福島第一原発で汚染水処理装置などから水漏れ連発!最新状況
1/28追記:新たに起こった配管上の水漏れについて一番下に追記しました。
1/29追記:新たに起こった水漏れ14ヶ所について、一番下に追記しました。なんか毎日更新のシリーズになりそうないやな予感・・・
なお、更新量が増えたため、「1/10 福島第一原発で汚染水処理装置などから水漏れ連発!」からタイトルを上記に変更しました。
1/30追記:昨日のいやな予感は的中。今日も4ヶ所で水漏れがありました。一番下に追記しました。
1/10の記事内容
年末(12/18)の220トンの汚染水の話が報告書として上がってきたのでそのまとめを書いていたら、いつのまにかまた新しい水漏れ発見です。しかも毎日のように別の場所で起こっています。
突貫工事で作った汚染水循環装置なので、冬の寒さによる凍結などの対策がうまくされていなかったのでしょうか?配管などもビニール管が多く、凍結したらひび割れたりする可能性もあるという記事(SankeiBiz)を読んだ覚えもあります。
ともかく、何が起こったかしっかりと事実を把握して記録しておくことにしましょう。年末のトレンチで発見された汚染水とその後見つかったトレンチでのたまり水については別途まとめます。
追記:「1/11 福島原発のトレンチたまり水-報告書から読み解く汚染水の原因は?」でまとめました。
それでは、12月からの汚染水処理に関する動きをまとめていきます。
12/4 蒸発濃縮装置から45トンの水漏れが生じ、そのうち150Lの処理水(セシウムは除去されているがストロンチウムなどを大量に含む)が海に流出しました。関連する情報は私の過去のブログ記事に書いてあります。
「12/5 放射能汚染水(蒸発濃縮装置)から水漏れ発生!ストロンチウムはどれくらいある?」
汚染水処理装置における蒸発濃縮装置の位置づけと汚染水中のストロンチウムなどβ核種の量についての解説
「12/6 福島第一原発の蒸発濃縮装置からの汚染水漏れの続報」
どこからどのように流出したのか?の解説
「12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!」
汚染水が海に流出が確定したことを東京電力が認めたことを受けての解説
1/28追記:その後、ストロンチウムの濃度測定結果が発表されましたので、それについてはこちらにまとめました。
「1/17 12/4流出の汚染水ストロンチウム濃度やっと発表 Sr-90が1億1000万Bq/L!」
2/2追記:記載漏れでした。
12/12 同じ蒸発濃縮装置(今回は3C)の中間濃縮液ドレンラインに設置していたバケツから水漏れ。
「12/15 福島第一原発の施設運営計画について保安院は妥当と評価、16日の冷温停止宣言に合わせたドタバタ劇」の中で一部解説しました。
12/18 新たな放射能汚染水がトレンチに発見されました。当初230トンと発表されましたが、後日220トンに修正されました。その関連する情報はこの記事にあります。
「12/18 【速報】新たな放射能汚染水を地下のトレンチに230トン発見!」
この時の中間報告が1/6に保安院に提出されました。新たなトレンチのたまり水の話なども含めて、このまとめは近日中に書きます。
追記:「1/11 福島原発のトレンチたまり水-報告書から読み解く汚染水の原因は?」でまとめました。
年末年始の情報が抜けてしまったので、このあとの話を今回簡単にまとめます。
1/8、汚染水処理システムではありませんが、燃料プールの冷却循環システムで水漏れがありました。この水は普通の淡水で、放射性物質は含んでいなかったのでここに入れていいものかどうか、という疑問もあるのですが、水漏れということで一応並べて記載しておきます。ただし、性質が全く違うことは注意しておいてください。

1/9、蒸発濃縮装置から水が11L漏れました。「凍結防止用のヒーターが故障して水が凍り、装置が壊れたのが原因とみられる。」ということです(47Newsより)。ただし、「漏えいした水は蒸発濃縮装置で蒸気を凝縮させた淡水化処理後の水(原子炉注水用の水)」ということで、セシウムなどのガンマ核種は検出限界未満、β核種は60Bq/Lということでした。なので、これは幸いなことに大事には至らなかったようです。

水漏れを起こした蒸発濃縮装置は、下の図でいうと真ん中あたりにある2Bという番号の装置です。1/10の水漏れにもほぼ同じ図が出てきますので、ここでまとめて説明しておきます。汚染水循環装置の全体像については先ほどご紹介した「12/5 放射能汚染水(蒸発濃縮装置)から水漏れ発生!ストロンチウムはどれくらいある?」を読んでもらえば書いてあるのでここでは省略します。

