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1/6 福島市の定時降下物の急増の理由は?

 
福島県で定時降下物のデータが急に上がっているからそれについて書いて欲しい、というリクエストがあったので、情報を集めて私なりの分析をしましたので、今日はそれについて書きます。ただ、今日は時間が足りなかったのでちょっと自分としては満足行くレベルの調査にはなりませんでした。予めお断りしておきます。明日にでも時間があれば追記する予定です。

ツイッターなどでは昨日あたりから大騒ぎになっているようです。中部大学の武田先生もブログで書いているために、それをみてますます不安に思っている人もいるようです。

でも、この↓情報を見ると、単なる強風のなせる技かなというのが第一印象です。まあ偏見を持たずにいろいろなデータを見ていきましょう。

1/6降下物1

1.現在の降下物測定の体制(1月から)

まずは騒ぎの元になった福島県の降下物のデータを見ていきたいと思います。

その前に、武田先生はブログで平然と「文部科学省発表の」と書いていますが、文科省は昨年末で毎日の発表を終了しましたので、今は福島県が独自に発表しています。武田先生のブログは、参考資料とするには数字を間違えたり引用元を間違えるというように事実確認がいい加減ですので、あまり信用できません。そのつもりであのブログの情報を読んだ方がいいと思います。

下記は文科省の発表(見直し)です。
1/6降下物4

福島県のHPのお知らせです。真ん中あたりです。
1/6降下物3


2.実際のデータは?

それでは、福島県のデータを確認してみましょう。毎日更新されるpdfファイルなのですが、1/6発表のデータです。

1/6降下物2

大騒ぎになったのは、上のデータで1/2~1/3の24時間にCs-134とCs-137の合計で432 MBq/km2=432 Bq/m2と大きく増えたからです。しかし、その後を見ていただければ、1/4は合計で44.9Bq/m2と元のレベルに戻っています。

ここで、降下物って何?という素朴な疑問を持っている方は、以前にも同じような騒ぎがあり、その際に基本的なことからまとめた記事がありますので、ぜひこちらをご覧下さい。

10/1 福島県の「定時降下物」データの修正がとんでもないうわさに・・・

ここでは、定時降下物ってどんな装置で測定するのか?とか、福島県の6月から8月の降下物のデータ一覧とかが載っています。降下物くらい知っているよ、という人も福島県の過去のデータをざっと眺めることができるので一度上のリンク先を見てください。

文科省の定時降下物の測定結果のページを見ると、日々の測定結果の他に月間降下物のデータも載っています。なぜか9月以降の月間降下物のデータが見つかりません。12/14の3月から6月の修正のページがデータがまとめて載っているので一番わかりやすいと思います。3月は6,000,000Bq/m2/月以上もありましたが、4月以降は以降急激に落ちてきて、6月以降はCs-134+Cs-137の合計で10000Bq/m2/月程度の量で落ち着いてきて、低下の度合いがゆるくなっています。北海道のデータから類推すると、9月以降はさらに低下していると思います。

1/6降下物5

なお、注意して欲しいのですが、この月間降下物の測定地点は先ほどの福島市ではなく、双葉郡ということですので、両者の単純な比較はできません。

そこで、先ほどのブログ記事に載せたデータを再掲しますが、6月7月の頃でも、いかに日によって変動があるかということを見て欲しいと思います。修正後の右側です。

1/6降下物6

全般的に12月よりも数倍高い印象がありますが、6/11、6/18、7/7、7/19、7/26など、特に高い日とそうでない日があることがわかります。風が原因なのか、何かはわかりませんが、日によって大きく数値が触れるものであるということは頭に入れておく必要があるでしょう。

今はグラフを書いている時間がないので他人のグラフを引用しますが、下の図のように、12月中旬以降でも、検出されない日とCs-134+Cs-137で100Bq/m2以上検出される日がある(12/19や12/23など)ことがわかります。ですから、1/2のデータも合計で100Bq/m2であれば特に騒ぐ必要はないものであるということがわかると思います。ただ、それが432Bq/m2とこれまでの4倍程度に高くなったので、騒ぎになったのだということです。

