江戸川、利根川流域でのホルムアルデヒド検出問題その2 ダムの放水を考慮するとデータの解釈が変わった!
昨日5/20の「江戸川、利根川流域でのホルムアルデヒド検出問題の現況」の続きです。昨日書いた後にわかったことや、昨日時間がなくて整理しきれなかったことをもう少し情報を整理しておきます。
今回は放射能とは関係ありませんが、セシウムの汚染が気になるひとも、川を通じたセシウムの移動、東京湾への流入についての理解をするためにも読んでいただいた方がいいと思います。川がどこからどう流れてくるのか、ということを理解しておくことはセシウムの移動を理解する上で重要なことだからです。
※この続編は下記をご覧下さい。
「ホルムアルデヒド検出問題その3、事態は急展開して決着へ」
1.情報の追加
千葉県 北千葉広域水道企業団のHP
北千葉浄水場におけるホルムアルデヒドの状況について(第2報)5/20 16:45
5/20 12:00 0.006mg/L 野田橋 原水(塩素添加)測定濃度
※野田橋(野田市)で採水した原水(江戸川表流水)は、通常の場合、概ね4時間後に企業団の取水口(松戸市)に到達する見込みです。
北千葉浄水場におけるホルムアルデヒドの状況について(第3報) 5/20 17:30
北千葉浄水場におけるホルムアルデヒドの状況について(第4報)5/21 7:30 9:15一部訂正
北千葉浄水場におけるホルムアルデヒドの状況について(第5報)5/21 20:00
これはここまでの報告を全てまとめたhtmlです。これだけを見てもいいと思います。20日から21日にかけては特にホルムアルデヒド濃度は増えていません。
埼玉県のHP
埼玉県営水道におけるホルムアルデヒド検出結果について
後でも述べますが、19日午後に一度検出限界未満に低下した後、20日に再度高めになりました。これは何故でしょうか?この理由をよく考える必要があります。
群馬県のHP
【5月20日】浄水場等からの水質基準値を超えるホルムアルデヒドの検出を受けた河川水の調査結果について(環境保全課)
【5月20日】県内河川のホルムアルデヒドの定点監視結果について(環境保全課)
【5月21日】県営浄水場におけるホルムアルデヒドの検査結果について((企)水道課)
【5月21日】県営浄水場におけるホルムアルデヒドの検査結果(5月21日分)について((企)水道課)
群馬県では、5地点を選択して、毎日定点観測を始めました。
国の対応
また、環境省と厚労省も原因の特定をすべく対応に乗り出しました(リンク先はNHK:Web魚拓はここ)。
2.ダムなどの放水
実は、19日に濃度が低下したのはダムなどからの放水が大きな要因となっていたのでした。そのための情報を以下に示します。
国土交通省関東地方整備局 災害情報一覧
※以下は、リンク先をいちいち押さなくても読めるようにまとめ直したものです。
平成24年5月18日 18時00分
関東地方整備局は、管内の1支部(利根川上流支部)がホルムアルデヒド検出に伴う野田市浄水場の取水停止により警戒体制に入ったことから、平成24年5月18日18時00分に河川水質事故災害対策本部を設置し、注意体制に入りました。
平成24年5月18日【取水障害対応情報】
江戸川における水道水の取水障害に対応するため、渡良瀬貯水池から緊急放流を開始しました。

平成24年5月18日【取水障害対応情報】
利根川・江戸川における水道水の取水障害に対応するため、薗原・下久保ダムから緊急放流を開始するとともに、渡良瀬貯水池からの放流量を増量します。

平成24年5月18日【取水障害対応情報】
江戸川における水道水の取水障害に対応するため、北千葉導水路により利根川から江戸川へ毎秒16立方メートルの緊急導水を開始するとともに、利根川から荒川へ導水している武蔵水路(水資源機構管理)の導水を停止しました。

平成24年5月19日 11時00分
関東地方整備局は、管内の1支部(江戸川河川支部)がホルムアルデヒド検出に伴う野田市浄水場の給水停止により、警戒体制から非常体制へ移行したことから、平成24年5月19日11時00分に河川水質事故災害対策本部を注意体制から、警戒体制に移行しました。
平成24年5月19日【取水障害対応情報】
江戸川における水道水の取水障害に対応するため、原因となっている有害物質の濃度を薄め、また、下流へ押し流すことを目的として、平成24年5月19日18時現在、渡良瀬貯水池より利根川へ毎秒68立方メートル、薗原ダムより利根川へ毎秒31立方メートル、藤原ダムより利根川へ毎秒177立方メートルの緊急放流を実施しています。また、北千葉導水路により利根川から江戸川へ毎秒14立方メートルの緊急導水を実施しています。
さらに、武蔵水路による利根川から荒川への毎秒15立方メートルの導水は停止しております。