この図は、セシウム吸着装置のサリーやキュリオンを通した後の水がどう処理されるかを示したものです。左上の「除染装置より」で、セシウムをほとんど除去されて、しかしβ核種は除去されていない汚染水が、今度は海水中の塩分を除くためにRO膜(逆浸透膜)を使った淡水化装置を通ります。そして右側のRO処理水は淡水化された水で、これが炉心に再注水されます。
一方、RO濃縮水は、塩分が濃縮された水で、これをそのまま廃液にすると廃液量が膨大になるので、さらに蒸発濃縮装置で水分を蒸発させます。そして残った濃排水を廃液として貯めておいて廃棄し、蒸発させてきれいになった水は、再度RO膜で塩分を除いた後で炉心への再注水に利用するという流れです。ちなみに、昨年12/4に150Lが海に流れ出したのもこの蒸発濃縮装置でした。
続いて本日(1/10)、今度は淡水化装置から10Lの水漏れです。水はコンクリートの上に漏れただけだそうです。ボルトを締めたら止まったということで、ボルトがゆるんでいたとことでしょうか?今回は淡水化装置を通る前の水ですから、高濃度のβ核種を含んでいます。下の発表でいうと、後半部分をお読み下さい。

(クリックで別画面に拡大)
その場所は、下の図でいうと赤い部分です。

具体的にはこんな感じで水漏れが起こっていたということです。

その水のサンプリング結果です。全β核種で5×10^8Bq/Lもの濃度です。セシウムも、Cs-134が94,000Bq/L、Cs-137が110,000Bq/Lと、ちょっと高めです。

というのも、1/5に「水処理設備の放射能濃度測定結果(10.2KB)」という最新データが発表されており、それによると(6)の「淡水化装置入口水」は、12/20のデータでCs-134:14,000Bq/L、Cs-137:17,000Bq/Lだったからです。10倍とまでは行きませんが、数倍は高いというイメージです。
年末年始の水漏れの話を簡単にまとめました。もうステップ2も終了と宣言したのですから、東京電力はこんなことをいちいちまとめさせないようにして欲しいですね。でも、私の予想では今後も同じような小さなトラブルが時々起こるような気がします。
1/28追記:その後の1月の水漏れをまとめました。
1/21 2号機タービン建屋地下から雑固体廃棄物減容処理建屋(高温焼却炉建屋)への移送ラインにおける水の漏えいについて(41.2KB)

記者会見資料

1/28 福島第一原子力発電所の蒸発濃縮装置脱塩器付近の弁フランジ部からの水漏れについて(183KB)

1/28 福島第一原子力発電所の廃液RO供給ポンプミニフロー配管の弁フランジ部からの水漏れについて(133KB)

1/28 福島第一原子力発電所における待機中の常用高台炉注ポンプ(B)近くのベント弁からの水漏れについて(70.8KB)

記者会見資料


1/29 新たに14ヶ所の水漏れが発表されました。
14ヶ所もあるので、図面がついています。

簡単にいうと、今回の14ヶ所からの水漏れは、ダムから取水したろ過水だったり、RO膜を通したほとんど汚染されていない水がほとんどです。名称だけでは詳細がわからないものもあり、表にも記載があるのはセシウムだけで、β核種の濃度がわからないのですが、今日の分はそれほど高い濃度の放射能は含まれていないと思います。
まとめの表です。


