農水省の「24年産稲の作付制限区域の設定等について」の発表について
2/29に書いた「農水省が決定したお米の作付け方針と作付け制限について」のフォローアップになります。
2/28に農水省が発表した「「24年産稲の作付に関する方針」について」では、今後該当する自治体の意向を聞いて最終的に作付け制限地区を決定するということになっていました。
今回、福島県と宮城県の一部の自治体の意見を聞いた上で、3/9に農水省は最終的に今年の作付け制限を決定し、発表しました。
詳細な地区は、添付資料として発表されています。ここでは、添付資料も合わせてまとめました。
1.作付制限を行う区域
(1) 23年産米の調査において500 Bq/kgを超過した数値が検出された地域のうち、以下の区域(福島県の3市9区域)
・旧市町村の全域で制限:福島市旧小国村、伊達市旧小国村、伊達市旧富成村
・字等の単位で制限:福島市旧福島市、伊達市旧月舘町、伊達市旧掛田町、伊達市旧柱沢村、伊達市旧堰本村、二本松市旧渋川村

(2) 23年産米の調査において100 Bq/kg超から500 Bq/kg以下の数値が検出された地域のうち、以下の区域
・福島県相馬市旧玉野村(全域で制限)
(3) 警戒区域及び計画的避難区域

2.事前出荷制限の下、管理計画に基づき米の全量管理と全袋調査を行うことにより、作付を行うことができる区域
(1) 23年産米の調査において500 Bq/kgを超過した数値が検出された地域のうち、1.(1)の作付制限区域を除く区域(福島県の3市6区域)

(2) 23年産米の調査において100 Bq/kg超から500 Bq/kg以下の数値が検出された地域のうち、福島県の6市町28区域
(3) 旧緊急時避難準備区域等

3.23年産米の調査において100 Bq/kgを超過した数値が検出された農家の生産を適切に管理することにより、作付を行うことができる地域
・23年産米について100 Bq/kgを超過した米の発生が一部の農家に限定される地域(福島県・宮城県の11市町村32地域)

ここまでが農水省の発表内容になります。以下に昨年末からの流れも含めて簡単に解説します。
平成23年12月27日「24年産稲の作付に関する考え方について」(農水省)
この昨年末の「考え方について」において、すでに昨年の暫定規制値(500Bq/kg)を越える放射性セシウムが検出されたコメが取れたところは作付け制限を行うという方針が出ていました。上の発表でいう1.(1)の3市9区域にあたります。
一方、皆さんご存じのように、新規制値が4月から適用されることとなり、放射性セシウムについては100Bq/kgと大きく下がりました。
それを受けて、昨年の暫定規制値(500Bq/kg)にはかからないが、今年の新基準値(100Bq/kg)にはかかる100-500Bq/kgのセシウムが含まれるコメを算出した地域について、作付け制限をするのかしないのかがポイントになっていました。上の発表でいう1.(2)にあたります。結局、今回の発表では、この地域の中で今年の作付けを行わないのは相馬市の玉野村だけでした。
なお、100-500Bq/kgの地区の作付けをするべきかどうかをめぐる議論の話は「今年度のお米の作付け制限の方針発表はもうすぐ?」にも書きました。
平成24年2月28日「「24年産稲の作付に関する方針」について」(農水省)
この詳細は「農水省が決定したお米の作付け方針と作付け制限について」でも書きましたが、原則は作付け制限を行うが、ある一定の条件を満たして「新基準値を超過する米が流通しないことを担保できる場合は、例外的に作付の道を開きます」というところがポイントでした。
しかし、本当に新基準値を超過するコメを流通させないことができるのか?というところが議論に上がっています。昨年のやり方では不十分で、全袋検査が必要である。農水省の作付けの条件にも収穫後の全袋調査が義務づけられています。
でも、何万袋ものコメ袋の測定を短期間でできるのか?というところが懐疑派の主張です。昨年末からの緊急調査では、1農家1袋の測定(約32000袋)でさえ1ヶ月半はかかっています。全袋になれば今までの測定方法では何ヶ月かかるかわかりません。
この疑問に対しては、島津製作所がこの3/5に発表した「食品放射能検査装置FOODSEYE(フーズアイ)」が一つの回答になるかもしれません。
島津製作所のHPによれば、
『株式会社 島津製作所(社長:中本 晃、京都市中京区)は、30kgの米袋に含まれる放射性セシウムを高速・高精度で測定できる「食品放射能検査装置FOODSEYE(フーズアイ)」の試作機を開発しました。』
『本装置は、一袋あたり5秒という短時間で測定下限値20 Bq/kg以下の測定が可能で、同改正の指定する性能要件を満たします。また、15秒では測定下限値10 Bq/kg以下の測定が可能ですので、乳幼児食品の基準値50 Bq/kgにも対応可能です。』
ということで、少なくともコメの測定には充分な性能を持っている可能性があります。5月の発売(2000万円)を目指すということです。
まだ収穫までには時間がありますので、他のメーカーにもいい装置を開発してもらって、高速で測定できる装置を多くの測定機関あるいは流通機関に納入してもらえるといいと思います。あとは自治体側の予算措置がうまくできるかどうかですね。
(1) 23年産米の調査において500 Bq/kgを超過した数値が検出された地域のうち、以下の区域(福島県の3市9区域)
・旧市町村の全域で制限:福島市旧小国村、伊達市旧小国村、伊達市旧富成村
・字等の単位で制限:福島市旧福島市、伊達市旧月舘町、伊達市旧掛田町、伊達市旧柱沢村、伊達市旧堰本村、二本松市旧渋川村

