは文部科学省の委託を受け、6月から8月にかけ、本流の中流や河口付近、福島県内の支流で流量や放射性セシウムの量などを観測。運ばれるセシウムの総量をはじき出した。』

朝日は地図付きでわかりやすいです。

2.発表及び報道についての注文

これを読み比べると、細かいところの記述は3つともバラバラであることがわかります。

共通しているのは、下記の点だけです。

いつ(When):今年6月~8月にかけて
どこで(Where):阿武隈川の河口付近や中流で
なぜ(Why):文科省の委託を受けて、
誰が(Who):京都大学などが
何を(What):阿武隈川の河口から海に流出する放射性セシウム量の調査を
どのように(How):阿武隈川の流量や放射性セシウムの量などを観測。運ばれるセシウムの総量をはじき出した。

微妙な違い

いつ(When):調査した時期は、産経と朝日は6月から8月ですが、読売は8月10日~30日と違います。
誰が:「京大など」の記述は共通ですが、読売は京大防災研究所や筑波大学などと記載。朝日は気象研究所も追加。

河口のデータ:読売は1日525億Bqですが産経は524億Bq、朝日は約500億Bqです。産経が一番詳細なので524億Bqが正解でしょう。
中流のデータ:読売は1日1763億Bq、産経は1日1765億Bq。朝日は記載無し。

こういうニュースではよくあることなのですが、メディアによって、どこまで細かく報道するかは違いがあります。ということは、元の発表にはもっと細かい情報が記載されているかもしれないのです。また、中流のデータが1日1763億Bqなのか1765億Bqなのか、どちらか知りたいところです。

何となくどんなことがあったのかはわかりましたが、報道内容が微妙に異なっているため、どれが正確な情報なのか判断できません。だからこそ、一次情報を知りたいのです。京大防災研究所や筑波大学のHPを見ましたが、それらしい情報は見あたりませんでした。

昨日の記事で、発表者(京大あるいは京都大学防災研究所でしょうか?それとも文科省?)は、マスメディアに伝えると同時にHPにもその内容を発表して欲しいと書いたのはこういう意味なのです。今回のように報道内容がマチマチな場合は、元の情報にあたって確認しないと、もっと細かい情報があったのに紙面の都合で省略されたのではないかと不安になります。

マスメディアの第一報としてはこれでもいいのですが、どこが発表したのか、ということを記載して欲しいと思います。この書き方では、情報源はどこなのか、よくわかりません。その情報があれば、そこのHPを見に行ったり詳細情報がないのか直接確認することができます。

3.報道のわかりやすさについて

また、マスメディアにお願いしたいことは、自分が取材元から1日525億Bqという数字を聞いてどう思ったのかを考えて欲しいと思います。こんな数字を伝えて、受け取る側がイメージができると思っているのでしょうか?普通の人は、1億を超えるような数値を聞いてもイメージできません。

発表されたことをただ伝えるというのでは受け取る側には正しく伝わりません。実際にネットの反応を見ても、1日525億Bqという数字だけで「大変だ!」という反応もありました。

産経や朝日は1日525億Bqという数値を東京電力が4月に意図的に放出した低濃度汚染水と比較していますが、それよりもむしろ読売のように2号機からの流出量の何分の一という書き方をしてもらった方がいいと思います。

でも、河口に流出した放射性セシウムは、平均して川の水1Lあたり何ベクレルくらい含まれているのか?ということを書いてもらった方が、普通の人にはイメージしやすいと思うのです。普通の人でも、今ならば水道水の中にはどれくらいの放射性セシウムがあるのか(実際にはほとんどが不検出ですが)なんとなくイメージができます。ですから、発表時に阿武隈川の流量を聞いて、「平均すると1Lあたり何ベクレルの放射性セシウムが流出している計算になる」と書いてもらえれば、流出した汚染水の総量との比較よりもずっとわかりやすいはずなのです。

ですから、私がこのニュースを見た時にまずしたことは京大防災研究所と筑波大学のHPを見に行くことでした。詳細な情報があるかもしれないからです。でも、何も見つからず、「525億ベクレル」で検索したりしましたが、発表の一次情報らしきものにはたどり着けませんでした。文科省のHPにもないようでした(もしご存じの方がいたら教えてください)。

しかたないので、阿武隈川の流量を調べました。国土交通省の水文水質データベースです。阿武隈川の岩沼の観測所のデータを調べると、2009年ですが、岩沼での実際の流量が載っています。これを参考にして、8月の一番少ない時の流量を150m3/sと見積もりました。台風あるいは大雨で多い時(2009/8/11)はその10倍(1553m3/s)の流量があったこともわかります。

