1/15 福島県と農水省の規制値越えの中間検討会(12/25)資料その2
「12/29 福島県と農水省の規制値越えの中間検討会(12/25)資料その1」の続きです。このブログで書いた疑問点を福島県農業振興課にメールで問い合わせてみたら、修正した旨お返事をいただきました。修正版はこちらに掲載されています。
おそらく、どこを修正したかは普通の人にはわからないと思いますので、修正点を解説し、正しいデータでどういう分析をしているか、昨年末にやりたかったことに取りかかります。
ただ、2週間近く経ってしまいましたので、その間に、この中間報告に対する専門家の解説や、今年の作付けに対する動きが出てきました。今回は私自身の考察は後回しにして、そちらをご紹介したいと思います。
1.修正されたデータの内容
農業振興課の回答としては、
(1)表2のデータを修正した。
→数えてみたら細かい修正(玄米中Csの欄の数字)が16ヶ所ありました。一ヶ所は入れ替わっていました。
(2)図4のデータが一つ多かったので削除し、31ヶ所に修正しました。
(3)図2は、表2のデータを修正したので変更無しです。
ということでした。
表2のデータを元に図2や図4が変わっているので、まずは表2のどこが変わったかを確認します。下の図は福島県のHPのデータを転記したものですが、黄色く塗った部分が修正してあります。一番大きな違いはNo.18とNo.19のセシウムの数値が入れ替わったことです。

(クリックで別画面に拡大)
これにより、私が前回「12/29 福島県と農水省の規制値越えの中間検討会(12/25)資料その1」で指摘した、下の図に示したような図2のデータの入れ替えは不要となりました。また、No.1とNo.11のデータも970~1270、58~530とそれぞれ修正されたことで、図2の修正は不要となりました。今回の図2は前回と同じです。下の図でいうと、赤い矢印や数字のコメントは無視していただければかまいません。

(前回の図2にコメントをつけたもの:図2は今回も変更なし)
また、図4に関しては、32個の点があっておかしいという指摘に対して、一つ点が削除されました。

(前回の図4:赤丸の点が多いのかと思っていました)
その結果、下図のように、前回私がNo.28のデータかと思っていた点が削除されました。No.28は前回の図で赤丸の位置に変更になりました。No.11は図2と同様、元のデータの範囲が広がったので修正無しです。近似曲線の数値やR2の数値が変わっているのは、データ数が32から31に変わったので微妙に変わったためです。

いずれの修正も、本質的な部分の修正ではありませんので、本文の修正はありませんでした。
採取地のNoと小国町の16軒の農家とは完全には1対1では対応していませんが、これまでの発表データからどの農家なのかをほぼ対応させることができます。今回の修正により、前回おかしな数値だった部分も修正されたので、ほとんどのデータがどの農家に対応するのかわかるようになりました。
下の表で、AとかBとかいう分類は、私が勝手につけたものですが、B分類の農家の田んぼからは、非常に高率で暫定規制値越えのセシウムが検出されていました。(「12/19 福島市大波地区(旧小国村)のコメ放射能データ集計結果を発表!」も参照のこと)。従って、ここの農家の田んぼを重点的に解析すべき、と考えていましたが、福島県はそれを行ってくれています。A分類の農家は、一部の田んぼが規制値越えになっただけですので、全ての農家には協力をお願いしなかったのかもしれません。

以上が、年末からの福島県とのやりとりの結果、修正されたデータの解説です。恐らく普通の人は見ても修正点がわからないと思います。私のブログでは、年末に「おかしい!」と指摘したので、今回はどこが修正されたかを解説しています。おそらく福島県の方は修正点をいちいち公開しないで欲しいと思っていると思います。
ただ、私はここで強調しておきたいのは、一回目に間違えたことではなく、指摘に対して間違いを修正してくれた点です。12月は規制値越えのコメの対応でかなり大変だったでしょうから、多少の間違いは仕方ないと思います。指摘に対して、間違いを認めて(修正版)として公開してくれていますから、今回の福島県の対応は評価したいと私は思います。