(クリックで別画面に拡大)
記者会見資料より


水漏れをした場所の写真も5ヶ所ほどHPに掲載されています。今回はここに載せるのは省略します。
1/30 新たに4ヶ所の水漏れが発表されました。

記者会見資料より
どうも午前中に記者会見した時は2ヶ所だけで、その後さらに2ヶ所見つかったようです。

今回の事態を受けて、原子力保安院は東京電力に再発防止を指示しました。
東京電力のHPにも載っています。
『1.28日、29日及び30日に発生した漏えいについて、内部流体の凍結の可能性も含め原因を究明し、再発防止対策を直ちに実施すること。
2.これらの漏えいについて敷地外への流出の有無を確認し、流出の可能性がある場合には、放出量評価を行うこと。
3.類似箇所を特定して凍結対策及び漏えい対策を直ちに実施すること。また、外部への漏えい防止のため、直ちに夜間を含め巡視点検等を強化し、漏えいの発生を確認した場合にも適切に対応できるようにすること。
4.上記の対策を含めて、現在実施している凍結対策を見直し、2月8日までに今後の凍結対策の計画を提出すること。特に、原子炉注水系設備など安全上重要な設備については、仮設建屋の設置などの抜本的な凍結対策を速やかに検討し、実施すること。』
私は、本日保安院の指示が出たことはいいことだと思っています。情報公開に熱心でない東京電力も、保安院の指示が出るといろいろな情報をまとめて提出し、それが公開されます。それによって初めてわかる事実というのもこれまでに何度もありました。従って、いろいろな新しいタイプのトラブルが起こってくれると、それを受けての保安院指示→報告書提出で、これまでわからなかった情報がわかってくるという側面があるということも知っておくといいと思います。
12/4 蒸発濃縮装置から45トンの水漏れが生じ、そのうち150Lの処理水(セシウムは除去されているがストロンチウムなどを大量に含む)が海に流出しました。関連する情報は私の過去のブログ記事に書いてあります。
「12/5 放射能汚染水(蒸発濃縮装置)から水漏れ発生!ストロンチウムはどれくらいある?」
汚染水処理装置における蒸発濃縮装置の位置づけと汚染水中のストロンチウムなどβ核種の量についての解説
「12/6 福島第一原発の蒸発濃縮装置からの汚染水漏れの続報」
どこからどのように流出したのか?の解説
「12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!」
汚染水が海に流出が確定したことを東京電力が認めたことを受けての解説
1/28追記:その後、ストロンチウムの濃度測定結果が発表されましたので、それについてはこちらにまとめました。
「1/17 12/4流出の汚染水ストロンチウム濃度やっと発表 Sr-90が1億1000万Bq/L!」
2/2追記:記載漏れでした。
12/12 同じ蒸発濃縮装置(今回は3C)の中間濃縮液ドレンラインに設置していたバケツから水漏れ。
「12/15 福島第一原発の施設運営計画について保安院は妥当と評価、16日の冷温停止宣言に合わせたドタバタ劇」の中で一部解説しました。
12/18 新たな放射能汚染水がトレンチに発見されました。当初230トンと発表されましたが、後日220トンに修正されました。その関連する情報はこの記事にあります。
「12/18 【速報】新たな放射能汚染水を地下のトレンチに230トン発見!」
この時の中間報告が1/6に保安院に提出されました。新たなトレンチのたまり水の話なども含めて、このまとめは近日中に書きます。
追記:「1/11 福島原発のトレンチたまり水-報告書から読み解く汚染水の原因は?」でまとめました。
年末年始の情報が抜けてしまったので、このあとの話を今回簡単にまとめます。
1/8、汚染水処理システムではありませんが、燃料プールの冷却循環システムで水漏れがありました。この水は普通の淡水で、放射性物質は含んでいなかったのでここに入れていいものかどうか、という疑問もあるのですが、水漏れということで一応並べて記載しておきます。ただし、性質が全く違うことは注意しておいてください。

1/9、蒸発濃縮装置から水が11L漏れました。「凍結防止用のヒーターが故障して水が凍り、装置が壊れたのが原因とみられる。」ということです(47Newsより)。ただし、「漏えいした水は蒸発濃縮装置で蒸気を凝縮させた淡水化処理後の水(原子炉注水用の水)」ということで、セシウムなどのガンマ核種は検出限界未満、β核種は60Bq/Lということでした。なので、これは幸いなことに大事には至らなかったようです。

水漏れを起こした蒸発濃縮装置は、下の図でいうと真ん中あたりにある2Bという番号の装置です。1/10の水漏れにもほぼ同じ図が出てきますので、ここでまとめて説明しておきます。汚染水循環装置の全体像については先ほどご紹介した「12/5 放射能汚染水(蒸発濃縮装置)から水漏れ発生!ストロンチウムはどれくらいある?」を読んでもらえば書いてあるのでここでは省略します。

