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身の回りの食品と遺伝子組換え その2.トウモロコシ

 
前回の「身の回りの食品と遺伝子組換え その1.大豆」での大豆に続いて、今回はトウモロコシです。

1.日本におけるトウモロコシの生産と輸入

Q:では今回も質問です。トウモロコシの自給率は何%でしょうか?

答はなんと、ゼロ%。ほぼ100%輸入なのです。えっ、北海道とか国内のいろんなところでトウモロコシ作っているじゃない?という方もいるでしょう。私もこの統計はおかしくない?と思いました。

でも、農水省のこのページにあるように、「とうもろこしのうち未成熟状態で収穫する甘味種のもの」はスイートコーンといい、「農林水産省ではスイートコーンは「野菜」として分類」しているのです。スイートコーンは野菜扱いだったのですね。スイートコーンの自給率はほぼ99%だそうです。スイートコーンの生産量(リンク先はExcel)は平成22年度で22万トンです。

追記:
また、国内で生産されているトウモロコシには、青刈りトウモロコシと呼ばれるトウモロコシが471万トンもあります。これは飼料作物、つまり牛などのエサとして作っているものです。しかしながら、これは基本的に自給用であり流通していないので、統計上は数字に出てきません。そのためにトウモロコシの自給率は0%になってしまうのです。

8/5-3
追記ここまで:

一方、完熟させてから収穫するトウモロコシは、平成22年(2010年)で輸入量が約1600万トンです。実際の消費量は1583万トンで、そのうち飼料用が約77%の1217万トン、加工用が23%の356万トンです。加工用の内訳(リンク先はExcel)は、コーンスターチ用が344万トンで、アルコール用が3.4万トン、その他の工業用(コーンフレーク用やお菓子用)が7.9万トンです。

トウモロコシは、ほぼ100%が輸入だとすると、どこから輸入しているのかが気になりますよね。では次に、海外のトウモロコシ生産について見ておきましょう。

8/2-1

農水省の世界食糧需給2011によると、トウモロコシの生産が一番多いのはアメリカです。二番目は中国です。ついでEU27ヶ国、ブラジル+アルゼンチンと続きます。世界全体でのトウモロコシの生産量は約8億トン、そのうち約40%がアメリカです。

ついで同じ資料から輸出量の推移をお示しします。

8/2-2

ここで一番注目なのは、生産量が2位の中国(緑色)の輸出が、2005年以降は国内の飼料需要の増加に伴って減少し、2010年からは輸入国に転じていることです。中国が輸入国に転じたことで、今後世界的な不作の年には輸入時に中国との競争が起こって、輸入価格に影響が出てくるかもしれません。アメリカの輸出のシェアは最近10年では平均して約60%程度、南米が約20%です。ウクライナは昨年が豊作だったため輸出量が急増しました。

一方、米国内でも飼料用の用途以外に近年はバイオエタノール用の用途が急拡大しています。下のグラフで青い部分がエタノール用ですが、2007年の新エネルギー法成立以降、2015年までにトウモロコシ由来のバイオエタノールを150億ガロンにまで拡大することが決まっています。そのため、バイオエタノール用の需要が急速に拡大し、2010年には輸出の2倍以上になってしまいました。

8/2-3

下のグラフはアメリカの再生可能燃料の需要推移及び予想ですが、トウモロコシ由来のバイオエタノールは2015年に向けてかなり増えてきています。なお、最大が150億ガロンなので2015年以降は一定になる予定です。

8/2-4

なお、このバイオエタノール用の需要が増えたことにより、トウモロコシの価格は原油価格とも連動性が出てくるようになりました。トウモロコシの先物取引において投機資金が流入したこともあって、2008年にはトウモロコシの価格は急騰しました。一度価格は落ち着いたものの、2011年からまた価格は上昇しています。特に今年はアメリカで1956年以来の干ばつ(リンク先はFNN)ということで、シカゴ先物市場でのトウモロコシ価格は史上最高を更新しています。

とうもろこし価格の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

さて、少し話がそれましたが、トウモロコシを考える場合はバイオエタノール用の用途が拡大した事は頭に入れておく必要があるためご紹介しました。

続いて日本への輸出をみていきましょう。これは、農水省の資料ですが、大豆と同様、アメリカからの輸入が約85%と非常に比率が大きくなっています。

8/2-5

2.遺伝子組換えトウモロコシの生産比率

同じ農水省の資料には、アメリカの遺伝子組換えトウモロコシの比率が載っています。アメリカの遺伝子組換えトウモロコシの生産比率は86%と、大豆ほどではないですが大多数が遺伝子組換えトウモロコシです。

8/2-6

アメリカ以外の主な生産国での遺伝子組換えトウモロコシ生産も見てみましょう。大豆と同じGMO-compassというサイトのデータです。まずは作付面積ですが、アメリカの遺伝子組換えトウモロコシの作付面積が急増しているのがわかると思います。

341_gm-corn2009

面積が増えれば比率でも当然ながら増えます。世界全体の遺伝子組換えトウモロコシの比率はまだ26%ですが、着実に増えて行っています。アメリカ以外でもアルゼンチンや南アフリカでは遺伝子組換えトウモロコシの比率が急拡大していることは知っておく必要があるでしょう。