また、間違いを指摘できるだけの細かいデータを公開してくれたことも評価すべきと思います。概略しか公開されなければ、私のような指摘もできなかったはずです。細かいデータが公開されたのでこういう修正につながったのですから、今後も失敗を恐れずにできるだけ詳しい情報公開をお願いしたいと思います。
2.これまでにあった新聞記事の解説
本来ならば、年末にこの内容を受けて私なりの分析をしようかと思っていました。ですが、データをしっかりと確認してから、とおもっていたら遅くなってしまいました。その間に、新聞記事などでこの中間報告に関しての解説がいくつか載っていました。私が気がついたものをご紹介したいと思います。
また、年が明けて、いろいろな動きがありました。新基準値が発表されたこともあり、今年の作付けに向けて方針を出すべく、行政としても動き出しています。このあたりも簡単にフォローしておきます。
ネットで検索しても、この手の情報は福島民報や日本農業新聞によく載っているようです。逆に言うと、他の新聞にはあまり載っていないということです。
1/8 福島民報 「【中間報告あいまい】作付け前、農家困惑 コメのセシウム要因調査」
『農林水産省と県がまとめた要因調査の中間報告に対し、農家に戸惑いが広がっている。「肥料中のカリウム不足が要因の1つ」とされたが、同じ量を施肥しても検査結果が異なるケースもあるなど、あいまいな部分が多い。「何を信じて作付けすればいいのか」。関係者は分析を急ぎ、一刻も早く必要な対策を講じるよう求める。』
ここでは、伊達市旧小国村で規制値越えのセシウムが検出された農家(580Bq/kg:No.18に対応します)の話が出ています。『昨年使った肥料はカリウムと窒素、リン酸を配合した一般的な化学肥料だが、同じ地区内で同じ量の肥料を施したにもかかわらず、暫定基準値を下回った農家もある。「何を信じてコメ作りを続ければいいのか分からない」。女性は今春の作付けに迷いを感じ始めている。』という証言がありました。No.18のカリウム(K2O mg/100g)を見ると8.1と低めでしたから、肥料が少なかったわけではないという証言と合わせると、元々の土壌中のカリウムが低かったのでしょうか?
その他、『ただ、次々と新たな見方が出されても、決め手に欠くのが現状だ。今年産米の作付けの参考にと発表した中間報告が逆に不安や戸惑いを広げる結果にもなっている。複雑に絡んだ要因をひもとく作業は手探り状態で、どの時点で結論を出せるのかは不透明だ。』と、いろいろな要因をあげたためにかえって現場は混乱している、というような論調で書かれています。
これについては、要因は恐らく複数あるので、伊達市旧小国村はこの要因に気をつける、福島市旧小国村はこの要因に気をつける、というように地区ごとの特性を見抜いて個別にアドバイスが必要ということだと思います。新聞やTVが求めるような短絡的な一つの答は出ない、というのが今回の中間報告のまとめです。
なお、この記事では新基準値に対応するためにどうしたらいいか、ということも書かれていて、どういうことが問題点なのかは列挙してありますから、ぜひお読み下さい。
1/11 日本農業新聞 「水稲作付け 厳しい新基準値案 放射性セシウム 克服の鍵は? (01月11日)」
この上の記事へのリンクは、日本農業新聞に無料会員登録しないと全部読めません。ですが、東大農学部の根本教授の意見も掲載されており、必読と思います。なお、根本教授がどんなことを研究しているかについては、「11/20 東大農学部主催の放射能の農畜水産物等への影響の研究報告会」で書きましたので、そちらもぜひお読み下さい。
若干脱線しますが、東大農学部の取り組みもご紹介しておきます。
11/20の報告会(2/15まで公開の動画付き)のサイトはここ。
来月の2/18の第2回報告会の予告のサイトはここです。
今回は私は日程的に参加できないのですが、行ける方は是非行ってみてください。前回の内容からすると、おコメのセシウムについての要因分析という視点では根本教授と塩沢教授の話は必見と思います。それ以外にも、規制値越えが続出のキノコの話もありますので、これも興味あります。後日動画が公開されるということですので、私はそれを見ます。
さて、話を元に戻します。日本農業新聞の記事についてです。