この情報がわかれば、あとは計算できます。1秒に150m3=150トンですから、1日あたりでは150×3600×24=1296万トン/日=129.6億L/日=約130億kg/日です。河口に流れ出す放射性セシウム量が525億Bq/日ということなので、130億kg/日×4Bq/kg=520億Bq/日となるので、大ざっぱにいうと、8月には平均して4Bq/kgの放射性セシウムを含む水が河口に常に流れ込んでいたという計算ができます。今年の流量は測定データが報道されていないので2倍程度の違いはあるかもしれませんが、10倍も狂うことはないはずです。

宮城県側の岩沼のデータはありませんが、河川の水の放射性セシウムは福島県が測定していますので、阿武隈川では河川の通常の水に4Bq/kgも放射性セシウムは入っていないことはわかります。通常は放射性セシウムは検出限界以下なのですが、台風や大雨で流量が増した時は、川の水が濁っていますから、その時に川底にある放射性セシウムを河口まで運んでいるのだろうということが予想できます。
実際にそうなっていることも「8/2 環境省が行った福島県の河川および川底の結果。川底のセシウムは雨で流されて河口へ!」でご紹介したように環境省がデータを持っています。

ニュースではそこまでの紙面を割けないかもしれませんので、仕方ない部分もありますが、私ならば発表元に情報を確認した上で、産経Bizの文章ならば下記のように書きます。この方が525億ベクレルという数字をもう少しかみ砕いて伝えられると思うからです。

『福島県の中央部と宮城県南部を流れる阿武隈川の河口から海に流出する放射性セシウムの量が、8月には1日当たり524億ベクレルに上り、単純計算で平均して1リットルあたり4ベクレルの放射性セシウムが流出していることが京都大などの調査で25日までに分かった。』

東京電力が意図的に放出した汚染水の量と比較して多い、ということを示すのもいいですが、どちらの量も一般人がイメージできる量ではないので、漠然と大量だ、というイメージを与えるだけに終わってしまいます。それならば、私が書いたように1L中にはどれくらいあるのかを記載するとか、比較のために「1日で約21億5000万ベクレル。これが東京都の下水道施設に集積される放射能量」という数字を出した方がわかりやすいと思います。これはECO JAPANという日経BPのサイトに載っていた内容です(無料会員登録が必要かもしれません)。

私は、自分のブログに書く時には、できるだけ読む人がわかりやすいようにまとめ方や表現を気をつけています。マスメディアの使命は早く正確に伝えることですから、わかりやすさというのは必ずしも求められていないのかもしれませんが、ぜひ読む側のことも考えた情報発信をして欲しいと思います。そういう意味では、asahi.comで阿武隈川の地図が付いていたのは非常によかったと思います。

4.1日524億Bqという数字からわかること

今回の報道された内容は、今回初めて阿武隈川で測定されて発表された貴重なデータです。先日のETV特集でも紹介されていました(詳細は「11/28 文科省が発表した最新の海底土のデータ+ETV特集の解説」参照)が、沿岸の海底土の汚染データから、河川から河口へ、そして沿岸の海底土へという汚染ルートが予想されています。しかしながら、河口やその付近でのデータというものはほとんど測定されていないのが実情なのです。

11/27のETV特集において、漁師の方が印象的なことを語っていました。「除染するのはいいよ。でも、除染したセシウムはどこへ行くんだよ。最後はみんな海へ流れてくるんだよ。」まさにその通りです。

阿武隈川だけでなく、いくつかの河川で同様の測定を行い、大体の量を推定して欲しいと思います。そういう意味でも、今回どういう測定をしたのか、ということは詳細なデータを公表して欲しいと思います。そうすれば、同じことを他のメジャーな川でも行ってみて、どこまでの川が汚染されているのか、その河口はどうなっているのかがわかると思います。

今回のデータの詳細を発表し、さらに他の河川でも同様なことを行って、河川から海への全体の流出量を推定して欲しいと思います。

今回は、1日525億ベクレルが河口から海に流出という報道を題材に、その内容の簡単な解説と、こういう情報の発表の仕方及び報道の仕方についての私の意見を書かせていただきました。入手できる情報がこれしかないので、これ以上の内容についての細かい話はできません。元の詳細な情報があればもう少し別の切り口からの紹介もできたのに残念です。

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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