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4/10 海洋放射能汚染で魚を食べても大丈夫か?その12

昨日のNHKスペシャルのなかで、海洋生物環境研究所の御園生淳研究参与のインタビューがありましたので、その内容について文献を探してみました。

昨日の話の続きです。


まず、海洋生物環境研究所ってどんなところ?というのが素朴な疑問でしょう。
財団法人海洋生物環境研究所(海生研)は、発電所の温排水が漁業に与える影響を調べるために1975年に設立された研究所です。
http://www.kaiseiken.or.jp/index.html

事務所は新宿区、研究所は千葉県房総の御宿にあります。
http://www.kaiseiken.or.jp/org/org_sisetu.html
海洋生物研

御園生さんの論文を探すと、こんなものがありました。

海産生物筋肉中<137>Cs放射能分析結果に対する試料前処理技術の影響および近年のバックグラウンド濃度
http://ci.nii.ac.jp/els/110007338286.pdf?id=ART0009196426&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1302396540&cp=

文科省(当時の科学技術庁)からの委託事業として、原発の近くの海域の放射能調査を行ってきた研究の一環だそうです。この論文の主題は、魚のサンプルを分析する際の前処理を正確にやらないと、データに狂いが出るよ、ということを論じているのですが、私の興味はそこにはないので省略します。日本語ですので興味のある方は読んでみてください。

多くの魚のCs-137の濃度について。毎年少しずつ下がっていて、現在では、約0.24Bq/kgである、ということが示されています。また、チェルノブイリの影響があった1986年では、最高値の0.7Bq/kgだったそうですが、1990年以降は下がって落ち着いてきたようです。検出限界は0.03Bq/kgと記載されていました。

以前調べた文献(このシリーズの「その1」で紹介)とも合致する知見、と思ったら、この文献の著者も海洋生物環境研でした。まあ、こういうことを地道に調査するところはあまりないのですね。
海産生物と放射能
http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=radioisotopes1952&cdvol=48&noissue=4&startpage=266&lang=ja&from=jnlabstract

これだけではあまりわからないので、この文献に引用されていた別の文献を見てみました。
わが国の原子力発電所周辺海域における海産生物, 海底土および海水中<137>Cs濃度の長期傾向
http://ci.nii.ac.jp/els/110003320193.pdf?id=ART0003784483&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1302395226&cp=

この文献では、経年変化をみて、Cs-137の濃度が長期的に減っているのかどうかを見ようとしています。

・海水中のCs-137のデータは、約2mBq/L=0.002Bq/kg(水1L=1kgなので)であり、徐々に低下してきた。
・海洋産物中のCs-137のデータは、約0.1-0.3Bq/kgである(論文中のグラフより)。
・1986年から1988年の海産生物中のデータ及び1986年の海水中のデータは前後の年と比べて高いため、長期的傾向を分析する際には除外した。

3番目の話は、昨日のNHKでの説明と合致しています。海水のCs-137の濃度は1年もせずに元に戻ったが、海産生物中のCs-137の濃度は2年間は元に戻らなかった。

ちょっと見にくいのですが、福島第一原発付近でのいろいろな魚のCS-137の濃度が載っていましたので、掲載します。NHKで言っていたスズキのデータも●で出ています。
スズキCs137


文献や昨日のNHKの放送の内容と、私の見解をまとめます。

これまで知られていた知見
・今回の事故が起こるまでは、米ソの1950年代及び60年代の地上核実験で放出された放射能による影響で、Cs-137が存在する。半減期が約30年のため、徐々に低下しているが、それでも0.002Bq/kgがバックグラウンドとして存在する。
・一方、海産生物中のCs-137の濃度は、おおざっぱにいって0.2-0.3Bq/kgである。海水中のCs-137の50-100倍であある。放射性セシウムは、農薬(10000倍濃縮された例もある)とはちがい、それほど濃縮されないが、海水中の100-200倍には濃縮される。(放射性セシウムとして計算するときは、Cs-134がほぼ等量存在するので、Cs-137の約2倍が放射性セシウムとしてカウントされる。)
・チェルノブイリの時の例では、魚において濃縮が起こるのは、海水への放出が起こってから半年後くらいにピークが来た。海水中のピークは半年程度で収まったが、魚のCs-137の濃度は、2年近く高めの数値が続いた。

今回の事故後のデータ
・すでに、福島第一原発沖合15-30kmでは、海水中のCs-137の濃度が2-100Bq/kgにまで上がっている(バックグラウンドの1000倍以上になっている)。ただし、法令での基準値(漏れ出した際に報告を要する数値:健康に影響を与える暫定基準値とは別)は90Bq/kgなので、それを超えているケースは少ない。
・文科省のモニタリングで、原発から50kmほど南で、モニタリング地点としては一番南の沿岸(沖合10km付近:【10】)では、3/30と4/3にはすでに4-7Bq/kgを記録しており、一部は海流に乗って南下していることを示唆している(その後4/7のデータでは検出限界以下に下がった)。
・その後4/5以降にいわき市(4/7)や北茨城市(4/5)においてコウナゴからそれぞれ570、526Bq/kgの放射性セシウムが検出された。下記は厚労省サイト。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000018n20-att/2r98520000018n7y.pdf


私の個人的見解
・コウナゴから500Bq/kgを少し超える放射性セシウムが検出されたことは、海水のCs-137がその直前に上がっていることと合わせて考えると、50-100倍の濃縮説を裏付けるものである(海水のCs-137の濃度が4Bq/kgとして、4×(100~200)=400~800Bq/kgになる)。

生物濃縮を考えた場合には、暫定基準値500Bq/kgから逆算して、海水中のCs-137の濃度が2.5-5Bq/kgを超えた期間が何日か続いたかどうかをチェックする必要がある


・また、コウナゴのように小さな魚は比較的早期に影響が出てくるが、生態系の上位にある大きな魚に影響が出てくるのはピークが半年後ということなので、1-2ヶ月に高くなる可能性が高い。今はCs-137が検出されなくても、数ヶ月はモニターし続けないと安心できない。

・チェルノブイリの時のデータからすると、この影響は2年近く続く可能性がある。できるだけ広い範囲で海水のモニタリングと魚のサンプリングによる影響のチェックが必要である。




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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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