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福島の早場米の収穫始まる! 検査方法と結果の周知方法は?

 
今年もお米の収穫の時期がやってきました。今年の各県の検査結果情報は「24年度版 お米の放射線検査情報一覧」に載せてありますのでご覧下さい。

みなさんが今年一番関心があるのは恐らく福島県のお米でしょう。福島県でも少し動きが出てきましたので、それについて少し解説します。


福島県では、二本松市で早場米「五百川」などの収穫が23日に始まりました(リンク先は毎日)。また、会津坂下町では早場米「瑞穂黄金」が収穫されました(福島民報)。25日から検査を行い、食品基準値(セシウムで100Bq/kg)以下であることを確認して出荷を許可するそうです。

今年の収穫量は福島県全体で昨年を上回る約36万トンと見込んでいて、約1200万袋となります。この検査結果をどう周知するのか?

福島民報によると、『県が導入する安全性確認のシステムは、玄米を出荷する農家が16桁の番号が割り振られたバーコードを1袋ごとに貼り付け、検査時にセシウム濃度の測定結果のデータがコードに入力される。』ということで、玄米一袋ごとに16桁の番号が付いたバーコードを貼って、その番号で検索すれば「ふくしまの恵み安全対策協議会」のHPで検査結果が一袋ごとにわかるそうです。

残念ながら、25日朝現在では、まだこのHPに米の検査結果用のリンクはありませんでした。おそらく本日の結果を受けて新しくリンクが作られると思います。(HPが更新されたらこの情報も更新する予定です。)

8/24-2.JPG

8/28追記:「ふくしまの恵み安全対策協議会」のHPに玄米が追加されました。

8/28-1

「玄米」を押すと下のような画面が現れます。

8/28-2

なお、QRコードを読み取った場合はこちらのサイトに行くようです。ここにQRコードで読み取った数字が入って(あるいは手入力で「検索」)結果が表示されるようです。

8/28-6
8/28追記ここまで

検出下限値(1キロ当たり25ベクレル)を下回った袋は「下限値未満」と表示され、25Bq/kgを超えたものについては1ベクレル単位で結果がわかるようになっているそうです。この下に示すメーカーのスペックだともう少し低く測定できるようですが、下限値を25Bq/kgで統一して設定したのかもしれませんね。


検査には、同じ福島民報の別の記事によると1日8時間の稼働で2000袋を処理できるベルトコンベヤー式検査装置を約190台使うということです。例えば、二本松市に6台、本宮市に4台、大玉村に3台設置されるという感じです。
『検査機器は、処理速度の速いベルトコンベヤー式を導入。購入・整備費用は、県の放射性物質対策「ふくしまの恵み安全・安心推進事業」の予算50億円のうち約36億円を充てて、JAや集荷業者などが計190台を配備した。1台当たり1日8時間の稼働で2000袋調べられる。』(日本農業新聞より:無料登録必要)という値段からすると、1台約2000万円ですね。


『検査機器は1袋(30キロ)当たり10~15秒で放射性セシウムを測定できる。実証試験で、1日に1台で約2000袋の検査ができる機器の性能を確認した。』ということで、1分に4袋測定できれば1時間で240袋ですから、1日8時間で1920袋=約2000袋という計算になります。

検査機器は、島津製作所
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(一袋あたり5秒という短時間で測定下限値20 Bq/kg以下の測定が可能)

三菱重工メカトロシステムズ株式会社が今年の春に発表しています(他のメーカーでもあるかもしれませんが見つけられませんでした)。
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(測定下限値は5秒測定時15ベクレル/kg以下)

8/25夜追記:
3番目の機種は、富士電機で、6月に発表されました。早野先生、情報ありがとうございました。
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(測定下限値は25Bq/kg(30kg米袋の場合))

9/9追記:
9/8の「第四回放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会」では、福島県農林水産部・農業支援総室の二瓶さんが5種類だと紹介してくれていました。
9/8-7
(第四回放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会の動画より)

それによると、上記3社の他にも日立造船のアスカHTX-100も導入されているということです。
9/8-6
もう一社、キャンベラ社製の測定器「フードセーフ」が伊達市(3台)福島市でも納入されているようです。
9/9追記:ここまで

