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2号機からの海洋漏洩はいつ始まったのか?(2)細かく検証してみましょう Aバージョン

 
さて、お待たせしました。いよいよ今回は、昨年4月はじめの2号機からの海洋漏洩事故の実態を、政府事故調査委員会の中間報告書を利用しながら検証していきます。

実はこの話には二つのバージョンを用意しています。本日公開するのはAバージョン、つまり公式見解に基づいた話です。しかし、この話をすべて書き終わった後で、この説明を全てひっくり返してしまいそうな証拠を見つけたので、それに基づいて来週にでもBバージョンを公開する予定です。(5/13にBバージョンを公開しました。)

本来ならばこれはボツにして、Bバージョンができてから公開してもいいかと思ったのですが、Bバージョンをまとめるのはもう少し時間がかかりそうなのと、このAバージョンもそれなりの出来なのでボツにするにはもったいないと思い、公開することにしました。

読者の方には来週公開予定のBバージョンと二つを読み比べて、どちらがより真実に近いとお考えか、また他の可能性はないのかなど、コメントや感想をいただければ幸いです。


(このブログで用いている図や写真は、画像をクリックすると別画面で拡大して見ることができます。図が小さくて見にくい、と思った時は特に断りがなくてもぜひ一度お試し下さい。)


1.2号機からの海洋漏洩が起こった場所はどこ?

昨年4/2、東京電力は2号機の海水スクリーンから海に放射能汚染水が漏洩しているという事を発表しました。この写真に見覚えのある方も多いでしょう。

5/1-6
東京電力HP 写真・動画集より)

まずは「海水スクリーン」って何?という素朴な疑問に答えましょう。「福島第一原子力発電所の基本的な構造、特にサブドレンを理解しましょう」で解説したように、原発は海水を取り入れて冷却水として使っています。しかし、海水には海藻、クラゲ、小魚、などが混ざっているため、それを除去する装置が除塵装置(スクリーン)です(参考:三菱化工機のHP)。

スクリーンにも下の図のようにバースクリーンとトラベリングスクリーンなど種類があるようですが、ここではそこまでは立ち入りません。

5/1-1
宇部テクノエンジHPより)
そうしてゴミを除いた海水をポンプで吸い上げてタービン建屋に送りこむのです。

福島第一原発2号機のスクリーン、ポンプ室とタービン建屋の位置関係を下の図で示します。

5/1-2
中間報告書資料V-8より)

上の図では、海(東)が下になっています。2号機のタービン建屋を正面にして海側から見ると、海水スクリーンがあり、その奥に海水をくみ上げるポンプ室があります。そして緑色が海水配管トレンチといって、蒸気を冷却するための海水をタービン建屋の復水器に送りこむための通路です。このトレンチはタービン建屋の内部につながっています。2号機のトレンチに漏れ出してきた汚染水は、タービン建屋からこのトレンチを通じて流れ出してきたと考えられています。

黄色は電源ケーブルトレンチといって、電源ケーブルが埋設されている通路です。また、オレンジ色は電源ケーブル管路といって、電源ケーブルが埋設されています。

上の図で、2号機の海水スクリーン付近をもう少しわかりやすく描いたものが次の図です。この図は立体的に描いてくれているのでイメージしやすいですよね。

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中間報告書資料V-9より)

上の図で、赤い○がついているのが、流出が起こった場所です。赤い○から、厚さ1.5mのコンクリートにできたひび割れを通じて海水スクリーンの中に水が流れ込んでいったのです。

写真でいうと、赤い○に当たるピットが下の写真です。四角い穴が空いているところです。男の人が立っている前のコンクリートに長い亀裂が入っていることにご注目ください。地震でこれだけのひび割れが起こるほどの被害が出ていたのです。

