「食品の放射能検査データ」のサイトがなくなったあとはどうやって食品の放射能情報を検索するのか?
これまでこのブログで食品の放射能についてお知らせする際、食品流通構造改善促進機構の「食品の放射能検査データ」のサイトを紹介したり、検索結果を引用したりしてきました。このサイト、厚労省の発表したデータを取り込んでいろいろな検索が出来るようにしてくれていました。
しかし残念なことに、新基準値への対応や、今後大幅に増えることが予想される検査データの蓄積に対応できないということで、3月末でデータ更新は終了になってしまいました。また、サイト自体もサーバー契約が終了する4月末で閉鎖だということです。
では、これまで「食品の放射能検査データ」が受け持ってくれていたデータの検索はどうしたらいいのでしょうか?これに対して、有志で代替機能を持たせられるようにしようとしている人たちがいますので、その活動をご紹介します。
1.現在ある公共の放射能情報サイト
はじめに、食品の放射能情報について、「食品の放射能検査データ」以外にどのような公共のサイトがあるのか簡単に主なものをご紹介しておきます。(私が知らないサイトも他にもあるはずです。)
厚労省のサイト
食品中の放射性物質への対応
月別検査結果
食品関連の報道発表
農水省のサイト
農産物に含まれる放射性セシウム濃度の検査結果(随時更新)
畜産物中の放射性物質の検査結果について
水産庁のサイト
水産物の放射性物質調査の結果について~4月10日更新~
これらの情報は、あくまで一次情報なので、これ自体が見にくくても、正確な情報を出してもらえれば仕方ないという部分はあります。ですが、Excelシートをダウンロードして、それを用いて検索する以外には自分で簡単に検索できないという問題点はあります。
次に、各県での情報についてご紹介しておきます。私が把握している中で、単なる一次情報だけではなく、地図や検索機能などをつけた専用サイトを用意している県を載せています。
福島県 農林水産物モニタリング情報 昨年の8月から
都道府県の中で一番初めにオープンしたサイトです。地図から検索できたり、それなりに使えるものになっています。
茨城県 農林水産物モニタリング情報
今年の4/1から始まったサイトですが、検索結果を日付順ではなくて市町村別に並べるという信じられない並べ方をするので、使い勝手は悪いです。この並べ方は直すか表示順を変更できるようにして欲しいですね。
宮城県 放射能情報サイトみやぎ
放射線量マップのついでに作っているので、食品のデータを調べるのには実用性はあまりありません。
他にもあるかもしれませんが、わかったら随時追加します。
これらは、ある程度使えるものもありますが、基本的には自県の食品に対する検索しかできません。ある品目について、県をまたがった情報を調べたい時は、先ほどの農水省のサイトを見るしかありません。
2.「食品の放射能検査データ」の閉鎖
私がこの「食品の放射能検査データ」のサイトを知ったのは昨年の5/16です(「5/16 野菜や魚介類の放射性物質の濃度を検索、グラフや表にできるサイト!」)。非常に使い勝手がいいものだということがわかって、それ以来、しょっちゅう利用させてもらっていました。
しかし、現在のこのサイトは、下図のように4月末でサイトが終了することを知らせています。すでにデータの更新は3/31で終了しています。非常に残念です。

この閉鎖のニュースが3月にわかってから、なんとかできないか、という動きがあったようです。その中で、ボランティアとして、三重大学の奥村先生が中心となって4月以降のデータの検索が出来るようにしてくれています。
3.奥村先生作成のサイト
奥村先生が作成した、「食品の放射能データ検索もどき(実験)」は、このような画面になっています(4/14現在)。

(クリックで別画面に拡大)
例えば、シイタケの新基準値100Bq/kg以上のものを検索したければ、下記のように検索すると、画面の下に結果が表示されます。100Bq/kg以上と、500Bq/kgとで色分けが違っています。

(クリックで別画面に拡大)
上の図に「正規表現対応。|でor検索ができます。」と書いてあるのですが、実はこれが非常に便利なのです。その理由を説明します。
食品の分類は、例えば原木シイタケの場合も、測定する都道府県の分類・記載が違うためだと思うのですが、「原木しいたけ」「原木シイタケ」「原木生しいたけ」「原木シイタケ(露地)」などとたくさんあります。「食品の放射能検査データ」では「しいたけ」という分類で一つにまとめてくれていたのですが、原木だけでなく菌床しいたけもまとめて検索されてしまいました。
また、単語で検索しようとすると、「しいたけ」で検索すると「シイタケ」がヒットしないという問題があります。選択肢が提示してあって、複数チェックできるような選択方式ならばまだいいのですが、全ての品目が細かく記載、分類されているため、原木シイタケだけを全てまとめて検索したいと思った時にうまく対応できませんでした。
ですが、単語で検索でき、正規表現対応ということなので、複雑な条件の検索も知識さえあればできるということなのです。私は正規表現の説明はできませんので気になる方はWebで調べて下さい。
また昨年度(今年の3月まで)のデータも、4月末で「食品の放射能検査データ」が閉鎖してしまうと検索できなくなりますので、こちらで検索できるようになっています(「このURLは永続的なものではありません。」という注釈つき)。使い方は同じです。