実際に毎日新聞で確認できた郡山市に導入されていた機械は島津製作所の「FOODS EYE」でした。一方、福島民報に載っていた会津坂下町の機械は三菱重工メカトロシステムズの装置でした。


本日見つけた産経の記事には、検査現場側の不安、すなわち本当に一定期間内に全袋検査できるのか、ということが挙げられていました。

『一方、検査の現場となる市町村やJAなどには、収穫のピークとなる9月中旬~10月中旬を前に、不安も広がっている。
 二本松、本宮、大玉の3市村を管轄するJAみちのく安達。約2万トン(約70万袋)の収穫見込みに対し、検査機器13台で対応に当たるが「作業を円滑に進める上でギリギリの数」と担当者。』

先ほどの計算では、1台で1日2000袋として13台で1日26000袋。70万袋ならばフル稼働で30日弱で測定しきれる計算になります。人員面でも、1台に4-5人は必要なので、人数も職員だけでは足りない、ということだそうです。

新米の場合、いかに早く売ることができるかが勝負らしいのですが、検査に時間がかかると新米商戦に参加できない可能性もある、ということを関係者は危惧しているとのことでした。


さて、今まで記載してきたのは農家が生産する玄米一袋についての話です。時事通信社のニュースでは、『白米を買う消費者には無縁だが、県水田畑作課は「結果を知りたいという玄米購入者の心理に応えたい」としている。』という一文があり、白米は関係ないの?と初めてその時に気づきました。

多くの消費者にとっては、自分が買った白米の放射性物質の情報を知りたいわけです。それについては、日本農業新聞(リンク先は無料登録必要)に記載がありました。

『検査済みシールは米卸などに貼り付けを依頼して対応を進め、これまで課題だった、消費者への安全・安心のアピールにつなげる。
 QRコードもその一環で、同協議会のホームページにつながり、買った米の情報が得られる。しかし精米された米は既に数百の紙袋の米が混ざっているので、検査結果などの情報をどのように提示できるか検討を進めている。県は「できる限り細かい情報にしたい」と風評被害の払拭(ふっしょく)に力を入れる。

白米には、玄米数百袋の米が混ざってしまっているということなので、玄米の情報と1対1に対応するわけではないところが難しいところです。おそらくは検出下限値(25Bq/kg)以下の米袋だけを混ぜて精米するのではないかと予想します。

ふくしまの恵み安全対策協議会」の事務局を担当している福島県農業振興公社のHPを見ると、システムを作る際の仕様書段階ではありますが、下記のように記載されています(このシステムは日本IBMが受注しました)。

『⑤ラベルを貼付した米は、農産物直売所や直販等を通じて消費者に販売される。消費者は、携帯電話や店頭モニター等を活用しQRコード等から生産履歴や生産地マップなどの生産情報を入手することができる。
⑥また、精米業者に流通した米の場合は、生産情報データを引継ぎ、精米業者が別途照会コードなどを貼付した小分け商品で流通される。消費者は、照会コードを通して精米情報とデータを継承した生産履歴などを入手することができる。』

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(「ふくしまの恵み安全・安心推進事業農産物安全管理システム構築業務 基本仕様書」より)

ちなみに、システム構築の業者が決まったのでもう福島県農業振興公社のHPには存在しないのですが、コンタンさんが保存しておいてくれた手順書(5月)に載っていたものでは、QRコードはこんな感じのものになるようです。数字が16桁ではないのは、まだシステム構築前の資料だからです。

8/24-5

精米業者、小売店に対して結果のデータがどのように受け継がれて、白米を購入した消費者がQRコードで情報をどこまで得られるようにするのか、詳細は現段階ではまだわからないようです。そのあたりが決まったらマスコミもしっかりと報道して欲しいと思います。

以上、25日午前の段階でわかる情報をもとに記載しました。実際に運用開始されてお米が出回るようになったら実は違っていたという情報もあるかと思いますが、事前にわかる情報ということでご容赦いただきたいと思います。

24年度版 お米の放射線検査情報一覧」へ

 
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