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沿岸の放射能データが示している地下水から海へ流出した証拠

 
ここでは、昨年4月(実際は3月末)に起きた2号機からの海洋漏洩事故のあとで、なかなか海水の放射能濃度が下がらなかったその理由について迫ってみたいと思います。

1.シミュレーションで示された傾きの変化の謎

これまでこのシリーズで見てきたように、原発直下の地下には大量に地下水があること、その水位が結構高いこと、そしてそれが海に向かって流れていることが東京電力の発表している事から理解できました。(まだ読んでいない方はぜひ過去の記事を読んでみてください。)

また、その流速については、東京電力の発表では1日10cm程度ですが、「福島第一原発直下を流れる地下水の水位と流速はどうなっているのか?」でも示したように、おそらく流速は最低でも30cm/日はあると思います。砕石層を通るとしたら、もっと速いはずです。だとすればポンプ室のあたりから海までは約40mです。ならば4ヶ月もすれば(具体的にどこからかは不明ですが、地下水が海に出る流路に沿って)海に流出しているはずです。

そう思って再度海水のデータを見てみました。すると津旨さんのシミュレーションの論文に5,6号放水口北と1-4号南放水口のCs-137の濃度が「4月7日以降は濃度が減少し、4月後半からは濃度が約100Bq/L前後でほぼ一定の濃度となっている。・・・」こんな記述があったことを思い出しました。下のグラフを見てください。赤が5,6号放水口北、青が1-4号南放水口のCs-137の濃度をプロットした図です。

5/22-地下水5
(津旨さんの論文より引用)

ということはどういうことでしょうか?この場合、4/7から4/30までは流出量がさがっているのに、4/30以降はその下がり方がゆるくなった、言い換えると再びじわじわ漏れ出したということを示しています。詳細は「2号機からの海洋漏洩はいつ始まったのか?(1)シミュレーションからの推定」をもう一度見ていただきたいのですが、このシミュレーションでは、原発からの海への漏洩が昨年4/6で止まったというモデルよりも、下の図のように、4/7以降は徐々に下がっていき、4/30頃から下げ止まって、放出をしながら徐々に減っていくようなモデルが、観測結果を説明できると言っています。

4/18シミュ4

実は、5/24の発表で、東京電力も電中研のモデルを用いて海洋への放射性セシウムの放出量は3.6PBqだと発表しているのです(詳細は「福島第一原発事故で海洋に流出した放射性セシウム量は全体のわずか2%? (東京電力の5/24のデータを加えたアップデート版)」参照)。私が参考にしている津旨さんは電中研ですので、東京電力も同じモデルを使えば同じ結果になってもおかしくはありません。

ただ、東京電力は海洋への放出については詳細を示していません。直接漏洩は4/1-4/6の0.94PBqとしか記載がなく、謎を残した形になっています。

どうしたらこのように途中から放出の傾きが変わってまたゆっくりと海洋に漏洩するというような事が起こりうるのでしょうか?この先は私の推論でしかありませんが、この観測事実を説明できるのは、3/27頃からトレンチの外に漏れ出した汚染水が、地下水と合流してゆっくりと海に流出し、4/30以降にそれが海水に到達したということだと思います。そう考えればこの傾きを説明できます。

そう思って海水スクリーンのデータを再度見直してみました。海水スクリーンでは、2号機の漏洩事故以来、シルトフェンスという汚染防止用のフェンスを張り、その中と外とで測定が行われています。その後に起こった昨年5月の3号機の漏洩事故の際の汚染の広がりは、下の図を理解していればよくわかります。

5/22-地下水6

詳細は昨年5/16に書いた「5/16 3号機からの海への汚染水流出はいまのところ止まっているようだ」を読んでください。ここに書いたようにどこからどのように汚染が広がっていったかを順繰りに追っていけば、何がどうなっているのかをだいたい理解できます。

しかし、この昨年5/16の時点ですでに書いていましたが、時々海水スクリーンのデータははね上がるのです。以前から非常にこの現象は不思議でしたが、今回の地下水の水位データ及び放射能データの解析から考えて、私なりの結論をお示ししたいと思います。


