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12/27 農水省が発表した24年産稲の作付に関する考え方について

 
12/27、農水省は「24年産稲の作付に関する考え方について」を発表しました。

ここでは、具体的な地域割りなどは出てきていませんが、基本的な考え方が示されており、今後の参考になるものです。短い文章ですので、全文をご紹介します。

12/28 追記:「100 Bq/kgを超える米の特別隔離対策」というものも別のページに発表されていました。こちらは、100Bq/kgを超えたコメを流通させないようにするため、隔離・廃棄するというものです。
今回発表された「24年産稲の作付に関する考え方について」は、「23年産米に関する総括」と「24年産稲の作付の考え方」からなっています。

まず、「23年産米に関する総括」では、これまでのまとめがなされています。

『(1) 23年産稲の作付については、安全な食料を安定的に供給するため、福島県の避難区域等において作付制限を行いました。この作付制限下において、23年産米の放射性セシウム濃度は、17都県においては99.7%が、福島県においては99.4%が100 Bq/kg以下という結果となりました。

(2)その後、福島県内の一部の地域の米から食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されました。これは、空間放射線量率や土壌の放射性セシウム濃度が高いという条件に加え、栽培管理や周辺環境からの影響等の諸要因が重なったことによるものと考えられます。

(3)また、福島県が実施している米の放射性物質緊急調査(以下「緊急調査」という。)によれば、現時点では、暫定規制値を超える米が生産された水田は、特定避難勧奨地点の付近等に限定的に出現しており、今後、作付制限を行う地域の範囲のとり方に関し、示唆を与えるものとなっています。

(4)なお、23年産米の放射性物質調査は、収穫前・収穫後の二段階で行いましたが、調査が終了した後、暫定規制値を超過した放射性セシウムが検出されました。
これまでの各種調査で得られた実際のデータを活用して、サンプルを採取する地点、密度を改善することが必要であると考えています。』

こちらに関しては読んでいただければわかるとおり、新基準値の100Bq/kgを考慮して考えても、予備検査と本検査では99%以上が100Bq/kg以下であったというまとめをしてくれています。こちらについては農水省のHPにあるように、その通りなので、特にコメントを加えることはありません。

一方、「24年産稲の作付の考え方」です。

『(1)23年産米の放射性セシウム濃度が食品衛生法上の暫定規制値(500 Bq/kg)を超過した「地区」については、物理学的半減期等を考慮しても、食品衛生法上の新基準値案を超える24年産米が生産される可能性が高いと考えられることから、作付制限を行う必要があると考えています。

(2)また、23年産米の放射性セシウム濃度が食品衛生法上の新基準値案(100 Bq/kg)の水準を超過した地域等については、新基準値案の水準を超過する24年産米が生産される可能性は否定できないことから、作付制限を行うかどうかについて、十分検討する必要があると考えています。

(3)作付制限を行う地域の範囲の取り方については、現在継続中の緊急調査の結果や避難区域の見直し等を考慮して、関係者のご意見を十分聞きながら、関係地方自治体とよく相談して決定したいと考えています。

(4)特に、避難区域等については、区域の線引き、住民の帰還、除染作業等がこれから具体的に動き出すことから、24年産稲の作付については、こうした地元の諸事情も考慮して検討したいと考えています。

(5)作付制限を行わない地域についても、23年産米の放射性セシウム濃度や高濃度の放射性セシウムを含む米の発生要因等を考慮して、24年産米の調査設計や調査密度を決定することにより、食品衛生法上の新基準値を超過する米が流通することのないよう調査をしっかり行い、安全の確保に万全を期すことが必要であると考えています。

(6)作付制限を行う地域の範囲や具体的な調査の実施方法については、緊急調査の結果や高濃度の放射性セシウムを含む米の発生要因に関する調査結果等を考慮し、関係地方自治体と協力して、食品衛生法上の新基準値の施行や区域の線引きの時期にも合わせて決定したいと考えています。』

まず、(1)において、500Bq/kgを超えるセシウムを検出した「地区」は作付け制限を行うと書いてあります。この「地区」が具体的にはどういう単位なのかは現段階ではわかりませんが、福島市大波地区、渡利地区などは当然該当するものと思います。福島県のHPに載っているこの地域全てかもしれません。

(2)の100Bq/kgを超えるセシウムが検出された地域についても、どうするかは今後検討したいとしています。さきほどの農水省のHPにあるように、該当するサンプルは、本調査では福島県で8、宮城県で1です。予備調査では、福島県で6です。合計15検体です。

私が毎日の発表を集計してまとめた「今年のコメの放射能検査の最新状況のまとめ(随時更新用)」からデータを引っ張ってくると、下記のようになります。

予備調査:
9/16 福島県 福島市(旧小国村) 136Bq/kg 
9/16 福島県 いわき市(旧久の浜町)124Bq/kg
9/23 福島県 二本松市(旧小浜町)500Bq/kg 
9/24 福島県 伊達市(旧上保原村) 161Bq/kg 
9/27 福島県 相馬市(旧玉野村) 154Bq/kg 
9/29 福島県 福島市(旧庭坂村) 117Bq/kg 

本調査:
9/28 福島県 相馬市(旧玉野村)  103Bq/kg 
9/17 宮城県 白石市(旧越河村)  101.6Bq/kg
9/30 福島県 矢吹町(旧三神村)  24Bq/kg 
10/1 福島県 福島市(旧水原村) 104Bq/kg  
10/4 福島県 伊達市(旧上保原村)161Bq/kg  
10/7 福島県 福島市(旧平田村) 139Bq/kg 
10/7 福島県 伊達市(旧小国村) 163Bq/kg 
10/12 福島県 二本松市(旧小浜町)470Bq/kg →この地区の米は出荷せず
10/12 福島県 二本松市(旧小浜町)110Bq/kg 

赤字は、その後500Bq/kgを超えるセシウムが検出された地区のサンプルです。

こうやってみてみると、宮城県白石市でも100Bq/kgを超えているのですが、ここなどはどうするのか、作付け制限する地域の線引きの仕方に注目です。おそらく単純に100Bq/kgを超えた地区を作付け制限する、ということではないと思います。今後、いろいろな調整を経て決まっていくことでしょう。

残念ながら、今日の段階では「12/26 福島の大波地区での高セシウム米は、カリウム不足が原因?」で期待していた報告書は今日は公開されていませんので、もう少し調査結果がまとまるまで待つしかないようです。

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コメント

福島市じゃセシウムが降っているのに

セシウムの定時降下量の測定をみると、7月19日には、1340Bq/平方メートルも降っていますね。土壌の以降係数うんぬん以前の問題として、実っている稲の上に降っているのをどうするんでしょうか?桃にもふりかかっていたはずなのに、そのまま出荷しちゃうし。食べて応援キャンペーンを信じて食べてしまった人たちは、今、このデータをどう感じるでしょうか?
今年の福島の農産物は買わなかった私ですら、、うげーーと思ってしまうデータです。

土壌の総合判定基準が必用ですよね

・カリウム量
・粘土/砂の割合
・セシウム量(空間放射線量)
・アルカリ度数
・環境の危険度数(森の中になる棚田等なら危険度大)
それらを頭のいい人が客観的に数値化する
もちろん、セシウム吸収抑制も前提に指標をつくるべきだと思います
23年度の玄米検査結果だけでは、いけないと思います

No title

23年産の作付け推進はやはり汚染傾向を調べるための実験目的もあったのかしら?と意地悪く考えてしまいますが、今後はセシウム以外の核種についても調べてもらいたいものです。

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
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