この記事では、根本教授と、農業環境技術研究所・研究コーディネータ 谷山一郎氏の話が紹介されています。以下に簡単に概要を紹介します。
農業環境技術研究所・研究コーディネータ 谷山一郎氏
・土壌のセシウム濃度が高いというのが基本的な要因であるが、土壌によってセシウムを吸着しやすい粘土鉱物の量に違いがあるため、単純に土壌からの移行係数だけでは説明できない。
・カリウム濃度が低いというのが原因の一つと考えられるが、それだけでは説明できない所もある。
・森林を覆う有機物層に緩く付着した放射性セシウムが、有機物分解に伴いイオン状態で流れて水田に入り、根や茎から吸われたという「水説」があるが、これはまだ否定も肯定もされていない。
対策:
・カリウム不足を補うため、カリウム施肥をしっかり行うことが重要。それ以外にバーミキュライトなども効果がある。
・耕起は深く、ゆっくり混ぜる。
・山水を取っているのであれば、用水路にイオンを付着させるようなゼオライトやプルシアンブルーを設置する。
・要因解析は今も続いている。行政機関から発信される情報に基づき、あまり先走らずに適切に対応することが重要だ。
東京大学大学院教授 根本圭介氏
『土壌の種類を考慮しても、土壌に吸着された放射性セシウムの稲への移行は容易ではない。そのため、土壌以外から稲に放射性セシウムが移行した可能性を、多くの研究者が考え始めている。』
・実験的に稲を水耕栽培してセシウムを与えると、吸収する量は土壌とは桁違いに多い。このことは非常に重要だ。稲が田水に溶け出した水からセシウムを直接吸収すれば、土壌よりはるかに低濃度でも相当量を吸収することを意味する。
・東大大学院の塩沢昌教授によると、規制値超えの米が取れた大波・伊達地区の水田は、二本松市小浜地区と同様に排水が極めて悪い。放射性セシウムが長期間、田水に滞留され、根から直接吸収する機会が多かったのではないか。
対策:
・暫定規制値超えの米が出た水田では、米の放射性セシウム吸収量の推移などを山林、用水、耕地を通じたセシウムの移動と収支を含め、年次を追って調べることが重要。飯舘村など避難地域で稲作を再開すれば、同じ問題が懸念される。対策を講じる上でも、何らかの形で作付けを継続して原因を突き止めるべきだ。
・東大の研究チームでは、水からの稲への移行を研究している。仕組みが分かれば、対策の一助になる。想定が正しければ、湿田の乾田化を含めた地域全体の排水性の改善で稲のセシウム吸収をある程度、抑えられる可能性が出てくるだろう。
3.その他の今年の作付けをめぐっての動きなど
農水省の動き、各地区のJAの動き、自治体の動きなどをいくつか取り上げました。一部のみを引用しています。詳細は各リンク先をお読み下さい。
1/10 読売 「セシウム検出なら作付け中止要請…JA福島検討」
現在福島県が行っている緊急調査でセシウムが検出された場合、『JAグループ福島は、県内のコメに少しでもセシウムが検出された場合、当該農家に今春の作付け中止を要請する検討を始めた。』
1/11 福島民報 「26日に作付け方針決定 JA福島中央会、コメ100ベクレル超地域の扱いも」
『JA福島中央会は、平成24年産米の作付け方針を26日に開く理事会で決める。国が地元との作付け制限の検討課題とした放射性セシウムが1キロ当たり100ベクレル超のコメが収穫された地域や、微量のセシウムが検出された地域などについて作付けの考え方を盛り込む考え。』
『微量でも検出された地域を作付け制限とした場合、汚染米検出のリスクは減るが、生産意欲の喪失、耕作放棄地増大などが懸念される。23年産米で微量のセシウムが検出された地域は29市町村の129旧市町村におよび、「現実的ではない」とする意見もある。
方針案では、機器によって異なる検出下限値の設定基準についても検討する。』
1/11 福島民報 「500ベクレル超作付け制限 24年産 地域拡大の可能性 農水省」
『農水省は24年産米の作付けに関する考え方を12月末に示した。23年産米の県の緊急調査で500ベクレルを超えた旧市町村を基本に制限し、100ベクレルを超えたコメの地域は今後検討する。』
1/11 福島民報 「汚染米市場から隔離 100ベクレル超買い上げ 農家支援、消費者に安心」