5/1-5

さらに細かい情報を示す図面が次の図です。複数の図があるのでわかりにくいですが、一番上の図が上から見た図です。(画像をクリックすると別画面に拡大されます。他の図も同じです。)そして、そこに記載されているAとかBという記号に沿って切り出した断面図が、B-B断面図とA-A断面図です。B-B断面図は、黄色い電源ケーブルトレンチとオレンジの電源ケーブル管路の部分の断面を示しているものです。ここで出てきているO.P.という数字は、「福島原発の汚染水をよく知るため、O.P.とサブドレンを理解しましょう」で解説したように、小名浜港の基準面からの高さを示しています。O.P.+2,500(またはO.P.+2.5m)と書けば小名浜港の基準面から2.5m高い位置という意味を示します。福島原発付近の平均海面水位はO.P.+0.828mだそうです(Wikipediaより)。

5/1-4
中間報告書資料V-10より)

A-A断面図は、漏れ出したピットA(電源ケーブル管路の末端にあるピット)のところで南北方向に沿って切った断面図です。海水スクリーンや海水ポンプ室のあるあたりのO.P.はO.P.4200、ピットAはO.P.4150ですので、ピットAの内面の一番下がO.P.+2,200ということは、約2m低くなっているということです。ピットというのは人が入れるほどの大きさなのですね。実際、下の写真はピットAを北側から取った写真(先ほどの男の人が指さしている写真と同じ向き)ですが、海側(東側)に降りるための階段がついています。メンテナンスのために人が降りられる構造になっているのですね。

5/1-7
東京電力HP 写真・動画集より)


昨年4/2に発見されたこのスクリーンからの放射能汚染水の漏洩事故について、できるだけ具体的なイメージを持ってもらいたいため、いろいろな図や写真を使って説明をしています。わからなくなったら、ぜひもとに戻って確認しながら読んでいってください。

2.東京電力が取った対策とその効果

さて、当然のことながら、東京電力はこの汚染水の漏出を止めようとします。この漏洩を最初に確認したのは4/2の9:30頃。この時、ピットAの側面のコンクリートに20cmほどの亀裂があり、そこから汚染水が海に流出していることを確認したということです。そして4/2の12:20頃に現場で状況を再度確認します。それから、最初に行ったのは、ピットにコンクリートを流し込んで停止しようとすることでした。政府事故調中間報告書第5章(332ページ)によると、4/2の16:25、下の図でいうとピットB(上流にあるピット)にまずコンクリートの注入を開始しました。さらには19:02にピットAにもコンクリートの注入を開始しました。下の図の赤い○の部分です。

5/1-8
中間報告書資料V-11より)

このとき、ピットAとピットBの間には電源ケーブルが通っており、また、両ピット内にはがれきが入っていたが、汚染水が非常に高濃度であったため、電源ケーブルやがれきを除去しないままピット内にコンクリートを注入したということです。

残念ながら、翌日になっても汚染水の流出は止まりませんでした。また、この汚染水はトレンチやタービン建屋にたまっていた高濃度汚染水と同じ濃度の汚染水であることも確認されました(後述します)。

東京電力は、『コンクリート注入によっても流出が止まらない原因は、電線管路内や、ピット内のがれきの隙間にコンクリートが浸透せず、そこを汚染水が流れ続けているためであり、そこを塞ぐ必要があると考えた。しかし、その段階では既に、ピット上部はコンクリートで塞がれ、その下のがれきの隙間を埋めることは困難であったため、電線管路を塞ぐこととし、4 月3 日13 時47 分から、上流のピットBの更に上流に穴をあけ、高分子吸水ポリマー、おがくず及び新聞紙を投入した。しかし、流出は依然として止まらなかった。』(中間報告書第5章(332-333ページ脚注)より)ということです。

これについては下の図に解説がありますが、ピットAもピットBもすでにコンクリートを流し込んでしまったので、そのさらに上流にある黄色の電源ケーブルトレンチの末端部のところのコンクリートをはがして(「はつり」)、そこにおがくずや新聞紙、高分子ポリマーを流し込んでつまらせようという作業を行いました。それでも流出量に変化がありませんでした。

