ホルムアルデヒド検出問題その3、事態は急展開して決着へ
今回は、「江戸川、利根川流域でのホルムアルデヒド検出問題の現況」、そして「江戸川、利根川流域でのホルムアルデヒド検出問題その2 ダムの放水を考慮するとデータの解釈が変わった!」の続きです。大きな展開がない限り、これでこの問題については終わりにしようと思います。
利根川や荒川でホルムアルデヒドが検出され、千葉県の柏市や野田市などで断水騒ぎになった問題で、一時は迷宮入りかと私は思いましたが、汚染源がヘキサメチレンテトラミンという化学物質で、その物質の処理を委託した業者名もDOWAハイテックという埼玉県本庄市の会社であると判明したそうです。
ただし、ヘキサメチレンテトラミンは水質汚濁防止法で規制されている物質ではないため、現時点ではDOWAハイテック社が水質汚濁防止法に違反したという事ではないようです。ただし、廃棄物処理法に違反するかどうかということで警察が動き出すようです。
5/24に環境省と厚労省が原因物質がヘキサメチレンテトラミンという物質であると発表しました。産経新聞によると、『両省によると、千葉県流山市の北千葉浄水場で、ホルムアルデヒドが検出されていた19日午前5時~午後6時半にかけ採取した水道原水9検体を国立医薬品食品衛生研究所が分析。
すべての検体から1リットル当たり0・041~0・2ミリグラムのヘキサメチレンテトラミンを検出した。ほかに東京都へ水を供給する三郷浄水場(埼玉県三郷市)の水道原水からも検出されたという。』
ということで、水道の原水を分析したら0.041mg/L~0.2mg/Lのヘキサメチレンテトラミンが検出されたということです。
この物質は、塩素と反応してホルムアルデヒドを発生させるものです。ホルムアルデヒドがなぜ水道水質基準値で0.08mg/Lに定められているかという資料は埼玉県のHPにも紹介されていますが、こちらにあります。
「江戸川、利根川流域でのホルムアルデヒド検出問題の現況」でも少しふれましたが、烏川流域でヘキサメチレンテトラミンを扱っている群栄化学工業が当初は疑われました。しかし5/19に採水して検査した結果、高崎市の群栄化学工業の工場排水には問題がないことがわかりました。実はこの時からすでにヘキサメチレンテトラミンが原因物質である可能性が高いと疑われていたのですね。
しかし、群栄化学工業は問題がなかったため、このあとになると、もう原因を突き止めるのは難しいと私は考えていましたが、今回原因物質と原因となった企業が特定されました。そしてわかった理由も25日の報道の中にありました。
今回のホルムアルデヒド検出問題の原因は、埼玉県のDOWAハイテックという会社が5/10からヘキサメチレンテトラミンを含むおよそ60トンの廃液の処理を群馬県高崎市の廃棄物処理業者である高崎金属工業に委託したことによります。その際にポイントとなるのが、DOWAハイテックが高崎金属工業にヘキサメチレンテトラミンが入っているという情報を伝えていたかどうか、ということです。
廃棄物処理法では、廃棄物の責任は処理業者ではなく処理を委託した依頼主にあることになっています。従って、NHKによる(Web魚拓はここ)と、「警察は、廃棄物処理法に違反していた可能性があるとして、近く関係者から話を聞くなど捜査に乗り出す方針を固め」たそうです。
また、高崎市は高崎金属工業に対して廃棄物処理法に基づいて「報告徴収」という措置をとって関係書類を提出させました(東京新聞)。東京新聞の記事によると、『廃液の処理を委託したDOWAハイテック(埼玉県本庄市)とは今月、取引先企業の紹介で初めて仕事を受けた。十日ごろから廃液約六十トンが六回ほどに分けて運び込まれ、半日程度で中和処理し、随時近くの烏川に流したという。
しかし、問題が発覚し、流出を中止。廃液は他の業者に委託し、損失が出た。高崎金属工業の赤穂好男社長は「損失はDOWAに請求したい」、茂木博保会長は「当社は被害者。発覚後にDOWAから説明はなく、不正義な会社との印象だ」と述べた。』ということです。
一方、朝日新聞にも高崎金属工業の話として、DOWAハイテックからはヘキサメチレンテトラミンについての情報はいっさいなかったということです。『DOWA側から約60トンの廃液処理の委託を受けた。24項目の化学物質の成分を調べ、国の基準に従って適正に処理したという。「それ以外の物質が含まれる時は、排出者が告知しないといけない」』