(クリックで別画面に拡大)
4.携帯端末用のサイト
また、PC以外で利用する人も最近は多いため、携帯端末用の検索も、@chinyatoさん作成のもの(ガラケーも対応)と、@autchさん作成のもの(iPhone/Android用)があります。
@chinyatoさん作成のサイトはこんな画面です。

検索結果一覧はこんな画面です。

この中のどれか一つを選択すると、下に詳細が表示されます。

@autchさん作成のサイトはこんな感じの画面です。PCで表示した画面なので横長になっていますが、スマホで見ればもっとすっきりとしています。

検索結果一覧はこんな感じです。ここでどれかを選択すると詳細画面が出ます。

詳細画面

5.出荷制限のあった地域と品目
この一連のサイトができたのも、naoさん(@parasaite2006)が「食品の放射能検査データ」の閉鎖をみんなに知らせて、それを知った人たちの中で、なんとかしないといけないと思った有志が集まってできたものだと私は理解しています。
naoさん自身は、「出荷制限のあった地域と品目」において、今年の4/1以降に新しく出荷制限が設定されたり解除されたりした情報をまとめていってくれています。それ以外にも、「食品の放射能検査データ」の閉鎖を嘆く人に奥村先生の新しいサイトをこまめに紹介してくれています。

この情報は、厚労省のサイトにもあるのですが、わかりにくいため、こうやってまとめてもらうと助かります。
6.今後望まれること
奥村先生のサイトは、厚労省のHPのデータ更新を定期的にチェックしているので、データダウンロードまでは自動でできるようですが、データを取り込む際に目でチェックして微修正をしているようです。となると、手作業が入る分、長期間の継続は大変です。
やはり、公共の機関が(どこかに委託する形でいいので)、全都道府県を横断した形での検索ができるようなサイトを構築して欲しいと思います。とはいえ、2012年度についてはすでに(おそらく予算がないままに)スタートしてしまいました。従って、今年度にそれを望むのは(補正予算でもつかない限り)実質的には不可能です。
もちろん、各都道府県は自県の食品の情報については検索できるようにしています。福島県や茨城県のサイトはもっと充実していくことでしょう。しかし、消費者にとっては、都道府県をまたいで、自分の興味がある品目についてどうなのか?といった情報が欲しいのです。それができるようにならなければ意味がありません。一方で、そこまでの情報を各県に求めるのも無理があります。そうなると、これはやはり国がやるべき仕事であり、厚労省あるいは農水省がやるべき仕事だということになります。
来年度も食品の放射能データについてどこまで心配する必要があるのかはわかりませんが、できれば厚労省か農水省で予算をとって、利用しやすいサイトを構築・運営して欲しいと思います。あるいは、食品流通構造改善促進機構が昨年度にボランティアで行っていたように、どこかの公益法人が実施してくれてもいいと思います。
奥村先生は「もどき」と言っていますが、必要最低限の機能はすでにあるのですから、無理のない範囲でデータの更新を続けていただけるとありがたいです。
はじめに、食品の放射能情報について、「食品の放射能検査データ」以外にどのような公共のサイトがあるのか簡単に主なものをご紹介しておきます。(私が知らないサイトも他にもあるはずです。)
厚労省のサイト
食品中の放射性物質への対応
月別検査結果
食品関連の報道発表
農水省のサイト
農産物に含まれる放射性セシウム濃度の検査結果(随時更新)
畜産物中の放射性物質の検査結果について
水産庁のサイト
水産物の放射性物質調査の結果について~4月10日更新~
これらの情報は、あくまで一次情報なので、これ自体が見にくくても、正確な情報を出してもらえれば仕方ないという部分はあります。ですが、Excelシートをダウンロードして、それを用いて検索する以外には自分で簡単に検索できないという問題点はあります。
次に、各県での情報についてご紹介しておきます。私が把握している中で、単なる一次情報だけではなく、地図や検索機能などをつけた専用サイトを用意している県を載せています。
福島県 農林水産物モニタリング情報 昨年の8月から
都道府県の中で一番初めにオープンしたサイトです。地図から検索できたり、それなりに使えるものになっています。
茨城県 農林水産物モニタリング情報
今年の4/1から始まったサイトですが、検索結果を日付順ではなくて市町村別に並べるという信じられない並べ方をするので、使い勝手は悪いです。この並べ方は直すか表示順を変更できるようにして欲しいですね。
宮城県 放射能情報サイトみやぎ
放射線量マップのついでに作っているので、食品のデータを調べるのには実用性はあまりありません。
他にもあるかもしれませんが、わかったら随時追加します。
これらは、ある程度使えるものもありますが、基本的には自県の食品に対する検索しかできません。ある品目について、県をまたがった情報を調べたい時は、先ほどの農水省のサイトを見るしかありません。
2.「食品の放射能検査データ」の閉鎖
私がこの「食品の放射能検査データ」のサイトを知ったのは昨年の5/16です(「5/16 野菜や魚介類の放射性物質の濃度を検索、グラフや表にできるサイト!」)。非常に使い勝手がいいものだということがわかって、それ以来、しょっちゅう利用させてもらっていました。
しかし、現在のこのサイトは、下図のように4月末でサイトが終了することを知らせています。すでにデータの更新は3/31で終了しています。非常に残念です。

