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「ネットワークでつくる放射能汚染地図6 川で何がおきているのか」を見て

 
ETVの「ネットワークでつくる放射能汚染地図」は、これまでにもいい番組を作っています。特に今年1月の「知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~」は、私のブログでも「1/15 NHKスペシャル 知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~を見て」で紹介しましたが、海だけでなく東京湾の調査の必要性を調べたいい番組でした。

今回(6/10)の「ネットワークでつくる放射能汚染地図6 川で何がおきているのか」について簡単に紹介します。印象としては、あまり新たな知見はなく、むしろ川と直接関係がない、稲の用水からの汚染の可能性の話が一番印象的でした。

細かいチェックをせずに見たままを書いているので、間違いがいくつもあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。


今回の番組は川の汚染の特集ということで、福島県を流れて宮城県に注ぎ込む阿武隈川と、福島県から新潟県に流れる阿賀野川について調査をしました。

まずは阿武隈川下流の宮城県丸森町から。ここは天然アユの漁場です。しかし、昨年6月にアユから227Bq/kgの放射性セシウムが検出されたため、漁ができませんでした。今年の鮎の解禁を7月に控えて、アユの汚染がどうなるのか、戦々恐々としています。

この地域の川の水は全てND(検出限界値未満:1.0-1.7Bq/kg未満)でしたが、アユが成長したり縄張りを持つ川底の土は2050Bq/kgとか1840Bq/kgと高い値を示していました。アユは藻やドロを食べるため、その時にセシウムを体内に取り込むのだと考えられているそうです。

なお、今年のアユのデータに関しては、昨年とは様相が変わっていて、かなり低くなっています。阿武隈川のデータはまだ出ていないのですが、詳細はこのtogetterのまとめ「アユのセシウム汚染が激減したのは本当?」をご覧下さい。

番組では、専門家の助けを借りて、阿武隈川では189ヶ所で水と川底の土を測定しました。その結果、川の水はどこもNDでしたが、ほぼ全ての土から放射性セシウムが検出されました。上流、下流にかかわらず、高いところと低いところがありました。


次に阿賀野川についてです。阿賀野川は福島県の会津地方から新潟県に流れていきます。番組で指摘されるまで忘れていましたが、阿賀野川では第二水俣病に苦しめられたのでした。従って、住民の川からの汚染に対する意識は高いということでした。

新潟市では、昨年7月にシジミから5Bq/kgの放射性セシウムが検出されました。他にはアユとシロザケが測られていますが、それらはNDでした。しかしながら、測定された品目数とサンプル数があまりにも少ないため、説明会に出た海洋の専門家(石丸教授)も「測っていないものは安全と言い切ることはできない」とコメントしていました。

新潟市の阿賀野川浄水場において、昨年7月に浄水場の汚泥から35400Bq/kgの放射性セシウムが検出されたため、その500トンの汚泥は今も処理できずに浄水場の一角に隔離されて保管されています。なぜこんなに高い放射性セシウムが検出されたのか?それは浄水場でドロを含む水を分離し、水を蒸発させて乾燥させるため、粘土に含まれているセシウムが濃縮されたのです。

シジミの漁場となっている阿賀野川の河口(福島第一原発から180km離れたところ)で調べてみました。河口は幅が1kmもありますが、8ヶ所の調査の結果、ドロの多い砂岩は最高590Bq/kgと高く、砂の多い右岸はNDから10Bq/kg程度と低いことがわかりました。

このブログではこれまでにも「11/23 東大農学部の報告会2:土壌中での放射性セシウムの挙動」などで紹介してきましたが、2:1型層状ケイ酸塩鉱物と呼ばれる粘土にセシウムはピッタリとはまり込んでしまうのです。この番組では、バーミキュライトという粘土鉱物がセシウムと堅く結合するとして紹介されていました。
6/10-川1

阿賀野川の川底の土を測定すると、上流(福島県会津坂下町)は最高で17000Bq/kgと高い濃度を示しますが、中流では低く(79Bq/kgや21Bq/kg)、下流ではまた少し高く(560Bq/kgや790Bq/kg)になっていました。これを阿賀野川のバーミキュライトを含む泥を用いて川の模型で試してみると、泥は中流にはたまらずに上流部と下流部にたまることがわかりました。

さらに、上流には粒の粗い砂が多く、下流には粒の小さな粘土がたまることがわかりました。それも一度に流されるのではなく、雨が降ると増水した水で下流に流され、流れが遅くなると沈殿して川底にたまるのです。その繰り返しで、河口までがセシウムで汚染されるのです。


話はまた阿武隈川に戻ります。阿武隈川が流れている人口38万人の郡山市では、水路から川へと集まっていき、水路の下流に行くに従って川底の泥の放射性セシウムが高くなっていることがわかりました。

空間線量率は0.5μSv/h程度の所もありますが、水路の一つが通っている二つのため池付近で2.44μSv/hもありました。除染しても1.7μSv/h程度にしか空間線量が下がらないことが問題になっていました。池に水が張ってあれば水の遮蔽効果でそんなに空間線量が高くならないはずなのですが、昨年末から工事のために池の水が抜かれていて、底の泥がむき出しになっていました。

荒池と酒蓋池で底の泥を調べると、荒池では231700Bq/kg、酒蓋池では299000Bq/kgもの放射性セシウムがあることがわかりました。そのため、空間線量もこの池の付近では下がらないことがこの番組では良く出てくる木村さんの調査でわかりました。

