民間事故調査委員会の報告書はなぜ有料?
2/28、一般財団法人日本再建イニシアティブ(船橋洋一理事長)が昨年9月から開始した「福島原発事故独立検証委員会 (民間事故調)」の調査結果をまとめて日本記者クラブで記者会見しました。いろいろなニュースで取り上げられていたので、概要はご存じの方も多いと思います。
その報告書、忙しいからあとでHPからダウンロードして読もうと思っていたのですが、実はまだ一般には公開されていないようです。3/11に書籍版と電子書籍でそれぞれ発売になるそうです。早野先生のツイートを見てびっくりしました。
どうしてpdfをHPで公開してくれないの?というのが率直な思いです。同じ気持ちを持っている人も多いのではないでしょうか?
3/11の東日本大震災によっておこった福島第一原発事故、これについてはもうすぐ一周年を迎えるため、メディアでもいろいろな検証がなされるようです。本屋に行ってもいろいろな記録写真集など(対象は原発事故だけではないですが)が発売されています。
これまでに原発事故の検証を行っているのは、菅内閣が失敗学の畑村さんを委員長にして作った「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」、「国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」、そしてこの「福島原発事故独立検証委員会」の3つがあります。
3/6追記:大前研一さんの報告書・提言があったのを忘れていましたので追加します。
「福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか」
政府の事故調査・検証委員会は、昨年末に中間報告をまとめて公開し、今年の夏に最終報告をまとめる予定です。
この中間報告書には、3/11以降の原発内部の様子も整理されており、参考になることも多いです。私もほとんどの部分に目を通しました。
国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は、「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法」に基づいて設立された委員会で、国政調査権という強い権限も与えられています。それによって、SPEEDIの情報が米軍には速やかに提供されていたというようなこともわかってきています。また、これまでの報告などはこのHPに掲載されています。
なぜ国会にこのような調査委員会が設置されたかということについては、このガジェット通信が参考になるかもしれません。
今回の福島原発事故独立検証委員会(通称「民間事故調」)は、政府でも国会でもない民間が事故調査委員会を設置して独自に菅前総理など多くの関係者に取材して今回の報告書としたようです。
2/28の日本記者クラブにおける記者会見は公開されています。しかし、肝心の報告書は政府や報道関係者には配布されたようですが、現段階では一般には公開されていません。400ページもある報告書ですから、各メディアがインパクトのある部分だけをニュースとして報道しています。よくあることですが、マスメディアの報道は、報道できる時間の関係や各社の思惑があって、本来の発表内容から歪められた印象で報道されることが多いです。だからこそ、報告書原本を読む必要がありますが、現段階では一般国民にはその手段は与えられていません。
実際、「民間事故調のWGメンバーからのメッセージ」というtogetterを読みましたが、下村健一さんのツイートをみると、TVのニュースでは下村さんの「ぞっとした」の意味を全く取り違えて報道している、というようなコメントがありました。
「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書 3.11 緊急出版が決まりました」というサイトにおいては(3/5 リンク先を修正しました。)
「記者会見後、多くの方々から入手方法についてお問い合わせをいただきました。当初は、非売品として部数を限定して作成しておりましたが、できるだけ多くの方に読んでいただけるよう株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワンから書籍・電子書籍として実費にて緊急出版させていただくことにいたしました。」
と記載があります。私は、ここには非常に違和感を感じました。
昨年10月に財団を立ち上げてから4-5ヶ月でこの報告書をまとめ上げたこと、また民間で報告書をまとめたことについては素晴らしいことだと思っています。しかしながら、このような報告書は広く多くの国民に読んでもらうことが重要だし、そうでないと意味がないと思います。このHPに書いてあるように、当初は非売品で部数限定で、関係者以外にはマスメディアにしか配布しないというつもりだったとしたら、根本的なところで考え方が間違っていたと思います。
調査報告書はHP上で無償で公開するのが原則だと思います。もちろん、400ページもある報告書なので、オンラインで読むのは大変でしょうから、書籍として販売するのはかまわないと想います。読みやすい書籍の形で入手したい人は多いと思います。
もちろん調査にはお金がかかるでしょう。ですが、財団法人なのですから、財団への寄付を求めるという形にすれば、いい報告書であれば対価としての寄付はしてもらえると思います。そもそも一般国民には全文を公開するつもりがなかったということは、この報告書が透明性を欠いているように思えます。せっかくの報告書の価値を大きく下げてしまうものであり、残念です。
仮に有料であったとしても、記者会見をした当日或いは翌日から一般国民も入手できるようになっていれば話は違ったと思いますが、11日というタイムラグは大きすぎます。そもそも広く配布する意志がなかったということであれば、マスメディアに内容を歪められて報道されることだけを願っていたとしか思えません。