2.沿岸の放射能データから見た地下水から海への流出

まず、細かい話に入る前に全体像を理解してもらいたいと思います。下の図は昨年4月に発覚した2号機からの海洋漏洩事故の後にモニタリングされるようになった地点を示します。このシリーズをお読みの方は、2号スクリーン海水と言ったらもうわかると思いますが、念のために確認しておいてください。また、毎日サンプリングされている5,6号放水口北と1-4号南放水口の場所を合わせて書いてあります。

6/2-地下水1

このスクリーンの詳細な図面が、すでに一度示しましたが、下の図です。昨年の4月中旬以降、2号機からの汚染を拡大させないためにシルトフェンスと呼ばれるものを設置しています。

5/22-地下水6

スクリーンの測定は4/3から4/11までは物揚場、2号スクリーン、4号スクリーンの3カ所で行われていました。それが、4/12からは取水口北が加わり、4号スクリーンがなくなって取水口南に変更になりました。ただ、4号スクリーンと取水口南は場所的にはかなり近いので二つの地点のデータはほぼ同じ場所のデータと考えても悪くないと思います。

その後、4/17には2号機にシルトフェンスが設置されて、それ以降は5/11に3号機からの漏洩事故が起こるまでは物揚場、取水口北、2号スクリーン内、2号スクリーン外、取水口南の5ヶ所で毎日測定が行われていました。

この時のデータをExcelにまとめたものを下記に示します。

screen_water.xlsx

さて、このExcelに記入したデータをにらめっこしていた私は、不思議なことに気がつきました。これまではCs-137について注目していたので、まずはCs-137のデータを見ていたのですが、この下のグラフにあるように、その時は物揚場(青)、2号スクリーン内(赤)、取水口南/4号スクリーン(緑)、1-4号南放水口(水色)の4つのデータを見比べても、若干の違いはあったものの、同じような下降パターンを示しているようにしか見えませんでした。

6/2-スクリーン1

ところが、I-131について同じようなグラフを書いてみると、2号スクリーンのI-131は他の場所のデータよりも下がり方が低いことがわかりました。1-4号南放水口(水色)のグラフは途中からNDが出てきたので途中で省略されています。

6/2-スクリーン2

そこで不思議に思ってI-131/Cs-137比を比較してみました。すると、驚くべき事がわかりました。下のグラフには、上のグラフから物揚場のデータを抜いて、2号スクリーン内(赤)、取水口南/4号スクリーン(緑)、1-4号南放水口(水色)のそれぞれについてI-131/Cs-137比を記載してみました。I-131/Cs-137比は右側の軸の目盛りを見てください。

以前「2号機からの海洋漏洩はいつ始まったのか?(1)シミュレーションからの推定」でご紹介したように、1-4号南放水口のI-131/Cs-137比は、昨年3/26を5.7として、その後はI-131が半減期8日で減衰するために直線的に低くなっていきます。これは、2号機タービン建屋の汚染水のI-131/Cs-137比が3/26でI-131:1.3×10^7 Bq/cm3、Cs-137:2.3×10^6 Bq/cm3と5.7だったことによるものです。

従って、2号機タービン建屋由来の汚染であれば、このグラフの起点である4/2でI-131/Cs-137比は2~3、4月下旬には0.2前後に下がるのが期待されます。実際、津旨さんが論文で指摘していたように、1-4号南放水口のデータはほぼその通りのI-131/Cs-137比を示しています。取水口南/4号スクリーンもほぼ同じような下降をしています。しかし、2号スクリーンについては4月中旬から少しずつ合わなくなってきて、5/2にはI-131/Cs-137比が41.1というとんでもない値を示しています。その後この比率は下がりますが、時々高くなっていることがわかります。

6/2-スクリーン3

この理由を探るべく、私はいろいろな測定データを全て調べました。その結果、この不思議な挙動を説明できる可能性はたった一つしかないということがわかりました。以下にそれを説明していきます。

