東京電力は海底土の測定をそろそろ乾土に切り替えて欲しい
今日は二つの話を書きます。タイトルは二つ目の話題についてです。
まずは東京電力のWeb監視能力はなかなかのものであるということを実感しましたのでそれについて少し書きます。
本日4/9(あるいは昨日の午後から?)、私が4/7に書いた「東京電力の4月からの新しい海洋モニタリング体制についての修正と補足」を読んだ人は、本文中にある東京電力のHPへのリンクを押してみて、「図が削除された、というけどちゃんとあるじゃないか?」と疑問に感じたと思いますので、その部分の補足をしておきます。
それに関連して、「東京電力の4月からの新しい海洋モニタリング体制についての修正と補足」の記事においても、リンクを4/5版の内容へのリンクに張り直しておきました。そうしないとこの時書いた記事の意味が通らなくなってしまうので。
1.コメントなしにさかのぼって修正するのはよくないと思うが・・・
私が「東京電力の4月からの新しい海洋モニタリング体制についての修正と補足」を書いてアップしたのが4/7(土)の23:05、そのときに書いた私のコメントは、『これに関しては4/5の記者会見で数点の修正が入りました。発表された資料も、3/30の資料と差し替えられて、前回あったわかりやすい図が削除されてしまいました。この修正、たまたま記者会見を見ていたからわかったのですが、これがなければ気がつかないところでした。』です。
実際、私が4/7に東京電力のHPからダウンロードしたファイルを証拠として以下にアップしておきます。表だけで最後に図がないのがわかると思います。
4/5修正版 handouts_120330_2-j.pdf
このpdfファイルを開いて、「文書のプロパティ」をみれば、更新日が「4/5 19:33:12」であることは確認できます。4/7の時点では、間違いなくこの文書がHPにありました。
ところが、昨日(4/8)は気がつかなかったのですが、今朝(4/9)チェックしてみたところ、削除された図が復活しています。現在の東京電力のHPで記者会見配付資料のところで3/30の欄の
「試料採取・測定頻度と核種分析計画について(3月30日)」
を見ると、「文書のプロパティ」には更新日が「4/8 10:42:47」とあります。つまり、このpdfは4/8の日曜日の午前中に誰かが作成したということです。
時系列を考えれば、4/7の23:05にアップされた私のブログ、あるいはそれに関するツイートを関係者が読んで、翌日4/8の朝に誰かが、4/5のバージョンでは削除されていた図をつけた再修正版を「こっそりと」アップしてさしかえたというのが正しい理解だと思います。
もちろん、彼らが自力で気がついた可能性もないとは言えませんが、可能性は低いでしょう。日曜日だというのにご苦労様、と言いたいですが、東京電力は日曜日もHPの更新は行っていますので、特に問題はないのでしょうね。
本来ならば、これは「修正版その3」であって、「4/5の修正版その2の時には図を誤って削除してしまったので再度つけました」、というコメントを追記すべきです。まあ、必要な図が復活してくれたのはありがたいことですので、この点についてはこれ以上追求しないこととしましょう。
2.海底土の測定はそろそろ乾土で行って欲しい
せっかく私のブログを東京電力の関係者が読んでくれているならば、ぜひ記者会見で説明して欲しいことを書いておきます。それは海底土の測定方法についてです。
昨日(4/9)公表された海底土の測定データは、さっそく新しい測定地点が追加されたデータになっていました。そのことは問題ないのですが、問題になるのは海底土の測定方法です。
実は、「東京電力の海底土の汚染データのアップデート」でも書きましたが、海底土の測定方法は一般的には乾土1kgあたりのBq数で表します。文科省、福島県等のデータは全て乾土で測定しています。
ところが、東京電力の海底土の測定は湿土で行っています。全て湿土で行っているので、東京電力の測定結果だけを比較する際には問題ないのですが、文科省や福島県(環境省)のデータと比較する際には単純に比較することはできないのです。