「民間事故調のWGメンバーからのメッセージ」というtogetterでのワーキンググループの秋山さんのツイートを読みましたが、販売したところで大した額ではないからこそ無料にし、資金については財団をうまく活用して寄付を募るべきというのが私の意見です。
中身としては非常に興味があるものですので、購入するべきかどうか現在迷っています。
これまでに原発事故の検証を行っているのは、菅内閣が失敗学の畑村さんを委員長にして作った「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」、「国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」、そしてこの「福島原発事故独立検証委員会」の3つがあります。
3/6追記:大前研一さんの報告書・提言があったのを忘れていましたので追加します。
「福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか」
政府の事故調査・検証委員会は、昨年末に中間報告をまとめて公開し、今年の夏に最終報告をまとめる予定です。
この中間報告書には、3/11以降の原発内部の様子も整理されており、参考になることも多いです。私もほとんどの部分に目を通しました。
国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は、「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法」に基づいて設立された委員会で、国政調査権という強い権限も与えられています。それによって、SPEEDIの情報が米軍には速やかに提供されていたというようなこともわかってきています。また、これまでの報告などはこのHPに掲載されています。
なぜ国会にこのような調査委員会が設置されたかということについては、このガジェット通信が参考になるかもしれません。
今回の福島原発事故独立検証委員会(通称「民間事故調」)は、政府でも国会でもない民間が事故調査委員会を設置して独自に菅前総理など多くの関係者に取材して今回の報告書としたようです。
2/28の日本記者クラブにおける記者会見は公開されています。しかし、肝心の報告書は政府や報道関係者には配布されたようですが、現段階では一般には公開されていません。400ページもある報告書ですから、各メディアがインパクトのある部分だけをニュースとして報道しています。よくあることですが、マスメディアの報道は、報道できる時間の関係や各社の思惑があって、本来の発表内容から歪められた印象で報道されることが多いです。だからこそ、報告書原本を読む必要がありますが、現段階では一般国民にはその手段は与えられていません。
実際、「民間事故調のWGメンバーからのメッセージ」というtogetterを読みましたが、下村健一さんのツイートをみると、TVのニュースでは下村さんの「ぞっとした」の意味を全く取り違えて報道している、というようなコメントがありました。
「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書 3.11 緊急出版が決まりました」というサイトにおいては(3/5 リンク先を修正しました。)
「記者会見後、多くの方々から入手方法についてお問い合わせをいただきました。当初は、非売品として部数を限定して作成しておりましたが、できるだけ多くの方に読んでいただけるよう株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワンから書籍・電子書籍として実費にて緊急出版させていただくことにいたしました。」
と記載があります。私は、ここには非常に違和感を感じました。
昨年10月に財団を立ち上げてから4-5ヶ月でこの報告書をまとめ上げたこと、また民間で報告書をまとめたことについては素晴らしいことだと思っています。しかしながら、このような報告書は広く多くの国民に読んでもらうことが重要だし、そうでないと意味がないと思います。このHPに書いてあるように、当初は非売品で部数限定で、関係者以外にはマスメディアにしか配布しないというつもりだったとしたら、根本的なところで考え方が間違っていたと思います。
調査報告書はHP上で無償で公開するのが原則だと思います。もちろん、400ページもある報告書なので、オンラインで読むのは大変でしょうから、書籍として販売するのはかまわないと想います。読みやすい書籍の形で入手したい人は多いと思います。
もちろん調査にはお金がかかるでしょう。ですが、財団法人なのですから、財団への寄付を求めるという形にすれば、いい報告書であれば対価としての寄付はしてもらえると思います。そもそも一般国民には全文を公開するつもりがなかったということは、この報告書が透明性を欠いているように思えます。せっかくの報告書の価値を大きく下げてしまうものであり、残念です。
仮に有料であったとしても、記者会見をした当日或いは翌日から一般国民も入手できるようになっていれば話は違ったと思いますが、11日というタイムラグは大きすぎます。そもそも広く配布する意志がなかったということであれば、マスメディアに内容を歪められて報道されることだけを願っていたとしか思えません。
「民間事故調のWGメンバーからのメッセージ」というtogetterでのワーキンググループの秋山さんのツイートを読みましたが、販売したところで大した額ではないからこそ無料にし、資金については財団をうまく活用して寄付を募るべきというのが私の意見です。
中身としては非常に興味があるものですので、購入するべきかどうか現在迷っています。
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