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12/9 放射能汚染水の処理は1年で終わらず、実は炉心取出完了までかかる!

 
これまでこのブログにおいては「6/19 福島原発の放射能汚染水の全容を紹介します!その1」や「6/19 福島原発の放射能汚染水の全容を紹介します!その2詳細編」を初めとして、主に放射能汚染水シリーズで放射能汚染水の処理状況を伝えてきましたが、基本的な部分で勘違いがあったようです。

私はこの放射能汚染水の処理は来年くらいをメドに全ての汚染水を処理して抜き取り、原子炉建屋やタービン建屋の地下に人が入ってその後の処理をしていくものだと思っていました。ですから、このブログの中でも、この処理スピードで行けば来年初めには汚染水を全部処理できる、というようなことを紹介してきました。

しかし、12/7に発表された「福島第一原子力発電所1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に関する経済産業省原子力安全・保安院への報告について(その1)(改訂2)」の中では、そんなことは全く書いていなかったのです。

※12/8夜には(その2)も発表されました。まだ読んでいないので、また内容がわかり次第お伝えします。この数日動きが速すぎて付いていくのが大変です。


1.今回の報告徴収の中身

この報告は「改訂2」という表現からわかるように、経済産業大臣の指示に基づき報告徴収という法的措置により10月に最初の報告がされました。その時点ですでにこのようなことは記載されていましたが、大きなニュースにもならなかったので気づきませんでした。11月には「福島第一原子力発電所1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に関する経済産業省原子力安全・保安院への報告について(その1)(改訂)」が出て、さらには今回の「保安院への報告について(その1)(改訂2)」が出ているという流れです。

私は先月の「(改訂)」を読んで初めて気がつきました(関係者以外でこの200ページ近い報告書に目を通した人はほとんどいないと思います)。「(改訂2)」では、今週の蒸発濃縮装置から海への汚染水流出事故を受けての加筆もあります。

2回の改訂がありましたが、大枠は変わっていないようです。そこで、今回の「(改訂2)」はまだ全ては読んでいないので、主に前回の報告「(改訂)」に基づき、東京電力がどういう考え方なのかをここではお伝えします。また、今回の流出事故に対する対策については今回は特に触れないことにします。

福島第一原子力発電所1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に関する経済産業省原子力安全・保安院への報告について(その1)(改訂2)」には汚染水処理の現状と中期的見通しに下記のように記載されています。

5.高レベル放射性汚染水処理設備、貯留設備(タンク等)、廃スラッジ貯蔵施設、使用済みセシウム吸着塔保管施設及び関連設備(移送配管、移送ポンプ等)(PDF 3.38MB)

5.1.1. 現状及び中期的見通し 
(2) 現状及び中期的見通し
『今後は、地下水の浸透により発生する滞留水を抑制するため、原子炉建屋とタービン建屋間の止水が完了するまで、タービン建屋の水位をOP.3000付近で管理しながら汚染水処理設備等を稼働させていく。』(5-1ページ)

5.1.2. 基本的対応方針及び中期的計画
(2) 中期的計画
汚染水の処理は、炉心冷却のための循環ラインとともに炉心燃料取出完了まで継続的に必要な設備であり、基本方針として循環ラインの段階的な縮小化等と合わせて時期汚染水処理設備のシステム構成の検討等を進めている。
(中略)

従って、時期汚染水処理設備については新規設備の追設と合わせ、運用・設備改善した本設備の一部継続使用について検討を行い、1年後を目途に設備の設置・システム構築を行う。また、今後の循環ラインの段階的な縮小化等に合わせて設備の改造等を検討・実施していく。』(5-3ページ)

また、別の資料「6.高レベル放射性汚染水を貯留している(滞留している場合も含む)建屋等(PDF 1.65MB)」では、

6-2 中期的計画
(3)中期的計画
なお、現在の建屋等にある滞留水を最終的には抜き取る計画である。

と記載があります。

おわかりでしょうか。汚染水処理は、「炉心燃料取出完了まで継続的に必要な設備」だと書いてあります。今回の事故で炉心燃料取り出しが何年後になるかわかりませんが、2年や3年で終わる話ではありません。おそらく10年とかそういう長いスパンでの話になります。その時まで、スケールは徐々に縮小していくようですが、汚染水処理は必要だと書いてあります。

また、一年後を目途に新しい汚染水処理システムを構築して、新規設備の追加設置も行っていくということでした。でも、別の資料では最終的には全て抜き取る計画だと書いてあります。でも、この資料ではそれがいったい何年後を目指しているのかわかりません。

2.最新の汚染水処理の中期計画は?

確かに、今になって東電のロードマップを見てみると、下の図のように、3年程度の中期的な課題として「滞留水の処理継続」というのがあります。でも確かこの汚染水処理システムを構築した頃は、1年くらいかけて、早ければ年内に汚染水をなくす。そうすれば今は入れないタービン建屋や原子炉建屋の地下にも人が入れるようになる、という説明を読んだ気がしたのですが、いつの間にかそういう話ではなくなっていたのです。

12/8汚染水循環システム1
(クリックで別画面に拡大)

ちなみに、今後の計画としては以下のような計画?が記載されています。来年度のことがほとんど何も書いていないので、これでは計画とは呼べないと思います。

12/5汚染水処理システム計画1

どうしてこういう話に変わってしまっていたのでしょうか?