(なお、ネットでの発言には昨年4月並の量という話がありますが、昨年の6月7月でも福島市で400Bq/m2は時々観察されているわけですから、4月並というのは当たっていません。せいぜい7月並というべきでしょう。)

1/6降下物7

1/2以降は、1/3(126.1Bq/m2)、1/4(44.9Bq/m2)と数値が下がってきていることから、もし今回の測定が冒頭にご紹介したように土埃が多く混じっていて、「強風で舞った汚染土が原因で異常に高くなった」とすれば、福島県のデータに関してはそれで片付けられるものだと思います。


3.他の県のデータは?

福島市のデータが高いだけならば風の影響で片付けられると思いますが、他の県はどうでしょうか?文科省が毎日の測定を止めてしまったのが悔やまれます。

日本分析センター千葉本部(千葉市稲毛区)の降下物のデータ(12/26~1/4)
(1/8追記:稲毛市と書いていました。正しくは千葉市稲毛区なので修正しました。)

1/6降下物8

これなんかは、今まで検出されなかったものが年末年始に検出された、ということで、どうして?何かあったのでは?という説を支持するものとなっているようです。一日分ではなく10日分ですので、なんとか検出できたのかもしれません。

一方、東京(新宿)では特に変わらずND(不検出)でした。

それ以外のデータを現時点で見つけることができていませんが、わかれば追記します。今見つけた情報では、ここには各都道府県の情報へのリンクがあるようです。

4.ネットでのうわさ

元旦に比較的大きな地震があったこともあり、福島第一原発の4号機があぶないというウワサが出ているようです。夜中にライブカメラで見ると4号機付近から青い光が出ているという話もどこかで聞きました。これらがどこまで本当なのかわかりません。仮に本当だとしても、今の時点で公式に発表されないということはおそらくその事実は表に出てこないでしょうから結局検証不可能と思います。従ってここでは検証不能な話は取り上げないことにします。

一方で、原発付近のモニタリングポストのデータには特に変動はありませんし、1/2の福島市の風向きも西北西ですので、仮に原発で何かあったとしても福島第一原発からこの風向きでは飛んでいきません。

ですから、現段階において私の考えとしては、基本的には強風によって降下物測定サンプルに汚染された土が入って高くなったのであり、福島第一原発で何かが起こって、そこからセシウムが飛んできたというものではない可能性が高いということです。ただし、今後他県のデータでいろんな所で降下物のデータが確認できるのであれば、何か別のことが起こっている可能性もあります。

年末年始は結構風が強かったので、稲毛市のデータもその風によって土埃が巻き上げられる再浮遊によって検出された可能性が高いのではないかと現時点では考えています。

また、福島県も、もし本当に冒頭にあげたような測定状況であったならば、その旨を公表し、安心させるべきだと思います。何も説明がないのはかえってよくないと思います。

参考になるものとして、風による再浮遊を取り上げている@study2007さんのブログをあげておきます。

関連記事
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コメント

No title

私の住んでいる地区でも9月ごろに一回、約300MBq/km2という数値が出て騒ぎになりました。
その後の情報によると、仰るように雨風の強い日は巻き上げられたものや旧来の物質等、判断するのが難しいらしく検出基準は上げているそうです。
ちょうど台風が来ている時期でした。

武田教授のブログに関しては、この方を頼りにする人の気持ちもわかります。
本当かうそか情報が錯綜するなかで、科学者としてはっきりと危険だと発信していたのはこの人くらいだったからです。
ただ騒ぎにのっかる、という癖もお持ちの方です。
そういう意味では、ネットで出回る危険だという口コミも含めて一喜一憂せずに確証を得なければならないとは思います。