『農林水産省は12月27日、県の緊急調査で1キロ当たり500ベクレルを超えるコメが出て出荷停止となった旧市町村と、100ベクレルを超えた農家のコメを民間団体などを通じて出荷代金の相当額で買い上げる農家支援策を決めた。』
1/11 福島民報 「伊達市、今年度産米原則作付け」
『伊達市は24年産米について、原則作付けの方針であることが、10日分かった。同日開かれた市災害対策本部で仁志田昇司市長が示した。』
農業振興課の回答としては、
(1)表2のデータを修正した。
→数えてみたら細かい修正(玄米中Csの欄の数字)が16ヶ所ありました。一ヶ所は入れ替わっていました。
(2)図4のデータが一つ多かったので削除し、31ヶ所に修正しました。
(3)図2は、表2のデータを修正したので変更無しです。
ということでした。
表2のデータを元に図2や図4が変わっているので、まずは表2のどこが変わったかを確認します。下の図は福島県のHPのデータを転記したものですが、黄色く塗った部分が修正してあります。一番大きな違いはNo.18とNo.19のセシウムの数値が入れ替わったことです。

(クリックで別画面に拡大)
これにより、私が前回「12/29 福島県と農水省の規制値越えの中間検討会(12/25)資料その1」で指摘した、下の図に示したような図2のデータの入れ替えは不要となりました。また、No.1とNo.11のデータも970~1270、58~530とそれぞれ修正されたことで、図2の修正は不要となりました。今回の図2は前回と同じです。下の図でいうと、赤い矢印や数字のコメントは無視していただければかまいません。

(前回の図2にコメントをつけたもの:図2は今回も変更なし)
また、図4に関しては、32個の点があっておかしいという指摘に対して、一つ点が削除されました。

(前回の図4:赤丸の点が多いのかと思っていました)
その結果、下図のように、前回私がNo.28のデータかと思っていた点が削除されました。No.28は前回の図で赤丸の位置に変更になりました。No.11は図2と同様、元のデータの範囲が広がったので修正無しです。近似曲線の数値やR2の数値が変わっているのは、データ数が32から31に変わったので微妙に変わったためです。

いずれの修正も、本質的な部分の修正ではありませんので、本文の修正はありませんでした。
採取地のNoと小国町の16軒の農家とは完全には1対1では対応していませんが、これまでの発表データからどの農家なのかをほぼ対応させることができます。今回の修正により、前回おかしな数値だった部分も修正されたので、ほとんどのデータがどの農家に対応するのかわかるようになりました。
下の表で、AとかBとかいう分類は、私が勝手につけたものですが、B分類の農家の田んぼからは、非常に高率で暫定規制値越えのセシウムが検出されていました。(「12/19 福島市大波地区(旧小国村)のコメ放射能データ集計結果を発表!」も参照のこと)。従って、ここの農家の田んぼを重点的に解析すべき、と考えていましたが、福島県はそれを行ってくれています。A分類の農家は、一部の田んぼが規制値越えになっただけですので、全ての農家には協力をお願いしなかったのかもしれません。

以上が、年末からの福島県とのやりとりの結果、修正されたデータの解説です。恐らく普通の人は見ても修正点がわからないと思います。私のブログでは、年末に「おかしい!」と指摘したので、今回はどこが修正されたかを解説しています。おそらく福島県の方は修正点をいちいち公開しないで欲しいと思っていると思います。
ただ、私はここで強調しておきたいのは、一回目に間違えたことではなく、指摘に対して間違いを修正してくれた点です。12月は規制値越えのコメの対応でかなり大変だったでしょうから、多少の間違いは仕方ないと思います。指摘に対して、間違いを認めて(修正版)として公開してくれていますから、今回の福島県の対応は評価したいと私は思います。
また、間違いを指摘できるだけの細かいデータを公開してくれたことも評価すべきと思います。概略しか公開されなければ、私のような指摘もできなかったはずです。細かいデータが公開されたのでこういう修正につながったのですから、今後も失敗を恐れずにできるだけ詳しい情報公開をお願いしたいと思います。
2.これまでにあった新聞記事の解説
