1/17 12/4流出の汚染水ストロンチウム濃度やっと発表 Sr-90が1億1000万Bq/L!
12/4に蒸発濃縮装置から海に流出した150Lの汚染水については、「12/5 放射能汚染水(蒸発濃縮装置)から水漏れ発生!ストロンチウムはどれくらいある?」でご紹介しましたが、ストロンチウムを大量に含んでいることが予想されていました。12月時点では全β核種での発表でしたが、もれた汚染水のストロンチウム濃度が1/16にやっと東京電力から発表されました。今日はその話です。
この話題についてのこれまでの解説はこちらをお読み下さい。
「12/5 放射能汚染水(蒸発濃縮装置)から水漏れ発生!ストロンチウムはどれくらいある?」
汚染水処理装置における蒸発濃縮装置の位置づけと汚染水中のストロンチウムなどβ核種の量についての解説
「12/6 福島第一原発の蒸発濃縮装置からの汚染水漏れの続報」
どこからどのように流出したのか?の解説
「12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!」
汚染水が海に流出が確定したことを東京電力が認めたことを受けての解説
まずは1/16に東京電力の発表したデータをご覧下さい。

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蒸発濃縮装置から出た汚染水中のSr-89が49,000,000Bq/L、Sr-90が110,000,000Bq/Lとなっており、合計で159,000,000Bq/Lです。150Lとすると、約240億ベクレルになります。全β核種の約64%と、これまでの汚染水における全βに対するSr濃度の30%前後よりも高くなっています。ただ、全体の量としては「12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!」でご紹介した見積もり(260億ベクレル)とほぼ同じです。
続いて、12/5と、12/10の近海におけるSr-90とSr-89の濃度についてです。
思い出して欲しいのですが、蒸発濃縮装置からの流出は12/4です。そして、次の日の12/5には下図のように海に流出してしまいました。下の図で、1番(①)の1-4号南放水口というのは、ちょうどこの蒸発濃縮装置からの排水路を通って海へ流出していった場所の近くです。Sr-89が140Bq/L、Sr-90が400Bq/Lでした。
この図は、東京電力の発表したSrの測定予定ポイントに今回の結果を記入して私が作ったものです。

それが、5日後の12/10には下の図のように、希釈されて広がって行っています。ここで検出されているSr-89やSr-90のデータは、沿岸についてはおそらく今回の流出だけによるものと考えていいと思います。ただ、15km沖合の6番(⑥)や7番(⑦)については、コンタンさんのブログを確認すると、10/10の測定でSr-90が0.03Bq/L(福島第一沖15km)、0.023Bq/L(福島第二沖15km)なので、それとほぼ変わらないレベルです。沖合3kmの3番(③)や4番(④)までは恐らく今回の流出の影響と思いますが、沖に向かって5日間でどこまで広がったのかは、判断が難しい所です。

どれくらい広がるかということについて、東京電力の報告書を見ておきましょう。12/8の暫定報告書(添付資料9)では次のような記述があります。
『排水路への漏えい量を150Lとすると、流出速度1L/分から漏えいの継続時間は2時間30分となる。福島第一周辺海域の沿岸流速は年平均で約10cm/秒とされていることから(福島第一7、8号機環境影響評価書より)、この時間に漏えい水は900m 先まで到達することになる。漏えい水が、海水中で幅10m、深さ1m で900m 先まで広がるとすると、150Lの漏えい水は9,000m3 の海水で1/60,000 に希釈されると考えられる。』
このスピードで均一に広がるわけではないので、単純計算はできませんが、2時間半で900mも広がり得るならば5日間もあれば15km南に達するのは充分に可能だと思います。データから見ると、5日間で沖合3kmにまでは拡散したようです。
念のため、Csのデータも含めて表を載せておきます。まず、この下の表は、1-4号南放水口のデータです。
これを見て改めて気になったのは、Cs-134とCs-137のデータの動きです。今回の汚染水は、Cs-137やCs-134はほとんど含まれていません。先ほどの表でも、1/10000程度の量です。従って、12/5のCs-134やCs-137のデータがやや高いですが、これは今回の流出分を反映しているのではないと考えるのが妥当です。去年の流出した汚染水が結構しぶとく残っているのか、あるいは微量の放射能汚染水が漏れ続けているのかですね。
Sr-90も、12/5から12/10にかけて大きく減っています。12/17以降のデータはありませんが、その後の全β核種はほとんど減っていないことから、この地点では12/17や12/24でもSr-90やSr-89は12/10と同程度の濃度で残っていると考えられます。

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下の表は、12/10の5,6号放水口北、福島第一(1F)沖15km、福島第二(2F)沖15kmのデータです。5,6号放水口北は、1月の今もCs-134とCs-137が微妙にこの程度の量は検出されていますので、これは今回の流出とは別のセシウムだと思います。