緊急事態がおきると必ず極論が出ますね。今回の放射性物質の場合も超安全論や超危険論、安全と割り切れない以上は色々な話も出ると思います。しかし極論は避けた方が無難だと思います。

Re: 武田邦彦教授の件

ゆうきさん

コメントありがとうございます。

表現にちょっと省略した部分があったのでゆうきさんは私の文章を誤解しているようですが、あの話は「1.現在の降下物測定の体制(1月から)」とパラグラフを分けて書いてあるように、定時降下物の測定に限ったことです。サーベイメーターもモニタリングポストも一切関係ありません。もう一度冷静に、私の書いた文章および貼り付けた文章と、引用元の文科省と福島県のHPを読み直してみてください。どう記載してありますか?

また、武田先生のブログに「1月4日文科省発表」とあればその発表データは文部科学省のHPになければいけません。あのブログには引用元へのリンクすら付いていませんので、それを読んだ人は文科省のHPを探しに行きます。きっとさんざん文科省のHPを探したけどない、と悩んだ人がいるはずです。

引用元を正確に示すというのは科学者の基本的姿勢です。それを読んだ第三者が検証できるようにするためです。それすらできない(あるいは意図的にしない)人を信用できるかどうか、という論点での話を私は書いています。それ以外の論点での議論はここではするつもりはありません。

武田邦彦教授の件

初めまして、ゆうきと申します。

武田邦彦教授が信用できないとの表現がありますが
私は武田邦彦教授を信用しております。
私は武田邦彦教授になんら因果関係は有りませんが
文部科学省の言っている一ヶ月に一回だけというのは
サーベイメーターの事でモニタリングポストでは毎日計測との事

だだし武田邦彦教授の言っているように土、日、休日は発表を休むというのは本当のようですが。
産経新聞にも載っています。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120105/dst12010521140009-n1.htm

武田邦彦教授は事故前は御用学者だったということも聞いておりますが
事故後立場を変えておられます。

福島県知事を私は信用しておりません。山下教授と共に福島県民を騙して来ました。
今なお福島県から避難した方を呼び戻そうとしています。
皆さんが送った義援金を使って!
福島のHPのほうが信用できないと思いますが、いかがでしょうか?

中立的立場で・・と言うのも良いですが
自己調査が進めば自ずと信頼出来るかどうかの判断は出てくると思いますが。

No title

と言うことは、
逆から見ると、
一部だけ除染しても、一時しのぎにしかならないということですね。

助かりました

昨日6時過ぎから騒ぎが大きくなる様をネットでみていて、これくらい冷静にまとめている方を初めてみたので、お礼を言いたくなりました。ありがとうございます。

武田氏は、一貫して弱い者を守る立場から、公表データの異常に気づいたら注意喚起するということを続けているだけなのに、その前後関係なしに「危ない」という部分だけが予備知識のない人々に広がっていく。ただ、線量が上がっている訳ではないという情報も多く流れ、そこはネットの力かと思いました。

ちなみに、1kmメッシュあたりのメガベクレル降下物という概念自体、素人にはわかりにくいですね。ある地点での計測結果を引きなおしてその単位で表示するのでしょうが、これだと本当にドーンと降ってきたのか、観測地点での作業にひどく影響されただけなのか、区別しにくい。数字を発表する側が、ご指摘のような数字のばらつきと、それに対する適切な注釈をつけれていれば済んだ話かもしれません。

食品1kgあたり100ベクレル、とかいう感じに慣れた頭には、なかなかその意味するところは理解できないのは、確かでした。

とりあえず御礼まで。

No title

ありがとうございました。

ライブカメラは投光器の影響で実際には何も見えないはずでが、まことしやかに色々と情報が流れます。
更にCAVUさんも降下物増加は線量に影響ない程度との見解ですが、線量上昇報告も驚くほどたくさんあり、また3号炉排水汚染濃度上昇も加わり素人は右往左往するばかりでした。
安心してやすめます。ありがとうございました。

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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