本来ならば、年末にこの内容を受けて私なりの分析をしようかと思っていました。ですが、データをしっかりと確認してから、とおもっていたら遅くなってしまいました。その間に、新聞記事などでこの中間報告に関しての解説がいくつか載っていました。私が気がついたものをご紹介したいと思います。
また、年が明けて、いろいろな動きがありました。新基準値が発表されたこともあり、今年の作付けに向けて方針を出すべく、行政としても動き出しています。このあたりも簡単にフォローしておきます。
ネットで検索しても、この手の情報は福島民報や日本農業新聞によく載っているようです。逆に言うと、他の新聞にはあまり載っていないということです。
1/8 福島民報 「【中間報告あいまい】作付け前、農家困惑 コメのセシウム要因調査」
『農林水産省と県がまとめた要因調査の中間報告に対し、農家に戸惑いが広がっている。「肥料中のカリウム不足が要因の1つ」とされたが、同じ量を施肥しても検査結果が異なるケースもあるなど、あいまいな部分が多い。「何を信じて作付けすればいいのか」。関係者は分析を急ぎ、一刻も早く必要な対策を講じるよう求める。』
ここでは、伊達市旧小国村で規制値越えのセシウムが検出された農家(580Bq/kg:No.18に対応します)の話が出ています。『昨年使った肥料はカリウムと窒素、リン酸を配合した一般的な化学肥料だが、同じ地区内で同じ量の肥料を施したにもかかわらず、暫定基準値を下回った農家もある。「何を信じてコメ作りを続ければいいのか分からない」。女性は今春の作付けに迷いを感じ始めている。』という証言がありました。No.18のカリウム(K2O mg/100g)を見ると8.1と低めでしたから、肥料が少なかったわけではないという証言と合わせると、元々の土壌中のカリウムが低かったのでしょうか?
その他、『ただ、次々と新たな見方が出されても、決め手に欠くのが現状だ。今年産米の作付けの参考にと発表した中間報告が逆に不安や戸惑いを広げる結果にもなっている。複雑に絡んだ要因をひもとく作業は手探り状態で、どの時点で結論を出せるのかは不透明だ。』と、いろいろな要因をあげたためにかえって現場は混乱している、というような論調で書かれています。
これについては、要因は恐らく複数あるので、伊達市旧小国村はこの要因に気をつける、福島市旧小国村はこの要因に気をつける、というように地区ごとの特性を見抜いて個別にアドバイスが必要ということだと思います。新聞やTVが求めるような短絡的な一つの答は出ない、というのが今回の中間報告のまとめです。
なお、この記事では新基準値に対応するためにどうしたらいいか、ということも書かれていて、どういうことが問題点なのかは列挙してありますから、ぜひお読み下さい。
1/11 日本農業新聞 「水稲作付け 厳しい新基準値案 放射性セシウム 克服の鍵は? (01月11日)」
この上の記事へのリンクは、日本農業新聞に無料会員登録しないと全部読めません。ですが、東大農学部の根本教授の意見も掲載されており、必読と思います。なお、根本教授がどんなことを研究しているかについては、「11/20 東大農学部主催の放射能の農畜水産物等への影響の研究報告会」で書きましたので、そちらもぜひお読み下さい。
若干脱線しますが、東大農学部の取り組みもご紹介しておきます。
11/20の報告会(2/15まで公開の動画付き)のサイトはここ。
来月の2/18の第2回報告会の予告のサイトはここです。
今回は私は日程的に参加できないのですが、行ける方は是非行ってみてください。前回の内容からすると、おコメのセシウムについての要因分析という視点では根本教授と塩沢教授の話は必見と思います。それ以外にも、規制値越えが続出のキノコの話もありますので、これも興味あります。後日動画が公開されるということですので、私はそれを見ます。
さて、話を元に戻します。日本農業新聞の記事についてです。
この記事では、根本教授と、農業環境技術研究所・研究コーディネータ 谷山一郎氏の話が紹介されています。以下に簡単に概要を紹介します。
農業環境技術研究所・研究コーディネータ 谷山一郎氏
・土壌のセシウム濃度が高いというのが基本的な要因であるが、土壌によってセシウムを吸着しやすい粘土鉱物の量に違いがあるため、単純に土壌からの移行係数だけでは説明できない。