この図は、セシウム吸着装置のサリーやキュリオンを通した後の水がどう処理されるかを示したものです。左上の「除染装置より」で、セシウムをほとんど除去されて、しかしβ核種は除去されていない汚染水が、今度は海水中の塩分を除くためにRO膜(逆浸透膜)を使った淡水化装置を通ります。そして右側のRO処理水は淡水化された水で、これが炉心に再注水されます。
一方、RO濃縮水は、塩分が濃縮された水で、これをそのまま廃液にすると廃液量が膨大になるので、さらに蒸発濃縮装置で水分を蒸発させます。そして残った濃排水を廃液として貯めておいて廃棄し、蒸発させてきれいになった水は、再度RO膜で塩分を除いた後で炉心への再注水に利用するという流れです。ちなみに、昨年12/4に150Lが海に流れ出したのもこの蒸発濃縮装置でした。
続いて本日(1/10)、今度は淡水化装置から10Lの水漏れです。水はコンクリートの上に漏れただけだそうです。ボルトを締めたら止まったということで、ボルトがゆるんでいたとことでしょうか?今回は淡水化装置を通る前の水ですから、高濃度のβ核種を含んでいます。下の発表でいうと、後半部分をお読み下さい。

(クリックで別画面に拡大)
その場所は、下の図でいうと赤い部分です。

具体的にはこんな感じで水漏れが起こっていたということです。

その水のサンプリング結果です。全β核種で5×10^8Bq/Lもの濃度です。セシウムも、Cs-134が94,000Bq/L、Cs-137が110,000Bq/Lと、ちょっと高めです。

というのも、1/5に「水処理設備の放射能濃度測定結果(10.2KB)」という最新データが発表されており、それによると(6)の「淡水化装置入口水」は、12/20のデータでCs-134:14,000Bq/L、Cs-137:17,000Bq/Lだったからです。10倍とまでは行きませんが、数倍は高いというイメージです。
年末年始の水漏れの話を簡単にまとめました。もうステップ2も終了と宣言したのですから、東京電力はこんなことをいちいちまとめさせないようにして欲しいですね。でも、私の予想では今後も同じような小さなトラブルが時々起こるような気がします。
1/28追記:その後の1月の水漏れをまとめました。
1/21 2号機タービン建屋地下から雑固体廃棄物減容処理建屋(高温焼却炉建屋)への移送ラインにおける水の漏えいについて(41.2KB)

記者会見資料

1/28 福島第一原子力発電所の蒸発濃縮装置脱塩器付近の弁フランジ部からの水漏れについて(183KB)

1/28 福島第一原子力発電所の廃液RO供給ポンプミニフロー配管の弁フランジ部からの水漏れについて(133KB)

1/28 福島第一原子力発電所における待機中の常用高台炉注ポンプ(B)近くのベント弁からの水漏れについて(70.8KB)

記者会見資料


1/29 新たに14ヶ所の水漏れが発表されました。
14ヶ所もあるので、図面がついています。

簡単にいうと、今回の14ヶ所からの水漏れは、ダムから取水したろ過水だったり、RO膜を通したほとんど汚染されていない水がほとんどです。名称だけでは詳細がわからないものもあり、表にも記載があるのはセシウムだけで、β核種の濃度がわからないのですが、今日の分はそれほど高い濃度の放射能は含まれていないと思います。
まとめの表です。


(クリックで別画面に拡大)
記者会見資料より


水漏れをした場所の写真も5ヶ所ほどHPに掲載されています。今回はここに載せるのは省略します。
1/30 新たに4ヶ所の水漏れが発表されました。

記者会見資料より
どうも午前中に記者会見した時は2ヶ所だけで、その後さらに2ヶ所見つかったようです。

今回の事態を受けて、原子力保安院は東京電力に再発防止を指示しました。
東京電力のHPにも載っています。
『1.28日、29日及び30日に発生した漏えいについて、内部流体の凍結の可能性も含め原因を究明し、再発防止対策を直ちに実施すること。
2.これらの漏えいについて敷地外への流出の有無を確認し、流出の可能性がある場合には、放出量評価を行うこと。
3.類似箇所を特定して凍結対策及び漏えい対策を直ちに実施すること。また、外部への漏えい防止のため、直ちに夜間を含め巡視点検等を強化し、漏えいの発生を確認した場合にも適切に対応できるようにすること。
4.上記の対策を含めて、現在実施している凍結対策を見直し、2月8日までに今後の凍結対策の計画を提出すること。特に、原子炉注水系設備など安全上重要な設備については、仮設建屋の設置などの抜本的な凍結対策を速やかに検討し、実施すること。』
私は、本日保安院の指示が出たことはいいことだと思っています。情報公開に熱心でない東京電力も、保安院の指示が出るといろいろな情報をまとめて提出し、それが公開されます。それによって初めてわかる事実というのもこれまでに何度もありました。従って、いろいろな新しいタイプのトラブルが起こってくれると、それを受けての保安院指示→報告書提出で、これまでわからなかった情報がわかってくるという側面があるということも知っておくといいと思います。
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