東京新聞の別の記事では、高崎金属工業の処理施設では『埼玉県によると同県本庄市の化学製品会社「DOWAハイテック」が今月十日、高崎市の烏川沿いにある産廃業者二社にヘキサメチレンテトラミンを含む廃液の処理を委託した。うち一社は十八日までに約六十トンを処理したが、同社の設備ではヘキサメチレンテトラミンを十分に分解することができず、河川に排出されたとみられる。
(中略) 一方、ハイテック社は本紙の取材に「廃液の分析値は示しており、業者が適正な処理をしていれば、ヘキサメチレンテトラミンは取り除かれていたはずだ。ほかの業者への委託でも、これまで問題はなかった。不正の認識はなく、県の調査に協力していきたい」としている。』
という記載もありました。
詳細な事実関係は今後の調査を待たないとわかりませんが、これまでの話をまとめると以下のような事実関係であったようです。
埼玉県のDOWAハイテックがヘキサメチレンテトラミンを含むおよそ60トンの廃液の処理を群馬県高崎市の廃棄物処理業者である高崎金属工業に委託し、高崎金属工業が処理した排水を烏川に流した。その際、ヘキサメチレンテトラミンを含むという情報を知らされていなかったために自社で処理をした。しかし高崎金属工業の施設では今回の廃液に含まれるヘキサメチレンテトラミンを全ては処理しきれず、未分解のヘキサメチレンテトラミンが烏川に流れて、下流の浄水場で塩素と反応してホルムアルデヒドが発生した。
しかしなぜDOWAハイテックとわかったのか?NHKによる(Web魚拓はこちら)と、9年前にも同じDOWAハイテックがヘキサメチレンテトラミンを流し、その結果として利根川の浄水場でホルムアルデヒドが0.147mg/Lと基準値の0.08mg/Lの2倍近くも検出されていたそうです。『しかし埼玉県は、法律で規制されていない物質のため、当時、会社には処分を行わず国にも規制の強化を求めなかったといいます。これについて埼玉県は、「原因が特定でき、企業の自主的な改善によって問題が解決したので、特に法規制は求めなかったと聞いている」と話しています。』ということでした。
つまり、9年前の情報があったため、今回も同じような事が起こっている可能性が高いと最初から予想ができたということです。そうでなくて一から水を分析して調査するとなったら大変なことだったと思います。
5/25には、埼玉県のHP、群馬県のHP(定点監視)、群馬県のHP(浄水場の結果)、千葉県のHPをみても全ての地域で検出限界以下となっており、問題は収束方向に向かっていることがわかります。
今後の対応としては、法規制されない物質の場合は今後も同じ問題が引き起こされる可能性があるため、法的な規制をするべきかどうか、という問題になると思います。何はともあれ、原因物質とその原因となった企業がわかって良かったと思います。
すべての検体から1リットル当たり0・041~0・2ミリグラムのヘキサメチレンテトラミンを検出した。ほかに東京都へ水を供給する三郷浄水場(埼玉県三郷市)の水道原水からも検出されたという。』
ということで、水道の原水を分析したら0.041mg/L~0.2mg/Lのヘキサメチレンテトラミンが検出されたということです。
この物質は、塩素と反応してホルムアルデヒドを発生させるものです。ホルムアルデヒドがなぜ水道水質基準値で0.08mg/Lに定められているかという資料は埼玉県のHPにも紹介されていますが、こちらにあります。
「江戸川、利根川流域でのホルムアルデヒド検出問題の現況」でも少しふれましたが、烏川流域でヘキサメチレンテトラミンを扱っている群栄化学工業が当初は疑われました。しかし5/19に採水して検査した結果、高崎市の群栄化学工業の工場排水には問題がないことがわかりました。実はこの時からすでにヘキサメチレンテトラミンが原因物質である可能性が高いと疑われていたのですね。
しかし、群栄化学工業は問題がなかったため、このあとになると、もう原因を突き止めるのは難しいと私は考えていましたが、今回原因物質と原因となった企業が特定されました。そしてわかった理由も25日の報道の中にありました。
今回のホルムアルデヒド検出問題の原因は、埼玉県のDOWAハイテックという会社が5/10からヘキサメチレンテトラミンを含むおよそ60トンの廃液の処理を群馬県高崎市の廃棄物処理業者である高崎金属工業に委託したことによります。その際にポイントとなるのが、DOWAハイテックが高崎金属工業にヘキサメチレンテトラミンが入っているという情報を伝えていたかどうか、ということです。