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下の表は、同じく12/10ですが、請戸川沖合3km、1F沖合3km、2F沖合3km、1F沖合8kmのデータです。1F3km以外はSr-90以外の核種は検出されていません。

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やっとストロンチウムの濃度が出たというところでしょうか。いつまでたっても結果が出てこないので、東京電力は測定せずに済ませようとしているのかと思いかけていたところでした。本当にストロンチウムの測定には時間がかかりますね。今後も東京電力には定期的にSrの測定もしてもらいたいものです。

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蒸発濃縮装置から出た汚染水中のSr-89が49,000,000Bq/L、Sr-90が110,000,000Bq/Lとなっており、合計で159,000,000Bq/Lです。150Lとすると、約240億ベクレルになります。全β核種の約64%と、これまでの汚染水における全βに対するSr濃度の30%前後よりも高くなっています。ただ、全体の量としては「12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!」でご紹介した見積もり(260億ベクレル)とほぼ同じです。
続いて、12/5と、12/10の近海におけるSr-90とSr-89の濃度についてです。
思い出して欲しいのですが、蒸発濃縮装置からの流出は12/4です。そして、次の日の12/5には下図のように海に流出してしまいました。下の図で、1番(①)の1-4号南放水口というのは、ちょうどこの蒸発濃縮装置からの排水路を通って海へ流出していった場所の近くです。Sr-89が140Bq/L、Sr-90が400Bq/Lでした。
この図は、東京電力の発表したSrの測定予定ポイントに今回の結果を記入して私が作ったものです。

それが、5日後の12/10には下の図のように、希釈されて広がって行っています。ここで検出されているSr-89やSr-90のデータは、沿岸についてはおそらく今回の流出だけによるものと考えていいと思います。ただ、15km沖合の6番(⑥)や7番(⑦)については、コンタンさんのブログを確認すると、10/10の測定でSr-90が0.03Bq/L(福島第一沖15km)、0.023Bq/L(福島第二沖15km)なので、それとほぼ変わらないレベルです。沖合3kmの3番(③)や4番(④)までは恐らく今回の流出の影響と思いますが、沖に向かって5日間でどこまで広がったのかは、判断が難しい所です。

どれくらい広がるかということについて、東京電力の報告書を見ておきましょう。12/8の暫定報告書(添付資料9)では次のような記述があります。
『排水路への漏えい量を150Lとすると、流出速度1L/分から漏えいの継続時間は2時間30分となる。福島第一周辺海域の沿岸流速は年平均で約10cm/秒とされていることから(福島第一7、8号機環境影響評価書より)、この時間に漏えい水は900m 先まで到達することになる。漏えい水が、海水中で幅10m、深さ1m で900m 先まで広がるとすると、150Lの漏えい水は9,000m3 の海水で1/60,000 に希釈されると考えられる。』
このスピードで均一に広がるわけではないので、単純計算はできませんが、2時間半で900mも広がり得るならば5日間もあれば15km南に達するのは充分に可能だと思います。データから見ると、5日間で沖合3kmにまでは拡散したようです。
念のため、Csのデータも含めて表を載せておきます。まず、この下の表は、1-4号南放水口のデータです。
これを見て改めて気になったのは、Cs-134とCs-137のデータの動きです。今回の汚染水は、Cs-137やCs-134はほとんど含まれていません。先ほどの表でも、1/10000程度の量です。従って、12/5のCs-134やCs-137のデータがやや高いですが、これは今回の流出分を反映しているのではないと考えるのが妥当です。去年の流出した汚染水が結構しぶとく残っているのか、あるいは微量の放射能汚染水が漏れ続けているのかですね。
Sr-90も、12/5から12/10にかけて大きく減っています。12/17以降のデータはありませんが、その後の全β核種はほとんど減っていないことから、この地点では12/17や12/24でもSr-90やSr-89は12/10と同程度の濃度で残っていると考えられます。

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下の表は、12/10の5,6号放水口北、福島第一(1F)沖15km、福島第二(2F)沖15kmのデータです。5,6号放水口北は、1月の今もCs-134とCs-137が微妙にこの程度の量は検出されていますので、これは今回の流出とは別のセシウムだと思います。

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下の表は、同じく12/10ですが、請戸川沖合3km、1F沖合3km、2F沖合3km、1F沖合8kmのデータです。1F3km以外はSr-90以外の核種は検出されていません。

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やっとストロンチウムの濃度が出たというところでしょうか。いつまでたっても結果が出てこないので、東京電力は測定せずに済ませようとしているのかと思いかけていたところでした。本当にストロンチウムの測定には時間がかかりますね。今後も東京電力には定期的にSrの測定もしてもらいたいものです。
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