実は私は、おがくずや新聞紙という手法を見てこんな方法でいいの?と疑問を持っていた記憶があるのですが、最近読んだ「地下水放射能汚染と地震」(江口工著)という本(60ページ)によると、これはセメント注入工法(グラウト工法)と呼ばれる方法で、ダム建設をはじめ、新幹線や高速道路のトンネル建設でも使われている、地盤強化工法として一般に使われている工法なのだそうです。

投入したおがくずや新聞紙、吸水性の高分子ポリマーが水を含んで膨張するので、その分流速が弱くなり、そこにセメントを投入すると効果があるということらしいです。

5/1-9
中間報告書資料V-12より)

さらに、4/4には立て坑(トレンチの立て坑として3月末から報告されていた立て坑です)にバスクリンのようなトレーサーを入れて、流出口が白く濁るかどうかを確認しましたが、その効果はありませんでした。この話は4/4のtogetterのまとめに出てきた話です。

※実はこの立て坑は、汚染水の流れてくる大元であるため、スクリーンへの流出経路がどうであれ、ここに投入したトレーサーが流出口から流れてこないというのはおかしな話です。もしトレーサーが出てこないとすれば、おがくずや高分子ポリマーなどに吸着したということしか説明ができません。この事についてはその後何の説明もありませんでした。謎が残ります。

5/3-8

ここに至って東京電力は、なぜ流出が止まらないのか?という原因は、流出ルートがピットやケーブル電源管路にあるのではなく、これらの下の砕石層である可能性が高いと考えて、今度はピットAの下の砕石層をふさぐことにしました。

まず、4/5の14:21頃に下のA-A断面図の1番と2番の箇所にボーリングを行い、14:28頃にバスクリンのような乳白色の入浴剤を入れてみて、スクリーンから流出してくる水が乳白色に濁るということが確認できました。

5/1-10
中間報告書資料V-13より)

そこで、4/5の15:07に1番と2番から水ガラスの止水液をそれぞれ1500Lと660L注入しました。その結果、4/5には下の写真のように少し流量が弱くなったことが確認できました。ただし、この写真の撮影時刻は14:20ということで、実は水ガラスとは関係ないということが4/5の記者会見終了後に判明しています。

5/1-12

さらには、下の図(これは上から見た平面図です)にあるように別の角度から何回も水ガラスを注入していって、なんとか翌朝の4/6 5:38に流出を止めることができました。

5/1-11
中間報告書資料V-14より)

さらにその後、流出をより完全に止めるためにスクリーンの亀裂のところに20cm平方のゴム板をして、ゴム板が落ちないように突っ張り棒のようなもので押さえるという処理をしました。下の図は記者会見で配布された手書きの図なのですが、手書きのためか、HPには掲載されませんでした。この図は4/7のまとめのtogetter及びそこにリンクがあったニコニコ動画から引用しています。

5/3-6

そして、スクリーンのところには4/12、13、15に鉄板を挿入して、スクリーン海水の流出を押さえる処理を行いました。この図もなぜかHPには掲載されませんでした。

5/3-7

このようにして、大量の海洋への漏洩事故は一段落したのです。


3.海洋汚染のはじまりはいつか?

東京電力は、この海洋漏洩事故について、昨年4/21に報告書を提出しています。その2号機の漏洩事故に関する東京電力の報告書をよく読むと実は4/1以前に漏洩が一切起こっていないとは書いていないのです。

『平成23年4月2日午前9時30分頃に流出を発見、その後止水工事を行い、4月6日午前5時38分頃流出は停止した。

流出が発見された前日の4月1日の昼頃の時点では、スクリーン近傍の空間線量率は1.5mSv/hであることが確認されており、線量率の上昇は見られないこと及び漏洩箇所に近いピット付近では海面への流出に伴う音が聞こえていなかったことから、その時点では4月2日~6日のような形での流出が始まっていたとは想定しがたい。しかし、流出開始時期を特定できないことから、念のため、4月1日より流出が始まったと仮定して流出量の評価を行った。』
(東京電力のHP掲載の報告書(昨年の4/21)より)