まず、上のグラフではI-131/Cs-137比が見にくかったので、実測値は消去してI-131/Cs-137比だけをプロットし直しました。I-131/Cs-137比は先ほどのグラフでは実数の目盛りでしたが、今回のグラフでは対数目盛で書いてあります。

1-4号南放水口(水色)は、下のグラフに加えた赤い直線上(3/26から半減期8日で減衰する直線)にほぼ載っていますが、取水口南/4号スクリーン(緑色)は4/13以降は少し傾きが変わってきています。そして、2号スクリーンは同じく4/13以降は完全に赤い直線から外れて、I-131/Cs-137比が1を下回らないような動きをしていることがわかりました。

おそらく取水口南/4号スクリーンの挙動は2号スクリーンの影響を受けていると考えられますので、2号スクリーンの挙動が説明できればいいことになります。そこで、2号スクリーンのデータをこのあと詳細に見ていきたいと思います。

6/2-スクリーン5

まず、2号スクリーンのシルトフェンス内のI-131(青)、Cs-137(赤)、そしてI-131/Cs-137比(右軸)のデータをプロットしてみました。(I-131/Cs-137比以外は対数で表していることにご注意下さい。)すると、Cs-137のデータは、緑の点線で示したようにほぼ一定の比率で少しずつ下がっていることがわかります。

6/2-スクリーン8

これはどういうわけなのでしょうか?これについては元静岡理工科大学教授の佐々木さんが書かれている「福島原発事故の考察1-100」が参考になります。昨年3月から4月時点に書かれたものですが、潮の満ち引きを考えれば毎日約20%の放射性物質が外海に出て行くということを説明してくれています(考察97を参照のこと)。簡単に説明すると、スクリーン前の約100m×500mの長方形の形をした港湾内にたまっている放射性物質で汚染された海水は、潮の満ち引きで毎日2回希釈されるのです。

小名浜港の昨年3月から4月の潮位の変化を下の図に示します。月齢によって違いはありますが、毎日数10cmの潮位の変化が2回あることがわかると思います。

6/2-スクリーン9
(気象庁のサイトより)

この潮の満ち引きによって、満潮の際には外から汚染されていない海水が入ってきて希釈されるのです。その希釈率を「福島原発事故の考察1-100」で概算してくれています。ここでは計算式は省略して結果だけを示しますが、毎日潮の満ち引きによって、約20%前後スクリーンの中の放射性物質は希釈されると考えることが出来るのです。

6/2-スクリーン10

では、潮の流れによる減少分以外に時々増えていることはどう考えたらいいのでしょうか?そのためには一つの場所だけのデータを見ていてもよくわかりません。下の表は今回ダウンロードできるようにしたExcel表でI-131のデータだけを昨年4月から1ヶ月間のデータを示したものです。2号スクリーン海水のデータは、昨年の4/2以降は毎日測定されています。

2号スクリーンのデータだけをグラフにしても何もわからないので、私はこうやっていろいろなデータを並べてそれぞれのデータの変化を説明できるかどうかを確認しています。4/6の朝に海洋漏洩が止まったあとは、大量の海洋への漏洩は一切ないという前提でデータを眺めていきましょう。

昨年4/17には拡散防止のためにシルトフェンスが設置され、シルトフェンスの中と外のデータが比較できるようになっています。シルトフェンスの設置により、シルトフェンスの中から外への放射性物質の移行は抑制されていることがわかると思います。

例えば4/19から4/21にかけてシルトフェンスの内側ではI-131の濃度が4/19の47000Bq/Lから160000Bq/L、150000Bq/Lへと3倍以上にはね上がっています。しかし、シルトフェンスの外側では4/19の33000Bq/Lから11000Bq/Lに減少し、4/21に26000Bq/Lに増加しています。一日遅れて増えている印象がありますが、増加の仕方もそれほど大きくありません。つまり、シルトフェンスによって放射性物質の移動はかなり押さえられ、内側で増加しても外側にはすぐには影響しないのです。