この閉鎖のニュースが3月にわかってから、なんとかできないか、という動きがあったようです。その中で、ボランティアとして、三重大学の奥村先生が中心となって4月以降のデータの検索が出来るようにしてくれています。
3.奥村先生作成のサイト
奥村先生が作成した、「食品の放射能データ検索もどき(実験)」は、このような画面になっています(4/14現在)。

(クリックで別画面に拡大)
例えば、シイタケの新基準値100Bq/kg以上のものを検索したければ、下記のように検索すると、画面の下に結果が表示されます。100Bq/kg以上と、500Bq/kgとで色分けが違っています。

(クリックで別画面に拡大)
上の図に「正規表現対応。|でor検索ができます。」と書いてあるのですが、実はこれが非常に便利なのです。その理由を説明します。
食品の分類は、例えば原木シイタケの場合も、測定する都道府県の分類・記載が違うためだと思うのですが、「原木しいたけ」「原木シイタケ」「原木生しいたけ」「原木シイタケ(露地)」などとたくさんあります。「食品の放射能検査データ」では「しいたけ」という分類で一つにまとめてくれていたのですが、原木だけでなく菌床しいたけもまとめて検索されてしまいました。
また、単語で検索しようとすると、「しいたけ」で検索すると「シイタケ」がヒットしないという問題があります。選択肢が提示してあって、複数チェックできるような選択方式ならばまだいいのですが、全ての品目が細かく記載、分類されているため、原木シイタケだけを全てまとめて検索したいと思った時にうまく対応できませんでした。
ですが、単語で検索でき、正規表現対応ということなので、複雑な条件の検索も知識さえあればできるということなのです。私は正規表現の説明はできませんので気になる方はWebで調べて下さい。
また昨年度(今年の3月まで)のデータも、4月末で「食品の放射能検査データ」が閉鎖してしまうと検索できなくなりますので、こちらで検索できるようになっています(「このURLは永続的なものではありません。」という注釈つき)。使い方は同じです。

(クリックで別画面に拡大)
4.携帯端末用のサイト
また、PC以外で利用する人も最近は多いため、携帯端末用の検索も、@chinyatoさん作成のもの(ガラケーも対応)と、@autchさん作成のもの(iPhone/Android用)があります。
@chinyatoさん作成のサイトはこんな画面です。

検索結果一覧はこんな画面です。

この中のどれか一つを選択すると、下に詳細が表示されます。

@autchさん作成のサイトはこんな感じの画面です。PCで表示した画面なので横長になっていますが、スマホで見ればもっとすっきりとしています。

検索結果一覧はこんな感じです。ここでどれかを選択すると詳細画面が出ます。

詳細画面

5.出荷制限のあった地域と品目
この一連のサイトができたのも、naoさん(@parasaite2006)が「食品の放射能検査データ」の閉鎖をみんなに知らせて、それを知った人たちの中で、なんとかしないといけないと思った有志が集まってできたものだと私は理解しています。
naoさん自身は、「出荷制限のあった地域と品目」において、今年の4/1以降に新しく出荷制限が設定されたり解除されたりした情報をまとめていってくれています。それ以外にも、「食品の放射能検査データ」の閉鎖を嘆く人に奥村先生の新しいサイトをこまめに紹介してくれています。

この情報は、厚労省のサイトにもあるのですが、わかりにくいため、こうやってまとめてもらうと助かります。
6.今後望まれること
奥村先生のサイトは、厚労省のHPのデータ更新を定期的にチェックしているので、データダウンロードまでは自動でできるようですが、データを取り込む際に目でチェックして微修正をしているようです。となると、手作業が入る分、長期間の継続は大変です。
やはり、公共の機関が(どこかに委託する形でいいので)、全都道府県を横断した形での検索ができるようなサイトを構築して欲しいと思います。とはいえ、2012年度についてはすでに(おそらく予算がないままに)スタートしてしまいました。従って、今年度にそれを望むのは(補正予算でもつかない限り)実質的には不可能です。
もちろん、各都道府県は自県の食品の情報については検索できるようにしています。福島県や茨城県のサイトはもっと充実していくことでしょう。しかし、消費者にとっては、都道府県をまたいで、自分の興味がある品目についてどうなのか?といった情報が欲しいのです。それができるようにならなければ意味がありません。一方で、そこまでの情報を各県に求めるのも無理があります。そうなると、これはやはり国がやるべき仕事であり、厚労省あるいは農水省がやるべき仕事だということになります。
来年度も食品の放射能データについてどこまで心配する必要があるのかはわかりませんが、できれば厚労省か農水省で予算をとって、利用しやすいサイトを構築・運営して欲しいと思います。あるいは、食品流通構造改善促進機構が昨年度にボランティアで行っていたように、どこかの公益法人が実施してくれてもいいと思います。
奥村先生は「もどき」と言っていますが、必要最低限の機能はすでにあるのですから、無理のない範囲でデータの更新を続けていただけるとありがたいです。
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