平成24年5月20日【取水障害対応情報】
利根川・江戸川における水道水の取水障害については、全ての水道事業者の断水が解除されましたので、これまでダム等により実施してきた緊急放流を減量いたします。
平成24年5月20日4時より、渡良瀬貯水池からの緊急放流を停止し、北千葉導水路による緊急導水も停止します。また、薗原ダムからの放流量は発電に必要な量まで、藤原ダムからの放流量は毎秒100立方メートルまで減量するための操作を開始します。
なお、武蔵水路については、現状の導水停止を継続いたします。

平成24年5月20日【取水障害対応情報】
東京都水道局の三郷浄水場での取水障害に対応するため、北千葉導水路及び渡良瀬貯水池からの緊急放流を再開することとしました。現在、準備中であり、平成24年5月20日14時頃より緊急放流を開始する予定です。
最大放流量
北千葉導水路 毎秒14立方メートル
渡良瀬貯水池 毎秒80立方メートル

平成24年5月20日【取水障害対応情報】
水道水の取水障害対応として茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都の要請により、藤原ダムからの放流量を増量します。
また、北千葉導水路、渡良瀬貯水池からの緊急放流を継続中です。
1.放流開始日時
藤原ダム増量 平成24年5月20日(日)23時頃を予定
2.放流量
最大放流量
藤原ダム 毎秒100立方メートル から 毎秒260立方メートル に増量
北千葉導水路 毎秒14立方メートル(継続中)
渡良瀬貯水池 毎秒80立方メートル(継続中)

他にも通常の放流にはダム放流通知発表状況表(関東地方)という情報もあります。
利根川上流の矢木沢ダムとかは知っていましたが、渡良瀬貯水池もこういう時に使うためのものだったのですね。それ以外にも、利根川から荒川への北千葉導水路とか、利根川から荒川への武蔵水路とか、初めて知ったことも多くて参考になりました。
簡単にまとめると、18日から放水の準備を始めて、19日に大量の放水をしました。その後、浄水場の濃度が下がったことから20日に一度放水量を減らしました。ところが、20日に三郷浄水場で濃度が上がったために再び20日の午後から放水を増やしました。これを頭に入れておいてください。
3.原水のデータ
以下に、群馬県、埼玉県、千葉県で取水場や浄水場の取水口などの原水のホルムアルデヒド濃度の推移を示します。原水ですので、塩素を加えていませんからそのままではホルムアルデヒドは検出できません。そこで、塩素を加えてホルムアルデヒド濃度を測定していることに注意してください。
利根川3地点、江戸川3地点のデータです。それぞれの場所はだいたい下図の通りです。

5/18~5/21までのそれぞれの場所でのホルムアルデヒド濃度(mg/L)を示します。黄色く塗ったところは基準値を超えています(ただしあくまで原水なので、浄水にするともっと下がることもあります)。一応、それぞれの川で上流から下流に並べてあります。



