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1/9 福島原発1号機のサブドレン水データの不思議な変動の原因は?

 
この話は昨年も2回ほど書いたのですが、この週末で新しいブログ読者も増えたようなので、久々にこの話を取り上げてみようと思います。

私のブログを「1/7 福島市の定時降下物の急増の理由は? 続編です」で初めて読んだ方も多いかもしれませんが、その人にはむしろすんなり理解してもらえるかもしれません。その理由は最後まで読めばわかると思います。

福島第一原発事故は、ステップ2を完了したと年末に宣言して、政府の対応としては新しい段階に入っています。それに合わせて、年末にはいろいろな報告書が出されました。そのリンク集はこちらに作ってありますが、これらの資料も利用しながら、福島第一原発事故による海洋汚染について、私なりにまとめようとしているところです。

間違いなくそのまとめの対象となることの一つにサブドレン水のデータがあります。今日はそのさわりをご紹介します。難しそうだからといっていままであまり興味のなかった人も、これを機会に放射能汚染水や海洋汚染について興味を持っていただければ幸いです。

1.サブドレン水とは

まず、サブドレン水ってなに?という人がほとんどでしょうから、その説明から入ります。

先ほどリンクをつけた報告書の中に、昨年12/16に出された「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会の中間報告」というものがあります。あの失敗学の畑村先生が委員長になっている委員会です。

あの報告書は、読む人を意識してわかりやすく書いてあるので、例えばサブドレンについても下記のように記載があります(V章328ページ、脚注114)。

『サブドレンとは、建屋の地下階が地下水から受ける浮力の低減及び建屋への地下水の浸水防止のため、地下水位を下げることを目的として建屋の周囲に多数設置された竪穴である(資料Ⅴ-7 参照)。
サブドレンは、地下水が流入しやすい構造になっており、サブドレン内の水は、中に設置されたポンプにより海洋へ排水することができる。』

具体的には、下の図のようなものだそうです。下水のマンホールみたいな感じの縦穴があって、そこに地下水をくみ上げるポンプが設置されていて、必要に応じて地下水をくみ上げるためのものだそうです。

1/9サブドレン1

この報告書が作成されるまで、私も見たことがないのでサブドレンを説明するのはすごく大変でした。東京電力はちゃんとした説明をしてくれなかったので、この報告書は非常に助かっています。

5,6号機のまわりにはこんなに多くのサブドレンが設置されています。

1/9サブドレン2

その中で、実際にサブドレンの放射能汚染を調べているのは下記の95番と71番だけです。

1/9サブドレン6

同様に、1-4号機にもサブドレンがたくさんありますが、その中で1号機のNo.1、2号機のNo.27、3号機のNo.32、4号機のNo.56から週3回サンプリングして放射性物質を測定しています。また、当初のサブドレン設置の目的である水位も測定されて、毎月東京電力がまとめて公開しています。

1/9サブドレン5

2.サブドレン水の放射能汚染

福島第一原発事故後、3月下旬に5、6号機の放射性廃棄物処理建屋の地下に水がたまっていることがわかり(報告書328ページ)、東京電力が調べた所、サブドレン水の水位が高くなって放射性廃棄物処理建屋に流れ込んだと判断されました。しかし、サブドレン水の放射能を調べると、放射性物質が規制値以上の濃度で含まれていたため、組み上げて放出することはできないことがわかりました(このあたりの話はいずれ別にまとめます)。

1/9サブドレン7

それから、週に3日のペースで下記の6つのサブドレンと深井戸の7ヶ所について、放射性物質(ヨウ素とセシウムが主)の測定が行われて現在に至っています。

1/9サブドレン3

では、これまでどんなデータが出ているのか、データを見てみましょう。

東京電力はこれまで週に3回サブドレンの放射能を測定して、その結果を下記のようにHPで発表していました。この表では、Bq/cm3で記載されていますので、よく見るBq/Lの単位に直す際には1000倍する必要があるので注意が必要です。

1/9サブドレン10
(クリックで別画面に拡大)

昨年末の12/16のステップ2完了時にまとめて(添付3:モニタリングデータ)として、東京電力がグラフにしてくれたものです。

まずはわかりやすい2号機のサブドレンのデータを見ていきます。このグラフ、縦軸が対数ですので注意してください。ヨウ素(I-131)は半減期が8日ですので、対数目盛でもどんどん減っているのがわかると思います。

一方、半減期が30年もあるCs-137はほとんど減っていません。7月末まではほぼ10Bq/cm3=10000Bq/Lで変わらないことがわかると思います。この放射性物質がどこから来るのかはわかりませんが、原発事故によって地下水にも放射性物質が流れ込んだのは間違いないようです。

1/9サブドレン8

さて、次が一番問題の1号機のサブドレンです。2号機とは異なり、時々ピョコンと大きく値が上昇します。I-131もCs-134、Cs-137も同様に上昇しています。不思議ですよね。どうしてだか理由を知りたいと思いませんか?