木村さんは、町の人にこんな提案をしました。「ヘドロを取れば池の周辺の空間線量も下がります。」「でも仮置き場がなくて話が進まないんですよ。」「まずはヘドロをとって、コンクリートの箱(コンテナ)ヘを幾つも買って、池のまん中、つまり人が一番近づかない所に設置すればいいです。コンクリートだから漏れ出さないですし。」

このように、事故から1年経って、雨などでセシウムが移動して集積される場所というのが幾つも出てきています。人口が多いところでは何らかの対策を取る必要があります。


最後に、川の話とちょっと違うだろう、と思ったのですが稲の汚染の話があったのでそれも紹介します。これも「11/20 東大農学部主催の放射能の農畜水産物等への影響の研究報告会」で紹介したことなのですが、昨年の稲のセシウム量は、水田の土に含まれるセシウム量だけでは説明できないことがわかっていました。近くの田んぼなのにコメに含まれる放射性セシウム量が大きく変わることがあったため、水田に引き込む用水によって、稲の汚染具合が変わってきた可能性がありました。そこで、東大農学部の根本教授は面白い事をやっていました。

一つは、1枚の田んぼを60区画に区切り、空間線量を全て調べました。そうすると、水の取り入れ口に一番近いところは空間線量は2.74μSv/hでしたが、出口に近づくに従って低くなり、出口付近では1.3μSv/hと半分近くになっていました。こういうことから、用水がセシウム汚染に関与している可能性があります。

もう一つは、今年の水田で、ある農家に協力してもらい、水田を二つに分けます。半分には昨年と同じ用水をそのまま引いてもらい、半分には用水の泥をろ過して除外した澄んだ水だけを流すという実験です。これによって、用水が雨で濁った時に入ってくる泥の中のセシウムがどれだけ影響するのかを調べようというものです。これは今後結果が出るものです。

根本教授は水耕栽培のイネを用いた実験で、1Bq/Lの放射性セシウムを含む水でイネを栽培しました。すると稲体には590Bq/kgも吸収されることがわかりました。これは確か「11/20 東大農学部主催の放射能の農畜水産物等への影響の研究報告会」でも行っていた実験と同じような実験なのですが、水耕栽培では非常にセシウムは吸収されやすいということなのです。

この事から根本教授は、用水の泥の中でも吸着力の弱い粘土鉱物などに付着した放射性セシウムが水田に入って、水中に放出され、イネの上根(地中ではなく水の中に伸びている根)から吸収されるというメカニズムがありうると考えているそうです。


今回のまとめです。

1.原発事故から1年以上が経過し、各地に降下した放射性セシウムが雨などで移動し、ある場所には濃縮されて非常に高い濃度になっています。また、水路を通って川に流れ込んでいて、最終的には海へ向かいます。

2.セシウムは土の中の粘土鉱物に特異的に吸着されます。特にバーミキュライトといわれる鉱物は強くセシウムを吸着し、簡単には離しません。粘土が多い川底ではセシウム濃度が高く、砂が多い川底ではセシウム濃度が低いという結果はそれを明確に示しているものです。

3.新潟県のようにそれほど多くの汚染を受けなかったところでも、阿賀野川を通じて上流からセシウムが泥と一緒に流されてくる可能性があります。ただし、それがまた河口の生物に取り込まれて循環するかどうかについては、まだデータがないためにわかりません。


以上、簡単ですが今回の番組のまとめです。今回は残念ながらあまり参考になる話は多くありませんでした。
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コメント

No title

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

ツイッターで知りました

 初めまして。非常に多くの資料をまとめられている、良質なブログだと思いました。私、震災以前の福島市に転勤していたことがありました。同市の阿武隈川河川敷はオオハクチョウの飛来地としてよく知られ、毎年足を運んだものです。今ある放射性物質が渡り鳥など、福島県ひいては東北の里山環境にどのような影響を残すのか、憂慮しているわけです。今後も訪問・コメントすることがあるかと思います。どうぞよろしくお願いします。

多摩川でも

土壌から2万ベクレル超のセシウム 多摩川河川敷

神奈川県川崎市川崎区殿町先の多摩川河川敷の土壌から
1キログラム当たり約2万7000~2万1000ベクレルの
高濃度の放射性セシウムが検出されていたことが分かった。
河川敷を管理する国土交通省京浜河川事務所が五月に汚染物質を調べて判明した。
同事務所は「今のところ除染の予定はたっていない」としている。

河川事務所は「原発事故由来と考えられる」と分析。
5月30日までに、三カ所の土を土のうなどで覆い、
川崎市の除染の目安である
「毎時0.19マイクロシーベルト」を上回る範囲をロープで囲った。
市と連携し、定期的に監視する。


東京新聞から。

河川や海の汚染

いつもながらのぶんせきありがとうございます。

もっともしんぱいなのは、つりなどをしているひとたちが、魚などをイエにもってかえってたべてしまうこと。

もっと、げんかくなちゅういかんきがされなくてだいじょうぶなのかといつもきになっているのですが。

ゼオライトがセシウムをきゅうちゃくしやすいけれどこうかであるとのことですが、バーミキュライトでいいのなら、えんげいようにもつかわれているくらいですから、あんかでたすかりますね。かるいざいしつなのでかぜでとんだりするので、よくないんでしょうかね?

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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