6/2-スクリーン7
(クリックで別画面に拡大)

2号シルトフェンス内側では、今示した4/20前後以外にも4/15前後にも5倍以上の増加をしています。しかし、この程度の増加でははっきりしたことは言えないので、その後に起こった4/28以降の2号シルトフェンス内側のI-131の増加に注目してみたいと思います。

4/20に160000Bq/Lにはね上がったI-131は、4/24にはいったん29000Bq/Lにまで下がってきます。4/26以降、4/27を除いては100000Bq/Lを超える濃度を示しています。5/2には230000Bq/Lにもなっています。4/28前後には付近のデータでは100000Bq/Lを超えるものというと、2号サブドレンのI-131だけなのです。しかも5/2にはCs-137の値はI-131の値とは連動せずにむしろ4/24よりも下がっているのです。I-131だけでなくCs-137も並べた表を示します。

6/2-スクリーン11

ここで冷静に考えてみましょう。4/24に29000Bq/Lになっていた2号スクリーン(シルトフェンス内側)のI-131が5/2に230000Bq/Lになり、しかもCs-137は5600Bq/LとI-131/Cs-137比が41にもなる事が出来るのはどういう可能性があるでしょうか?

一つは、海底土のまきあげです。東京電力は今年5/24の資料では『5 月以降、拡散量は大きく減少しているが、0 にならないのは、海底土の巻き上げや雨水からの流れ込み等による放射性物質の拡散が生じていると考えられる。』と説明していますが、海底土の巻き上げならば、I-131/Cs-137比はこれまでと変わらないため、I-131/Cs-137比が10を超えることは有り得ません。従って、これだけでは説明できません。

次に拡散防止のために取った措置を思い出してみましょう。昨年4/25の記者会見配付資料より。

・4/11~4/14 北側(取水口)・南側防波堤及び各号機スクリーン前面にシルトフェンス設置。
・4/12~4/15 2 号機スクリーン前面に鉄板設置。
・4/15~4/17 1~4 号機スクリーン前面にゼオライト(吸着剤)入りの土のう投入完了。

しかしながら、今年4/23の政府・東京電力中長期対策会議においては、ゼオライトの効果はほとんどなく、今後は行わないという結論が出ています。吸着したCs-137の総量でも約3×10^8Bqと全量の1/100000程度と非常に僅かなものでした。

6/2-スクリーン12

この事からゼオライトによってCsだけが特異的に吸着されたという可能性も否定されます。

6月以降には、海水循環型浄化装置というものをスクリーン付近に設置し、これはそれなりの効果があったようですが、昨年4月時点ではまだ存在しませんでした。

となると、海底の巻き上げによってI-131が巻き上がったとしても、Cs-137との比率が20を超えるという事実は説明できません。2号機のタービン建屋由来の汚染水であれば、5/2頃にはI-131/Cs-137比が0.1~0.2程度になっているはずなのです。

無理やり説明しようとすると、海底土の巻き上げがあり、その際にI-131はほとんど海水に溶け出し、Cs-137は海底土に吸着されているのでほとんど海水には溶け出さなかった、という説明をしないといけません。しかし、その場合には他のサンプリング地点(2号シルトフェンス外側や取水口南、取水口北)でも同様にI-131がCs-137よりも多くなるという現象が起こるはずです。ところが実際にはこの現象は2号スクリーンのシルトフェンス内のみで起こっています。取水口南では、この時期(例えば昨年4/29)にはむしろI-131/Cs-137比が通常よりも低くなっているのです。従って、海底土巻き上げ説では2号スクリーンのシルトフェンス内側でのみI-131/Cs-137比が10を超えるという異常な現象を説明することはできないのです。

(ちなみに、この時期に測定されている海底土は昨年4/29の物揚場の海底土(I-131:52000Bq/kg、Cs-137:87000Bq/kg)です。)