1/9サブドレン9

実は、2号機以外の3号機、4号機も同様のパターンを示しています(これも東京電力作成のグラフ)。しかしながら、3号機、4号機のサブドレン水の濃度は低いため(1、2号機のほぼ1/100程度)に、検出限界以下にすぐになってしまい、パターンが読み取れなくなってしまっています。

1/9サブドレン11

1/9サブドレン12

ですから、ここでは1号機のデータで代表してその変動に注目します。

3.1号機のサブドレン水の放射能濃度の変動の秘密

変動の理由、なぜだか予想がついたでしょうか?実は、この話は以前「6/27 ついに解明!サブドレン放射能汚染水の変動の秘密 雨が降ると増大ということは・・・」で書いたことなのです。この時は、6月までのデータしかありませんでしたが、それを用いて、この変動パターンが生じる原因を解明していった経緯を詳細に書いてあります。詳細は上のリンク先を読んでもらうこととして、この変動の理由は雨が降ることであるということを突き止めました。下のグラフは、東京電力が発表しているサブドレンのデータと、福島第一原発の近くの浪江町の降水量を重ね合わせて書いたものです。降水量は下の紫の折れ線グラフです。

1/9サブドレン13

こうやってみれば、雨が降ることとサブドレンの放射能が跳ね上がることには明らかに相関関係があることがわかります。この関係を見つけた時は非常に嬉しかったものです。

この推論が正しかったことは、その後のデータでも確かめられています。9月にも一度「9/18 サブドレン水の不思議 1号機サブドレン水の特徴」で書きましたが、6月までのようなはっきりした関係は見にくくなっていますが、雨が降ることとサブドレンの放射能が跳ね上がることには依然として相関関係が見られました。

今回、12月までのデータも加えて示します(4月までのデータは省略しました)が、9月以降もやはり同じパターンは見て取れます。なお、降水量と放射能の増加が相関しているわけではありません。例えば9月21日頃に台風15号が来ました。この時は大量の雨が降りましたが、それによってサブドレン水の放射能が大きく跳ね上がったかというとそういうわけではありませんでした。そこまでの量的な相関はないようですが、雨が降るとサブドレンの放射能が跳ね上がるということだけは確かなようです。

1/9サブドレン14
(クリックで別画面に拡大)

4.なぜ雨が降ると1号機は増えて2号機は増えないのか?

では、雨が降るとなぜ1号機のサブドレンの放射能が増えるのか?また2号機のサブドレンの放射能は増えないのか?ここについては、実はまだ解明できていません。当初この話を書こうとしていた5月頃は、2号機ではI-131の低下が遅く、まだ核分裂が起こっているのではないか?という疑問を持っていました。ですが、その後2号機のI-131のデータも低下してきましたので、その説は違っていたのかな、と思います。いずれにせよ、2号機のデータの動きが他の1、3、4号機と異なることだけは確かです。

9月に「9/18 サブドレン水の不思議 1号機サブドレン水の特徴」で書いた時に、ある人から一つの推理を教えてもらいました。

雨が降ると屋根がない1号機の建屋の中には雨が直接流れ込み、汚染したがれきや飛び散った放射性物質を洗い流して、それがどこかから地下水へと流れ込むのではないか?2号機は建屋の屋根が残っていて、1号機や3号機、4号機は屋根が残っていないので、2号機は雨が降ってもそういう変動がない。そう考えたらいいのでは?という説でした。

10月末に1号機には放射性物質拡散防止のためのカバーが設置されました。それ以降に雨が降った時にどうなるかでこの仮説が検証できると思いました。そこで、先ほどの上の図では、Cs-137の濃度が低くて見にくいので、縦軸の目盛りを1/10に下げて、縦に引き延ばして書いてみました。11月以降に雨が降ったのは3-4回ですが、カバーの効果があるかどうかは微妙です。10月よりも増加の割合が減ったようにも見えますので、カバーの効果があったのでしょうか?

1/9サブドレン15
(クリックで別画面に拡大)


ということで、福島第一原発の地下で、本当に何が起こっているのかはまだわかりません。どなたかおわかりの方がいれば、推理でもいいので、教えていただければありがたいです。

今回は、福島市の降下物のグラフによる解析の記事からこのブログに来た人が多いと思いましたので、他にも公表されているデータをよく調べればこんな事もわかるんだよ、という事例をご紹介しました。

ただ、雨が降ることとサブドレンの放射能の増加の関係がわかっただけですので、そもそもの問題として、どうやってサブドレン水=地下水に放射性物質が流れ込んでいるのか?という疑問については、東京電力が福島第一原発の図面などのデータをもっと公開してくれないとわからないと思います。


そして、このサブドレン水にも検出されている汚染された地下水は、おそらく海に流れ込んでいるはずです。これまでの大量の汚染水流出による汚染からすれば少ないものの、地下水経由の海の汚染が続いている可能性が高いと思います。ですから、すでに着工した赦水壁(下図:リンク先の25ページ)を早く完成させて、そのような不安を取り除いて欲しいと思います。

1/9サブドレン16


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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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