4月2日~6日のような形での流出は4/1から始まって4/6に止まったと仮定して流出量を計算したと書いてあるのです。だから、それ以前に仮にじわじわと漏れ出していたとしてもわからなかった(実際どこからどのように漏れていたのかはまだわかっていないと思います)し、そこまで確認するつもりもないだけです。3月下旬にどうなっていたかについては東京電力は一切検証していません。

本当に2号機からの漏洩が4/1、東電の報告書によると4/1の朝5:30頃~4/6の朝5:38までの約120時間漏れたという仮定で正しいのか、実際のデータを確認してみましょう。

次に示す表は、東京電力のHPから抜き出してきたデータです。(沿岸:昨年4/44/54/64/74/84/9スクリーン:昨年4/54/64/74/84/9単位がいつものBq/LではなくBq/cm3であることにご注意下さい。Bq/Lにしたらこの1000倍です。なお、「-」は測定していないことを示します。

5/3-5

上の表に記載したそれぞれの場所を念のために下の図で示します。5,6号放水口北と、1-4号南放水口は港湾の外で、外洋そのものですが、1-4号スクリーンと物揚場は港湾内部ですので、港湾によって多少は拡散が防がれる可能性もあります。

実際にデータを見ると、5、6号放水口北と1-4号南放水口のCs-137の濃度は、4号スクリーンよりも100倍程度低い濃度であることがわかります。このことから、港湾の岸壁によって外海への漏洩がガードされており、海水でかなり希釈された状態でしか外海へは漏洩していないことが見て取れます。

なお、例えば1-4号南放水口の数字の動きについては、潮の流れを計算すると、「流れが速い場合には濃度が低くなり、流れが遅い場合には濃度が高くなる」風応力を反映したものだということが津旨さんの日本語論文に記載されていました。この数字の上下には潮の流れの速さが関係しているようです。

もう少し細かくこのデータを見てみましょう。2号スクリーンにおいて、4/5 朝8時には前日の1/10以下に下がっています。これは、それまでの止水対策がある程度の効果を示したということだと思います。実はこの時点ではまだ水ガラスは注入していませんので、それ以前のおがくずや新聞紙もある程度の効果を発揮していた可能性はあります。流量が減ったという話はこの時点ではありませんでしたので、ひょっとすると、水の流れは止まらなかったが、おがくずや高分子ポリマーにCs-137が吸着して濃度が下がったという可能性もあります。

5/3-4

上の表で、スクリーンに流出した水はCs-137で1,800,000Bq/cm3ですが、2号機スクリーンでは120,000Bq/cm3と15倍に希釈されています。報告書に書かれている数字によると、毎時4.3m3で流れ出してくる汚染水があり、その濃度は1,800,000Bq/cm3です。この汚染水は、スクリーンに流れ込んだ後、当然のことながら拡散していきます。さらにはこの港湾の中の水の流れがあればそれにも従って拡散をしていきます。流入地点から20-30m離れた2号スクリーンで1/15の濃度に、200m離れた4号スクリーンで約6000Bq/cm3とさらに1/20になっているので、この濃度値を元に計算をして、だいたいの流入した量(あるいは時間)を算出できるはずです。

残念ながら私にはその計算ができなかったので、近似的にいくつか計算をしましたが、計算結果に幅があって精度が低いのでここでは提示することは控えます。ただ、東京電力が報告したような4/1からの流入量ではこの濃度にはならない(もっと薄い)、つまりもっと前から流出していた可能性があることだけをここでは記載しておきます。

4.疑問点の整理

ここまで4/2から4/6朝までの経緯を詳しく振り返ってみました。
ここで、いくつかのポイントを整理してみたいと思います。

(1)ピットAからバースクリーンまでの間は1.5mもの厚さのコンクリートがあるのに、どうしてここから漏れたのか?