詳細はコンタンさんのブログに書いてあることを読んでいただきたいのですが、湿土で測定をするならば、乾土率を測定しておいて、換算できるようにしておく必要があるのです。
今年度の海域モニタリングを行うにあたり、文科省から方針「海域モニタリングの進め方」が出ました。その際に、近傍海域の測定は、
(1) 近傍海域:東電第一原子力発電所近傍で監視が必要な海域
となっており、ここは海底土について
(2) 近傍海域:1 回/月程度
『分析核種は I-131、Cs-134、Cs-137 とし、1 回/月程度、検出下限値は10Bq/kg乾土とする。また、これまでの調査でCs の濃度が比較的高かったことからSr-90、Pu-238、Pu-239+240 を分析する。』
となっており、検出下限値が「10Bq/kg乾土」と明記されています。この文書には、東京電力も名前を連ねていますので、基本的には乾土での測定ということで合意がとれていると解釈するのが通常だと思います。
東京電力は、昨年末あるいは年明けの記者会見において、今後は乾土で測定していきたい、ただしそのためには施設の準備などが必要なので、時間がかかるということを言っていました。昨年度は準備期間ということで、そのままでもかまわなかったのですが、あれからすでに3ヶ月以上経過しています。今年度は新しい方針に従って乾土で測定して欲しいと思います。もし乾土で測定するのに時間がかかるならば、いつ頃から切り替えられる予定なのか、それを明確にすべきです。
なお、「海域モニタリングの進め方」には下記のような表現もありましたので、最悪の場合はここでチェックすることになりそうです。
『• 東京電力の分析値の確認のため、文部科学省においても一部測点で海水、海底土のクロスチェックを実施する。』
文科省は、これまでも東京電力が測定していた海水のサンプルを再度測定していました。海水の場合は、東京電力の検出限界値の方が高いために、たいていの場合は東京電力の測定ではNDで、文科省の測定では数値が出るという状況でした。
海底土の場合は、まずNDということはないので、お互いの測定で数値が出るはずです。同じサンプルを測定しているはずですので、東京電力が湿土で測定したとしても、文科省が乾土で測定してくれれば、補正するための係数は出せる可能性はあります。
ですが、これはあくまで最後の手段ということで、あくまで東京電力が12/21の記者会見で表明したことを守って、乾土でデータを出すか、乾土率を出すということを自発的に行って欲しいと思います。
私が「東京電力の4月からの新しい海洋モニタリング体制についての修正と補足」を書いてアップしたのが4/7(土)の23:05、そのときに書いた私のコメントは、『これに関しては4/5の記者会見で数点の修正が入りました。発表された資料も、3/30の資料と差し替えられて、前回あったわかりやすい図が削除されてしまいました。この修正、たまたま記者会見を見ていたからわかったのですが、これがなければ気がつかないところでした。』です。
実際、私が4/7に東京電力のHPからダウンロードしたファイルを証拠として以下にアップしておきます。表だけで最後に図がないのがわかると思います。
4/5修正版 handouts_120330_2-j.pdf
このpdfファイルを開いて、「文書のプロパティ」をみれば、更新日が「4/5 19:33:12」であることは確認できます。4/7の時点では、間違いなくこの文書がHPにありました。
ところが、昨日(4/8)は気がつかなかったのですが、今朝(4/9)チェックしてみたところ、削除された図が復活しています。現在の東京電力のHPで記者会見配付資料のところで3/30の欄の
「試料採取・測定頻度と核種分析計画について(3月30日)」
を見ると、「文書のプロパティ」には更新日が「4/8 10:42:47」とあります。つまり、このpdfは4/8の日曜日の午前中に誰かが作成したということです。
時系列を考えれば、4/7の23:05にアップされた私のブログ、あるいはそれに関するツイートを関係者が読んで、翌日4/8の朝に誰かが、4/5のバージョンでは削除されていた図をつけた再修正版を「こっそりと」アップしてさしかえたというのが正しい理解だと思います。
