今年のお米の放射能検査:概況と千葉や茨城の速報
今年も気がつくと8月半ばです。昨年は、このブログでもお米の放射能について集中的にとりあげました。昨年7月頃に問題になった稲わらから連想したのでしょうが、福島の米のセシウムが10000Bq/kgはあるというようなネットでのコメントがよくあり、これはいけないと思い、セシウムがコメにどれくらい取り込まれる可能性があるか、ということを7月に予想しました。また、その後は各都道府県の検査結果を可能な限りお伝えしてきました。かなり詳しい情報や考察を昨年はご紹介してきたつもりです。
1.昨年の振り返り
福島県が昨年10月に安全宣言を出した後に暫定規制値(500Bq/kg)越えのセシウムを含む米が伊達市や福島市で見つかり、福島県の米にはセシウムを多く含まれる、というイメージが強くなってしまいましたが、冷静に数値を見るとそれはごく一部です。
今年は、放射能の新規制値(放射性セシウムで100Bq/kg)が設定されました。その考え方についてはすでに3月の時点でお伝えしています(詳細は「4月からの食品の新しい基準値が正式に省令、告示として公布されました」参照)。
また、今年のコメの作付け制限をどうするかということについては昨年末からずっと農水省と福島県など地方自治体との間でいろいろな交渉がありましたが、最終的に2月末に方針が決定されました(「農水省が決定したお米の作付け方針と作付け制限について」を参照)。その後、昨年のコメのセシウムが100~500Bq/kgの地域の検査方針も含めて具体的にどこを作付け制限するのかが決定されました(「農水省の「24年産稲の作付制限区域の設定等について」の発表について」を参照)。
昨年の検査結果を振り返ってみると(「福島県は米の緊急調査結果のとりまとめ(2/3)を発表!」参照)、福島県でさえ約23000戸の農家で今年の規制値を超えるセシウムが検出されたのはわずか2.5%だけでした。ごく一部の500Bq/kgを超えた農家のコメが大きく報道されたのです。
福島県以外で新規制値を超える放射性セシウムが検出されたのは、宮城県の一部(白石市(旧越河村)で101.6Bq/kg)だけです。今年はおそらく昨年よりもセシウムが土壌に吸着されてコメに移行しにくくなっている可能性が高いと考えられます(これは要検証)。従って、福島県以外で新規制値を超える可能性のある都道府県はまずないと考えます。そこで、今年は全ての県の情報をタイムリーにチェックしていく必要はないと考えています。
とはいえ、今回は今年の第1回ですので、簡単に現時点でわかる情報やリンクをまとめようと思います。
参考までに、昨年の検査結果へのリンク集はこちらです。
「今年のコメの放射能検査の最新状況のまとめ(随時更新用)」
2.今年のコメの放射性セシウムの検査状況
今年のコメの検査方針については、上にも書きましたが、簡単にまとめると福島県以外と福島県で異なります。
福島県以外では下図のようになっています。

食料・農業・農村政策審議会食糧部会 資料 (24年7月31日開催) の「24年産米の放射性物質検査について」より
現時点で今年度の米の放射性セシウムの測定を始めたのは、千葉県と茨城県です。この2県は、昨年の測定においてもHPでの広報も含めて積極的でした。ただし、全てを検出限界値未満にしたいという思いがあったからか、検出限界値が20Bq/kgと高く設定されており、結果としてほとんどがND(不検出)でしたが、あまり意味のないデータになってしまいました。
今年の千葉県ではすでに2回の測定結果が発表されていますが、検出限界値は約5Bq/kgに設定されており、昨年よりも検出限界値を下げていることがわかります。今年は、基準値自体も100Bq/kgに下がり、要求される検出限界値も下がりましたので、この程度の検出限界値は当然と言えます。
これまでの千葉県の結果:
8/9 第1報(館山市、鴨川市、南房総市) 全てND(検出限界値 5Bq/kg)
8/13 第2報(香取市) 全てND(検出限界値 5Bq/kg)
茨城県は、8/14に第一回目の発表が行われました。その検出限界値は約5Bq/kgです。
これまでの茨城県の結果:
8/14 第1報(潮来市、神栖市)全てND(検出限界値 5Bq/kg)
埼玉県は、まだ検査方針だけがHPに掲載(8/7)されています。
栃木県もまだ検査方針だけがHPに掲載(7/20)されています。
一方、福島県は、他の県とは異なり、昨年度100Bq/kg以上のセシウムを検出した田や、500Bq/kg以上のセシウムを検出した田などいろいろとあるため、少し複雑になっています。基本的に、福島県では国が定めた基準以上の対応策として、全袋検査を行うことになっています。具体的にどんな装置を用いて測定するのかはまだ発表されていないと思いますが、すでに対応できる装置は島津製作所などが発表しています。。

