農水省が発表した「農地土壌の放射性物質濃度分布図」について
3/23、農水省は、福島県及びその周辺15都県を対象に作成した「農地土壌の放射性物質濃度分布図」を発表しました。
これは、8/30に発表した「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」をさらに詳細に進めたものになります。8/30の発表した時の情報は、「8/30 土壌調査の結果が文科省と農水省から発表されました!」にも紹介してあります。
今日は新しい「農地土壌の放射性物質濃度分布図」のご紹介です。
8/30に発表した時の農地土壌濃度分布図は、宮城県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県の6県を対象にしたものでしたが、今回はそれに岩手県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県の9都県を加えています。これに青森県と秋田県を加えれば、厚労省が新基準値で検査をするように通知した17都県になります(詳細は「難解!厚労省が発表した食品の放射性物質に関する検査の新指針」参照)。
県名を並べてもわかりにくいでしょうから、実際の今回の調査地点図を先に示します。今回の調査では、下記に示した3400地点のデータを元に作成しています。その内訳は、福島県で約2,200 地点(警戒区域を含む)、他の14都県では計約1,200 地点の総計約3,400 地点(23年公表分布図では約580地点)です。ここでは、Cs-134とCs-137の合計値(Bq/kg)を7段階に示しています。
なお、調査は農林水産省が独立行政法人 農業環境技術研究所に委託して行った結果です。

このデータを解析すると、農地土壌の放射性セシウム濃度と農地上の空間線量率との間には相関関係があることがわかりました。そこで、文部科学省が実施した航空機モニタリングの空間線量率データから農地土壌の放射性セシウム濃度を推計し、調査地点以外の農地土壌の放射性セシウム濃度を地図に表示しました。
農地の分布については、独立行政法人農業環境技術研究所が2010年に作成・公開した農地土壌図(2001年の農地の分布状況を反映)から作成してあります。その結果、5,000Bq/kgを超える農地土壌の面積は、昨年8月公表時点の約9,100ha(牧草地を除き約8,300ha)とほぼ同程度の、約8,900ha(牧草地を除き約8,100ha)と推定されました。

こうやって全体図で見てしまうと、上の地図と下の地図は同じじゃないか、と思えますが、実は各都道府県ごと、さらに福島県については市町村毎に土壌分布図を作成してあります。例えば、福島県福島市、ここには昨年の11月にコメから暫定規制値越えのセシウムが検出された旧小国村などがありますが、調査地点図は下の図のようになっていて、調査地点を示す○に色がついているだけですが、

空間線量率データを元に推定した農地土壌分布図は下記のようになっており、違いがわかると思います。

これらの図は、農水省の「農地土壌の放射性物質濃度分布図等のデータについて」というページから見ることができます。ご自分の住んでいる県や、興味のある地域の分布図を見てみたらいかがでしょうか?
このページの「4 農地土壌中の放射性セシウムの分析値」には、3400地点のデータが載っています。なお、土壌の採取時期が23年4月から24年2月と分散しているため、放射性セシウムの減衰量を考慮し、基準日(平成23年11月5日)を設定して実測値を補正し、それを農地土壌濃度調査地点図等に表示してあります。表には、実際の測定値と、11/5の補正値と両方が記載されています。
また、同じページの「5 農地土壌の放射性セシウム濃度の簡易算定法」では、高さ1mの空間線量率がわかれば、その土地の土壌の種類によって、だいたいの土壌のセシウム濃度を推定できるという方法が記載されています。


まず、原発付近の警戒区域や計画邸避難区域、旧緊急時避難準備区域であるかどうかで分かれます。さらに田か畑か、樹園地か牧草地かで分かれます。田や畑の場合は、黒ボク土かどうかで空間線量率からのかけ算する係数が異なります。これは、粘土の少ない黒ボク土とそれ以外とで空間線量率との比例関係が異なるということが多くのデータからわかってきたためと思われます。下の図で、右が黒ボク土ですが、左の非黒ボク土と比べて同じ空間線量で比べるとグラフの傾きが小さい(寝ている)、つまり同じ空間線量率の場合は大きな係数をかけないといけないということがわかると思います。

