福島原発から20km以内の警戒区域の海域で魚介類の汚染調査が始まりました
3/28、東京電力は3/29から福島第一原発から20km以内の警戒区域の海域で、漁協と協力しながら魚の放射能汚染を調査すると発表しました。(NHKオンラインはこちら:Web魚拓)
これまでこの海域は警戒区域のために調査がほとんど行われていなかったために地元の漁業組合や研究者などから調査の要望が出ていたということです。この調査は文科省や水産庁と連携して行うのではなく、あくまで東京電力として近辺の漁協に委託して独自に行うようです。3/28の記者会見では、この点について記者からの質問がありましたが、事前に報告はしていますが、専門家と連携して相談しているという感じではありませんでした。
実はこの話は突然始まった話ではなく、朝日新聞のサイトに1/28付けで予定が発表されていました。また、具体的な動きとしては、3/16の記者会見の時からすでにその前段階が始まっていました。
3/16には、福島第一原発から20km圏内の魚介類の調査を行うために、その前にまずは海底土の調査を行う、という発表がありました。その時に発表されたのは、下記のような青い21カ所の地点でした。なお、下の図において緑色の点は現在海水や海底土を採取している地点です。
魚介類調査のための福島第一原子力発電所20km 圏内海底土調査位置図(125KB)

そして、その結果は3/26に発表されました。海底土のCs-134とCs-137の測定で、いつもの東京電力のように湿土を用いての測定です。
魚介類調査のための福島第一原子力発電所20km圏内海底土調査結果(PDF 168KB)

5段階に色分けがされていますが、それを見ても福島第一原発の南側の海域の方が海底土の汚染が高いということがわかります。また、上の図でいうと20番がCs-134とCs-137の合計で1460Bq/kgとかなり高いことが特徴です。沿岸流によって川から流出してきたセシウムも蓄積している可能性もあります。
そして、この日(3/26)に同時に発表されたのは、先ほどの沿岸流の影響を調べるために、新たに13地点の海底土と、動物プランクトンの調査を行うという発表でした。沿岸流は、「東京電力の海底土1月分データのまとめ-沿岸の海底土変動の理由-」で説明したように、川から流れてきた水は、海水との密度差と地球の回転の効果から、北半球では右側、この場合では南側に流れる性質があるそうです。ですから、主な川の南側にいくつか観測ポイントを設けるというやり方は間違ってはいないのですが、この地点の選択において、どこまで専門家と協議した上で決定したのか、そのあたりは確認していないのでわかりません。
福島第一原子力発電所20km圏内海底土移行調査及びプランクトン調査位置図(PDF 186KB)

なお、これらの調査結果は後日報告されるようです。
なお、プランクトンについては今回が初めてではなく、すでに昨年11月から12月に調査が行われていて、日本海洋学会でも報告が行われていたようです。動物性プランクトンでは最大で365Bq/kgのCs-137が検出されたということです。動画のニュースの画像を見ると、数字がよく読めないのですが、4地点の全てで放射性セシウムの合計で400-600Bq/kgあったようです。
(「3/28 福島中央テレビ」より)
さて、以上のような海底土の下調べを受けて、3/28に発表されたのが「福島第一原子力発電所より20km 圏内海域での魚介類サンプリング調査の開始について」です。
目的:
福島第一原子力発電所周辺海域に生息する魚介類の、現状の放射能濃度を把握する。
調査内容(予定):
福島第一原子力発電所周辺 20km 圏内の沖合にて、魚介類の採取を行い、放射能濃度の分析を行う。
・ 刺網調査:調査海域の6点にて、毎月各1回実施。
・ 底曳き網調査:調査海域の4点にて、毎月各1回実施。
・ プランクトン調査:調査海域の3点にて、毎月各1回実施(3月23日、第1回目実施済)。
・ 船曳き網調査:調査海域の4点(うち2点について3月29日実施予定。残り2点の調査地点については、検討中)にて、3月~4月初旬に各1回実施。
・ プランクトン、船曳き網調査においては海水、刺網、底曳き網調査においては、海水、海底土の採取も実施。
実施体制:
・ いわき市漁協、相馬双葉漁協の協力を得て実施。
・ 漁船は、久之浜漁港、松川浦漁港より出船予定。
実施予定:
・ 3月29 日に、船曳き網による調査を予定。
・ その後、刺網、底曳き網を順次開始する予定。
・ 3ヶ月間実施し、その結果を踏まえて、その後の調査計画を策定する予定。
ここに書いてあるように、いわき市漁協、相馬双葉漁協に協力してもらって調査するということです。月に1回、3ヶ月調査を行って、その結果を踏まえて今後どうするのかを考えるということでした。

そして、3/29に、第一回の船曳き網による調査を行ったそうです。昨日の地点は上の図にあるようにピンクの■で示してある20番と21番であり、20番は先ほど示したように海底土の汚染がこの海域の中でも一番高い地点です。
海底土の放射能が高いからここを選んだのではなく、おそらくは一番漁港から近くて調査しやすいというのが選択した理由だと思いますが、海底土の放射能濃度が高いために、ここの魚介類のデータがどうでるかは注目です。
ちなみに、船曳き網と底曳き網の区別が私ははっきりとわからなかったので確認しましたが、佐世保魚市場株式会社のHPに記載があるように、同じ船曳きでも底層を取るか中層をとるかで漁法として名前が違うそうです。船曳き網では底魚はあまりとれないかもしれないですね。29日の記者会見では、シラウオとコウナゴ(イカナゴ)が相当量取れた、というコメントがありました。これまでの調査結果を見ても、こういう小さい魚への影響はもうおそらくないでしょうから、20番では次回以降、ぜひ底曳き網での調査をして欲しいですね。