福島県のHPに発表された方針では、下記のようになっています。

「事前出荷制限区域」では、米の収穫後は、生産された全量を把握し、全量全袋検査を実施して出荷をします。具体的な方法はこの文書に示されています。
「その他の区域」では、国が定めた方法に基づきモニタリング検査を実施し、その後に全量全袋検査を実施します。早期出荷米と一般米で細かい方法は異なります。
今回は、今年度の基準値や検査方針の確認と、すでに検査が始まっている一部の県での速報をお伝えしました。
福島県が昨年10月に安全宣言を出した後に暫定規制値(500Bq/kg)越えのセシウムを含む米が伊達市や福島市で見つかり、福島県の米にはセシウムを多く含まれる、というイメージが強くなってしまいましたが、冷静に数値を見るとそれはごく一部です。
今年は、放射能の新規制値(放射性セシウムで100Bq/kg)が設定されました。その考え方についてはすでに3月の時点でお伝えしています(詳細は「4月からの食品の新しい基準値が正式に省令、告示として公布されました」参照)。
また、今年のコメの作付け制限をどうするかということについては昨年末からずっと農水省と福島県など地方自治体との間でいろいろな交渉がありましたが、最終的に2月末に方針が決定されました(「農水省が決定したお米の作付け方針と作付け制限について」を参照)。その後、昨年のコメのセシウムが100~500Bq/kgの地域の検査方針も含めて具体的にどこを作付け制限するのかが決定されました(「農水省の「24年産稲の作付制限区域の設定等について」の発表について」を参照)。
昨年の検査結果を振り返ってみると(「福島県は米の緊急調査結果のとりまとめ(2/3)を発表!」参照)、福島県でさえ約23000戸の農家で今年の規制値を超えるセシウムが検出されたのはわずか2.5%だけでした。ごく一部の500Bq/kgを超えた農家のコメが大きく報道されたのです。
福島県以外で新規制値を超える放射性セシウムが検出されたのは、宮城県の一部(白石市(旧越河村)で101.6Bq/kg)だけです。今年はおそらく昨年よりもセシウムが土壌に吸着されてコメに移行しにくくなっている可能性が高いと考えられます(これは要検証)。従って、福島県以外で新規制値を超える可能性のある都道府県はまずないと考えます。そこで、今年は全ての県の情報をタイムリーにチェックしていく必要はないと考えています。
とはいえ、今回は今年の第1回ですので、簡単に現時点でわかる情報やリンクをまとめようと思います。
参考までに、昨年の検査結果へのリンク集はこちらです。
「今年のコメの放射能検査の最新状況のまとめ(随時更新用)」
2.今年のコメの放射性セシウムの検査状況
今年のコメの検査方針については、上にも書きましたが、簡単にまとめると福島県以外と福島県で異なります。
福島県以外では下図のようになっています。

食料・農業・農村政策審議会食糧部会 資料 (24年7月31日開催) の「24年産米の放射性物質検査について」より
現時点で今年度の米の放射性セシウムの測定を始めたのは、千葉県と茨城県です。この2県は、昨年の測定においてもHPでの広報も含めて積極的でした。ただし、全てを検出限界値未満にしたいという思いがあったからか、検出限界値が20Bq/kgと高く設定されており、結果としてほとんどがND(不検出)でしたが、あまり意味のないデータになってしまいました。
今年の千葉県ではすでに2回の測定結果が発表されていますが、検出限界値は約5Bq/kgに設定されており、昨年よりも検出限界値を下げていることがわかります。今年は、基準値自体も100Bq/kgに下がり、要求される検出限界値も下がりましたので、この程度の検出限界値は当然と言えます。
これまでの千葉県の結果:
8/9 第1報(館山市、鴨川市、南房総市) 全てND(検出限界値 5Bq/kg)
8/13 第2報(香取市) 全てND(検出限界値 5Bq/kg)
茨城県は、8/14に第一回目の発表が行われました。その検出限界値は約5Bq/kgです。
これまでの茨城県の結果:
8/14 第1報(潮来市、神栖市)全てND(検出限界値 5Bq/kg)
埼玉県は、まだ検査方針だけがHPに掲載(8/7)されています。
栃木県もまだ検査方針だけがHPに掲載(7/20)されています。
一方、福島県は、他の県とは異なり、昨年度100Bq/kg以上のセシウムを検出した田や、500Bq/kg以上のセシウムを検出した田などいろいろとあるため、少し複雑になっています。基本的に、福島県では国が定めた基準以上の対応策として、全袋検査を行うことになっています。具体的にどんな装置を用いて測定するのかはまだ発表されていないと思いますが、すでに対応できる装置は島津製作所などが発表しています。。

福島県のHPに発表された方針では、下記のようになっています。

「事前出荷制限区域」では、米の収穫後は、生産された全量を把握し、全量全袋検査を実施して出荷をします。具体的な方法はこの文書に示されています。
「その他の区域」では、国が定めた方法に基づきモニタリング検査を実施し、その後に全量全袋検査を実施します。早期出荷米と一般米で細かい方法は異なります。
今回は、今年度の基準値や検査方針の確認と、すでに検査が始まっている一部の県での速報をお伝えしました。
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