だとすると、この観測事実を説明できる現象はただ一つだけです。それは、2号サブドレンで観測されていた地下水が何らかの通路を通って2号スクリーンのシルトフェンス内側に出てきたということです。さきほどの表にも測定されていたデータとしてサブドレンのデータを並べていましたが、気がついた方はいたでしょうか?下に2号サブドレンのデータを先ほどの2号シルトフェンス内側のデータに加えて示します。

いかがでしょうか?2号サブドレンの水が何らかの通路を通って2号スクリーンにまで到達したと考えるならば、I-131の濃度が200000Bq/Lになる事も、I-131/Cs-137比が20を超えることも説明できるということがおわかりでしょうか。

6/2-スクリーン6

5/2のI-131/Cs-137比の41というのはちょっと高すぎるのですが、その前後の4/30~5/3は2号シルトフェンス内側でI-131/Cs-137比が10を超えているのです。2号機タービン建屋由来の汚染水では、この時期にI-131/Cs-137比が10を超えることは不可能ですが、2号サブドレンのように、4/13にI-131:610000Bq/L、I-131/Cs-137比67、4/22にI-131:530000Bq/L、I-131/Cs-137比57という組成の汚染水であれば、5/2頃にI-131が100000Bq/Lを超えて、I-131/Cs-137比が10を超えることも可能です。

以上、長々と説明をしてきましたが、4/30~5/3の2号シルトフェンス内側のI-131とCs-137のデータから、4/13~4/22までの間の2号サブドレンにあった地下水が海まで流れてきたと考える以外に合理的な説明は出来ないということが判明しました。

だとすると、サブドレンというのはタービン建屋の海側にありますので、スクリーンまでは100m近くあります。しかし、この距離を8日~20日程度で汚染水が地下を移動した可能性が高いというのは驚きです

詳細なルートはわかりませんが、地下水がトレンチの下の砕石層に達すれば、そこは非常に速く水が流れることが出来ることは昨年4月の2号機からの漏洩で東京電力自身が原因として予想していることですので、サブドレン近くの地下水がどこかのトレンチの砕石層に達して、そこからは砕石層を通って何らかのルートで2号スクリーンに達したということだと思います

通常の流速である年間62m/年(東電の昨年11/9の発表資料より)を大きく上回っていますが、汚染された地下水が砕石層を通るとすれば、その部分は距離があってないようなものですから、あり得ない話ではないと思います。

3.2号サブレンデータの不思議

実はこの話は何回かブログで書いた事なのですが、2号サブドレンだけは1号サブドレンや3号サブドレンとは挙動が異なるのです。昨年の5/19にはこんな記事も書いています。「5/19 2号機からも汚染水が海に流出している。しかもI-131が高い!

そこに載せていたデータを再度ご紹介します。このグラフは東京電力が発表しているデータから撮ってきたものです。昨年の4月~5月の1号機サブドレンと2号機サブドレンの放射能データの推移です。

6/2-スクリーン13

1号機のサブドレンは他のサブドレンと同様、5月初めにI-131とCs-137がほぼ同じ数値になりました。ところが、下の図に示すように、2号機のサブドレンはなぜか5月中旬になってやっとI-131とCs-137がほぼ同じ数値になったのです。これは、2号機の地下で何か(例えば再臨界)が起こっていた可能性がありますが、ここではその問題には深く立ち入りません。それよりも、結果として2号機サブドレンだけは、4月中旬のI-131/Cs-137比が50を超えるくらい高い比率になっていたという事実にご注目ください。

6/2-スクリーン14


今回は4月末の特徴的なデータのみを示しましたが、これ以外にもスクリーン海水のデータを詳細に解析すると、その後何度もスクリーン海水のデータが高くなっては下がるということをくり返しているのです。その結果として、それが港湾の外の1-4号南放水口のデータにも影響し、津旨さんの論文にあったように、5月以降は海洋漏洩が4月後半よりも多くなったという傾きを示しているということだと思います。

今回示したように、東京電力が主張する『5 月以降、拡散量は大きく減少しているが、0 にならないのは、海底土の巻き上げや雨水からの流れ込み等による放射性物質の拡散が生じていると考えられる。』だけでは説明できない現象が起こっています。少なくとも4月末には地下水から2号スクリーンへ放射性物質が流出したことは間違いがないと私は思っています。

