12/28 花粉症の人は要チェック!来年、スギ花粉はどれくらいセシウムで汚染されているのか?
12/27、林野庁と森林総研は、スギ花粉に関するセシウムの調査の中間結果をまとめて発表しました。
それによると、スギ花粉のセシウムは最大で253000Bq/kgですが、花粉の重さや量から冷静に計算すると、2月から5月まで花粉を全て吸い込んだとしても最大でも0.553μSvで、大した量ではないということです。
この情報、花粉症の人は要チェックです。
まず、森林総研の調査によると、福島県内の87ヶ所のスギ雄花に含まれるセシウムの量は、最大で253000Bq/kg、最低では検出限界(100Bq/kg)以下でした。おおざっぱにいって、空間線量と雄花のセシウム量にはある程度の相関がありました。


この中で最高値だったのは、77番の双葉郡浪江町小丸で、空間線量率で40.6μSv/hあり、雄花のセシウムが253000Bq/kgでした。
次に、雄花と花粉のセシウム量の関係を調べました。すると、下のように、だいたい雄花のセシウム量と花粉のセシウム量は同程度からやや花粉の方が少ないくらいであるということがわかりました。

このことから、スギ花粉中のセシウム量を雄花中のセシウム量と同じと仮定し、さらには、最大に見積もった場合にスギ花粉を吸い込むとどれくらい内部被曝するかを計算したのが下の表です。

どういう計算方法かを解説します。
まず、雄花の測定結果の最高値をスギ花粉の放射性セシウム量と仮定すると、Cs-137は145000Bq/kg、Cs-134は108000Bq/kgになります。なぜ分けて書くかというと、あとでBq→Svの換算をする時に、Cs-134とCs-137とでは換算係数が異なるからです。
これまでのデータから、スギ花粉が大気中にどれくらい飛散するかというデータがわかっています。それによると、平均では97個/m3で、最高値は2008年3月の群馬県で、2207個/m3でした。

一方で、スギ花粉1個あたりの重さは、わずか12ナノグラム(ng)です。1ナノグラムは1ミリグラムの100万分の1ですから、12×10^(-9)gということです。つまり、スギ花粉が1,000,000,000個=10億個集まってもやっと12gにしかなりません。こんなに軽いんですね。
そこで、最大値を使って仮定の計算をします。Cs-137でいうと、145000Bq/kgの花粉が2207個/m3あって、それが12ngなのですから、145000Bq/kg×12×10^(-9)g×2207個/m3=0.00384 Bq/m3という計算ができます。
これは、スギ花粉が1m3中に2207個飛んでいる時の1m3あたりの放射能です。この空気を人が吸入するとしたら、成人は1日22.2m3を吸い込むそうなので、1時間では22.2/24m3です。
Cs-137についていうと、0.00384Bq/m3×22.2/24m3/h=0.00355Bq/h。これをCs-137の吸入時の実効線量係数0.039μSv/Bqで換算すると、0.00355Bq/h×0.039μSv/Bq=0.000138μSv/hになります。同様にCs-134についても計算して合計すると、1時間に0.000192μSv/hという計算ができます。
12/20の東京新宿区で観測された放射線量は0.053μSv/hですから、最大で計算してもそれよりも100分の1以下しかないという計算ができます。
また、これを2月から5月までの4ヶ月(120日)でかけると、0.000192μSv/h×24h×120=0.553μSvとなり、0.000553mSvという計算になるわけです。こちらで新宿区の1時間の外部被曝と比較しても、その10倍にしかなりません。
また、これは最大値に最大値をかけた仮定の下での話ですから、実際にはこれよりもかなり低い数値になることが容易に予想できます。これよりも、強風が吹いた時に舞い上がる土煙の方が高いセシウムを含んでいる可能性があると思います(ちゃんと計算していないのではっきりしたことは言えませんが)。
最大で253000Bq/kgと聞くと、「えーっ」とビックリしていまいますが、花粉が10ngしかないということを知って冷静に計算すると、実は大したことがないということがわかります。しかも、花粉については、みんなすでに、どうすれば吸い込む量を減らせるか、という防御法のノウハウ(マスクなど)を持っているわけですから、特別に気にする必要はないということがわかったということだと思います。


この中で最高値だったのは、77番の双葉郡浪江町小丸で、空間線量率で40.6μSv/hあり、雄花のセシウムが253000Bq/kgでした。
次に、雄花と花粉のセシウム量の関係を調べました。すると、下のように、だいたい雄花のセシウム量と花粉のセシウム量は同程度からやや花粉の方が少ないくらいであるということがわかりました。

このことから、スギ花粉中のセシウム量を雄花中のセシウム量と同じと仮定し、さらには、最大に見積もった場合にスギ花粉を吸い込むとどれくらい内部被曝するかを計算したのが下の表です。

どういう計算方法かを解説します。
まず、雄花の測定結果の最高値をスギ花粉の放射性セシウム量と仮定すると、Cs-137は145000Bq/kg、Cs-134は108000Bq/kgになります。なぜ分けて書くかというと、あとでBq→Svの換算をする時に、Cs-134とCs-137とでは換算係数が異なるからです。
これまでのデータから、スギ花粉が大気中にどれくらい飛散するかというデータがわかっています。それによると、平均では97個/m3で、最高値は2008年3月の群馬県で、2207個/m3でした。

一方で、スギ花粉1個あたりの重さは、わずか12ナノグラム(ng)です。1ナノグラムは1ミリグラムの100万分の1ですから、12×10^(-9)gということです。つまり、スギ花粉が1,000,000,000個=10億個集まってもやっと12gにしかなりません。こんなに軽いんですね。
そこで、最大値を使って仮定の計算をします。Cs-137でいうと、145000Bq/kgの花粉が2207個/m3あって、それが12ngなのですから、145000Bq/kg×12×10^(-9)g×2207個/m3=0.00384 Bq/m3という計算ができます。
これは、スギ花粉が1m3中に2207個飛んでいる時の1m3あたりの放射能です。この空気を人が吸入するとしたら、成人は1日22.2m3を吸い込むそうなので、1時間では22.2/24m3です。
Cs-137についていうと、0.00384Bq/m3×22.2/24m3/h=0.00355Bq/h。これをCs-137の吸入時の実効線量係数0.039μSv/Bqで換算すると、0.00355Bq/h×0.039μSv/Bq=0.000138μSv/hになります。同様にCs-134についても計算して合計すると、1時間に0.000192μSv/hという計算ができます。
12/20の東京新宿区で観測された放射線量は0.053μSv/hですから、最大で計算してもそれよりも100分の1以下しかないという計算ができます。
また、これを2月から5月までの4ヶ月(120日)でかけると、0.000192μSv/h×24h×120=0.553μSvとなり、0.000553mSvという計算になるわけです。こちらで新宿区の1時間の外部被曝と比較しても、その10倍にしかなりません。
また、これは最大値に最大値をかけた仮定の下での話ですから、実際にはこれよりもかなり低い数値になることが容易に予想できます。これよりも、強風が吹いた時に舞い上がる土煙の方が高いセシウムを含んでいる可能性があると思います(ちゃんと計算していないのではっきりしたことは言えませんが)。
最大で253000Bq/kgと聞くと、「えーっ」とビックリしていまいますが、花粉が10ngしかないということを知って冷静に計算すると、実は大したことがないということがわかります。しかも、花粉については、みんなすでに、どうすれば吸い込む量を減らせるか、という防御法のノウハウ(マスクなど)を持っているわけですから、特別に気にする必要はないということがわかったということだと思います。
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