昨日は紹介しなかったのですが、埼玉県のHPに載っている庄和浄水場のデータだけが他の取水場などとデータの動きが違います。それ以外は、18日に高い濃度だったのが、ダムの放水が始まって19日夕方には濃度が下がっていくのがわかります。そしてダムの放水量が減ったら再び濃度が増加している様子が特に利根大堰のデータの動きを見るとよくわかると思います。
昨日、三郷浄水場の原水が20日の朝5時に0.099mg/Lになって、他の所で下がっていたのにどうして?と記載しましたが、その謎は解けました。他の所でも20日に再び上昇していたのですね。
庄和浄水場のデータの動きが他と連動していないように見えるのですが、数時間遅れるような仕掛けがなにかあるのでしょうか?ここは理由がわかりません。
今回のダムの放水の情報を合わせてわかったことは、実はまだ原因物質の流出は続いている可能性があること、そしてダムの放水によって希釈されて、とりあえずは各浄水場の濃度が下がっているということです。
昨日の午前のデータでは、原因物質の流出はもう終わったかのように思いましたが、必ずしもそうとは言いきれない可能性が出てきました。ダムの放水をやめた時にどうなるのか。全くホルムアルデヒド濃度が上がらなければいいですが、再び上昇するようだとまだ原因物質が流れている可能性があります。
※なお、急いで作成したため、データや、取水場の場所など、細かい間違いが幾つもあるかもしれません。もし気がついた方がいたら教えてください。
千葉県 北千葉広域水道企業団のHP
北千葉浄水場におけるホルムアルデヒドの状況について(第2報)5/20 16:45
5/20 12:00 0.006mg/L 野田橋 原水(塩素添加)測定濃度
※野田橋(野田市)で採水した原水(江戸川表流水)は、通常の場合、概ね4時間後に企業団の取水口(松戸市)に到達する見込みです。
北千葉浄水場におけるホルムアルデヒドの状況について(第3報) 5/20 17:30
北千葉浄水場におけるホルムアルデヒドの状況について(第4報)5/21 7:30 9:15一部訂正
北千葉浄水場におけるホルムアルデヒドの状況について(第5報)5/21 20:00
これはここまでの報告を全てまとめたhtmlです。これだけを見てもいいと思います。20日から21日にかけては特にホルムアルデヒド濃度は増えていません。
埼玉県のHP
埼玉県営水道におけるホルムアルデヒド検出結果について
後でも述べますが、19日午後に一度検出限界未満に低下した後、20日に再度高めになりました。これは何故でしょうか?この理由をよく考える必要があります。
群馬県のHP
【5月20日】浄水場等からの水質基準値を超えるホルムアルデヒドの検出を受けた河川水の調査結果について(環境保全課)
【5月20日】県内河川のホルムアルデヒドの定点監視結果について(環境保全課)
【5月21日】県営浄水場におけるホルムアルデヒドの検査結果について((企)水道課)
【5月21日】県営浄水場におけるホルムアルデヒドの検査結果(5月21日分)について((企)水道課)
群馬県では、5地点を選択して、毎日定点観測を始めました。
国の対応
また、環境省と厚労省も原因の特定をすべく対応に乗り出しました(リンク先はNHK:Web魚拓はここ)。
2.ダムなどの放水
実は、19日に濃度が低下したのはダムなどからの放水が大きな要因となっていたのでした。そのための情報を以下に示します。
国土交通省関東地方整備局 災害情報一覧
※以下は、リンク先をいちいち押さなくても読めるようにまとめ直したものです。
平成24年5月18日 18時00分
関東地方整備局は、管内の1支部(利根川上流支部)がホルムアルデヒド検出に伴う野田市浄水場の取水停止により警戒体制に入ったことから、平成24年5月18日18時00分に河川水質事故災害対策本部を設置し、注意体制に入りました。
平成24年5月18日【取水障害対応情報】
江戸川における水道水の取水障害に対応するため、渡良瀬貯水池から緊急放流を開始しました。

平成24年5月18日【取水障害対応情報】
利根川・江戸川における水道水の取水障害に対応するため、薗原・下久保ダムから緊急放流を開始するとともに、渡良瀬貯水池からの放流量を増量します。

平成24年5月18日【取水障害対応情報】
江戸川における水道水の取水障害に対応するため、北千葉導水路により利根川から江戸川へ毎秒16立方メートルの緊急導水を開始するとともに、利根川から荒川へ導水している武蔵水路(水資源機構管理)の導水を停止しました。

平成24年5月19日 11時00分
関東地方整備局は、管内の1支部(江戸川河川支部)がホルムアルデヒド検出に伴う野田市浄水場の給水停止により、警戒体制から非常体制へ移行したことから、平成24年5月19日11時00分に河川水質事故災害対策本部を注意体制から、警戒体制に移行しました。
平成24年5月19日【取水障害対応情報】
江戸川における水道水の取水障害に対応するため、原因となっている有害物質の濃度を薄め、また、下流へ押し流すことを目的として、平成24年5月19日18時現在、渡良瀬貯水池より利根川へ毎秒68立方メートル、薗原ダムより利根川へ毎秒31立方メートル、藤原ダムより利根川へ毎秒177立方メートルの緊急放流を実施しています。また、北千葉導水路により利根川から江戸川へ毎秒14立方メートルの緊急導水を実施しています。
さらに、武蔵水路による利根川から荒川への毎秒15立方メートルの導水は停止しております。