これは、先ほど示した作業員がピットAを指さしている写真がヒントになります。私は政府事故調の中間報告書を読んでいて、厚さ1.5mものコンクリートにひびが入るというのはどんな事態なんだ?と不思議でした。しかし、よくよく位置関係を整理してみると、実はあのひび割れの延長線上に、ピットのひび割れができた位置があるのです。先ほどの平面図に、写真の作業員が立っていた位置を書き込み、1.5mのコンクリートに入ったと予想されるひび割れを書き込んでみると、地上のひび割れからきれいに一直線上に来ることがわかります。中間報告書でも、よく見るとわざわざ「地表面クラック」と記載がしてあります(赤枠で囲ったところ)。

5/1-14
中間報告書資料V-14を改変)

つまり、地震によってコンクリートに大きなひび割れが生じていたために、汚染水がそこを通って大量に流出したと考えることができます。スクリーンのコンクリートまで一直線につながる、地表面に生じた大きなひび割れがその根拠です。

(2)スクリーンへの流出に、ピットAは関係なかったのか?

ピットAに20cmほどの高さで水がたまっていて、そのために近くの空間線量率が1000mSvを超えていたということなので、ピットAにまで高濃度の汚染水が来ていたことは間違いありません。また、海水配管トレンチから電源ケーブル管路を経てピットAまで水がつながっていたのに、ピットAの水位がO.P.2400程度しかなかったということですが、ピットBの水位よりピットAの水位の方が低いならばピットAから流出したという事になると思います。しかし、その前のピットBの水位も同様に低いため(下の写真参照)、ピットBとほぼ同じ水位だとすると、ピットAからの流出はなかった可能性もあります。これについては水位の情報がないので、結論は出せないと思います。

5/3-9

つまり、下の図のようなイメージになります。詳細はあとから出てくる説明と合わせてした方がいいのですが、電源ケーブルトレンチにひびが入っていて、電源ケーブル管路を通じてピットBまで来る汚染水が少なく、ピットBの時点で水位がすでにO.P.2600~2800程度であったとすると、ピットBもピットAもトレンチ(約O.P.3000)よりも低い水位になることが説明できます。そうすれば、ピットAまで高濃度汚染水が来ていて、なおかつスクリーンへのメインの流出はピットの下の砕石層からであるという理屈が成り立ちます。

5/3-10

当初はピットAの高線量ということから、ピットAからの流出を東京電力も考えていました。そこで、ピットAやピットBをコンクリートで塞ぎました。その際、がれきやケーブルがあったけれども高線量のためにそれをどける作業ができなかったため、直接コンクリートを流し込みました。そのためにうまく塞ぐことができなかった可能性もないわけではありません。しかし、その上流の電源ケーブルトレンチを塞いでも効果がなかったことと、最後に行ったピットの下の砕石層への水ガラス注入が効果があったということから考えると、ピットAからの流出というのはあったとしても少なかったという可能性が高いと思います。

だとすると、当初報告された『ピット側面のコンクリート部分に長さ約20センチメートルの亀裂があり、当該部分よりピット内の水が海に流出していることを発見』というのはなんだったのか?ということになります。

私はこの文章だけを読んでいた時は、ピットの内側(ピットA側)に亀裂があるということだと思っていたのですが、そうではなくて、スクリーン側のコンクリートに立てに20cmほどの亀裂があってそこから水が出ていることを確認した、ということでした(2011/4/2のtogetterのまとめ参照)。こういうことは、実際の記者会見を見てみないとわからないものですね。今回は本当にtogetterとニコニコ動画には感謝です。