(2) 23年産米の調査において100 Bq/kg超から500 Bq/kg以下の数値が検出された地域のうち、以下の区域
・福島県相馬市旧玉野村(全域で制限)
(3) 警戒区域及び計画的避難区域

2.事前出荷制限の下、管理計画に基づき米の全量管理と全袋調査を行うことにより、作付を行うことができる区域
(1) 23年産米の調査において500 Bq/kgを超過した数値が検出された地域のうち、1.(1)の作付制限区域を除く区域(福島県の3市6区域)

(2) 23年産米の調査において100 Bq/kg超から500 Bq/kg以下の数値が検出された地域のうち、福島県の6市町28区域
(3) 旧緊急時避難準備区域等

3.23年産米の調査において100 Bq/kgを超過した数値が検出された農家の生産を適切に管理することにより、作付を行うことができる地域
・23年産米について100 Bq/kgを超過した米の発生が一部の農家に限定される地域(福島県・宮城県の11市町村32地域)

ここまでが農水省の発表内容になります。以下に昨年末からの流れも含めて簡単に解説します。
平成23年12月27日「24年産稲の作付に関する考え方について」(農水省)
この昨年末の「考え方について」において、すでに昨年の暫定規制値(500Bq/kg)を越える放射性セシウムが検出されたコメが取れたところは作付け制限を行うという方針が出ていました。上の発表でいう1.(1)の3市9区域にあたります。
一方、皆さんご存じのように、新規制値が4月から適用されることとなり、放射性セシウムについては100Bq/kgと大きく下がりました。
それを受けて、昨年の暫定規制値(500Bq/kg)にはかからないが、今年の新基準値(100Bq/kg)にはかかる100-500Bq/kgのセシウムが含まれるコメを算出した地域について、作付け制限をするのかしないのかがポイントになっていました。上の発表でいう1.(2)にあたります。結局、今回の発表では、この地域の中で今年の作付けを行わないのは相馬市の玉野村だけでした。
なお、100-500Bq/kgの地区の作付けをするべきかどうかをめぐる議論の話は「今年度のお米の作付け制限の方針発表はもうすぐ?」にも書きました。
平成24年2月28日「「24年産稲の作付に関する方針」について」(農水省)
この詳細は「農水省が決定したお米の作付け方針と作付け制限について」でも書きましたが、原則は作付け制限を行うが、ある一定の条件を満たして「新基準値を超過する米が流通しないことを担保できる場合は、例外的に作付の道を開きます」というところがポイントでした。
しかし、本当に新基準値を超過するコメを流通させないことができるのか?というところが議論に上がっています。昨年のやり方では不十分で、全袋検査が必要である。農水省の作付けの条件にも収穫後の全袋調査が義務づけられています。
でも、何万袋ものコメ袋の測定を短期間でできるのか?というところが懐疑派の主張です。昨年末からの緊急調査では、1農家1袋の測定(約32000袋)でさえ1ヶ月半はかかっています。全袋になれば今までの測定方法では何ヶ月かかるかわかりません。
この疑問に対しては、島津製作所がこの3/5に発表した「食品放射能検査装置FOODSEYE(フーズアイ)」が一つの回答になるかもしれません。
島津製作所のHPによれば、
『株式会社 島津製作所(社長:中本 晃、京都市中京区)は、30kgの米袋に含まれる放射性セシウムを高速・高精度で測定できる「食品放射能検査装置FOODSEYE(フーズアイ)」の試作機を開発しました。』
『本装置は、一袋あたり5秒という短時間で測定下限値20 Bq/kg以下の測定が可能で、同改正の指定する性能要件を満たします。また、15秒では測定下限値10 Bq/kg以下の測定が可能ですので、乳幼児食品の基準値50 Bq/kgにも対応可能です。』
ということで、少なくともコメの測定には充分な性能を持っている可能性があります。5月の発売(2000万円)を目指すということです。
まだ収穫までには時間がありますので、他のメーカーにもいい装置を開発してもらって、高速で測定できる装置を多くの測定機関あるいは流通機関に納入してもらえるといいと思います。あとは自治体側の予算措置がうまくできるかどうかですね。
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