その後いつまでその現象が続いていたのか、或いは続いているのかはもう検証が難しくて出来ません。沿岸(1-4号南放水口)にしてもスクリーン海水にしても、徐々に濃度が低下してきていますので、今も流出が続いているということはないと思います。おそらくは3号機からの漏洩があった後に保安院の指示を受けてかなり多くのピットを閉鎖するということを行いました。あの時の作業で海へ流出するルートが閉鎖され、6月末以降はほとんど流出しなくなったのではないかと考えています(このあたりについては今後の細かい検証が必要です)。今回はそこまでは踏み込みません。


4.まとめ

今回示したかったことは、1-4号放水口南の観測データが示している昨年5月以降の傾きの変化をどうすれば説明できるのか?ということでした。グラフの傾きの変化を考えると、昨年5月以降は再び海洋への漏出が始まったと考えるのが妥当です。でも、それは本当に可能なのでしょうか?

これについては、これまでいくつものデータでその可能性を示してきました。

まず第一に、タービン建屋から海に向かって複雑に走っているトレンチの下にほとんど必ず存在する砕石層は水が速く流れることが出来るということが昨年4/2に起こった2号機の海洋漏洩で判明したこと、また実際この時はそのルートを通った可能性が高いと東京電力自身が発表していること。

次に、原発直下の地下水の水位は結構高く、スクリーン近くではトレンチの下部あるいはその下の砕石層にまで地下水は達していること。これも東京電力が発表した報告書からわかる事実です。

そして、2号機サブドレン水(=地下水)は昨年4月時点ではI-131/Cs-137比が非常に高く、このような地下水がどこかのトレンチ下の砕石層に達すれば、これまでの話から容易に砕石層を通じて海にまで達することが出来ること。今回は具体的にどの通路で、というのは示せませんが、スクリーン海水のデータ(I-131/Cs-137比)から考えて2号機のサブドレン水がスクリーンに到達した以外にはあり得ないという事を示しました。

これらのことから、私はトレンチからあふれた汚染水や地下水が、昨年4月以降に海にまで流出し、その際にスクリーン海水のデータが高くなるということがくり返されてきたのだと考えています。そしてスクリーン海水のデータが下がらないために、その近くにある1-4号放水口南や5-6号北放水口のデータも下がらず、結果的にグラフの傾きが変わっていったのだと考えています。

ただ、現在までそれが続いているかと言われるとわかりません。おそらくは昨年5月から6月に行ったピットの閉塞作業によって流出経路が閉ざされ、徐々に流出量が減少していき、ある時点で流出はほぼ止まったのだと思います。


ここまで10回(+α)にわたって、昨年3月末から4月にかけて何が福島第一原発で起こったのか、公表されたデータに基づいていろいろな側面から解析を行ってきました。非常に複雑な話なので、全てをフォローするのは難しかったかもしれません。しかし、これまで私が行ってきたことには複雑な数学は一切使っていません。そういう解析は専門家に任せて、私は四則演算と指数関数さえ理解できれば行えることだけを行っています。ですから、数字は多く出していますが、高校を卒業していれば理解できるはずの内容がほとんどです。

今回のスクリーン海水のデータは初期のデータしか解析していません。しかし、I-131/Cs-137比という概念を教えてもらったおかげで、今回のような不思議な現象を見出すことが出来ました。私の推論に対し、コメントなどあればぜひいただければと思います。また、昨年のデータはExcelで公開していますので、ご自分で確認していただければと思います。

目次に書いた内容としては、これで第一部は完了ということにしたいと思います。第一部のまとめもいずれ行う予定ですが、第二部以降を書いてからにしたいと思います。

次回以降は、少し視点を変えて、汚染の実態についてまとめる予定です。

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 ここでは、昨年4月(実際は3月末)に起きた2号機からの海洋漏洩事故のあとで、なかなか海水の放射能濃度が下がらなかったその理由について迫ってみたいと思います。

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