もちろん、彼らが自力で気がついた可能性もないとは言えませんが、可能性は低いでしょう。日曜日だというのにご苦労様、と言いたいですが、東京電力は日曜日もHPの更新は行っていますので、特に問題はないのでしょうね。
本来ならば、これは「修正版その3」であって、「4/5の修正版その2の時には図を誤って削除してしまったので再度つけました」、というコメントを追記すべきです。まあ、必要な図が復活してくれたのはありがたいことですので、この点についてはこれ以上追求しないこととしましょう。
2.海底土の測定はそろそろ乾土で行って欲しい
せっかく私のブログを東京電力の関係者が読んでくれているならば、ぜひ記者会見で説明して欲しいことを書いておきます。それは海底土の測定方法についてです。
昨日(4/9)公表された海底土の測定データは、さっそく新しい測定地点が追加されたデータになっていました。そのことは問題ないのですが、問題になるのは海底土の測定方法です。
実は、「東京電力の海底土の汚染データのアップデート」でも書きましたが、海底土の測定方法は一般的には乾土1kgあたりのBq数で表します。文科省、福島県等のデータは全て乾土で測定しています。
ところが、東京電力の海底土の測定は湿土で行っています。全て湿土で行っているので、東京電力の測定結果だけを比較する際には問題ないのですが、文科省や福島県(環境省)のデータと比較する際には単純に比較することはできないのです。
詳細はコンタンさんのブログに書いてあることを読んでいただきたいのですが、湿土で測定をするならば、乾土率を測定しておいて、換算できるようにしておく必要があるのです。
今年度の海域モニタリングを行うにあたり、文科省から方針「海域モニタリングの進め方」が出ました。その際に、近傍海域の測定は、
(1) 近傍海域:東電第一原子力発電所近傍で監視が必要な海域
となっており、ここは海底土について
(2) 近傍海域:1 回/月程度
『分析核種は I-131、Cs-134、Cs-137 とし、1 回/月程度、検出下限値は10Bq/kg乾土とする。また、これまでの調査でCs の濃度が比較的高かったことからSr-90、Pu-238、Pu-239+240 を分析する。』
となっており、検出下限値が「10Bq/kg乾土」と明記されています。この文書には、東京電力も名前を連ねていますので、基本的には乾土での測定ということで合意がとれていると解釈するのが通常だと思います。
東京電力は、昨年末あるいは年明けの記者会見において、今後は乾土で測定していきたい、ただしそのためには施設の準備などが必要なので、時間がかかるということを言っていました。昨年度は準備期間ということで、そのままでもかまわなかったのですが、あれからすでに3ヶ月以上経過しています。今年度は新しい方針に従って乾土で測定して欲しいと思います。もし乾土で測定するのに時間がかかるならば、いつ頃から切り替えられる予定なのか、それを明確にすべきです。
なお、「海域モニタリングの進め方」には下記のような表現もありましたので、最悪の場合はここでチェックすることになりそうです。
『• 東京電力の分析値の確認のため、文部科学省においても一部測点で海水、海底土のクロスチェックを実施する。』
文科省は、これまでも東京電力が測定していた海水のサンプルを再度測定していました。海水の場合は、東京電力の検出限界値の方が高いために、たいていの場合は東京電力の測定ではNDで、文科省の測定では数値が出るという状況でした。
海底土の場合は、まずNDということはないので、お互いの測定で数値が出るはずです。同じサンプルを測定しているはずですので、東京電力が湿土で測定したとしても、文科省が乾土で測定してくれれば、補正するための係数は出せる可能性はあります。
ですが、これはあくまで最後の手段ということで、あくまで東京電力が12/21の記者会見で表明したことを守って、乾土でデータを出すか、乾土率を出すということを自発的に行って欲しいと思います。
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