農水省が決定したお米の作付け方針と作付け制限について
「今年度のお米の作付け制限の方針発表はもうすぐ?」で書いたように、予想通り2/28に農水省は今年の作付け方針を発表しました。
「「24年産稲の作付に関する方針」について」
今日はこれに関する簡単な解説です。時間がないので簡単にします。
まず、農水省のHPで発表された作付け方針についてです。
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24年産稲の作付に関する方針の概要
I 23年産稲の作付のあった地域
1. 500 Bq/kgを超過した地域では、旧市町村単位(場合によっては「字」単位)で作付制限を行う一方で、来年以降の作付再開に向けた地域の一体的な取組に対する支援を行います。
2. 100 Bq/kg超から500 Bq/kg以下の地域では、
(1)上記1と同様の取扱を基本としますが、
(2)以下により新基準値を超過する米が流通しないことを担保できる場合は、例外的に作付の道を開きます。
取組:次の(ア)~(ウ)を内容とする「管理計画」を策定
(ア) 作付前の吸収抑制対策
(イ) 全ての米の管理の徹底
(ウ) 全袋調査の実施 等
手順:(a) 事前出荷制限
(b)「管理計画」の下において、新基準値以下の米袋については出荷 等
注:なお、100 Bq/kgを超過した米の発生が一部農家に限定される地域において、市町村が当該農家の生産を適切に管理する場合は、上記2の(2)の取扱いによらず、作付を行うことができます。
3. 上記1・2以外の地域では、作付制限を行わず、収穫後の放射性物質調査により米の安全性を確保します。
II 23年産稲の作付のなかった地域
1. 警戒区域、計画的避難区域では、作付制限を行います。
2. 旧緊急時避難準備区域では、政府の作付制限を行わず、上記Iの2の(2)と同様の取扱いとします。
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こういう文書なので当然のことながらいろいろなケースに対応できるように場合分けして書いてくれています。そのためにかえって複雑になってしまっているのも事実です。
まず、警戒区域のように昨年米の作付けを行わなかった地域とそれ以外とを区分しています。それがIとIIです。これは福島県だけを対象にしたものではないので、こういう区別は当然必要になります。IIは福島県の一部地域が対象になります。
Iの中でも、昨年度の米の放射性セシウム濃度によって3つに分類しています。1.500Bq/kg、すなわち昨年の暫定規制値越えのあった地域、2.100-500Bq/kgの地域、すなわち昨年度の暫定規制値以下であったが、今年の新基準値の100Bq/kgを越えていた地域、3.それ以外のほとんどの地域、すなわちこれは福島県以外のほとんどの地域も含みます。これらの地域については作付け制限はなく、収穫後の検査のみです。なお、ご注意いただきたいのは、2.の中には福島県以外にも宮城県の白石市の一部が入っています。
では、Iの1.昨年度に500Bq/kgを越えた地域についてです。具体的に言うと、下記の別表1の地域です。

これらの地域については、年末に言及があったように作付け制限が行われます。これらの地域の農家に対しては、別紙1にあるような政府からの支援が行われます。試験栽培や賠償などについて触れられていますが、今回は省略します。
Iの2.昨年度に100-500Bq/kgの地域です。これは地域で言うと、、下記の別表2と別表3の地域です。

別表3の地域は、同じ値が出ていますが、その地域が一部の農家に限定され、面的な広がりを見られない地域ということです。従って、この地域においては、別表2とは別の対応(別紙3:今回は省略します)を取ることができることになっています。先ほど述べたように宮城県の白石市が入っています。

多くの方が一番気にしているであろうこのIの2.にあたる地域については少し詳しく見ておきます。この地域については、基本的には旧市町村を単位として、政府が作付け制限を行うことを基本としています。しかし、福島県の多くの市町村で希望があり、先週末に福島県が国に伝えたように、農家側としてはやはり出荷できるかどうかは別として作付けは続けたいという意向があるため、その意向をくんだ形になっています。
つまり、100Bq/kgの米が出た地域は原則は作付け制限を行うが、ある一定の条件を満たせば作付けも可能であるという形にしたのです。
その条件とは、下記(別紙2)に書いたようなものです。これは、福島県が国に申請していた条件とあまり変わらないと思います。