・カリウム濃度が低いというのが原因の一つと考えられるが、それだけでは説明できない所もある。
・森林を覆う有機物層に緩く付着した放射性セシウムが、有機物分解に伴いイオン状態で流れて水田に入り、根や茎から吸われたという「水説」があるが、これはまだ否定も肯定もされていない。
対策:
・カリウム不足を補うため、カリウム施肥をしっかり行うことが重要。それ以外にバーミキュライトなども効果がある。
・耕起は深く、ゆっくり混ぜる。
・山水を取っているのであれば、用水路にイオンを付着させるようなゼオライトやプルシアンブルーを設置する。
・要因解析は今も続いている。行政機関から発信される情報に基づき、あまり先走らずに適切に対応することが重要だ。
東京大学大学院教授 根本圭介氏
『土壌の種類を考慮しても、土壌に吸着された放射性セシウムの稲への移行は容易ではない。そのため、土壌以外から稲に放射性セシウムが移行した可能性を、多くの研究者が考え始めている。』
・実験的に稲を水耕栽培してセシウムを与えると、吸収する量は土壌とは桁違いに多い。このことは非常に重要だ。稲が田水に溶け出した水からセシウムを直接吸収すれば、土壌よりはるかに低濃度でも相当量を吸収することを意味する。
・東大大学院の塩沢昌教授によると、規制値超えの米が取れた大波・伊達地区の水田は、二本松市小浜地区と同様に排水が極めて悪い。放射性セシウムが長期間、田水に滞留され、根から直接吸収する機会が多かったのではないか。
対策:
・暫定規制値超えの米が出た水田では、米の放射性セシウム吸収量の推移などを山林、用水、耕地を通じたセシウムの移動と収支を含め、年次を追って調べることが重要。飯舘村など避難地域で稲作を再開すれば、同じ問題が懸念される。対策を講じる上でも、何らかの形で作付けを継続して原因を突き止めるべきだ。
・東大の研究チームでは、水からの稲への移行を研究している。仕組みが分かれば、対策の一助になる。想定が正しければ、湿田の乾田化を含めた地域全体の排水性の改善で稲のセシウム吸収をある程度、抑えられる可能性が出てくるだろう。
3.その他の今年の作付けをめぐっての動きなど
農水省の動き、各地区のJAの動き、自治体の動きなどをいくつか取り上げました。一部のみを引用しています。詳細は各リンク先をお読み下さい。
1/10 読売 「セシウム検出なら作付け中止要請…JA福島検討」
現在福島県が行っている緊急調査でセシウムが検出された場合、『JAグループ福島は、県内のコメに少しでもセシウムが検出された場合、当該農家に今春の作付け中止を要請する検討を始めた。』
1/11 福島民報 「26日に作付け方針決定 JA福島中央会、コメ100ベクレル超地域の扱いも」
『JA福島中央会は、平成24年産米の作付け方針を26日に開く理事会で決める。国が地元との作付け制限の検討課題とした放射性セシウムが1キロ当たり100ベクレル超のコメが収穫された地域や、微量のセシウムが検出された地域などについて作付けの考え方を盛り込む考え。』
『微量でも検出された地域を作付け制限とした場合、汚染米検出のリスクは減るが、生産意欲の喪失、耕作放棄地増大などが懸念される。23年産米で微量のセシウムが検出された地域は29市町村の129旧市町村におよび、「現実的ではない」とする意見もある。
方針案では、機器によって異なる検出下限値の設定基準についても検討する。』
1/11 福島民報 「500ベクレル超作付け制限 24年産 地域拡大の可能性 農水省」
『農水省は24年産米の作付けに関する考え方を12月末に示した。23年産米の県の緊急調査で500ベクレルを超えた旧市町村を基本に制限し、100ベクレルを超えたコメの地域は今後検討する。』
1/11 福島民報 「汚染米市場から隔離 100ベクレル超買い上げ 農家支援、消費者に安心」
『農林水産省は12月27日、県の緊急調査で1キロ当たり500ベクレルを超えるコメが出て出荷停止となった旧市町村と、100ベクレルを超えた農家のコメを民間団体などを通じて出荷代金の相当額で買い上げる農家支援策を決めた。』
1/11 福島民報 「伊達市、今年度産米原則作付け」
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