341_gm-corn2009_ratio


3.組換えトウモロコシ食品の表示

大豆でもそうでしたが、トウモロコシでもいわゆるスイートコーンを除いてはほとんどが輸入で、遺伝子組換えトウモロコシの生産が多いアメリカからの輸入がほとんどです。となると、これらに遺伝子組換えトウモロコシが使われているのか気になる方がいるでしょう。

身の回りの食品と遺伝子組換え その1.大豆」でもご紹介したように、遺伝子組換え食品については2001年からJAS法及び食品衛生法に基づく表示ルールがあります。

トウモロコシに関連する食品としては、下の表に示す加工食品については遺伝子組換えトウモロコシを使用していた場合に「遺伝子組換えである」または「遺伝子組換え不分別である旨」の表示が義務づけられています。

8/2-7

一方で、コーンフレークやコーン油、水飴、液糖、デキストリンについては表示が不要です。これはなぜかというと、これらの製品中から組換えられた遺伝子のDNAやタンパク質が検出できないため、表示が不要とされているのです。

8/2-8

大豆の時にも書いたように、表示不要の加工食品については実態がわからないのですが、遺伝子組換えトウモロコシあるいは遺伝子組換え不分別のものを用いている可能性が高いと思います(これは私の個人的な予想です)。その方が価格が安いし、シェアも圧倒的に高いからです。

また、トウモロコシの場合は、直接人間が食べないものの、飼料として輸入し、牛や豚などの家畜が食べて、その国産家畜を人間が食べているという構図があります。遺伝子組換えトウモロコシを間接的に口にするということまでを気にする人にとっては、このことも気になることでしょう。

ただし、私はこの点は基本的に心配していません。家畜が食べた飼料中のDNAやタンパク質がその家畜の筋肉に残留し、さらにその肉を食べた人間に影響を与えるということは基本的にまずゼロに近い確率の話だからです。気分的に気持ち悪いというのはわかりますが、それを気にするならばむしろ表示義務のない加工食品中に含まれているはずの遺伝子組換えトウモロコシについて心配した方がまだいいと思います。

なお、日本で飼料として用いる遺伝子組換え食物については、飼料安全法に基づいて審査が行われて、20品目のトウモロコシを含む63品目の飼料がすでに承認(リンク先21ページ)されています。

8/5-1

これを引用してきた資料は、農水省の生産局畜産部畜産振興課と消費・安全局畜水産安全管理課が出している資料(「飼料をめぐる情勢」)なのですが、今年の7月に出たばかりの最新の資料で、飼料に関する最新情報が満載です。例えば、昨年度は飼料穀物として1357万トン輸入し、そのうちトウモロコシが1059万トンであるといった情報が掲載されており、ちょっと取っつきにくいところはありますが、興味を持った方は是非ご参照ください。

8/5-2

最後に参考資料として、まだほとんど読んでいないのですが、トウモロコシについて需給関係や今後の展望も含めて書いているいい資料を見つけましたので、ご紹介しておきます。今後この資料から引用して解説することもあるかと思います。

食料危機と途上国におけるトウモロコシの需要と供給」JETRO 2009年


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コメント

Re: No title

飼料かあ さん

> 古い記事ですが、コメントが入っているのに気づき、読みました。>
>
> 今しばらくあれこれ探してみようと改めて楽しく元記事を読みなおしたところです。いい記事をありがとうございます。

遺伝子組換え食品の話は、2年前にシリーズ化しようと思い、書きかけたのですが、途中から、独自の切り口をうまく作ることができずそのままになっているものです。ただ、この分野は東電の汚染水とは異なり、進展が遅いので、何か新しい話題が出たらそれをきっかけに再開することも視野に入れています。あとは書く時間だけですね。

教えていただいたリンクも参考になりました。国土交通省というのは気がつきませんでした。


No title

古い記事ですが、コメントが入っているのに気づき、読みました。

それで、ついつい興味がわいて、検索かけつつ関連を見ていくと。
http://www.mlit.go.jp/common/000220291.pdf
「穀物(とうもろこし)輸入を取り巻く環境について」(平成24年7月5日)
なぜ国土交通省が?と思ったら、輸入の港の能力に絡んでの整理でした。どの港でどのくらい入っているかなども詳しかったです。

そうしたら、農水省の方も、飼料用トウモロコシの輸入港付近での遺伝子組換え種のこぼれ落ち調査をしているのですね。
「飼料用トウモロコシの流通・加工実態調査」の結果について(平成26年3月26日プレスリリース)http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/140326.html
こちらはどのように扱われるか、どの港で調査したかなど、写真つきで、一部飼料用トウモロコシの説明もありました。

今しばらくあれこれ探してみようと改めて楽しく元記事を読みなおしたところです。いい記事をありがとうございます。

No title

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

Re: 飼料用トウモロコシ

コンタンさん

コメントありがとうございました。
確かに青刈りトウモロコシは量もかなりあるので言及すべきでしたね。追加しました。

品種と使われ方については私自身まだ整理できていないので、もう少し調べてみます。もしいいサイトをご存じでしたら教えてください。

No title

飼料用トウモロコシはそれなりに国内生産量がありますが、ほとんどが自給用で流通しないために、統計上の自給率はゼロ%となります。
そのことはきちんと解説するべきでは。

また、一般の人には、飼料用トウモロコシそのものが、あまり馴染みがないのでは。
せっかくですから、トウモロコシの品種と使われ方について、もうちょっと解説があるといいのにと思いました。

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twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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