平成24年5月20日【取水障害対応情報】
利根川・江戸川における水道水の取水障害については、全ての水道事業者の断水が解除されましたので、これまでダム等により実施してきた緊急放流を減量いたします。
平成24年5月20日4時より、渡良瀬貯水池からの緊急放流を停止し、北千葉導水路による緊急導水も停止します。また、薗原ダムからの放流量は発電に必要な量まで、藤原ダムからの放流量は毎秒100立方メートルまで減量するための操作を開始します。
なお、武蔵水路については、現状の導水停止を継続いたします。

平成24年5月20日【取水障害対応情報】
東京都水道局の三郷浄水場での取水障害に対応するため、北千葉導水路及び渡良瀬貯水池からの緊急放流を再開することとしました。現在、準備中であり、平成24年5月20日14時頃より緊急放流を開始する予定です。
最大放流量
北千葉導水路 毎秒14立方メートル
渡良瀬貯水池 毎秒80立方メートル

平成24年5月20日【取水障害対応情報】
水道水の取水障害対応として茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都の要請により、藤原ダムからの放流量を増量します。
また、北千葉導水路、渡良瀬貯水池からの緊急放流を継続中です。
1.放流開始日時
藤原ダム増量 平成24年5月20日(日)23時頃を予定
2.放流量
最大放流量
藤原ダム 毎秒100立方メートル から 毎秒260立方メートル に増量
北千葉導水路 毎秒14立方メートル(継続中)
渡良瀬貯水池 毎秒80立方メートル(継続中)

他にも通常の放流にはダム放流通知発表状況表(関東地方)という情報もあります。
利根川上流の矢木沢ダムとかは知っていましたが、渡良瀬貯水池もこういう時に使うためのものだったのですね。それ以外にも、利根川から荒川への北千葉導水路とか、利根川から荒川への武蔵水路とか、初めて知ったことも多くて参考になりました。
簡単にまとめると、18日から放水の準備を始めて、19日に大量の放水をしました。その後、浄水場の濃度が下がったことから20日に一度放水量を減らしました。ところが、20日に三郷浄水場で濃度が上がったために再び20日の午後から放水を増やしました。これを頭に入れておいてください。
3.原水のデータ
以下に、群馬県、埼玉県、千葉県で取水場や浄水場の取水口などの原水のホルムアルデヒド濃度の推移を示します。原水ですので、塩素を加えていませんからそのままではホルムアルデヒドは検出できません。そこで、塩素を加えてホルムアルデヒド濃度を測定していることに注意してください。
利根川3地点、江戸川3地点のデータです。それぞれの場所はだいたい下図の通りです。

5/18~5/21までのそれぞれの場所でのホルムアルデヒド濃度(mg/L)を示します。黄色く塗ったところは基準値を超えています(ただしあくまで原水なので、浄水にするともっと下がることもあります)。一応、それぞれの川で上流から下流に並べてあります。



昨日は紹介しなかったのですが、埼玉県のHPに載っている庄和浄水場のデータだけが他の取水場などとデータの動きが違います。それ以外は、18日に高い濃度だったのが、ダムの放水が始まって19日夕方には濃度が下がっていくのがわかります。そしてダムの放水量が減ったら再び濃度が増加している様子が特に利根大堰のデータの動きを見るとよくわかると思います。
昨日、三郷浄水場の原水が20日の朝5時に0.099mg/Lになって、他の所で下がっていたのにどうして?と記載しましたが、その謎は解けました。他の所でも20日に再び上昇していたのですね。
庄和浄水場のデータの動きが他と連動していないように見えるのですが、数時間遅れるような仕掛けがなにかあるのでしょうか?ここは理由がわかりません。
今回のダムの放水の情報を合わせてわかったことは、実はまだ原因物質の流出は続いている可能性があること、そしてダムの放水によって希釈されて、とりあえずは各浄水場の濃度が下がっているということです。
昨日の午前のデータでは、原因物質の流出はもう終わったかのように思いましたが、必ずしもそうとは言いきれない可能性が出てきました。ダムの放水をやめた時にどうなるのか。全くホルムアルデヒド濃度が上がらなければいいですが、再び上昇するようだとまだ原因物質が流れている可能性があります。
※なお、急いで作成したため、データや、取水場の場所など、細かい間違いが幾つもあるかもしれません。もし気がついた方がいたら教えてください。
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