廃棄物処理法では、廃棄物の責任は処理業者ではなく処理を委託した依頼主にあることになっています。従って、NHKによる(Web魚拓はここ)と、「警察は、廃棄物処理法に違反していた可能性があるとして、近く関係者から話を聞くなど捜査に乗り出す方針を固め」たそうです。
また、高崎市は高崎金属工業に対して廃棄物処理法に基づいて「報告徴収」という措置をとって関係書類を提出させました(東京新聞)。東京新聞の記事によると、『廃液の処理を委託したDOWAハイテック(埼玉県本庄市)とは今月、取引先企業の紹介で初めて仕事を受けた。十日ごろから廃液約六十トンが六回ほどに分けて運び込まれ、半日程度で中和処理し、随時近くの烏川に流したという。
しかし、問題が発覚し、流出を中止。廃液は他の業者に委託し、損失が出た。高崎金属工業の赤穂好男社長は「損失はDOWAに請求したい」、茂木博保会長は「当社は被害者。発覚後にDOWAから説明はなく、不正義な会社との印象だ」と述べた。』ということです。
一方、朝日新聞にも高崎金属工業の話として、DOWAハイテックからはヘキサメチレンテトラミンについての情報はいっさいなかったということです。『DOWA側から約60トンの廃液処理の委託を受けた。24項目の化学物質の成分を調べ、国の基準に従って適正に処理したという。「それ以外の物質が含まれる時は、排出者が告知しないといけない」』
東京新聞の別の記事では、高崎金属工業の処理施設では『埼玉県によると同県本庄市の化学製品会社「DOWAハイテック」が今月十日、高崎市の烏川沿いにある産廃業者二社にヘキサメチレンテトラミンを含む廃液の処理を委託した。うち一社は十八日までに約六十トンを処理したが、同社の設備ではヘキサメチレンテトラミンを十分に分解することができず、河川に排出されたとみられる。
(中略) 一方、ハイテック社は本紙の取材に「廃液の分析値は示しており、業者が適正な処理をしていれば、ヘキサメチレンテトラミンは取り除かれていたはずだ。ほかの業者への委託でも、これまで問題はなかった。不正の認識はなく、県の調査に協力していきたい」としている。』
という記載もありました。
詳細な事実関係は今後の調査を待たないとわかりませんが、これまでの話をまとめると以下のような事実関係であったようです。
埼玉県のDOWAハイテックがヘキサメチレンテトラミンを含むおよそ60トンの廃液の処理を群馬県高崎市の廃棄物処理業者である高崎金属工業に委託し、高崎金属工業が処理した排水を烏川に流した。その際、ヘキサメチレンテトラミンを含むという情報を知らされていなかったために自社で処理をした。しかし高崎金属工業の施設では今回の廃液に含まれるヘキサメチレンテトラミンを全ては処理しきれず、未分解のヘキサメチレンテトラミンが烏川に流れて、下流の浄水場で塩素と反応してホルムアルデヒドが発生した。
しかしなぜDOWAハイテックとわかったのか?NHKによる(Web魚拓はこちら)と、9年前にも同じDOWAハイテックがヘキサメチレンテトラミンを流し、その結果として利根川の浄水場でホルムアルデヒドが0.147mg/Lと基準値の0.08mg/Lの2倍近くも検出されていたそうです。『しかし埼玉県は、法律で規制されていない物質のため、当時、会社には処分を行わず国にも規制の強化を求めなかったといいます。これについて埼玉県は、「原因が特定でき、企業の自主的な改善によって問題が解決したので、特に法規制は求めなかったと聞いている」と話しています。』ということでした。
つまり、9年前の情報があったため、今回も同じような事が起こっている可能性が高いと最初から予想ができたということです。そうでなくて一から水を分析して調査するとなったら大変なことだったと思います。
5/25には、埼玉県のHP、群馬県のHP(定点監視)、群馬県のHP(浄水場の結果)、千葉県のHPをみても全ての地域で検出限界以下となっており、問題は収束方向に向かっていることがわかります。
今後の対応としては、法規制されない物質の場合は今後も同じ問題が引き起こされる可能性があるため、法的な規制をするべきかどうか、という問題になると思います。何はともあれ、原因物質とその原因となった企業がわかって良かったと思います。
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