また、手順としては、政府が「事前出荷制限」をおこない、収穫後に検査結果で新基準値以下であった場合にはその米袋は出荷が認められるということです。

この方針に基づき、農水省は県を通じて対象となる各市町村に作付けを行いたいかどうか希望を取り、最終的な作付け制限を行う地区を決定することにしています。来週末にはほぼ確定することでしょう。
今回の方針について、いろいろな見方があると思いますが、全ての人の利害をまとめることは不可能です。そういう意味では100Bq/kg以上は原則作付け制限としつつも作付けできる道を残したということで、農水省は現実的な選択をしたと思います。
3/10追記:この後の新しい情報は「農水省の「24年産稲の作付制限区域の設定等について」の発表について」をご参照ください。
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24年産稲の作付に関する方針の概要
I 23年産稲の作付のあった地域
1. 500 Bq/kgを超過した地域では、旧市町村単位(場合によっては「字」単位)で作付制限を行う一方で、来年以降の作付再開に向けた地域の一体的な取組に対する支援を行います。
2. 100 Bq/kg超から500 Bq/kg以下の地域では、
(1)上記1と同様の取扱を基本としますが、
(2)以下により新基準値を超過する米が流通しないことを担保できる場合は、例外的に作付の道を開きます。
取組:次の(ア)~(ウ)を内容とする「管理計画」を策定
(ア) 作付前の吸収抑制対策
(イ) 全ての米の管理の徹底
(ウ) 全袋調査の実施 等
手順:(a) 事前出荷制限
(b)「管理計画」の下において、新基準値以下の米袋については出荷 等
注:なお、100 Bq/kgを超過した米の発生が一部農家に限定される地域において、市町村が当該農家の生産を適切に管理する場合は、上記2の(2)の取扱いによらず、作付を行うことができます。
3. 上記1・2以外の地域では、作付制限を行わず、収穫後の放射性物質調査により米の安全性を確保します。
II 23年産稲の作付のなかった地域
1. 警戒区域、計画的避難区域では、作付制限を行います。
2. 旧緊急時避難準備区域では、政府の作付制限を行わず、上記Iの2の(2)と同様の取扱いとします。
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こういう文書なので当然のことながらいろいろなケースに対応できるように場合分けして書いてくれています。そのためにかえって複雑になってしまっているのも事実です。
まず、警戒区域のように昨年米の作付けを行わなかった地域とそれ以外とを区分しています。それがIとIIです。これは福島県だけを対象にしたものではないので、こういう区別は当然必要になります。IIは福島県の一部地域が対象になります。
Iの中でも、昨年度の米の放射性セシウム濃度によって3つに分類しています。1.500Bq/kg、すなわち昨年の暫定規制値越えのあった地域、2.100-500Bq/kgの地域、すなわち昨年度の暫定規制値以下であったが、今年の新基準値の100Bq/kgを越えていた地域、3.それ以外のほとんどの地域、すなわちこれは福島県以外のほとんどの地域も含みます。これらの地域については作付け制限はなく、収穫後の検査のみです。なお、ご注意いただきたいのは、2.の中には福島県以外にも宮城県の白石市の一部が入っています。
では、Iの1.昨年度に500Bq/kgを越えた地域についてです。具体的に言うと、下記の別表1の地域です。

これらの地域については、年末に言及があったように作付け制限が行われます。これらの地域の農家に対しては、別紙1にあるような政府からの支援が行われます。試験栽培や賠償などについて触れられていますが、今回は省略します。
Iの2.昨年度に100-500Bq/kgの地域です。これは地域で言うと、、下記の別表2と別表3の地域です。

別表3の地域は、同じ値が出ていますが、その地域が一部の農家に限定され、面的な広がりを見られない地域ということです。従って、この地域においては、別表2とは別の対応(別紙3:今回は省略します)を取ることができることになっています。先ほど述べたように宮城県の白石市が入っています。

多くの方が一番気にしているであろうこのIの2.にあたる地域については少し詳しく見ておきます。この地域については、基本的には旧市町村を単位として、政府が作付け制限を行うことを基本としています。しかし、福島県の多くの市町村で希望があり、先週末に福島県が国に伝えたように、農家側としてはやはり出荷できるかどうかは別として作付けは続けたいという意向があるため、その意向をくんだ形になっています。
つまり、100Bq/kgの米が出た地域は原則は作付け制限を行うが、ある一定の条件を満たせば作付けも可能であるという形にしたのです。
その条件とは、下記(別紙2)に書いたようなものです。これは、福島県が国に申請していた条件とあまり変わらないと思います。


また、手順としては、政府が「事前出荷制限」をおこない、収穫後に検査結果で新基準値以下であった場合にはその米袋は出荷が認められるということです。

この方針に基づき、農水省は県を通じて対象となる各市町村に作付けを行いたいかどうか希望を取り、最終的な作付け制限を行う地区を決定することにしています。来週末にはほぼ確定することでしょう。
今回の方針について、いろいろな見方があると思いますが、全ての人の利害をまとめることは不可能です。そういう意味では100Bq/kg以上は原則作付け制限としつつも作付けできる道を残したということで、農水省は現実的な選択をしたと思います。
3/10追記:この後の新しい情報は「農水省の「24年産稲の作付制限区域の設定等について」の発表について」をご参照ください。
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