一つには、建屋の地下にはかなり高濃度の放射性物質がたまっているため、水があることで放射線が遮蔽されているという効果があるが、あまり水をなくしてしまうと遮蔽効果がなくなるために逆に線量が上がってしまって人が近づけなくなってしまう可能性がある、という話を聞いたことがあります。

また、「10/25 タービン建屋地下の放射能汚染水はなかなか減らない」でご紹介しましたが、地下水がかなりタービン建屋の地下に流入しているため、水位を下げすぎると、地下水がたくさん流入してしまうというジレンマもあるということです。

一番の目的は、汚染水をこれ以上海に流出させないということなので、それはなんとしても守るということは東京電力も意識していました。そのための目安として、タービン建屋の水位をOP4000(=海抜4mとほぼ同じ)に達しないようにするため、安全を見越してOP3000(海抜3mとほぼ同じ)前後で維持するということを行ってきました。

その結果、4月や5月のような大量の放射能汚染水の流出はしばらく起こっていなかったのですが、今週の始めに蒸発濃縮装置という予想外の所からストロンチウムを大量に含んだ汚染水が150Lで260億Bqも流出してしまいました(詳細は「12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!」)。

起こってしまったことは仕方ないとして、もうこれ以上の海洋汚染はしないようにしてもらうしかありません。でも、これまで説明してきたように、汚染水の処理が完了するのは、地下水の流入もあり、当初予定していたように1年近くで終えることは不可能であり、炉心燃料取り出し完了というはるか先にまで先延ばしされていたということなのです。ですから、長期間にわたって海洋汚染を防ぐ方策が必要になってくるのです。

3.汚染水処理の廃棄物の対応は大丈夫か?

また、そうなると、汚染水を処理した後の廃棄物の処理も何年も続くということです。私は今までこの汚染水処理は1年で終わると思っていたのですが、何年も続くのであれば、廃棄物もかなり出てくると思います。廃棄物の量も処理が長引けば長引くほど増えます。いったいどれだけの廃棄物が出てくるのか、ちょっと気になるところです。

東京電力の汚染水処理は大まかにいって下のようなシステムを現在組んでいます。

12/5汚染水処理システム計画2

具体的には、下の図において、アレバの除染装置で出てくる廃スラッジ、セシウム除去装置(キュリオン)、第二セシウム除去装置(サリー)で出てくるセシウムを大量に吸着した吸着塔、淡水化処理後の塩分を大量に含む濃縮廃液などです。

12/5汚染水処理システム計画3

今日の時点では詳細は検討できないのですが、東京電力は毎週プレスリリースに「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」という内容を報告していますので、それを詳細にチェックすれば、今までどれくらい放射性物質を処理できて、今後もどれくらい廃棄物が出るかもわかるかもしれません。

12/5汚染水処理システム計画4

このあたりについては、今後も公開されている資料を確認しながらそのうちにまとめたいと思います。

また、今週の海への流出事故を受けて、これまでこの報告書で検討されていたような、耐震設計では不十分だということが明らかになりました。ちょっとしたひび割れが起きて数10トンの汚染水が処理施設から漏れ出すと海に簡単に流れ出していってしまう経路があるならば、大きな地震でひび割れが入ってしまったらもうそれで海への流出が起こってしまいます。そのあたりについては今後再発防止策としてまとめられると思いますのでここではあまり触れませんが、やはり遮水壁設置を早く完成させて、地下水も含めて海への流出を完全に遮断できるようにしてほしいものです。

私は放射能汚染水については今後も監視を続けていきます。ここを押さえておかないと、海洋汚染の全貌を把握することはできないからです。

※この記事は、12/8の一連の動きを知らずに書き上げたものなので、最新情報と若干食い違う点があるかもしれませんが、そのあたりはいずれ別の記事でフォローします。

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コメント

Re: 廃炉への準備と汚染水処理

コンタンさん

ご指摘ありがとうございました。頭の中の整理が不十分なところがありました。教えていただいた原子力委員会の専門部会の資料、非常に参考になりました。この話も含めていずれまとめ直します。

地下水の流入の阻止(あるいは汲み出し)、それから原子炉建屋からタービン建屋への流入の阻止、この二つが大きなポイントですね。

どちらが先にできるかわかりませんが、両方を達成しないと水棺処理をして燃料の取り出しというステップにはたどり着けないように思いました。

No title

(補足)

廃炉に向けたロードマップ策定は、原子力委員会の
東京電力(株)福島第一原子力発電所における中長期措置検討専門部会
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/tyoki_sochi.htm

で検討が行われています。
(リンク先に、会議資料・議事録があります。)

No title

循環冷却が続く限り(炉心燃料が取り出されるまで)汚染水(冷却水)の処理は続きます。

但し、地下水の流入が止められれば、現在のような汚染水の処理量ではなくなるので、そこは分けて書いたほうがわかりやすいかと思います。

地下水の流入が止められれば(完全に止めるのは難しくとも、かなり少なくできれば良い)、その時は本来の「循環冷却」になって、処理後の水を放出する必要はなくなる筈です。

しかし、地下水の流入をいつ止められるかというと、「遠隔操作で漏水箇所を発見する技術」「遠隔操作で止水作業を行う技術」を開発しながら、ということになるので、早くとも5年くらい先の話ではないでしょうか。ですから、処理水の海洋放出は、早晩避けられないことになるでしょう。

廃炉作業全体のおおまかな手順は、たとえばこちら(毎日jp)で解説されています。
http://goo.gl/rCpb1

廃炉の手順として、格納容器を冠水することが必要です(燃料を水から出すと、強烈な放射線が出るため)。しかしこの記事でも解説されていますが、格納容器の漏水箇所を特定し、補修する作業は、さらにハードルの高い技術開発になります。何十年かかるかわかりませんし、その間にも配管やジョイントの劣化は進行しますから、永遠に終わらないかもしれません。

これは非常に憂鬱な未来像ですので、メディアはもちろんそんなことは書けませんが、直視する勇気のある人は、冷静に事態を認識するべきでしょう。

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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