おそらく下の砕石層から汚染水が流出していたことを考慮すると、ピットAよりも下部のコンクリートに亀裂があり、それがスクリーンにまで達したのではないでしょうか。海面より下に通じていた亀裂もあったのではないかと予想します。イメージ図で書くと下の図の右下のような感じです。これは単なる私の想像ですから間違っている可能性もあります。あくまでイメージということで考えてください。

ただ、こういう断面図を書いてみると、もしピットAからスクリーンにまで亀裂が貫通していると、ピットAの水面(約20cmの深さ)よりも上にピット側の亀裂がないといけないことがわかります。スクリーン側の亀裂の位置はピットAよりも低い(O.P.1700程度)ことがわかっているので、ピットA側の亀裂より上の部分の水は、全て流出してしまいます。従って、ピットAに深さ20cm程度の水があったということは、それより下にはピットA側には亀裂はないということの証明でもあります。あるとしたら水面より上にピットAの亀裂があるはずです。でもそのようなことは記者会見では言っていませんので、おそらくピットAには亀裂はないのでしょう。つまり、ピットAからは流出していない可能性が高いと私は思います。

5/5-1

(3)実際はどのような経路で漏れたのか?

先ほどの説明と少しダブりますが、昨年4/5に東京電力が「想定される要因と現状考えている対策工事」として配布した資料には、下記のように漏洩経路を予想しています(この時点ではすでに砕石層に入浴剤を入れて流出液が白く濁ることを確認しています)。

5/1-13
昨年4/5:想定される要因と現状考えている対策工事より

これによると、地震によって電源ケーブルトレンチのどこかにひびが入り、そこから砕石層に汚染水がもれて、ピットAの下部にまで到達し、コンクリートの亀裂を通じてスクリーンに流出したという経路を予想しているようです。

※なお、上の図は昨年4/5の時点のものですが、政府事故調の報告書を見ると、海水配管トレンチはおがくずを投入したところで電源ケーブルトレンチとつながっているようです。従って、この図はやや不正確です。亀裂というよりも、二つのトレンチの接合部分からの水漏れというような表現が記者会見であったような気がします。

だとすると、上の図にあるように、2号機トレンチあるいはタービン建屋の水位がO.P.+2.5m~3m(電源ケーブルトレンチの亀裂のできた高さは不明なため幅をもたせた)に達すれば、このような経路で容易に汚染水がピットAの下部にまで達するということが予想できます。

このことは、海に流出しないまでも、トレンチの外側すなわち環境に高濃度汚染水が4/2以前に漏れ出していた事を強く示唆するものです。

4/2に発見された、スクリーンの亀裂からの大量の流出は4/1(あるいは4/2)から始まった可能性が高いと思いますが、それ以前にも、もっと下の方にできた亀裂から目立たない形で少しずつ海に流出していたということは完全には否定できないと思います。

だとすると、次に確認するべき事は以下のことです。


(1)2号機のトレンチあるいはタービン建屋の昨年3/26頃からの水位はどうなっていたのか?O.P.(2.5m~)3mに達して、ピットA付近まで汚染水が達することが可能になったのはいつ頃なのか?

(2)昨年3月下旬の原子炉反応容器への注水量から考えて、タービン建屋やトレンチの水位は妥当なのか?どこかへ消えてしまった計算になる水は存在しないのか?

(3)スクリーン付近の地下水の水位はどのくらいの高さなのか?トレンチの外側に漏れ出した汚染水が地下水に流れ出した可能性はないのか?


次回以降は、これらの疑問に対して迫ってみたいと思います。

※最初に述べた、別のストーリーが必要となるBバージョンにおいても、4/2以前から外部に漏れだしていた可能性が高いということは変わりません。従って上の3点は変わらず重要な疑問であり、それを次回以降に検証していきます。

また、お読みになって、疑問に思ったことがあればどんなことでもいいですので、質問、コメントをして下さい。ツイッターでもかまいません。私が見落としているポイントがあるかもしれないので、ぜひお願いします。


Bバージョンへ続く     目次
(いずれこのリンクをつける予定です。)
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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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