(佐世保魚市場株式会社HP「漁法」より)
いずれ結果が出てくるでしょうから、そうしたらこの続編を書くつもりです。
3/16には、福島第一原発から20km圏内の魚介類の調査を行うために、その前にまずは海底土の調査を行う、という発表がありました。その時に発表されたのは、下記のような青い21カ所の地点でした。なお、下の図において緑色の点は現在海水や海底土を採取している地点です。
魚介類調査のための福島第一原子力発電所20km 圏内海底土調査位置図(125KB)

そして、その結果は3/26に発表されました。海底土のCs-134とCs-137の測定で、いつもの東京電力のように湿土を用いての測定です。
魚介類調査のための福島第一原子力発電所20km圏内海底土調査結果(PDF 168KB)

5段階に色分けがされていますが、それを見ても福島第一原発の南側の海域の方が海底土の汚染が高いということがわかります。また、上の図でいうと20番がCs-134とCs-137の合計で1460Bq/kgとかなり高いことが特徴です。沿岸流によって川から流出してきたセシウムも蓄積している可能性もあります。
そして、この日(3/26)に同時に発表されたのは、先ほどの沿岸流の影響を調べるために、新たに13地点の海底土と、動物プランクトンの調査を行うという発表でした。沿岸流は、「東京電力の海底土1月分データのまとめ-沿岸の海底土変動の理由-」で説明したように、川から流れてきた水は、海水との密度差と地球の回転の効果から、北半球では右側、この場合では南側に流れる性質があるそうです。ですから、主な川の南側にいくつか観測ポイントを設けるというやり方は間違ってはいないのですが、この地点の選択において、どこまで専門家と協議した上で決定したのか、そのあたりは確認していないのでわかりません。
福島第一原子力発電所20km圏内海底土移行調査及びプランクトン調査位置図(PDF 186KB)

なお、これらの調査結果は後日報告されるようです。
なお、プランクトンについては今回が初めてではなく、すでに昨年11月から12月に調査が行われていて、日本海洋学会でも報告が行われていたようです。動物性プランクトンでは最大で365Bq/kgのCs-137が検出されたということです。動画のニュースの画像を見ると、数字がよく読めないのですが、4地点の全てで放射性セシウムの合計で400-600Bq/kgあったようです。

さて、以上のような海底土の下調べを受けて、3/28に発表されたのが「福島第一原子力発電所より20km 圏内海域での魚介類サンプリング調査の開始について」です。
目的:
福島第一原子力発電所周辺海域に生息する魚介類の、現状の放射能濃度を把握する。
調査内容(予定):
福島第一原子力発電所周辺 20km 圏内の沖合にて、魚介類の採取を行い、放射能濃度の分析を行う。
・ 刺網調査:調査海域の6点にて、毎月各1回実施。
・ 底曳き網調査:調査海域の4点にて、毎月各1回実施。
・ プランクトン調査:調査海域の3点にて、毎月各1回実施(3月23日、第1回目実施済)。
・ 船曳き網調査:調査海域の4点(うち2点について3月29日実施予定。残り2点の調査地点については、検討中)にて、3月~4月初旬に各1回実施。
・ プランクトン、船曳き網調査においては海水、刺網、底曳き網調査においては、海水、海底土の採取も実施。
実施体制:
・ いわき市漁協、相馬双葉漁協の協力を得て実施。
・ 漁船は、久之浜漁港、松川浦漁港より出船予定。
実施予定:
・ 3月29 日に、船曳き網による調査を予定。
・ その後、刺網、底曳き網を順次開始する予定。
・ 3ヶ月間実施し、その結果を踏まえて、その後の調査計画を策定する予定。
ここに書いてあるように、いわき市漁協、相馬双葉漁協に協力してもらって調査するということです。月に1回、3ヶ月調査を行って、その結果を踏まえて今後どうするのかを考えるということでした。

そして、3/29に、第一回の船曳き網による調査を行ったそうです。昨日の地点は上の図にあるようにピンクの■で示してある20番と21番であり、20番は先ほど示したように海底土の汚染がこの海域の中でも一番高い地点です。
海底土の放射能が高いからここを選んだのではなく、おそらくは一番漁港から近くて調査しやすいというのが選択した理由だと思いますが、海底土の放射能濃度が高いために、ここの魚介類のデータがどうでるかは注目です。
ちなみに、船曳き網と底曳き網の区別が私ははっきりとわからなかったので確認しましたが、佐世保魚市場株式会社のHPに記載があるように、同じ船曳きでも底層を取るか中層をとるかで漁法として名前が違うそうです。船曳き網では底魚はあまりとれないかもしれないですね。29日の記者会見では、シラウオとコウナゴ(イカナゴ)が相当量取れた、というコメントがありました。これまでの調査結果を見ても、こういう小さい魚への影響はもうおそらくないでしょうから、20番では次回以降、ぜひ底曳き網での調査をして欲しいですね。

(佐世保魚市場株式会社HP「漁法」より)
いずれ結果が出てくるでしょうから、そうしたらこの続編を書くつもりです。
- 関連記事
-
- 昨年8月のデータなのにアメリカの論文に載るとマグロの汚染が大騒ぎになるのはなぜ? (2012/05/31)
- 福島原発から20km以内の警戒区域の海域で魚介類の汚染調査が始まりました (2012/03/30)
- 3/29 茨城県はヒラメを追加で水揚げ自粛 宮城県もスズキを30日から自粛 (2012/03/29)


↑日本ブログ村ランキングに参加しました。よかったらクリックお願いします。