「農地土壌における放射性物質の分布と動態」より

上の例では、警戒区域や計画邸避難区域、旧緊急時避難準備区域以外の例で、黒ボク土の田んぼで空間線量率が0.2μSv/hのところでは、セシウム濃度は0.2×2760-139=413 Bq/kgという推定値が計算できるということを示しています。これは、一つ上のグラフのように、多くの地点のデータをグラフにして、相関係数を求めた結果得られた式なのです。
今後は、農水省としては、『農地土壌濃度分布図を作成したことにより、より広範囲の地域について濃度を把握できましたので、今後は、除染や現場での営農への活用を進めていくとともに、この推移を把握するための調査を進める』ということです。
県名を並べてもわかりにくいでしょうから、実際の今回の調査地点図を先に示します。今回の調査では、下記に示した3400地点のデータを元に作成しています。その内訳は、福島県で約2,200 地点(警戒区域を含む)、他の14都県では計約1,200 地点の総計約3,400 地点(23年公表分布図では約580地点)です。ここでは、Cs-134とCs-137の合計値(Bq/kg)を7段階に示しています。
なお、調査は農林水産省が独立行政法人 農業環境技術研究所に委託して行った結果です。

このデータを解析すると、農地土壌の放射性セシウム濃度と農地上の空間線量率との間には相関関係があることがわかりました。そこで、文部科学省が実施した航空機モニタリングの空間線量率データから農地土壌の放射性セシウム濃度を推計し、調査地点以外の農地土壌の放射性セシウム濃度を地図に表示しました。
農地の分布については、独立行政法人農業環境技術研究所が2010年に作成・公開した農地土壌図(2001年の農地の分布状況を反映)から作成してあります。その結果、5,000Bq/kgを超える農地土壌の面積は、昨年8月公表時点の約9,100ha(牧草地を除き約8,300ha)とほぼ同程度の、約8,900ha(牧草地を除き約8,100ha)と推定されました。

こうやって全体図で見てしまうと、上の地図と下の地図は同じじゃないか、と思えますが、実は各都道府県ごと、さらに福島県については市町村毎に土壌分布図を作成してあります。例えば、福島県福島市、ここには昨年の11月にコメから暫定規制値越えのセシウムが検出された旧小国村などがありますが、調査地点図は下の図のようになっていて、調査地点を示す○に色がついているだけですが、

空間線量率データを元に推定した農地土壌分布図は下記のようになっており、違いがわかると思います。

これらの図は、農水省の「農地土壌の放射性物質濃度分布図等のデータについて」というページから見ることができます。ご自分の住んでいる県や、興味のある地域の分布図を見てみたらいかがでしょうか?
このページの「4 農地土壌中の放射性セシウムの分析値」には、3400地点のデータが載っています。なお、土壌の採取時期が23年4月から24年2月と分散しているため、放射性セシウムの減衰量を考慮し、基準日(平成23年11月5日)を設定して実測値を補正し、それを農地土壌濃度調査地点図等に表示してあります。表には、実際の測定値と、11/5の補正値と両方が記載されています。
また、同じページの「5 農地土壌の放射性セシウム濃度の簡易算定法」では、高さ1mの空間線量率がわかれば、その土地の土壌の種類によって、だいたいの土壌のセシウム濃度を推定できるという方法が記載されています。


まず、原発付近の警戒区域や計画邸避難区域、旧緊急時避難準備区域であるかどうかで分かれます。さらに田か畑か、樹園地か牧草地かで分かれます。田や畑の場合は、黒ボク土かどうかで空間線量率からのかけ算する係数が異なります。これは、粘土の少ない黒ボク土とそれ以外とで空間線量率との比例関係が異なるということが多くのデータからわかってきたためと思われます。下の図で、右が黒ボク土ですが、左の非黒ボク土と比べて同じ空間線量で比べるとグラフの傾きが小さい(寝ている)、つまり同じ空間線量率の場合は大きな係数をかけないといけないということがわかると思います。

「農地土壌における放射性物質の分布と動態」より

上の例では、警戒区域や計画邸避難区域、旧緊急時避難準備区域以外の例で、黒ボク土の田んぼで空間線量率が0.2μSv/hのところでは、セシウム濃度は0.2×2760-139=413 Bq/kgという推定値が計算できるということを示しています。これは、一つ上のグラフのように、多くの地点のデータをグラフにして、相関係数を求めた結果得られた式なのです。
今後は、農水省としては、『農地土壌濃度分布図を作成したことにより、より広範囲の地域について濃度を把握できましたので、今後は、除染や現場での営農への活用を進めていくとともに、この推移を把握するための調査を進める』ということです。
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